第1229話 〈氷ダン〉攻略再開! 最奥まで全速前進!
第1229話 〈氷ダン〉攻略再開! 最奥まで全速前進!
翌日土曜日。
ようやくやって来ました週末のお休み!
土曜日の朝ってなんでこんなに嬉しいんだろうね? 不思議!
早速ギルドハウスへと向かい、俺は昨日学園長と取り交わした約束をシエラに話した。
「――という約束を取り付けてきたぞ!」
「取り付けてきたぞ、じゃないでしょ」
そしたら盛大なジト目が返ってきた。
ありがとうございます!
「本当に大丈夫なのかしら? なぜか未発見な 職業 ( ジョブ ) の〈育成論〉とか持ち込んだりしないでしょうね?」
「! 大丈夫だ。どれが未発見なのかは研究所に教えてもらうさ!」
「……教えてもらう?」
ふう。危ない危ない。そういえばこの世界にはまだ発見されたことのない 職業 ( ジョブ ) とかあるんだったな。さすがに俺がそれすら知っていたら怪しまれてしまうかもしれない。シエラに言っといてよかった! 後でミストン所長に今回見つかった未発見 職業 ( ジョブ ) などを聞きに行こう。
「それで、〈上級転職チケット〉の交換ルートも確保してきた、と?」
「おう。〈上級転職チケット〉は「売買不可」。これを「売買可能」な品に交換できるだけで〈エデン〉の得になるぜ。そして数ヶ月後にはLVカンストした1年生が一気に上級職になって――ワクワクが止まらないな!」
「…………」
学園も〈上級転職チケット〉をゲットできてwin。〈エデン〉も売買可能なものに交換できてwinだ!
仕入れルートゲット! これで〈エデン店〉の商品もさらに充実させられる!
さらに交換品の中でも素晴らしいものがあれば確保もできて――ふはは!!
〈幸猫様〉情報も渡したし、これでよりいっそうレアな装備やアイテムが学園に出回るだろう。ゲームでは上級品は普通に売られていたのだ。リアルでもそうなる日は近いな!
そんな感じにシエラと情報共有していると、メンバーも集まった。
俺はいつも通りみんなの前で演説を行なう。
「みんな待たせたな! 今日から俺も復帰する! 今日は〈氷ダン〉をエンジョイするぞー!!」
「「「「おー」」」」
ダンジョン週間は先生方の育成で〈氷ダン〉の攻略がストップしていたし、平日は1年生組の育成に力を入れていたため、なんだかずいぶん久しぶりな気がする!
気合いを入れ直さなければいけないな!
ギルドハウスに集まったメンバーを前に俺は今日の方針をとても簡潔に宣言する。
ちなみに1年生組は今日中級ダンジョンにちょっと潜ってみると言ってすでに出発していた。
やる気に溢れていて大変よろしい!
「シエラ、そっちの攻略状況は?」
「……今は58層に居るわ。おそらく、今日中には最奥にたどり着けるはずよ」
「おお! ついにか!」
シエラの言葉に俺は満面の笑みになる。
今回、俺が途中で離脱してしまったため「じゃあ〈氷ダン〉の攻略どうするの?」というところだったが「たまにはゼフィルス抜きで攻略してみる」という話になり、〈エデン〉は初めて俺抜き攻略をしていた。
結果、それまで1日20階層を走破していた〈エデン〉だったが、2週間近く経った今18階層を攻略し、ついには今日最奥へ到達する予想だという。
2週間で18層と聞くと時間が掛かっているように感じるかもしれないがとんでもない。
未知の上級ダンジョン。しかも〈35エリア〉であり、さらに徘徊型が出没するようになる41層以降の攻略だ。慎重になるのも分かる。
それでわずか2週間で18層攻略というのはかなり速いペースである。
あの〈キングアブソリュート〉なんか〈霧ダン〉の53層辺りからなかなか進めなくなっていたからな。
〈キングアブソリュート〉と比べだいぶ速いのはやはり〈イブキ〉を持っているかどうかによる違いだろう。
普通は1層を全部歩きで探索するとなると1日では難しいのだ。特に放課後は時間も無いし、メンバーが集まれない場合もあるしな。
「すげぇなみんな。ということは徘徊型も?」
「ええ。苦労したのに最後は逃げられてしまったのだけど」
「それでも初見撃退できるだけすげぇって」
徘徊型はダンジョンのアンタッチャブル。
ダンジョン攻略中になにが一番危険かって聞かれれば俺は徘徊型だと答えるだろう。
完全に全滅させに来ているからな。
それを最後は逃げられたということは撃退したという意味。
初見の相手でそれが出来るのがどれだけすごいことか、多分みんな真に分かってはいないだろう。みんな戦闘不能になったこと自体無いはずだしな。
ちなみに〈氷ダン〉の徘徊型は〈トナカイサンダース〉というトナカイ型ボスで、2体のトナカイがソリを引いている、戦車だ。ソリに乗っているのは温かそうな赤い服を着た――二足歩行のトナカイ。なぜか〈雷属性〉を使って走りながら攻撃してくるやべぇボスである。
戦車に乗りながら遠距離攻撃とかずるい!(エステルから目を逸らしながら)
「徘徊型を対処できるならもうゴールはすぐそこだな。俺も今日中に追いつくから最奥で会おうな」
「…………今さらっととんでもないことを言わなかったかしらゼフィルス?」
「気のせいだ!」
シエラがジト目で見てきてくれました! とっても嬉しいです!
「じゃあ、俺は40層までしかショートカット転移陣を登録していないから。アイギス、階層の更新を手伝ってくれるか?」
「もちろん構いません。最初からそのつもりでした」
「助かるぜアイギス」
俺を最奥へ連れて行ってくれるのはアイギスだ。こういう時アイギスが力になってくれることが多い気がする。というか今週の平日、放課後にみんなが〈氷ダン〉へ行っている間俺に付き合って新メンバーの運搬をしていたので、アイギスだけ攻略階層は56層のままだったりする。アイギスは最初から俺の攻略を手伝ってくれる気だったのだ。
とてもありがたい。もちろん今日中に追いついて他のメンバーと攻略階層を横並びにさせるからな!
「ちょっと待ちなさい! アイギスだけずる――いえ、2人だけなんて戦力不足よ! ここは私がヒーラーをしてあげるわ」
「ラナ様!?」
「そうね。強力な盾役が必要だと思うわ。私も付いて行くわね」
「シエラさん!?」
「わたくしの『フルマッピング』が無いと攻略に差し障りがあるでしょう。わたくしも付いて行きますわ」
「リーナさんまで!?」
おっと早くも5人パーティ決定か!?
しかし盛大に驚いていたエステルやミサト、ノエルがそれぞれを説得する。
「ラナ様が行くなら私も行くことになります。そうなると〈イブキ〉の数が足りなくなるでしょう。諦めてください」
「そんな! エステル!?」
「もう~シエラさん? このゼフィルス君抜き攻略班のリーダーが抜けちゃダメでしょ? 気になるのは分かるけど、ダメなものはダメだよ?」
「ミサト……」
「リーナさんの『フルマッピング』はこっちでも重要なスキルなんだから行っちゃダメだよー! ゼフィルス君には私たちが描いた地図を渡すからリーナさんはそっち行っちゃダメだからね?」
「う、それもそうですわね」
しかし一瞬で却下されて3人とも肩を落としていた。
3人を説得する手際が凄く良い件。まるで最初から用意していたような説得だった。
「ま、まあ影響力のある3人にこっちに来てもらうと大変だろうしな――」
「そうだわ! アイギスとエステルをチェンジすればいいのよ! アイギス、代わって!」
「申し訳ありませんが、お断りさせていただきます」
「!!」
おっとまだラナは諦めていなかったようだが、アイギスの断固たる意思に結局敗北した様子だ。
その後の話し合いで盾役のトモヨ、回復役のオリヒメさん、アタッカーのレグラムがメンバーに加わることになった。
「トモヨ、頑張るのよ」
「あなたのインターセプト、期待しているわ」
「ゼフィルスさんを頼みますわよ」
「ま、まっかせてよ~!」
なぜかトモヨを激励するラナとシエラとリーナ。
何か固い結束が為された様子だ。トモヨの笑顔がぎこちない気がしたのは、きっと気のせいだろう。
ギルドメンバーが固い結束をしている光景はなんとなく嬉しくなるよね。
でも背中が冷たい気がするのはなぜだろうか?(震え)
「それじゃ、〈氷ダン〉に 出発 ( しゅっぱーつ ) !!」
「「「「おおー!」」」」
俺のチームは40層から再出発。
シエラチームはトモヨとレグラム、オリヒメさんとパーティを組んでいたメンバーもいたので、55層から出発するロゼッタ組と58層から先行するシエラ組に分かれて出発。58層で合流し、60層の最奥まで突き進んだのだった。
俺たちとは最奥で待ち合わせ予定だな。
そして夕方。
「ねぇゼフィルス。なんで私たちよりあなたの方が早くここに着いているのかしら?」
「うむ」
「うむじゃないでしょう」
うっかりシエラチームを抜かしてしまい、俺たちのチームが最奥に1番乗りを決めたのだった。