第1240話 〈世界の熊〉VS〈エデン〉、第二戦目初動!
第1240話 〈世界の熊〉VS〈エデン〉、第二戦目初動!
「それで、ずいぶん時間が掛かっていたみたいだけど、なにを話していたの?」
「おう! 〈世界の熊〉にぴったりな戦法を伝授してきたぜ! これでさっきの〈エデン〉の戦法は通じないぞ!」
「…………」
簡潔にシエラの問いに答えたらジト目が返ってきました。
ありがとうございます!
もう少しジト目を味わいたかったが時間も無いので次の作戦を通達することにした。
「こほん。これから〈世界の熊〉に伝授した戦法をみんなに教えるな。そして〈エデン〉はそれに対し、真っ向勝負を挑む!」
短い時間で簡単に説明。
〈エデン〉の作戦は、ギルドハウスでみんなが考えたアレを採用する。
するとあっという間に時間は過ぎて、第二試合――開始!
〈決闘戦〉第二戦目では基本に立ち返り、〈エデン〉は〈北巨城〉、〈中央南巨城〉をメインに狙いつつ東側には進入せず、確実に過半数の巨城を獲得することを目指した戦法を取ることにした。
今回は圧倒的に勝つのではなく、通常のセオリーに沿った戦法を採用。
これは〈救済東西ぶった切り〉戦法などが使えない、同格の相手を想定した真っ向勝負の戦法だ。
東西にある巨城はそれぞれのギルドが確保するとなると、取り合いになるのは通常3城。
〈北巨城〉〈中央南巨城〉〈南巨城〉だ。
このうち2城が取れれば過半数の確保がなる。
先ほどの第一戦目で〈世界の熊〉の熊騎兵のAGIが大体300から500、速い者で700くらいと判明。これはかなり速い数値だ。
こちらも〈イブキ〉を使って対抗するところは変わらない。
〈イブキ〉無しでは〈エデン〉メンバーの多くがその速度に追いつけないからだ。
それだけでも熊騎兵がどれだけ優秀なのかが分かるだろう。
とはいえ、たとえ〈イブキ〉が無かったとしても勝つ自信はあるけどな。
初動が始まると〈エデン〉は東西を行き来する要所を塞ぎながら〈北巨城〉と〈中央南巨城〉を取りに進み、〈世界の熊〉と取り合うことになった。さすがにAGI300超えというのはめちゃくちゃ速い。
さらに驚いたのは〈世界の熊〉が擬似的にも〈ジャストタイムアタック〉のまねごとをしてきたところだろう。
あの〈ミーティア〉を見て学んだのか、ほぼ全員が同じスキルを同じタイミングで発動し、巨城に攻撃を放ったのだ。
アレにはびっくりしたよ。
確かに、熊人なら「熊人」と「獣人」カテゴリーの 職業 ( ジョブ ) にしか就けないためスキルも似通うし、擬似的な〈ジャストタイムアタック〉も可能だ。
とはいえこっちも〈ジャストタイムアタック〉を使っている。しかもこちらは精度が段違いに高いのだ。結局そのときは〈エデン〉が先に打ち込み特大のHPをゼロにしたため、〈北巨城〉は〈エデン〉が勝ち取った。
〈世界の熊〉は実戦では初の試みだったらしくまだ拙く、同時に攻撃するという準備に手間取ったのが敗因だった。まだまだ改良の余地がある。頑張ってほしいな。
〈中央南巨城〉では足の速さでアイギスの〈イブキ〉に乗ったメンバーが相手より数段早い時間で到着。素早く落とし〈エデン〉が獲得した。これで過半数確保。
最後に〈南巨城〉だが、ここは〈世界の熊〉が人数を集中させたことで、なんと〈エデン〉との取り合いに勝利して先取した。
これはあっぱれと言うほかない。
どうやら〈世界の熊〉は〈北巨城〉と〈南巨城〉をメインに取りに来たみたいで、足の速いメンバーは軒並み〈南巨城〉へ送り出していたようだ。
道理で〈中央南巨城〉はあっさりゲット出来たと思ったよ。
〈ハート〉フィールドの構造上、〈中央南巨城〉は東西に延びた障害物と障害物の間に挟まれた位置に存在するため、落とすには障害物の間を通り、戻るときも障害物の間を通らないといけない。
そうなると下手をすれば回り込まれて狭い通路で挟まれ、対人戦で討ち取られる可能性がある。リスクのある巨城なのだ。〈中央南巨城〉を狙わず〈北巨城〉と〈南巨城〉の2点狙いというのも1つの正解。
これで〈西巨城〉と〈中央西巨城〉を〈エデン〉が、〈東巨城〉と〈中央東巨城〉を〈世界の熊〉が確保して、〈エデン〉が4城を、〈世界の熊〉が3城を確保するに至った。
ここまでは〈エデン〉の想定内。というかそういう風に仕向けたとも言える。
〈世界の熊〉としてはあの擬似的な〈ジャストタイムアタック〉で〈北巨城〉を獲得し、〈エデン〉に優位を取る作戦だったのだろうが、残念ながら〈エデン〉がさらに上を行ったのでおじゃん。
その時のポイントがこちらだ。
ポイント〈『白9,200P』対『赤7,690P』〉〈ポイント差:1,510P〉。
〈巨城保有:白4城・赤3城〉
〈残り時間50分00秒〉〈残り人数:白30人・赤30人〉
注目すべきところは、その〈ポイント差〉。
なんと1,510Pしか離れていない。つまり〈エデン〉が小城の取得合戦で大きく負けているという意味に他ならない。その差は実に49城だ。
いったいなぜ?
この秘密が〈世界の熊〉に伝授した戦法にある。
今まで〈世界の熊〉は、2人乗り3人乗りもいるとはいえ、全員が騎乗していたのにも関わらず、なぜか〈スタダロード戦法〉を採用していた。
いや、〈北巨城〉を取るためなら一斉に南西にまっすぐ侵攻するしかないため必然的に縦列に並んで走ることになるのだが、これではせっかくの全員の機動力の高さを生かし切れていないと言っていい。
全員が機動力を持っているのなら、俺はもう1つのお勧めの戦法がある。
それが〈ロードローラー戦法〉と呼ばれていた、それぞれのツーマンセルが横に広がって進む戦法だ。
〈世界の熊〉が本拠地から南下する場合、縦列ではなく、横列で南下する。
たったそれだけで大量の小城が確保できるというわけだ。
〈南巨城〉に向かった〈世界の熊〉は横4列で進み、小城をガンガン確保しながら南下したのだ。
速度は若干落ちるものの、小城を初動でガッツリ確保できるというのは非常に大きい。
この小城ポイント分、相手より優位に動けるからだ。
〈エデン〉が負けている49小城を確保するには2分くらいは掛かるだろう。
〈世界の熊〉はその2分を有用に活用できるのである。
その活用方法の1つが――対人戦。
初動が終わり中盤戦に突入したとき、相手が小城の確保に専念するためにツーマンセルでバラけたところを集団で各個撃破に集中し攻めることが可能なのだ!
この時、自分たちは小城の確保などは完全無視して各個撃破に集中して良い。なにしろ2分の余裕があるからだ。
相手が小城を取りたくてばらけたところを狙うクールな戦法である。
これが俺が〈世界の熊〉に伝授した戦法だ。
それを、〈世界の熊〉は慣れない動きながらもやり遂げたのだからさすがはAランクと言わざるを得ない。
まあ、狙いが分かっているため今回は各個撃破はさせなかったが、〈世界の熊〉がこの戦法に慣れ、相手を上手く追い詰められるようになれば大きく化けるだろう。
向上心の強い〈世界の熊〉の新たな目標になるのではなかろうか?
この戦法の手応えを得た〈世界の熊〉はきっとたくさん練習し、仕上げてくる。
うーん、ワクワクするな!
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後書き失礼いたします。
イメージ図を貼り付けました! こちらからどうぞ!↓
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