第1261話 上級中位ダンジョンに向け各所に挨拶へ行こう
第1261話 上級中位ダンジョンに向け各所に挨拶へ行こう
〈彫金ノ技工士〉に立ち寄った後は各所施設へと赴いた。
まずは学園長のいる〈中城〉に行き、上級中位ダンジョンの入ダン準備の進捗状況を聞いたりした。
〈雷ダン〉の攻略者の証を見せながら。
「…………はぁ~。ゼフィルス君たち〈エデン〉はまったく、とんでもないスピードで駆けていくのう。追いかける身にもなってほしいんじゃが?」
「大丈夫です。ちゃんとフォローはしますよ!」
「…………ふう。報告は受けておるがのう」
そう言って学園長は書類の束を取り出して持って来た。
そこには「上級中位ダンジョン進出計画報告書」と書かれていた。
とても素晴らしい書類だ。
「これは〈救護委員会〉から送られてきた書類じゃ。現在〈救護委員会〉や〈ハンター委員会〉、それに先生方が上級中位ダンジョンに進出するためのレベル上げと攻略を進めておる。ワシらももちろん協力は惜しまん。というよりも研究所がとても気合いを入れていてもはや止まらなくなっておる」
おっと学園長が歯に 衣着 ( きぬき ) せぬ発言だ。
研究所って確か5月に増えに増えた高位職たちの発現条件の研究やスラリポマラソンのなんやかんやで忙しいんじゃなかったっけ?
「研究所の職員もずいぶん増えたのじゃ。分校にいるよりもこっちに来たいという要望と希望が殺到してのう。ミストンのやつが大多数を受け入れたのじゃ」
ミストンというのは研究所の所長、ミストン所長のことだ。
初めて見たときは40代後半という歳にもかかわらず初老っぽい見た目だったが、最近は生き生きとしすぎて実年齢よりも10歳くらい若返って見える、あのミストン所長だ。
ミストン所長の頑張りで研究所は日に日に大きくなっているらしい。
上級中位ダンジョン研究のキャパがあるようでなによりなんだぜ。
「それについて今回、〈雷ダン〉で素晴らしい〈乗り物〉のレシピを当てまして、先ほど〈彫金ノ技工士〉に依頼をしてきたのですよ」
「〈乗り物〉のレシピじゃと!?」
「もちろん一般用に売り出すモデルです。〈ガンゴレ〉よりも多くの地形に対応しており、〈山ダン〉の崖を登ることも可能です。〈金箱〉産ですよ」
「それは……またとんでもないものを当てたのう。……それは学園が買い取ってもいいものなのかの?」
「もちろんです! まず学園に上級中位ダンジョンを解放してもらうことが重要ですから! 大急ぎで造ってもらっていますが、最初に〈救護委員会〉へ、その後学園へ納品する予定ですよ!」
「……あいわかった。ではそのように話を伝えておこう」
さすがは学園長。話が早い。
これも上級中位ダンジョン進出のための援助みたいなものだ。
それと、近日中に〈雷ダン〉の攻略データも持ってくると伝えておく。
というか45層まではもう完成しているので渡しておいた。残りは後日予定。
〈雷ダン〉は〈霧ダン〉のようになかなか攻略しやすいダンジョンであることも添えておく。もちろん救済アイテムがあればだけどな! レベル上げにはもってこいだぜ!
「ゼフィルス君――上級中位ダンジョンは魔境とも言われている場所じゃ。ゼフィルス君はそんなところでも攻略出来ると考えているのかの?」
唐突に学園長の真剣味が増してそんなことを聞いてきた。
しかし、俺の答えは決まっている。
「もちろんです。むしろ上級中位ダンジョンなんて通過点。〈エデン〉はいずれ最上級ダンジョンまで攻略する予定ですよ!」
俺も真剣に答える。あとついでに決意表明も添えておいた。
〈エデン〉はいずれ最上級ダンジョンにも行くからその準備もお願いしますね? と暗に言っておく。
学園長がなぜか予想外の答えが返ってきたとばかりにポカンとしてから顔を引きつらせたように見えた気がしたが、きっと気のせいだろう。
◇
その後もタバサ先生のところに会いに行って攻略のアドバイスをしたり地図とか渡したりして攻略のフォローをして、研究所に行ってミストン所長に挨拶に行ったり、他のAランクギルドやSランクギルドの進捗を調べたりもした。
AランクギルドやSランクギルドは凄いぞ~。
やっぱ五段階目ツリー開放者がいる影響だろう、日に日に攻略が進んで今では〈夜ダン〉が盛んに攻略されているらしい。
例の「悪魔」カテゴリーがギルドに居ないと開かない扉も開けるギルドが現れたとか。
ほほほう? それは耳寄りな情報ですね。どこかのギルドが悪魔に目覚めたのか。
おっと、そういえばギルドバトルをした後の〈世界の熊〉だけどな、〈クマライダー・バワー〉の 紹介 ( 営業 ) にお邪魔した時に知ったんだが、やっぱり新たな戦法を教えてからメキメキ実力を付けていたよ。
そこへ新たに〈戦車〉が加わる可能性があるのだから〈世界の熊〉の実力はますます上がっていくだろう。成長後がとても楽しみだ。
無機物系〈戦車・乗り物〉を紹介した時、〈世界の熊〉の 騎獣 ( クマ ) たちが「え? 俺たちどうなるの??」と クマ ( 困 ) った顔をしていた気がしたが、多分気のせいだろう。
大丈夫だ、〈ロードローラー戦法〉には騎獣が不可欠だから安心してほしい!
あと、「熊人」だけだとヒーラー辛いぞと、改善策を助言しておいた。
それはガロウザス先輩も分かっていたようで俺の策に食いついていたよ。
この先、出てきちゃうのかもしれないなぁ「熊天使」。
それが一段落すれば続いてやるのが――打ち上げだ!
「よっしゃみんなジョッキは持ったか! ついに〈雷ダン〉を〈エデン〉が攻略したぞー! 祝 ( しゅく ) して 祝 ( いわ ) って打ち上げだー! 乾杯!!」
「「「「「かんぱーい!!」」」」」
偉業をまた達成したので、乾杯です。
うむ、〈ゴールデンアップルプル〉のジュースが美味い!
こんな美味しい物が飲み放題とか、凄い時代になったもんだ。
「ねぇゼフィルス。〈エデン店〉が〈リンゴとチケット交換店〉なるものを始めたらしいのだけど。〈上級転職チケット〉ってすごく貴重なものなのよ?」
「それな! 見てくれシエラ! おかげでこんな大量のジュースが納品されるんだぞ!」
「そうよシエラ! 素晴らしいことだわ! もうチケットよりもリンゴジュースの時代よ!」
「あなたたち、酔ってないわよね?」
〈リンゴとチケット交換店〉。
素晴らしいじゃないか。
レートは〈上級転職チケット〉1枚に〈芳醇な100%リンゴジュース〉20瓶で取引されているらしい。
超お得だな!
新しいサービスを始めてくれたマリアたちには感謝しかない!
いや、でもレアモンスターを20体も倒さなくちゃいけないんだ。なかなかの労力である。それでも成立する商売だというのだから凄いんだぜ。
なお、世間ではそれでも〈上級転職チケット〉の方が価値が高いというのだからとんでもない。
最初は「100瓶と交換にしましょう」なんてとち狂ったことを言われてびっくりしたのを覚えているんだぜ。
ゲーム時代、〈上級転職チケット〉のオークション価格は1億くらいが相場だった。なのでジュースも同じくらいということで俺が頼み落ち着いたのだった。なお、ジュースの値段は去年オークションで競り落としたあの値段を参考にしている。
それでも20瓶とかそんなに集められないんじゃないか? と思っていたのだが結構交換に来るギルドがいるのだから凄いね。〈オカリナ〉が市場から消えたと騒がれてる。みんな気合いが入ってるなぁ。
「それでゼフィルス、次はどこに行くの? ダンジョン週間で明日も学園は休みよ!」
「だな! まだ上級中位ダンジョンの開放には時間が掛かりそうだし。このダンジョン週間中、次はランク9〈火山の入口ダンジョン〉でも攻略しちゃおうか!」
「いいわね!」
「わはははは!」
ジュースが美味くてラナとの会話が捗る。
それをジトッとした目で見てくるシエラに俺のテンションは天井知らずだ!
こんな感じで、いくつかのところに手を打っておき、ダンジョン週間中は後輩たちのレベル上げや〈火山の入口ダンジョン〉、通称〈火口ダン〉の攻略に乗り出すなどして過ごすことになった。
そして1週間後、6月に入った最初の日曜日。
学園側からついに上級中位ダンジョンのダンジョン門、その解放の知らせが届いたのだった。
第二十七章 ―完―
――――――――――――――
あとがき失礼いたします。
近況ノートに次章予告を貼り付けました!
次章ちょっと気になる方はどうぞ!
https://kakuyomu.jp/users/432301/news/16818093073184823525