第1290話 謎のコンソール発見! 謎のなぞなぞ大問題!
第1290話 謎のコンソール発見! 謎のなぞなぞ大問題!
謎の空間。出入り口は1つ、ダンジョン門だけだ。
しかし、この謎の部屋、実は何も無いわけではない。
もっとよく探せば見つかるのだ。もう少し手間取れば俺が誘導しようかと思ったが、どうやらその必要は無さそうだった。ここにいるのは精鋭中の精鋭なのだ。
「何も無いはずがありません。何かがあるはずです。イルカ先生、ユミキさんの強化を」
「承りました。――では調査よ、いや、今はユミキと言った方がいいか。索敵に強化を掛ける」
「ええ。支援、お願いね? イルカせ・ん・せ・い?」
「ふっ、まさかこんな日が来ようとはな。『エクスプローラー・ウォーアップ』!」
「全部調べてやるわ――『全探査アイズ・メビウス』!」
おおー。〈攻略先生委員会〉所属、イルカ先生だ!
イルカ先生の【ウォーリーダー】は索敵系スキルなども強化出来る上級支援職だ。
それで前年度〈調査課〉のトップだった、【フリーダムメビウス】のユミキ先輩を強化し、9つの 目 ( カメラ ) を持つ〈メビウスの輪〉を超高速で解き放つ。
ちょ、超かっけぇ!!
そして、それは程なくして見つかった。
「シグマ大隊長。謎のコンソールらしきものを発見したわ」
「! すぐにそちらに向かいます! ――ゼフィルスさん、ユミキさん、ついてきていただけますか?」
「もちろんです」
おっとここでユミキ先輩がダンジョン門から真北の方角で何かを発見。
シグマ大隊長に付き添いをお願いされ一緒に行くと、部屋の壁から生える形で確かにコンソールらしきものがあったのだった。
さすがはユミキ先輩、しっかり見つけ出したか~。
これ、なぜかハイド系が掛かっていてスキルの探査では見つけられないんだよ。
目視系、視界を飛ばすことのできる【フリーダムメビウス】や【スターエージェント】などが有効なのだ。
「地図班、記載は?」
「されていません。目視で見るしか無いようです」
「む、むう」
シグマ大隊長がすぐにこれの位置が地図にオートマッピングされているか聞くが、その答えは芳しくなかった。地図班が地図に手動で記載し、この場所にブックマークを施す。
「鑑定系は?」
「はい。『解析』を使用したところ反応がありました。これは〈 道開けし謎解き ( リドルコンソール ) 〉という名前だそうです。詳細は分かりません」
「少なくともこれ自体は危険なものでは無いようね。トラップの類いは見られないわ」
〈救護委員会〉の面々やユミキ先輩がコンソールを入念に調べ上げるが不審な点は見当たらない様子だ。まあ少なくとも触ったらアウト、というものではない。
「では、実際に使用してみるしかないですか。ふむ、赤、黄、青のボタンがありますね。そしてその横に丸いくぼみ。これの大きさ覚えがあります。召喚盤くらいの大きさのように思いますね」
シグマ大隊長が唸りながらコンソールを観察する。
コンソールにはシグマ大隊長が言ったように赤、黄、青のボタンの3種類が目立ち、その横には召喚盤を嵌めるための穴が空いている。
俺はこれが何か知っているのでさっさと起動させたいところなのだが、しばらく観察。シグマ大隊長たちの動きを見させてもらう。
なるほど~、普通はこうやって色々調べるところから始めるのか、さすがは本職(?)。勉強になる。
なぜか〈エデン〉のメンバーの中でもシエラやシズ、セレスタン、カイリなどがメモを取っているんだ。そしてシエラの無言の視線が俺に刺さっている。
うむ。俺はそんなのすっ飛ばして正解を引き当てるからな。罠が仕掛けられているか確認するとか、『解析』を掛けるとかしたことなかったっけ。安全確認か~。今度からしてみようかな?
その後、思い切ってシグマ大隊長がボタンを押すことになった。
「では押してみましょう。どのボタンにするか、ノーヒントというのが辛いところですね。――総員配置に付いてください! これからこのコンソールのボタンを押します! 何が起こっても対処できるようにするのです! 用意!」
「「「応!」」」
「――〈エデン〉も少し下がろう。〈救護委員会〉の邪魔をしない位置で待機だ!」
「「「おおー」」」
コンソールを操作することを決めたシグマ大隊長が指示を出すと、〈救護委員会〉が素早く動いた。
現在〈攻略先生委員会〉と〈ハンター委員会〉は他に何か無いか謎室を探索中だ。
つまりはこのボタンを押したとき、何か起こっても〈救護委員会〉と〈エデン〉で対処しなくてはいけないということ。
まあ、1層だ。大したことは起こらない。
たとえミスって全員に〈即死〉が付与されても対処できる自信がある。
そのために『即死無効』の付いた〈身代わりのペンダント〉もたくさん持って来ているしな。
おっと、これはまだ内緒だった。
みんなが離れると、シグマ大隊長が大盾を構えながら、まず青のボタンを押してみる。
「ではまず右の青を押してみましょう。――行きます」
周囲の――というか〈救護委員会〉の緊張が高まる。
え? 〈エデン〉はって? 逆に周りの空気に少し戸惑っているまであるな。
〈エデン〉は上級でここまで慎重に攻略したことって今まで無かった気がする。
それはともかく、シグマ大隊長がポチッと青のボタンを押す。瞬間すぐに手を引っ込めて盾に隠れるが。
「反応無しです」
何も反応は無かったのだった。
「無反応ですか。では次、黄色のボタン、行きます」
続いて黄色、そして赤のボタンを押すが、どれも反応が無かった。
「どういうことだ? 起動していないのか?」
謎が謎を呼ぶコンソール。いったいこれはなんなのか。集まって色々触ったりボタンを押したりしたが、全てが無反応。結局分からずシグマ大隊長は思わず唸る。
さて、そろそろ俺の出番かな?
「ふむ。――ゼフィルスさん」
来たーーーー!
「なんでしょう?」
「ええ。ゼフィルスさんの見解を聞かせていただきたく。これはなんだと思いますか?」
なんだと思いますか? だと? 思わず答えを言いそうになってしまったぞ! なんて絶妙な問いなんだ。危うく口から漏れてしまうところだったぜ。これは罠に違いない!(←違う)
それはともかく、周りの目もあるため俺は冷静に告げた。
「この状況からして、この装置がこのダンジョンの攻略に必要な装置だというのは間違いないでしょう。何しろこの空間、本当に何もありません。階層門が見当たらないのは〈岩ダン〉でもありましたが、あちらには岩がありました。逆に言えば何かがあればそれが階層門出現に関わっているに違いないです」
「なるほど。自分たちも大体同じ見解でしたが、さすが〈岩ダン〉を最初に攻略したゼフィルスさんです。そこまで言い切るとは。このコンソールが階層門出現装置だとゼフィルスさんは考えているのですね」
「むしろそれ以外には考えられないでしょう」
そう言って俺は誘導する。
答えを知ってるからこそ他の可能性を除去し、答えまでの道筋を案内できるのだ。
「しかしどうやってこれを起動したらいいのでしょうか、どのボタンを押しても、同時に押したり長押ししても無反応でしたが」
「でしたらボタンは起動には関係無いのでしょう。その召喚盤のくぼみが気になるところです」
「なんですって? まさか召喚盤が起動キーだということですか?」
おっと、これだけのヒントでシグマ大隊長は答えにたどり着いたようだ。
そう、実はこの召喚盤のくぼみは起動キー、ここに召喚盤を嵌めることでコンソールが起動するのである!
ということで俺は腰の〈 空間収納鞄 ( アイテムバッグ ) 〉に手を入れるとあるものを取り出した。
「そうだと思います。まずはやってみましょう。ちょうどここに、召喚盤があります」
「なんであるのよゼフィルス」
ふうぉ!? 後ろからシエラの超ジト目が!
シエラ、今日はジト目のオンパレードじゃないか!?
ひゃっほー!
「備えあれば憂い無しってやつさ! 俺はこの日に備えて、様々なものを用意してきたんだ!」
そう俺は言い切った。攻略に備えて様々なものを用意しているのは俺だけではないはず!
シグマ大隊長も俺が取り出した召喚盤に一瞬だけ目を点にしていたが、すぐに再起動する。
「と、とにかくやってみましょう。召喚盤をお借りしてよろしいですか?」
「もちろんです」
もちろん俺は快く召喚盤を手渡した。
その召喚盤をシグマ大隊長が再び警戒しながらコンソールへと嵌める。
すると、先程まで壁だったところがいきなり光りだした。
「これは!」
「……アーティファクトのスクリーンに似ている?」
「思い出したわ。これ何かに似ていると思ったら〈拠点落とし〉のコンソールにそっくりなのよ」
「あ!」
「なるほど。だからゼフィルスさんは召喚盤を嵌めると思いついたのですね」
リアル〈ダン活〉にはテレビは無いが、アリーナ会場にはスクリーンがある。
壁が光ったと思ったら、いつの間にかそこは見覚えのあるスクリーンに変わっていたのである。
そう、シエラが気が付いたとおり、このコンソールは〈拠点落とし〉の拠点にある召喚盤のコンソールと似ているのである。それがヒントだな。
〈拠点落とし〉を覚えていれば、このコンソールの起動方法にも当たりが付くという寸法である。
ノーヒントに見えて、開発陣はちゃんとヒントを与えてくれていたわけだな。上級だから気が付く難易度高いけど。
「これは、クイズ、でしょうか?」
「〈問題:【アーマーウォーリアー】の発現条件を答えよ〉?」
「! その下に選択肢が3つ現れました!」
「これは!?」
画面に映った文字に俺以外の全員が驚いた。
もうお察しかと思う。
ここ〈謎室の 古跡 ( こせき ) ダンジョン〉、通称〈謎ダン〉は――なぞなぞダンジョンだ。
リドル ( 謎解き ) を駆使して正解をつかみ取らなければ先へは進めない。
謎解きギミック系のダンジョンなのだ。
「バカな! 発現条件の公開だと! この選択肢の中に正解があるというのか!?」
「ね、ねえこれって研究所の人たちを呼んだ方がいいんじゃ?」
「これは大発見だわ」
しかもである、〈救護委員会〉の人たちの言うとおり、このクイズは上級職の発現条件もある程度バラしてくれる攻略ヒント装置なのだ!
これのおかげで発現条件が判明し、攻略サイトに明記されたものも多い。
というかここでしか得られない発現条件のヒントもあるくらいだ。
調査団が動揺するのも分かる。
オロオロ半分、とんでもないものを見つけてしまったかもしれないという輝き半分である。
「みなさん、冷静に。これは罠の可能性もあります。先走らないようにしてください」
そんな中、抑えるのはもちろんシグマ大隊長だ。
みんなこれがクイズだと察し、盛り上がる中シグマ大隊長だけが危機感を維持しギルドのメンバーを制御する。さすがは学園公式五大ギルドの1つで一番大きなギルド、〈救護委員会〉の大隊長だ。
これにはみなが素直に従う。
「ありがとうございます。みなさんが浮き足立つのも分かりますが、これでハズレを引いた時のことも考えてください。――ゼフィルスさんなら何が起こると思いますか?」
おっとここで俺か。
シグマ大隊長は俺にちょくちょく話を振ってくれるのでとても助かる。
俺も端的に答えた。
「ペナルティーですね。この部屋はこれだけ大きいのにもかかわらず罠もモンスターも何もないというのが気になるところですよ」
「ふむ。つまり罠、もしくはモンスターなどが召喚されると?」
「現状、一番可能性が高いかと思います」
「……確かに。さすがゼフィルスさん、冷静ですね。他のメンバーにも見習わせたいです」
なんかシグマ大隊長が凄く持ち上げてくるな! ちょっと気持ちいい。
「つまりここのダンジョンではクイズが出題され、正解すれば先へ、不正解ならペナルティが発生する可能性が高いというわけですね」
「俺も同意見ですシグマ大隊長。現状判断ですが、それが一番可能性が高いでしょう」
嘘です。俺知ってます。それで正解です。うん、上手く誘導できた(?)ぜ!
さっきからシエラからジト目が刺さってきているが、ここでテンションを上げてはいけない! 頑張らないと!
「では、ゼフィルスさんはどれが正解だと思われますか?」
「青の〈全身重鎧、両手盾を装備してモンスターの攻撃を100回受け流す〉でしょう。【アーマーウォーリアー】はタンク系の戦士ですからね」
「確かに、他のはタンク系と考えると少し違うような気がしますね」
俺の答えを聞いた〈救護委員会〉のメンバーが慌ててクイズのメモを取る。
それで正解だ。これ、出題されるクイズはランダムだからな。
答えたら正解にしろ不正解にしろ同じ問題が次にいつ現れるか分からない。
これは青が正解だ。赤の〈マッチョであれ〉は絶対間違っている。
「ではゼフィルスさん、どうしますか? 正解します? 不正解にします?」
シグマ大隊長が悩みながらこちらを向く。
俺たちは調査団。
つまり敢えて不正解を選び調査するのは重要だということだ。
ということで俺も答える。
「不正解にしておきましょう」