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第1297話 一気に飛んで最終日!なんで最下層にいるの?

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第1297話 一気に飛んで最終日!なんで最下層にいるの?

――ダンジョン週間9日目。最終日。

「ねぇゼフィルス? なんで私たちは最下層に居るのかしら?」

「それは……はっはっは!」

「笑って誤魔化そうとしてもそうはいかないわよ?」

なに!? いつもならここでジト目をプレゼントしてくれるシエラだが、今回はジト目じゃない!? そんな!

「こらこらシエラさん、そんな怖い顔をしたらゼフィルスさんが怖がってしまうわ。もっと優しくしてあげましょ? はいゼフィルスさん、お水でもいかが?」

「ありがとうタバサ先生!」

「……タバサ先生、〈攻略先生委員会〉のお仕事は大丈夫なのかしら?」

「ええ。〈攻略先生委員会〉はキリちゃん先生に任せておけば大丈夫。こうして調査の功労者を労うのも、私のお仕事のうちなのよ」

「……それにしてはゼフィルスに近すぎではありませんか?」

「そんなことないわよ~」

「…………」

おおっと今度はジト目だ!

いつもはテンション上がるのに今日は冷や汗が出るのはなぜだろう?

隣のタバサ先生がくっつかんばかりに近いせいだろうか。

現在俺たち調査団は、あの〈謎ダン〉の最下層、70層へと到達していた。休憩中だ。

そしてタバサ先生がルンルン気分で俺のお世話をしている。とてもご機嫌な様子だった。俺も嬉しいです!

そしてシエラは俺とタバサ先生の繋いだ手をジトォと見つめている。

あれ? いつの間にか手を繋いでた? タバサ先生いったいいつの間に!?

なんだかいつもよりシエラのジト目の圧が強い気がする! これはこれで良い……。

「うふふ。もたもたしているなら先輩が取って行っちゃうからね?」

「……ゼフィルス、もう1つの手を出しなさい」

「あい」

シエラが掌を上に向けて手を出してきたのでそこにお手をする俺。もちろん言いなりですとも。

昔、とある偉いオヤジがこう言った。「 言 ( い ) いなりで、 良 ( い ) いなり」と。

だからこれで良いはずだ。(魅了中?)

「ゼフィルス! 両手に花なんて良い御身分じゃない! なにしてるのよ!」

「ラナ様、そういうことをあまり大きい声で言ってはいけません」

そこへラナ乱入! シズも来た!

ラナはプンスコ状態だ。

早くも良くない予感!

よく考えたらあれって名言じゃなくて、ただのオヤジギャグじゃね?(気付いた)

俺は参考にするものを間違えたかもしれない。

そこへ新たな来客。

「あー、取り込み中だったかな?」

「あ、ラムダ! 全然大丈夫だ、ちょっと待っててくれ。――タバサ先生、シエラ、俺はラムダに用があったんだ。だから今日はこの辺で失礼」

「あ、ゼフィルス!」

「ゼフィルスさん?」

「ゼフィルス! 後でしっかり話してもらうんだからね!」

「よしよし、ラムダ。行こう、直ぐ行こう!」

「ええ? あれってそのままでいいのかい?」

「……後のことは未来の俺に任せる!」

「ただの後回しじゃん」

仕方なかったんだって。ちょっと選択肢を間違えてしまったんだ。

……いや、シエラの手を取らないなんて選択肢はそもそも存在しなかった気もする。こうなることは必然だった模様。回避は不可能?

……うん、とりあえずラムダと一緒にこの場を離れよう。

「それで、どうしたんだ?」

「父上がゼフィルスを呼んでいてね。もちろん最奥ボスの調査についてだ」

「それか。あれ? じゃあタバサ先生も連れてきた方が良かったか?」

「いや、それには及ばないらしいよ」

うん? と思いながら移動して〈救護委員会〉と〈ハンター委員会〉の代表が集まっているところへと向かう。

「ゼフィルス殿を連れてきました」

「失礼しまーす」

「おお! よく来たなゼフィルス。まずは駆けつけ一杯だ」

「ジュースですから安心してください」

「ありがとうございます!」

即でアーロン先輩からジョッキを受け取った。酒みたいな言い回しだが〈ダン活〉では酒は20歳まで禁止だ。学園内で購入するときは全てキャッシュレス決済方式なので19歳以下ではまず決済すること自体ができない。

もちろん未成年に酒を渡せばその大人はペナルティだ。

アーロン先輩は19歳なので安心。グイッと飲む。中身はただのオレンジジュースだった。でもこれ美味いな。どこのオレンジジュースだろう?

「さて、ではこれからの方針を決めましょう」

「シグマ大隊長、〈攻略先生委員会〉はいいんですか?」

「ええ。先生方からはこれ以上進むのであれば順番は最後で良いと連絡を受けています」

これ以上先とは、つまりは最奥のボス戦である。

この世界ではまずギルドマスターが挑むもの、という暗黙の了解みたいなものがあるように、最初の攻略者というのは歴史に名が残るくらいの偉業とされている。

故に、こうして複数の合同攻略をしたとき、誰がどのような順番で挑むのかというのは非常に大事だったりする。

最初の攻略者になれれば、その偉業は歴史に残るからだ。

特に上級中位ダンジョンなんて未知も未知。

そこを初めて攻略したなんて間違いなく後世に伝えられる偉業だろう。

しかし、それも早い者勝ちだ。

つまりはこの話し合いは、ボス戦に挑む権利を取り合う駆け引きというわけである。

そして〈攻略先生委員会〉は早々に辞退したらしい。理由は今回の道中、あまり役に立てなかったから、というものらしいが。

「その理屈で言えば、道中最も活躍が著しかったのは〈エデン〉だと俺は思うぜ」

「ふむ。アーロン君もそう思いますか?」

「ああ。というか〈エデン〉抜きだったら絶対ここまで来られなかっただろう。他のどこが加わっていたとしても同じ結果だ。〈エデン〉だからこそたった9日の調査で最奥まで来られたんだと俺は思う」

「同意見です。実は自分も70層まで来ることができるとは思っていませんでした。間違いなく〈エデン〉の功績です」

アーロン先輩の熱弁にコクリと頷くシグマ大隊長。

いやぁ、照れる。

「カイリさんのスキルも見事ではありましたが、やはりそれもゼフィルスさんの指示出しや判断が的確だったからこそだと思います。我々では初めてのコンソールを調査するのに長い日数を要したことでしょう。特に25層の行き止まりでは最終日まで調査を続けていた可能性もありました」

「それ以降なんか鬼の進撃だったからな。35層で〈謎ダン〉の複数の階層門の意味に確信を持ったら後は早かった。特に後半の3日なんてガンガン階層門を発見しちまって。正直俺はこの調査期間に最下層に着けるとも思っていなかったぞ。というか未だに信じらんねぇ。なんで俺たちは最下層に着いちまってんだ?」

「同意見です。うちのメンバーも多くが目を点にしてました。ははは」

もちろん見ておりましたから知っておりますとも!

最初は驚愕していただけのシグマ大隊長たち。

しかし途中から感覚が麻痺したのか、先遣隊に合流して共に人海戦術でガンガン階層門を探しまくり、1日が終わるとふと我に返って「今、何層でしたっけ」「え? 65層ですけど」「……え?」みたいな反応をする人が急増したんだ。

みんな目を点にしていた8日目の夕方。あれは面白かった。

そんな回想を心の中で浮かべていると、シグマ大隊長が代表して俺に向きなおった。

「よって我々は〈エデン〉を功労者第一位とし、最初の最奥ボスの挑戦者にふさわしいと判断しました」

シグマ大隊長が俺を見ながらいつもの真剣な表情で告げてくる。

「ありがとうございますシグマ大隊長。〈エデン〉がその名誉、賜らせてもらいます。バッチリ最奥ボスも調査してきますとも!」

これは調査である! でもうっかり倒しちゃってもいいよね?

宝箱の中身も是非調査しないと!