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第1561話 凶悪〈火山ダン〉最奥ボス戦――決着!

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第1561話 凶悪〈火山ダン〉最奥ボス戦――決着!

「1本削ったぞ! 第二形態だ! 一旦下がるぞ!」

「うん!」

〈マラガ〉の身体が炎に包まれ姿形を変えていく。

それが終わった時、なんとあの長い尻尾は3本に増え、さらには尻尾の先がメイスのようなグシャっといきそうな形に変化していたのだった。

今までぶん殴る方には定評のある素早さをしていた〈マラガ〉。

だが尻尾は振り回すくらいしかできず、カウンターを取られがちだった。

しかしここに来て、尻尾でもカウンターが取られないくらいの手数を増やしてきたのである。

やり手だなぁ!

しかもだ。

「! 尻尾のあの炎、飛んでくるかもしれないぞ! トモヨ!」

「そういうこと! 任せて! 『破滅の予告』!」

「ギュアアアアアアア!!」

俺の言ったことが現実化。(知ってた)

少し距離のあったところから尻尾を振り回し、炎の塊を放ってきたのである。

トモヨは挑発スキルでしっかりタゲを取って自分に引きつけて防御。

ダメージは軽微だ。

俺たちはその間に攻撃するが、攻撃すればするほど、尻尾の炎が大きくなる。

「ギュアアアアアアア!!」

「『トルネードレボリューション』ですわ! ―――もう、攻撃が三連続になるとカウンターが取りにくいったらありませんわね!」

〈マラガ〉の尻尾は別々に動いて居るのでは無く、3本同時に動いている。

束ねているわけでは無く、右へ攻撃するのなら3本とも右へ動き、左に薙ぎ払うのであればやっぱり3本同時に動く。

ノーアのカウンターも1本目に対して発動すると、2本目と3本目の攻撃が直撃してしまうため安易にカウンターを取る事が出来ず、とてもやりにくそうだった。

1本目2本目を回避して、3本目だけカウンターを取るのが理想だが、スキルの準備時間も加味すれば避けてスキルを発動するまでの時間が足りない。

リカもそうだったが、カウンターは物量攻撃や連続攻撃に弱いのだ。

カウンターを取る理想は単発攻撃である。

とはいえ、全ての攻撃が同じ軌道をなぞっているわけではないため、そこを見極められればギリギリ1本だけ掠るような位置でカウンターを待ち構えることも可能だ。

「ノーア、ここだ! この位置でカウンターを取れ! 来るぞ、今だ!」

「! 『カバーカウンターインパクト』!」

そこで俺が見本として立ち位置を見せる。3本のうち1本しか当たらないギリギリの位置だ。もしくは3本目の尻尾に自ら当たりにいける絶妙な位置取り。

後は尻尾攻撃がくるので、ノーアに俺を庇ってもらえれば自然とノーアがカウンターを取れてしまう。

「たあ!」

「ギュアアアアアア!?」

「やりましたわ! 尻尾攻撃の範囲、把握いたしましたわ!」

「一発で覚えられるとか、本当にノーアはカウンターのセンスがいいな!?」

まあ、俺もノーアだから今実地で覚えさせようとしたんだけどな!

ノーアはもうカウンターを取り始め、3本のうち1本に狙いを定めて、ギリギリの位置取りを見極めようと目を光らせ始めた。

これなら大丈夫だろう。

問題は、あの徐々に大きくなる炎だな。そろそろ警戒を促すか。

「みんな! 〈マラガ〉の尻尾の炎が蓄積している! おそらく俺たちが攻撃を加えるほど大きくなっているぞ!」

「! あれで何かする気ということですね! みなさん、警戒しましょう!」

「蓄えた攻撃を一気に放つとかそういうことですか!? 空に居ても危険!?」

「アルテは万が一に備えてヒナに乗り換えてトモヨの近くへ! いつでも庇ってもらえる位置をキープするんだ! 『ライトニングバニッシュ』!」

「わかりました! ヒナ、来て! 『乗り換え』! ワダラン返還! 『フォートレスドライブ』!」

心配なのはアルテとノーア。

アイギスは〈火属性ダメージ120%カット〉があるので、実は心配無用である。

ノーアは尻尾狙いなので、〈マラガ〉の顔面の位置にいるトモヨと正反対に居るのがややネック。

こうなると、トモヨにアレを使ってもらうか。タイミングが重要だな。

そう企んでいると、ついにその時は来る。

「ギュアアアアアアア!」

「! 来たな! トモヨ! 『天使の破魔結界』だ! タイミングは――2、1、今!」

「! 『天使の破魔結界』!」

〈マラガ〉が尻尾3本を上へと伸ばした。その炎は一瞬消えるほど小さくなるが、それが爆発の前兆だと俺は知っている。

これは全体攻撃。その名も――『マラガストルビッグバン』。

凄まじい爆発と炎で部屋全体を攻撃範囲にしてしまう、とんでもない威力の攻撃だ。

タンクでも防御スキルなどを使わなければ吹っ飛ばされてダウンすることもあるし、そこにラッシュの連打を受けて退場し戦線が崩れるというパターンが存在するレベル。

こいつのHPからして撃てるのは1発か、多くて2発が限度だが、受けたダメージを攻撃に転換するタイプは威力がハチャメチャなのでマジ要注意。

防御スキルを使い損ねるだけで全滅の危険があるとか、マジとんでもないぜ。

だが、タイミングは俺が覚えている。ここだ!

トモヨの大結界『天使の破魔結界』が〈マラガ〉を包み込む。

そう、俺たちを包むのではなく〈マラガ〉を包んだのだ。

そして、爆発は〈マラガ〉を中心として巻き起こる。

後は、分かるな?

「ギュアアアア――――――ギャアアアアアアアア!?!?!?!?」

一瞬のタメの後、凄まじい閃光と爆発音を放ちながら尻尾が大爆発した。

しかし、その威力はそのまま結界を出ること無く、中に封じ込められて、まるで反射するようにして〈マラガ〉を襲ったのだ。

これが『天使の破魔結界』の能力。

相手を結界の中に閉じ込めるだけではなく、攻撃を反射して中の敵をボロボロにしてしまうというとんでも凶悪魔法である。

とはいえとんでもなく強い代わりに効果時間は短く、クールタイムとMP消費がデカい、まさに奥の手だ。

あの強烈な威力を誇る溜め爆発すらも押さえ込めるとか、さすがの一言だぜ。

そして、結界が無くなると、2本目のHPバーがかなり減っていて――ダウン中の〈マラガ〉だけが残っていた! もちろん総攻撃だ!

そこからはもう炎を溜められるほどのHPは残っておらず、大爆発を警戒せずに済んで一気に削っていった。

「うぉっしゃー! 2本目! トモヨナイスだったぜ!」

「ゼフィルス君の指示のおかげだよ! 『天使の破魔結界』ってあんなに強かったんだね。自分でもびっくりしたくらいだったよ!」

すぐに2本目のHPバーも消えて第三形態へ。

トモヨも『天使の破魔結界』は使いこなすのが難しく、まさかあそこまで綺麗に決まるとは思っていなかったのか驚いた様子だ。

まあそうだろう。

相手の攻撃を見てから展開するミサトの反射とは違い、トモヨの結界は出だしで反射するのだ。

つまり相手が何の攻撃をするか分からない状態で使う結界なので、上手く行くかは正直不明。

ボスの攻撃パターンなどをしっかり把握してから狙わないと有効に使うことが出来ない類いの結界なのだ。

しかし、難易度は高いがその分見返りも絶大。

上級中位 ( ジョーチュー ) ランク9の第二形態が半分くらい吹き飛んだような大成果だ。

おかげで万全に近い状態で第二形態を抜け、第三形態を相手にすることができる。

ゲームではあの第二形態の大爆発にやられ、なんとか第二形態を突破してもその後の第三形態でやられるというパターンが多かったのだ。

そう、あの凶悪な全体攻撃は、まだ第二形態なのである。

故にどう頑張って第三形態までたどり着けるか、これが〈マラガ〉戦の焦点になる。そして第三形態だが。

「一気に決めるぞ! トモヨ、『大天使フォーム』だ!」

「! オッケー! 『大天使フォーム』!」

『大天使フォーム』の効果時間は長く、なんと3分。

3分で決着まで持っていってやるぜ。

「ギュアアアアアアア!!」

「前脚の他に腕が生えて、6本になった!?」

「尻尾は3本のままですわ!」

「翼も心なしか大きくなってますよ!」

第三形態はさらに手数が増える。

今度は尻尾ではなく、腕が2本生えてきたのだ。6足歩行。

これでさっきみたいにラッシュをしてくると、実に手数が倍になるという超凶悪形態だ。

さらに翼がパワーアップし、広がっている感じ。もちろんこれは翼での攻撃もしてくるという証左だ。

「〈クジャ〉の時のような突風が来るかもな。みんな吹き飛ばされないよう注意しろ! ――トモヨ『失敗予告』!」

「え? うん! ――『失敗予告』!」

「ギュアアアアアア…………アア?」

〈マラガ〉第三形態の初手、ブレス。

〈亜竜〉でもブレスのように口から何かを出すタイプはごく少数だ。

〈マラガ〉の場合は第三形態になって初めてブレスが吐けるようになるのだが、もちろんそんなことはさせないぜ?

ブレスを出した瞬間、それがかき消えてしまい「あれ?」と首を捻る〈マラガ〉。

これは『失敗予告』の効果。相手の発動中の遠距離攻撃を 失敗 ( ファンブル ) させてしまうスキルである。隙ができたな。

「攻撃開始だ! 『テンペストセイバー』!」

もちろんそんな隙を逃す俺たちじゃない。

すぐに攻撃してダメージを稼ぐ。

だが、ダメージを受けて切り替えたのか。また尻尾で俺たちを迎撃してくる〈マラガ〉。

しかも今回は3本一緒ではなく個別に攻撃だ。

俺に1本、アイギスに1本、ノーアに1本で反撃してくる。

普通なら、俺たちは攻撃を仕掛けることができずに歯がみするシーン。

だが、それは悪手だぜ?

「私、来ましたわ! 『カウンターバスター』!」

「ギュアアアアアアア!?」

うむ。さっきまで3本の尻尾を一緒にフリフリするしかできなかったからな。第三形態になって個別に動かせるようになれば立派な進化だろう。

でもね。ノーアにとってはさっきの方がやりにくかったんだ。

カウンターを見事取られ、たたらを踏む〈マラガ〉。さらに。

「『スターオブソード』!」

「『ドラゴンクロー・セイバーランス』!」

「『クリティカルスマッシュ』!」

よし、良いダメージが入ったな!

「ギュアアアアアアア!」

だが〈マラガ〉第三形態はこんなものではない。

翼を広げるとその場でクルリと一回転。

たったそれだけで部屋の中を熱風と暴風が吹き荒れたのだ。

これは全体攻撃。

「きゃあああああ!」

「アルテは回復! 『聖獣の手助けオールヒール』だ!」

「わ、わかりました! 『聖獣の手助けオールヒール』!」

「体勢を崩されないよう警戒!」

全員がHPを回復。さらに継続回復まで付与されるという強力な魔法で対抗。

ダメージこそ少ないが、体勢を崩してくる行動は驚異だ。警戒を促しておく。

「ギュアアアアアアア!!」

さらに構えるのは4つになった前脚。いや前脚と中脚か?

拳 ( 脚 ) に炎を纏ってトモヨにラッシュする〈マラガ〉。

さっきの攻撃の2倍ラッシュ!

「『エル・フォトンシールド』! ってちょ!? なにこれ強っ!? 『エル・フォトンシールド』! 『エル・フォトンシールド』!」

だがトモヨはこれを冷静に光の結界で受け止めた。

が〈五ツリ〉の防御魔法でも2回追加で張り直すってどういうことだし!

だがそれも仕方ない。ラッシュしながらも周囲に炎が散り、〈マラガ〉の身体がボボボと燃えているのだ。

これ、実は〈氷属性〉で攻撃しないと近くに居るだけでスリップダメージを受けるやつである。下手をすれば〈火傷〉状態になってさらにスリップダメージを生むのだ。とんでもない。もはや炎の鎧である。しかし。

「『エアリアル・アクロバット』! 『オーバードラゴンテイル』! 『スパイラルチャージ』!」

アイギスに〈火属性〉は効かんのよ。

そして俺も。

「『ライトニングバースト』! 『サンダーボルト』! 『フルライトニング・スプライト』! 『属性剣・氷』! うおおりゃああ!」

炎の鎧を纏っているならば魔法で攻撃するし、〈氷属性〉を持って斬り込む。

俺の剣〈極光剣・レーラ〉には最初から〈氷属性〉が付与されていたが、『属性剣・氷』を使ったことでさらに氷属性のダメージが増える。弱点攻撃だぜ!

ノーアは割とダメージを受けながらカウンターを取っているため、アルテはトモヨとノーアを重点的に回復していた。

「――いくよヒナ! 『聖乗の癒し』!」

だがここで、〈マラガ〉が奥の手を繰り出す。

「! アルテ、ノーアを攫って『フォートレスドライブ』だ!」

「『聖乗から――ってええ!? 『ユニットスイッチ』! 『フォートレスドライブ』!」

「ギュアアアアアアアオ!」

「『 極翼 ( きょくよく ) 盾』!」

「『エル・フォトンシールド』!」

ラッシュを受けまくるトモヨを回復していたところに指示。アルテが慌てたようにノーアを攫って離脱するとそれは起こる。

噴出する炎が勢いを増していき、ブレスを吐きながらさらに翼を広げて一回転する〈マラガ〉。

暴風と灼熱の炎と周囲の溶岩の情景がまるでラストダンジョンのようだ。

さすがにこれほどの攻撃は全部防ぎ切れない。

だが、俺たちには強力な防御力がある。多少食らうくらいなら全く問題ない。

そろそろ終わるな。これほどの大技だ。発動後の隙は大きい。

――よし、今だ!

「トモヨ! シールで組み付け! 側面だ!」

「うん! 『エルシール』!」

「ギュアアアアア!?」

回転が終わった瞬間、〈マラガ〉が横を向いたところでトモヨの2枚盾がシールのように張り付いた。

炎を噴出し、しかし満足に動けず〈マラガ〉が叫ぶ。

身動きが封じられた瞬間だった。

捉えた!

「『エルシール』! 『エルシール』! 『エルシール』! 『エルシール』!」

「トドメ行くぞ! 『 勇気 ( ブレイブハート ) 』!」

「『十全武器展開』ですわ!」

「「『姫騎士覚醒』!!」」

「ギュアアアアアアア!?」

全力全開だ!

本当はこいつ、第三形態になると溶岩を利用するようになって〈オビサルス〉の様な溶岩津波などもしてくるようになるのだが、その前に動きを止めて仕留めるに限る。

第三形態は短期決戦だ!

「『エルシール』! 『エルシール』! 『エルシール』! 『エルシール』! 『エルシール』! 『エルシール』! 『エルシール』! 『エルシール』! 『エルシール』! 『エルシール』!」

「『属性剣・氷』! 『雷属聖剣化』! 『聖剣』! 『フィニッシュ・セイバー』! 『ディス・キャンセル・ブレイカー』! 『スターオブソード』!」

「『ウェポンマスターストリーム』ですわ!!」

「『ロングスラスト』! 『オーバードラゴンテイル』! 『閃光一閃突き』! 『ロングスラスト』! 『ドラゴンブレス』! 『激・火炎放射』! 『ロングスラスト』! 『エアリアル・アクロバット』! 『ドラゴンクロー・セイバーランス』! 『ロングスラスト』! 『エア・ストーム・ランス・シュート』!」

「『ロングスラスト』! 『スターストライクノヴァ』! 『トリプルシュート』! 『ロングスラスト』! 『プレシャススラスト』! 『騎槍突撃』! 『ロングスラスト』! 『スラストゲイル』! 『閃光一閃突き』! 『ロングスラスト』! 『クリティカルスマッシュ』! 最後はこれ! 『聖獣展開』!」

俺、ノーア、アイギス、アルテの総攻撃。

尻尾をばたつかせているところへお見舞いしまくれば、3本ともちょん切ってしまった。

尻尾使いの尻尾破壊はセオリー! レア落とせやー!

アルテも頑張った。

ヒーラーなのにアルテ版『姫騎士覚醒』からの総攻撃だ!

さらに最後には奥の手の『聖獣展開』まで発動。

自分のテイムしているモンスターを聖獣化して放出したのだ。

〈聖獣ペガサス〉のペギニーに、〈ワイバーン〉のワダラン、〈ベヒモス〉のクーニャ、〈聖獣グリフォン〉のフォング、最後に〈地竜〉のリュラトーにヒナという6体が、〈聖属性〉のエフェクトを発しながら飛び掛かりかなりのダメージを与えまくる。

見た目は怪獣に飲み込まれた怪獣だ。怪獣津波!?

揉みくちゃにされる〈マラガ〉。

身体から炎の鎧を噴出させて抵抗してくるが、俺が片っ端から〈氷属性〉の剣で抑えまくる。

「ギュアアアアアアア!?」

「まだあと1分あるよ!」

「おっとトモヨに『ブレイバーオールヒール』! さらに『 勇者の剣 ( ブレイブスラッシュ ) 』ーーー!!」

それでも炎の攻撃にダメージを受けていくトモヨを時々回復しながら〈マラガ〉を殴っていると、予想通り『大天使フォーム』が解除されるよりも早く、ついに〈マラガ〉のHPがゼロになる。

「グ、グギャアア…………」

そして、「せっかく真の姿になったのに、もう、終わり、なの?」とでも言うような少し悲しそうな顔をして、〈マラガ〉はエフェクトの海に沈んで消えていったのだった。