第1598話 冬休みの恒例慰労会!〈秘境ダン〉へ出発!!
第1598話 冬休みの恒例慰労会!〈秘境ダン〉へ出発!!
〈空島ダン〉をいつもよりも「いつの間にか」成分多めで攻略してしまった翌日。
「みんな集まったな! ではこれより、〈エデン〉〈アークアルカディア〉主催の恒例慰労会! 〈秘境ダン〉の温泉に行きたいと思います! 準備してくれ!」
「「「おおー!」」」
良い返事の〈エデン〉〈アークアルカディア〉全メンバー。
今日だけは戦闘職も生産職も支援職も採集職も関係無い。
みんな一緒にダンジョンだ!
「いやぁ、うちダンジョンとか超久々やわ~。最近作製依頼が多かったかんなぁ」
「アルル君も大変だよね~。ニーコ君も少しは手加減してあげれば?」
「なにを言っているんだねカイリ君? そんなことになったらもうぼくはストを起こすよ? いや、逆にいいのかも? アルル君をダシにして周回を減らす。よし、これは検討の余地ありだよ!」
「なんや、ニーコはんも疲れとるなぁ。まあ、今日の温泉で疲れを取ろな!」
「そういえばサトル、〈生徒会〉の方はいいのですか? 残らなくても?」
「俺だけ残れと!? いや、大丈夫、心配ご無用だ! それよりマリアさんこそ〈ダンジョン商委員会〉は大丈夫なのか? 結構大事な時期だって聞くけど?」
「私の所は後輩が育ってきていますからねぇ。――メリーナ先輩は?」
「私はもう大体の引き継ぎを終えたわ。後は卒業を待つばかりね。今日は卒業前の最後の思い出作りになるかも?」
「う~、そう聞くととても寂しいです。メリーナ先輩、いかないでください!」
「そう言われると先輩冥利に尽きるわね。――サトルくん。〈エデン〉と〈アークアルカディア〉のこと、任せたわよ?」
「任せてくださいメリーナ先ぱ――っていやいや俺は〈生徒会〉も兼任してるんだからこれ以上の仕事は無理だって!?」
耳を澄ませば、〈アークアルカディア〉メンバーでダンジョンに普段行かないようなメンバーも楽しみにしている様子が聞こえてくる。
メリーナ先輩、卒業かぁ。今〈エデン〉と〈アークアルカディア〉を通して3年生はメリーナ先輩だけだ。タバサ先生のことを思い出してしまって少し寂しい……。
今回の慰労会ではたくさん思い出を作らないと!
……あと、メリーナ先輩がしてくれていたお仕事の後任の受け入れもしないといけないかも?
このままだとサトルのデスマーチが危ない!
そんなことを思っていると、俺の近くに寄ってくる人物たちが居た。
「ねぇゼフィルス君、今良いかな?」
この聞き覚えのありすぎるほんわかして優しく、そして癒されるようなボイスは、間違いない。ハンナだ!
「もちろんだハンナ。俺はハンナのためなら、いくらでも時間を取るぞ!」
「も、もーゼフィルス君ったら、そんなに時間取らないよ~」
「相変わらず、ハンナさんとゼフィルスさんは仲がよろしいですわね」
「た、対等って感じです! さすがはハンナ様です!」
「お?」
そこで気が付いた。寄ってきたのはハンナだけではない。〈アークアルカディア〉の錬金担当、アルストリアさんやシレイアさんも一緒だった模様だ。さらにもう1人。
「ちょっと遅れちゃったけど、ミーア先輩を連れて来たよ。挨拶したいって」
「今日はゲストでのお招き、ありがとうございますゼフィルスさん」
そう、その方は〈生徒会〉の生産副隊長にしてハンナの先輩、それと〈エデン〉がいつもお世話になっている上級料理アイテムを卸してくださるギルド〈味とバフの深みを求めて〉のギルドマスターでもある、ミーア先輩こと――ミリアス先輩だ。
ミリアス先輩の言うとおり、今日はミリアス先輩をゲストでお招きしていた。
以前の第二回〈海ダン〉ではマリー先輩たちをゲストにお迎えした、そして今回はミリアス先輩というわけだ。ちなみにもう1人ゲストがいるが、そちらはまたあとで。
いつもの溌剌としたパワフルさはどこへやら、今日のミリアス先輩は清楚モード(?)だった。
「こっちこそよろしくなミリアス先輩。受けてもらえて嬉しいよ。ハンナたちも嬉しがってる。前々からハンナたちはミリアス先輩を誘いたいって言ってたからな」
「まあ、そうでしたの?」
「ミーア先輩、口調が乱れまくっていますわ」
「あの、普通でいいと思いますよ?」
「だってアーちゃん、シレイアちゃん、あのゼフィルス君よ? 今や世界でもトップを爆進し続けている、あの〈エデン〉のリーダーよ? なんか緊張しちゃうじゃない!」
「あ、いつものミーア先輩です」
「ミリアス先輩。いつも通りでいいよ? ぶっちゃけ俺も『この人誰だろう?』って思ったし」
「そんなこと思われたの!?」
「まあ、短い付き合いじゃないしな」
ミリアス先輩との付き合いはもうかなり前からだ。ハンナなんか学園に来て1ヶ月もしないうちに仲良くなったって言っていたし、今更緊張されても困る。
「今日は楽しもうじゃないか! そしていつも上級料理アイテムをありがとうミリアス先輩! いつも助かってるよ! 上級ダンジョン攻略の助けになっていることは間違いないぞ!」
「! そ、そう言ってもらえるのは嬉しいかな! よーし、今日から楽しんじゃうよー!」
「その意気ですわ」
「今日のおっきな温泉、楽しみです」
「うん! 目一杯楽しもうね!」
ミリアス先輩もいつもの調子に戻ったようでなにより。
前々から交流のあった方でも、今の俺と会うとこうなることはたまにあるんだ。
俺も有名になったなぁ。しみじみ。
そういえば〈生徒会〉の役員メンバーが全員この場にいるけど、大丈夫なのかな?
なお、そのことをハンナに聞くと「大丈夫! サトル君がほとんど終わらせてたし、後は後輩ちゃんに任せておけばオーケーだよ!」とのこと。
ハンナに後輩がいるのか~。しみじみ。
とりあえず〈生徒会〉が心配いらなさそうでなによりだ。
続いてもう1人のゲスト紹介。
「ゼフィルスさん」
「タバサ先生! 今日は一緒できて嬉しいです!」
「うふふ。誘ってくれてありがとう。もし誘われなかったら拗ねちゃってたわ」
そう、タバサ先生である! ギルドの慰労会だからな。タバサ先生だってギルドの一員だ!
でもタバサ先生が拗ねちゃう? なにそれちょっと見てみたかった。
もちろん誘わないなんてことはないので安心してほしいぞ!
「声かけたのが1週間前だったから大丈夫かと思ったけど、いやぁ来られてよかったよ」
「大丈夫よ。むしろゼフィルスさんからお誘いがあったらそっちを優先させてもらうもの。今のゼフィルスさんは、それほど重要人物になっているのよ?」
そう、少し流し目をしながら横を向いてスッと近づくタバサ先生。相変わらず、距離の詰め方がとてもグッときます!
タバサ先生も今は〈攻略先生委員会〉の初代隊長にして公式ギルドを引っ張って行く身。それも先日〈エデン〉でも攻略していなかった〈魔界ダン〉を攻略することに成功したのだ。もの凄く注目を浴びているとニュースにも載っていたくらいである。
今は確か〈火山ダン〉を攻略中で、 報告書 ( 攻略本 ) を頼りに深層にまでその足を進めているとか。そしてその攻略者でもある俺がお誘いを出した。俺からのお誘いならば飛びつく人が相当数いるだろうとのこと。
当然〈攻略先生委員会〉もざわついて、これは一時的にギルドから離れてでもお誘いに乗るしかない、とタバサ先生を送り出したということみたいだ。
「もちろん、個人的にも、ゼフィルスさんと一緒にいたかったし、ね」
ね、と言われて思わず頬が緩むのを感じた。
だが、ピトッと肩と肩が触れあった瞬間、ここでシエラとラナから待ったが掛かる。
「そこまでよタバサ先生」
「ちょっとタバサ先生! ゼフィルスに近すぎよ! 挨拶にそこまで近づく必要は無いでしょ!?」
「あら。シエラさん、ラナ殿下、久しぶりね」
おお、残念。タバサ先生が離れてしまった。
いや、危うく籠絡されて重要情報を喋ってしまうところだった。危なかったんだぜ。
まあ、なんだかんだ言いつつ久しぶりにタバサ先生に会えてシエラもラナも楽しそうだ。
「しかし、こうして見ると本当に多くなったなぁ」
「60人以上だもの。去年の約1.5倍、かしらね」
約1.5倍か~。〈エデン〉〈アークアルカディア〉も大きくなったぁ。
ちなみに今回、ゲスト枠はミリアス先輩とタバサ先生だけだ。
それでも60人を超えてくるのだから大所帯になったものだぜ。
「ゼフィルス、時間になったわ。そろそろ出発しましょう」
「だな。――定刻! 時間になったので出発するぞ!」
「「「「おおー!」」」」
「向こうは寒いから、〈ホカホカドリンク〉か『耐寒』装備を忘れるなよー」
約60人で移動開始。
集合場所が〈エクストラダンジョン門〉、通称〈エクダン〉だったので、後は入ダンするだけだ。
手続きはセレスタンがすでに済ませているので、いざ入ダン。
「う~ん、相変わらずの一面雪景色!」
「ちょっと滑りたくなっちゃうわね!」
「ルル、今日こそは大きな雪だるまさんを作るのです!」
「ルルお姉ちゃん、それはアリスもやってみたいの!」
「わ、私も手伝いますよ!」
「力仕事なら任せてくれよ!」
「にゅ! これはとっても強い雪だるまさんができそうなのです!」
雪を見れば、何かしたくなってしまうのが 性 ( さが ) というもの!
ラナのスキーしたいも分かるし、ロリたちの雪だるまも分かる。
だが、今のルルたちだとマジでとんでもないものができるのでは?
ちょっと見てみたいんだぜ。
「ゼフィルス殿。〈イブキ〉を使いますか?」
「よし、出してくれエステル!」
エステルの提案を即採用。
あまりこの場にジッとしていると、遊びが始まってしまう!
まずは目的地である温泉街へ即向かおう。
〈イブキ〉も4台に増えて、一度に乗れるのは16人×4台で64人。
全員を1度で運べる乗車人数を得られた訳だ。
4台目を作製してもらって良かった。タネテちゃんには感謝だよ。
みんなはしゃぎながら〈イブキ〉に乗り込んだ。
「ではみなさんいきますよ。〈イブキ〉、発進します!」
「「「わぁ!」」」
雪の上を走る船4台。
いやぁ、これ凄く良いよな!
テンション上がるー!
「ゼフィルス、ちょっと落ち着きなさい」
「そ、そうよゼフィルス。ちょっと今のゼフィルスは危険だから、私が側に居てあげるわ――ってタバサ先生!? いつの間にゼフィルスの隣に!?」
「うふふ。躊躇していると、取っちゃうわよ?」
なお、昨日のやらかしのせいか、シエラとラナが俺の側から離れない。
シエラ? 盾は出さなくても良いと思うんだよ?
なお、ラナはちょっとクルクル回りたそうに見えるのは、俺の目の錯覚かな?
しかもそこにタバサ先生がスッと入ってきて、ちょっと混沌としている予感?
「そろそろ到着します」
「早っ! まあ、〈イブキ〉だしな」
温泉街は雪道を歩いて1時間くらいのところにあるので〈イブキ〉なら数分だ。
「あそこが、温泉街!」
「ダンジョンなのに、とても観光地ですの!!」
「噂には聞いていたけど、本当に観光地がダンジョンの中にあるよ!?」
〈イブキ〉を近くに寄せて下車すると、まずカグヤとサーシャ、そしてクイナダの景気の良い驚きの声が聞こえてきた。
ふっふっふ、まだまだ、驚くのはこれからだぜ!