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第1606話 〈秘境ダン〉1日目終了!ゼフィルスと逃避行?

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第1606話 〈秘境ダン〉1日目終了!ゼフィルスと逃避行?

〈六角の秘湯〉で景色と温泉を堪能したら、次に向かったのは30層。

つまりは守護型ボスだ。

道中の通常モンスターは全て〈イブキ〉で轢き倒してしまったので戦闘という戦闘は皆無。

まあ、水着のままというメンバーも多いからな。戦闘はなるべく省略で。

しかし、ここだけは別だ。

「ボス戦やりたい班は挙手!」

「「「「はい!」」」」

「あの、ここって誰も踏破したことのないダンジョンだったんじゃ??」

「クイナダ先輩、もう諦めよう。これが〈エデン〉の現実だよ」

「見たことも聞いたことも無いボスでも恐れず突き進むのが〈エデン〉ですの」

「カグヤちゃんとサーシャちゃんが刷り込まれちゃってるんだよ!? 起きてー!? 目を覚ましてー!?」

〈秘境ダン〉30層守護型ボスは――〈豪腕雪男イエティ〉だ。

「イッッエーーイ!!」

「あ、私これ、見たことありますの!」

「私も見たことあるんだよ!!」

「えっと、こいつなら安心かな?」

イッエーイ!! 〈イエティ〉系統だ!

ちなみにこいつはちゃんと全身白い毛皮に覆われているぞ。まさに雪男。

まあ、軽く捻って終了だ。ドロップは――〈銀箱〉!?

ドキドキしながら開けてみたが、〈ガンゴレ〉ではなかったのでホッと一安心だ。

これを今日の最後にして1日目のダンジョンは終了した。

夜。

高級宿では盛大な宴会が行なわれようとしていた。

「よーし、みんなジュースは行き渡ったな!? それではこれより打ち上げを行ないたいと思う! みんな冬休みに入るまで、そして入った後もよく頑張ってくれた! おかげで上級上位ダンジョン、〈幻迷ダン〉と〈空島ダン〉を、無事攻略することができた! これも俺たち攻略班を支えてくれる生産職や採集職のみんな、そして支援職の力が合わさった結果だと、強く感じている!」

ここは高級宿の宴会用の大部屋。

そこは今、〈エデン〉の貸し切り状態だ。

壇上っぽいところに立った俺が、一度全員を見渡す。

みんな上級上位ダンジョンの攻略。ついに冬休みでここまで来れた達成感に笑顔だ。

それを支えてくれていた生産職のみんなも胸を張っている。

ゲストのミリアス先輩もどんどん胸を張ってくれ。

そんなことを思いつつもここに居る63人のメンバーに感謝を伝え、労いの言葉を告げ、ジョッキ級のコップを前に出す。

「ではみんな、コップを持ってくれ、行くぞ? ―――冬休みに入る終業式までに予定通りの上級中位ダンジョン突破! テストもしっかり全員が乗り切り、上級上位ダンジョンに進出! さらには冬休み期間中に見事〈幻迷ダン〉と〈空島ダン〉を攻略した! みんなありがとう! お疲れ様! これを祝って、乾杯だーーー!」

「「「「「かんぱーーーーい!」」」」」

少々長くなってしまったが、祝いたいことがいっぱいあったんだから仕方がない!

始まりは学園祭が終わった後のダンジョン週間。

〈上級の狼ダン〉の最奥ボス、〈バトルウルフ〉の周回に夢中になりすぎて、うっかり冬休みの上級上位ダンジョンの解放と同時に進出するという計画が、過密スケジュールになってしまった。

しかし、ギルドメンバーたちは応えてくれた。

〈火山ダン〉を無事に攻略して上級上位ダンジョンの条件を達成し、さらにはその後のテストでもしっかりと成績を残して赤点者がいなかった。

本来ならばここで打ち上げを行なっても良かったタイミングだったが、テスト発表の日の放課後には上級上位ダンジョンが初めて解放され、〈エデン〉はダンジョン攻略に乗り出した。

そこからは知っての通りだ。

年明けこそお祝いしたが、あれはあくまで年明けの年載せを祝うもの。

まだ上級上位ダンジョンの件については打ち上げはやっていなかった。

今回の慰労も含めた〈秘境ダン〉では、学園祭から今までを全てひっくるめてのお祝いだ!

温泉に入り疲れを癒し、高級宿に泊まっておいしい物を食べ、存分に羽を伸ばしてもらいたい!

今回宴会用に用意された料理は海産物の鍋、刺身、天プラ、フライなど様々。

〈海ダン〉で釣りしてきたのかな? 素晴らしいラインナップだ。

俺たちは存分に美味しい料理に舌鼓を打ったのだった。

宴もたけなわ。

カルアがこの雪積もる〈秘境ダン〉にもかかわらず食べ過ぎてお腹ぽっこりし、服のサイズが合わなくなって、お腹が冷えてしまい慌ててお風呂に連れて行かれるという、摩訶不思議体験が発生したりもしたが概ね大好評。

ハプニングはあったものの笑い話で済むような、むしろ笑うような宴会で終えることが出来た。

楽しかった~。

宴会が終われば部屋に戻ってみんな思い思いに過ごす。再び高級宿自慢の温泉に浸かるもよし、みんなで何かゲーム的なことをするもよしだ。

わいわいと騒がしくも楽しい夜、少し夜風に当たろうと俺が珍しく1人でいると、そこに話掛けてくる者が居た。

「あれ? ゼフィルス君?」

「ハンナ?」

ハンナである。後ろにはアルストリアさんやシレイアさん、ミリアス先輩も一緒だ。まさにばったり。

ホカホカしている4人を見るに、どうやら湯上がりの模様だ。部屋に戻るところかな?

とここでアルストリアさんとミリアス先輩がなにかにピーンと気付いちゃった的な顔をする。

「あ、ミーア先輩、実は少しお話したいことがあったんですわ」

「あらアーちゃん奇遇だね。実は私もアーちゃんとシレイアちゃんに話すことがあったんだよ」

「え? なんですか?」

「では向こうにいきませんこと?」

「オッケー! ――じゃあハンナちゃん、また後でね~」

「成功をお祈りしていますわ」

「え? え?」

そう、なんとなくわざとらしさが漂う打ち合わせをすると、アルストリアさんとミリアス先輩がガシッと両側からシレイアさんを掴まえ、引きずるようにして奥に消えていった。

「えっと?」

俺とハンナは顔を見合わせる。残ったのは2人だった。

なんとなくハンナの顔が赤くなっていくのは風呂上がりだからだろうか?

「ゼ、ゼフィルス君、もし良かったら向こうとかいかない?」

「おう。いいぞ」

「うん。良かった。――ここじゃ誰が通るか分からないし」

「うん? なんか言ったかハンナ?」

「ううん、なんでもないんだよ!」

ハンナに先導されて進む。俺も涼みに来ただけだし、ハンナとおしゃべりするのはちょうど良い。

そんなことを思いながら付いていったのだが、そこから先は中々波乱万丈だった。

前方の曲がり角の向こうから女性陣、特にラナの声が聞こえたかと思うとハンナが「あ、ゼフィルス君、やっぱりこっちがいいな~」と進路を変更して人気のない方向へと向かい、また横の通路からリーナやカタリナの声が近づいてきたかと思ったら「えっと、こっちもダメみたい。こっちに行ってみよう?」とさらに人気のない方向へと進むハンナ。なになに、そういうゲーム?

俺も得意の聞き耳を立てて人の声が聞こえたりすると。

「ここはもうダメだ。残された通路は――」とか言ってちょっと乗ってみたりする。

するとハンナも「は、はわわわ!? 後ろからも来ちゃった。どうしよう!?」とはわわする。うん。ハンナが可愛い。

「こっちだ!」

「わわ!?」

なんか楽しくなってきてハンナの腕を掴み、ちょっとした通路の凹みに隠れたりしてみた。

「し、静かに、ジッとしてろ」

「んん!? なんか思っていた感じと違う!? でも、ちょっといいかも……」

逃避行ゲーム開始。誰にも見つからずに――あれ? どこに向かえば良いんだ?

まあいい。先の見えない逃避行もまたゲームっぽいからな!

「何してるのよ」

「「あ」」

しかし、なんか盛り上がりそうなところで―― 終了 ( ゲームオーバー ) 。

俺たちの後ろにいつの間にかシエラとタバサ先生が居た。いったいいつの間に!?

「ハンナ?」

「え、えへへ?」

「あらあら。これは、思わぬ伏兵ねシエラさん?」

「…………」

視線をチラッと俺と繋がれた手に向けて、ハンナに問いかけるシエラ。

ハンナは秘技えへへ笑いで誤魔化そうとする。だが、

「……笑っても誤魔化されないわよ?」

「で、ですよね。えっとね、これは違うんです」

「なにが違うのかしら? 私も気になるわ」

いかん! なんだかシエラとタバサ先生に捕まってしまう予感!

俺も弁明してみる。

「安心してくれシエラ、タバサ先生。俺とハンナはちょっと逃避行ゲームをしていただけだから」

「逃避行ゲーム?」

「そうそう。誰にも見つからずにーってやつ」

「へぇ。――そうなのハンナ? 相手はゼフィルスなのね?」

「……え、えへへ?」

「可愛いわねハンナは」

ほんとまったくだ。ハンナの笑顔に負けたのか、シエラの圧が弱まった予感!

タバサ先生は先程からニコニコ状態だ。

「まあ、ゼフィルスはこの通りだから何も無かったみたいだしね。部屋に戻りましょう」

「ええ。みんなでいきましょうね」

「え? でも」

「でもはダメよ?」

「は、はーい」

なんだかシエラから一瞬ジト目を向けられたぞ!? なんだかぶるっと震えた。

まあ、唐突に発生した逃避行ゲームだったが、思いのほか楽しめたな。

また今度ハンナと一緒にやりたい。

「ハンナ、逃避行なんて許さないからね?」

「も、もちろんですよ? 私だって正々堂々、もらうんですからね?」

「あらあら。私も負けないよう頑張らないと。ただでさえ不利なんだから」

んん? なんかシエラとハンナとタバサ先生がバチバチしてる?

なんだか「またやろうな、ハンナ」とか言ったらシエラからドカンとやられそうな雰囲気! いやいや、シエラならそんなこと……なぜかしないと断言できない。

このあと、俺はなぜかシエラとハンナとタバサ先生から付き添われて男子部屋へと戻された。

普通逆じゃね? 俺が女子部屋に送るものじゃね?

「ゼフィルスは1人で歩いたら何をするか分からないもの」

「いいゼフィルス君? 1人で出歩いちゃダメだよ?」

「おやすみなさいゼフィルスさん。また明日ね」

「お、おやすみ~」

こうして〈秘境ダン〉1日目は終わった。