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第1650話 遠距離攻撃の恐怖と天魔シスターズ万魔宮殿!

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第1650話 遠距離攻撃の恐怖と天魔シスターズ万魔宮殿!

「……なんというか、凄い光景ね!」

「だいぶ数が減ってきましたわ。3度目の退場をした方も出てきましたわね」

「相手も全員が上級職。ですが、さすがにあの光景はひとたまりもありませんね」

「サターンたちにしては頑張ってるとは思うわ!」

こちら〈前線〉付近。(図AE―24)

遠距離砲台担当のラナとリーナ、護衛のエステルは、〈竜の箱庭〉と目視で見る赤本拠地を見比べながらそう言った。

もう怪獣大決戦というか、怪獣に襲われる城というか、そんな光景が広がっている。

というかハンナたちが召喚したゴーレムや、シヅキの悪魔、フラーミナやアルテのモンスターのおかげで赤本拠地が見えない。

ラナが放った34本の宝剣の結果も〈竜の箱庭〉を見ないとよく分からないほどだった。

「む、ここ、何か企んでいますわね」

「サターンたち、こんなところに居たの? もしかして、少数精鋭、いえ、 少数 ( ・・ ) で私たちの本拠地へ強襲する気かしら? 笑止だわ!」

ここで〈竜の箱庭〉の一部に不穏な影が映し出される。

それは7人の少数部隊。サターンたちなのでラナが少数精鋭から少数に言い直しちゃった部隊がいたのだ。

それは赤本拠地から真っ直ぐ南西へ向かい、〈エデン〉の包囲を抜ける形で白本拠地に回り込もうとしていると見られる。

「わたくしの『ストラテジー・アトラス』ですらよく見えないとなると、かなり大量の隠密系スキルが使われていますわね」

リーナの〈六ツリ〉『ストラテジー・アトラス』は〈系統進化スキル〉。

『人間観察LV5』『観測の目LV5』『俯瞰の目LV5』『モンスターウォッチングLV1』『ターゲット捕捉LV5』をパワーアップ。

『人間看破』『索敵竜眼』『神の目』『敵性発見』『マルチロックオン』へと進化させている。

「『マルチロックオン』! これでもう隠れられませんわ! モニカさんはいないみたいなので突いてみましょう――『 竜絶兵砲 ( りゅうぜつへいほう ) ・ V ( ヴィクトリー ) ドラゴンバスター』!」

まず先制攻撃。

この状況で少数で白本拠地へ向かう部隊なんて、いったいこの部隊がどんな特性を持っているのか調べなければならない。

ということでターゲットを『マルチロックオン』。これでサターンたちはたとえここからこれ以上の隠密系を使ったとしても、リーナの捕捉からは逃げられない。

逃れるには妨害系やマイナス状態を回復させるスキルなどが必要だ。

もちろん2つともサターンたちは持っていなさそうである。

そしてリーナ最強技、竜すら撃ち落とす最強の砲が発射されたのだ。

「あ! リーナだけズルいわよ!」

それを見てラナもプリプリ。

そして〈竜の箱庭〉を頼りにサターンたちが居るであろう方角へ片手を翳しながら目を瞑り、

「見つけたわ――『 神 ( かみ ) の 天誅 ( てんちゅう ) 』!」

ラナも大技を発動した。

◇

こちらはサターンたちの少数 精鋭 ( ・・ ) 部隊。

「 皆 ( みな ) 、役目は分かっているな! 我らはこの少数精鋭で白本拠地へと襲撃を敢行する!」

「ふふ。ゼフィルスと決着をつけたかったですが、致し方ありません。今はチームの勝利が第一です。ここで白本拠地に良い感じのダメージを与えれば、今赤本拠地を襲っている〈エデン〉も退くはずです!」

ダッシュしながらサターンが発破を掛け、ジーロンも深く頷きながら諭す。

決着も何も、最初の退場の時に4人纏めて 葬 ( ほうむ ) られ、さらにもう1回やられて残機が1になっている今のサターンたち。対してゼフィルスの残機はまだ3だ。

すでに決着は付いていると思うが、サターンたちのプライドはバベルの塔並に高い。そんなことは認められない。

でも、ヘルク以外は残機はあと1つだし、ゼフィルスに拘るよりもチームに貢献しないとね。

別にゼフィルスに挑んでやられるのが怖いってわけじゃないんだよ?

そんな感じの言い訳を無意識に胸に抱きながらサターンたちは少数精鋭部隊を作ったのだ。

「ヘルクよ! この俺の大爆砕を頼りにしていろ! 対城スキルを持つ俺を守るんだ!」

「ふ、俺様を頼るとはお目が高いなトマよ! 任せろ! 忘れられない背中を見せてやる!」

ここでトマの秘密が明らかに。

トマの【撃滅斧破り】には対城スキル。つまり〈城〉特効スキルがあるのだ。

これがサターンたちが頼りにして白本拠地を攻略せんと飛び出した理由である。

ちなみにジーロンにも対城スキルがある、なにせ【破壊道を進む剣壊】だ。壊すのは得意である。

「…………」

隠密を操る寡黙な男。【密偵】の上級職、高の下、【アビス】に付く男子は、無言でスキルを維持し、周りにドーム状の深淵を出して捕捉されないようにしながら追いかける。深淵は覗くべからずなのだ。

まあ、もう遅いのだが。

「! なんだ!?」

最初に気が付いたのはタンクの【すり替え名人】。【偽者】の上級職、中の上だった。

遠くから遠距離攻撃。竜滅の砲撃が迫ってきていたのである。

だが、それだけではない。

なんと上空にも光が現れる。

この上空の魔法はラナの『神の天誅』。『 祈望 ( きぼう ) の 天柱 ( てんちゅう ) 』の上位ツリーだ。

「ヘルクガード!」

「いや無理だろこれ!?」

『神の天誅』はほぼ全体攻撃みたいなもので、マスを覆い尽くすレベルの巨大な光の輪だった。遠距離攻撃で1マス全域を攻撃しちゃうとかなんというラナ様、逃げることも敵わない。

特大の攻撃が2発、ほぼ同時着弾で迫っている。サターンがヘルクに防御スキルを頼むが、ヘルクは全員を守り切る自信がなかった。

きっと「お前のことは忘れん!」とか言って忘れられそうな気がする。

だが、全員を活かすにはここでヘルクが犠牲になるしかない、と思っていたが、ここでもう1人のタンクが動いた。

「みんな、逃げろーーー!! 『フルアバターチェンジ』!」

それは物と人をすり替える、入れ替えるスキル。

実は【すり替え名人】男子はダッシュで移動している最中、道中にアバターとなりうる〈依り代〉カテゴリーの小さなぬいぐるみをばらまきながら走っていたのだ。

そしてサターンたちは瞬間移動でどこかに消え、その場に〈依り代〉のぬいぐるみが6個現れる。サターンたちはいつの間にか、2マス後方へ居たのだ。

「次、俺、俺もチェンジ――『センターチェ――あ」

スキル後の硬直が解けた瞬間、【すり替え名人】男子も慌てて自分をチェンジしようとするが、間に合わなかった模様。

ドーン、ドカーンという音と共に光の奔流が溢れ、その後には【すり替え名人】男子は居なかったのだった。

「くっ!! お前のことは忘れんぞ!!」

「はうっ!?」

サターンが涙を拭う仕草でまた走り出したが、ヘルクはドキンとした。

「おい、【アビス】の! こりゃ位置バレバレじゃないのか!?」

「そうかもしれん」

「そうかもって、大問題やん!?」

一緒に走っていた上級職、中の上である【罪なボス】男子が【アビス】男子の言葉に度肝を抜かれる。

この調子でもう2回同じ攻撃がくれば全滅もあり得る!

ちなみに【罪なボス】は【四天王】や【キングドミネイター】の下部 職業 ( ジョブ ) だ。どちらかというと中ボス的な 職業 ( ジョブ ) である。

こりゃついてくるんじゃなかったと後悔しても、もう遅い。

それに本拠地に残ってもきっと生き残れなかったし、【罪なボス】男子は天を仰いだ。

そして見つけてしまう。なんか悪魔っ娘を抱っこしながら飛ぶ天使の姿を。

瞬間、【罪なボス】男子は目を見開いて叫んだ。

「やっべぇの見つけちゃった!!!!」

「どうした!」

「上に〈天魔シスターズ〉が居る!!」

「なんだと!?」

サターンたちも思わず上を見上げるのと、悪魔っ娘、つまりエリサが降ってきたのは同時だった。

「いってらっしゃいです姉さま」

「フィナちゃん、せめて一緒に戦おうよ~~~~~~~~!?」

「ぐっ!? 撃ち落とす! 『プロミネンスバースト』!」

おっとここで初めての展開。

なんと降ってくる爆撃、もといエリサを迎撃せんとサターンが魔法をぶっ放したのだ。

「やばば! 『ホワイトアウト』!」

「なん!?」

そしてここで視界真っ白の猛吹雪が吹き荒れる。エリサの六段階目ツリーだ。

吹雪に隠れたエリサは飛行能力を得る装備、〈妖魔の 飛魔翼 ( ひまよく ) 〉を使って回避する。これはランク2のレアイベントボス〈戦艦〉からゲットした装備品だ。

もう爆撃されても自分で飛行可能なのだ!

「ええい 猪口才 ( ちょこざい ) な! 『竜巻斧旋風』!」

「『沈め・アビスのそこへ』!」

「閉じ込めなさい――『 万魔宮殿 ( パンデモニウム ) 』!」

『ホワイトアウト』にトマと【アビス】男子が対抗するが、それが晴れた時。サターンたちはとんでもないものの中に居た。

「な、なんだこれはーーー!?!?」

「ふふ、『 万魔宮殿 ( パンデモニウム ) 』へようこそ!」

「先程の悪魔っ娘か!」

「〈天魔シスターズ〉の姉! どこにいる!」

そこは宮殿内。

黄金――ではなく藍と黒の眠気と闇の色が全ての宮殿。

エリサの姿はすでに無く、どこからともなく声だけが聞こえてくるのである。

これこそエリサの強力な六段階目ツリー。宮殿内に相手を閉じ込める、結界系の魔法である。この中にいるものはすでに【睡魔女王】の腹の中。

『睡眠耐性』はガリガリ削られ、この中にいる限り『睡眠無効』すら『封印』されてしまうという鬼魔法だ。

さらにエリサはパッシブスキル『魔王レベルLV1』の効果で自分の現在のレベルに(+1)レベルが表記されている。

これは〈即死〉のためだ。

〈即死〉は同レベル以上には効果を発揮しない。〈即死〉を使うものが常にレベルが高くないと効果が発動しないのだ、故の+1。これさえあれば、たとえカンストしてLV100同士になったとしても+1されているので〈即死〉が発動する。

まさに完璧な布陣。これぞ【睡魔女王】の六段階目ツリー!

この『 万魔宮殿 ( パンデモニウム ) 』に入ったが最後、もう〈即死〉からは逃げられない。

と思ったのだが、ここにはエリサからすると相性が悪い相手が1人居た。

「『ボスフィールド』!」

それが【罪なボス】男子。

ボスはほぼ全ての体内状態異常と即死を無効にしてしまう。そしてそのボス特性を全員に付与したのである。

「あ! 〈即死〉が!」

別に知っていたわけではない。ただエリサ用に連れてこられたのが、この【罪なボス】男子だったのだ。

『睡眠無効』はこの『 万魔宮殿 ( パンデモニウム ) 』で『封印』されてしまう。だが『即死無効』は別だ。エリサはあくまで〈睡眠〉が鬼強い【睡魔女王】なのである。

つまりこの宮殿内では〈睡眠〉状態にはなるが、〈即死〉はボス特性で無効化されてしまうのである。まさかの〈即死〉封じだったのだ。

〈睡眠〉と〈即死〉、エリサの魔法はどちらかが欠けても成立しないのである。

「姉さま、早く寝かせてください! 〈即死〉が効かないのなら斬り込みます!」

「うん! 『睡魔女王・集団 睡民 ( すいみん ) 』!」

「おおう!?」

「バカな~」

これは『 万魔宮殿 ( パンデモニウム ) 』とコンボの〈睡眠〉スキル。

『 万魔宮殿 ( パンデモニウム ) 』が破壊されないと回復系以外では目覚めない『睡魔女王・集団 睡民 ( すいみん ) 』によって、全員が寝てしまう――はずだった。

「『深淵の 隠場 ( かくれば ) 』!」

だが、そこへギリギリでスキルを差し込んできた者が居た。【アビス】男子である。

それは深淵に一時的に隠れて攻撃をやり過ごす回避スキル。

これにより、『 万魔宮殿 ( パンデモニウム ) 』から一時的に別空間に移動したことで、なんと【アビス】男子は『 万魔宮殿 ( パンデモニウム ) 』の効果から逃れたのだ。続いて状態異常回復用アイテム〈万能ポーション〉を使い、なんとかサターンたちを〈睡眠〉から回復してしまう。

こんな攻略法があったとは、なんとも盲点。

「みんな、目覚めろ!」

「ああ!? 私の活躍の機会がーーーー!? 睡眠回復って、なんてことするのよ!?」

「あの2人の男子は危険ですね。ここで退場願います!」

エリサが嘆き、フィナがもう直接倒そうと宮殿内に出現する。

それを見て【アビス】男子が叫んだ。

「お前たち、早く行け!」

「くっ! お前のことは忘れん! 『 魔喰 ( まく ) らい闇の魔術砲』!」

「ふふ、脱出させてもらいます! 『 破壊道流 ( はかいどうりゅう ) ・ 壊滅斬斬 ( かいめつざんざん ) 』!」

「宮殿なんて〈城〉だろ!? ぶっ壊れろ! 『トマーホーク・グロリアスクラッシャー』!」

「ううっ!?」

フィナが一気に【罪なボス】男子と【アビス】男子に斬りかかると、サターンたちは宮殿の一部を協力して破壊し脱出。

奇しくも殿になる【罪なボス】男子と【アビス】男子。

そしてビクンするヘルク。

「くそう! やるしかないか!」

「深淵の強さ、思い知らせる」

「フィナちゃん、あの4人逃げちゃったけどいいの!?」

「ええ。あれはリーナさんに任せましょう。それよりも、姉さまの魔法を偶然とはいえ打ち破ったこの2人の方が危険です。退場しなさい――『天界の一撃・スペリオールジェネシス』!」

「「あ――」」

勝負は、一瞬だった。

それはフィナの六段階目ツリーにして【ミカエル】の最強技。

超強力な天からの一撃。

『 万魔宮殿 ( パンデモニウム ) 』の天井を突き破り、とんでもない威力の攻撃がチュドンと2人に降り注いだのだ。

あ、斬り込んだのにそっちなんだ、とエリサは思ったが。実に効果的。

攻撃が直撃したあとには2人の姿は無かったからである。逃げられた形跡も無し。

エリサの天敵になり得る2人の〈天下一パイレーツ〉メンバーは、一撃で退場してしまったのだった。

「――リーナさんから連絡来ましたね……あ」

「あ~、なるほど~、うん――容赦ない! さすがはリーナちゃん、容赦ない!」

◇ ◇ ◇

それは数分後のこと、サターンたちはわなわな震えてその光景を見ていた。

場所は白本拠地付近。

なんとかサターンたちは白本拠地に到着していたのだ。だが。

そこに――なぜか〈エデン〉50人のメンバー全員が集結していたのである。

〈エデン〉50人 VS 〈天プラ〉4人。

――――ファイ!!