LNCrawler

第1687話 〈ドラグローブ・竜・アクスブラウン〉対6班戦

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第1687話 〈ドラグローブ・竜・アクスブラウン〉対6班戦

『挑戦者よ。よくぞ来た』

「ひゃべった!」

「フラウ、噛んでますよ。でも、びっくりしたのは分かります……」

ここの洞に突入したのは6班。

フラーミナ、ロゼッタ、クイナダ、ゼルレカ、マシロのチームだ。

『我は〈第三 竜巣洞 ( りゅうすうろ ) 〉の番人、〈ドラグローブ・竜・アクスブラウン〉也』

「わわわ! ご、ご丁寧にありがとうございます! 私はマシロって言います!」

「素直!」

「なぜか、なにかを無くしてしまったことに気が付いてしまった気がしてくるんだよ……!」

自己紹介されたので自己紹介を返すマシロが超素直。

これにはゼルレカがツッコミを入れ、クイナダがなぜかグッと謎の焦燥感におののいた。

そこに居たのは1体の竜人。

全身焦げ茶色に近い茶色の竜鱗に覆われ、姿はやはり2メートル半の人型。

手には4メートル級のハルバードが握られており、武人を思わせる佇まいをしている。

「みなさん、私の後ろへ」

『挑戦者よ、我を打ち倒してみせるがいい――行くぞ!』

ロゼッタが促したところで、武人な〈ドラグローブ・竜・アクスブラウン〉、通称〈アクス〉が両手でハルバードを握り構えを取った。

その瞬間、相手がボスとして君臨したのを全員が理解した。戦いが始まる。

「『天守護の誓い』!」

初手はタンクであるロゼッタの〈四ツリ〉。挑発と共に、盾で受けた時のダメージを減少させる効果を自分に付与する強力なスキルだ。

『ハアア!!』

「ぐぅ!」

二手は〈アクス〉。ハルバードの薙ぎ。

ロゼッタはこれを盾による素受けで受け止める。

ダメージ減少効果によってフィードバックは少ない、しかし盾スキルである『衝撃耐性』により受け側の衝撃が緩和されているはずなのに凄まじい衝撃が腕に襲ったことにロゼッタは驚いた。

「『ドラゴンキラー』!」

『ほう、竜特効の武器スキルか!』

素受けの利点は防御スキルを発動してないので他にスキルが放てるところ。

ロゼッタはこれを利用し、自分の装備である〈ドラゴンソード〉の武器スキル、竜の牙の一撃を放つ『ドラゴンキラー』を繰り出した。名前の通り竜特効付き。

〈アクス〉との距離は4メートルを超えていたが、飛剣の刃が完全に決まり、ダメージを与える。

「うおぉりゃ! 『惰性と堕弱の一撃』!」

「『必殺・横薙ぎの 大山顎 ( たいざんあぎと ) 』!」

「『愛と希望のエンジェルハート』!」

「『召喚盤よ。我が軍勢に入れ』! 〈 豪壮大樹 ( ごうそうたいじゅ ) ・アムネジアトラキ〉!」

「―――オオオオオ」

そこへゼルレカが防御力と素早さを下げるデバフの一撃を叩き込み、クイナダが必殺の斬撃を放ち、マシロが防御力と魔防力バフを全体に付与して、フラーミナが召喚盤から上級上位ダンジョンのランク4、〈巣多ダン〉の最奥ボスにして最強のトラキ――〈豪壮大樹・アムネジアトラキ〉を召喚する。

〈天下一パイレーツ〉戦では出さなかった――出すまでもなかったフラーミナの切り札の召喚盤だ。通称〈アムネジア〉。

対して〈アクス〉はそれを特に気にすること無くハルバードで周囲を薙ぎ払った。

「うお!?」

「くぅっ!? これが横薙ぎの威力ですか!」

これにはゼルレカとクイナダの〈五ツリ〉が簡単に相殺されてしまう。

この〈ドラグローブ〉もまた、生半可なスキルではまともなダメージを与えられないのだ。

さらに振るわれるのはスキルの乗った強力な薙ぎ払い。これはロゼッタが割り込んだ。

『ハアア!』

「『グロリアスシールド』! なんていう攻撃範囲ですか! しかも速いです!」

「やべぇな……素早さ優先で下げるぞ! ――『エンド・オブ・バイタリティ』! 『怠いだろ? 身を任せろよ』!」

「〈アムネジア〉、攻撃を妨害して! ――召喚するの決めたよ! 今回はウーちゃん! ルーちゃん! フーちゃん! 『三体導入』!」

ゼルレカが中距離からデバフを掛けまくる。

強力なデバフを2回掛けられ、ずいぶんと攻撃の速度が遅くなった。

しかし、攻撃力は下がってないので受け止めるロゼッタはまだ大変。

フラーミナは〈アムネジア〉に指示。

枝から小型のミニトラキが出現しまくり〈アクス〉に襲い掛かる。

その間に3体のモンスターを召喚、それは〈フェンリル〉たち。

〈プロミネンスウルフ〉から進化し、〈火属性〉を持つ〈フェンリル〉となったウーちゃん。

〈アイスエイジウルフ〉から進化し、〈氷属性〉を持つ〈フェンリル〉となったルーちゃん。

〈ライトニングセンスウルフ〉から進化し、〈雷属性〉を持つ〈フェンリル〉となったフーちゃんだ。

3体合わせてウールーフートリオと呼ばれている召喚獣である。

それぞれの体毛は白銀をベースに属性の色合いを出しており、同じ種なのに誰が誰なのか違いが分かるくらいのオーラを醸し出していた。全長は4メートルほどだ。

「『我が軍勢よ。蹂躙せよ』!」

「「「ウォーン!」」」

フラーミナの言葉にバフを受けパワーアップするウールーフートリオと〈アムネジア〉。

「―――オオオオ!」

「うわ、それやべぇやつ!」

フラーミナの傍らに立つ樹である〈アムネジア〉から溢れたミニトラキたちは、一斉に〈アクス〉へと襲い掛かる。

〈アクス〉はすぐに反撃へ移行し、ハルバードを横薙ぎにしてぶん回し、ロゼッタごとミニトラキたちを吹っ飛ばした。だが、ここで悲劇(?)が起こる。

やられたミニトラキたちの 頭が吹っ飛んだ ( ・・・・・・・ ) のだ。真上に。

『ヌン!?』

これにはボスも思わずびっくりして体が硬直してしまう。

ツッコんでもいいんだよ?

もしゼフィルスがこの場に居たらそんなことを言うかもしれない。

だが、これは明確な隙。

「「「ウォーン」」」

「『 電鈴 ( でんれい ) 』!」

「『 神峰 ( しんほう ) の宝刀』!」

「『 惰性 ( だせい ) は 駄制 ( だせい ) 』!」

ズドドドドドドン!

飛び掛かるウールーフートリオが切り裂き、噛みつき、属性攻撃をぶつけ、ロゼッタが六段階目ツリーの挑発スキルでベルを鳴らし、クイナダとゼルレカが斬り込んだ。さらに素早さにデバフが掛かる。

『ハアアアア! ヌウ!?』

「『トライデントテンペスト』!」

「『必殺・絶刀』!」

「『働くな斬り』!」

またもやトラキを薙ぎ払いながらロゼッタを攻撃する〈アクス〉。

そして吹っ飛ぶミニトラキの頭たち。思わず止まってしまい隙を見せ、そこをロゼッタとクイナダ、ゼルレカが容赦無く突く。

これが〈アムネジア〉の戦闘方法。

別名〈スタンピードダンジョン〉の最奥ボスは、その攻撃方法もスタンピードだった。大量の〈トラキ〉を自身から生み出して攻撃してくるのである。

もちろん〈トラキ〉を攻撃すると、頭が吹っ飛ぶ仕様だ。

しかもこれがすごく厄介。ただ〈トラキ〉の頭が吹っ飛ぶだけならば「頭が吹っ飛んだー」とツッコミを入れれば良いだけだが、やって来ているのが〈アムネジア〉というのがポイント。なんと頭が吹っ飛ぶ度に驚いて〈攻撃〉が強制キャンセルされてしまうという追加効果があったのである。マジ鬼畜。

つまり、ラッシュ攻撃などでは強制的にそれが止まってしまうため、連続攻撃では一掃することもできない。〈トラキ〉の群に攻撃を封じられるという、とんでもない現象を引き起こすのが〈アムネジア〉というボスだった。

だが、キャンセルさせるのは攻撃だけである。強化、弱化、回復、防御、召喚などなどはキャンセルされないので安心。

ボス戦では、召喚を司るシェリア、フラーミナ、アルテ、シヅキが大活躍した。

あとは一撃で全てのトラキを吹き飛ばす全体攻撃持ちのサーシャやアリスも活躍していた。

しかし、このミニトラキが武人相手にはめっぽう強い。

『ヌゥ!?』

〈アクス〉にはこれがぶっ刺さりまくっていた。

ゼフィルスが6班をここに送った理由である。

〈アクス〉は〈アムネジア〉が召喚されている間、ずっと攻撃してはキャンセルされ、また攻撃してはキャンセルされを繰り返した。

しかし、フラーミナの召喚盤召喚は制限時間がある。

3分後、残念ながら〈アムネジア〉は召喚盤に戻って消えてしまう。

だが、それでも一度引き込んだ流れは変えられず、ついに形態変化が起こる。

『我をここまで追い込むとは、誇るがいい! そして見よ、我が形態変化を! この我を超えてみせろ!』

「形態変化!?」

「ちょ、マジ変身中に攻撃が通らねぇぞ!?」

「第二形態になるということですか!」

「なら、こっちも奥の手出すよ! 『狼眷属召喚』!」

「わかりました! 私も出しますね! 『セイクリッド・ヘヴン』!」

クイナダは5体の狼を召喚すると、マシロはそれに合わせて天国顕現を発動。

なんか格が違いすぎない?

マシロの魔法により周囲の環境がガラリと変わる。エリサの『万魔宮殿』と同じく、相手を閉じ込め、環境を変えてしまう魔法の天使バージョン。

この天国の中では、味方は常に継続回復を受けるのである。しかも六段階目ツリーなものだから回復値はもの凄く大きい。ラナ並みの回復力を誇る強魔法だ。

加えてコンボも存在する。

「『アストラル・ヴィータ』!」

マシロの『アストラル・ヴィータ』は『セイクリッド・ヘヴン』発動中じゃないと使用できないコンボ魔法。

効果は――天国環境の中では『状態異常大耐性』を得る。両方の〈魔法LV〉が10ならば『状態異常無効』を得るというものだ。

つまりここで戦う限り、状態異常にはならず、HPは常に回復し続けるという、マシロの天国空間という超魔法なのである。(まだLVが足りてないが効果は高い)

「ここで決めるべきだよね! 来てみんな! 『 犬力 ( けんりょく ) の犬』!」

さらにフラーミナもユニークスキルを発動。

一時的に今連れている6体のモンスター全てを召喚できる最強スキルである。

「「「「ヒュラアアアアアアア!」」」」

「ブルヒヒーン!!」

「リヴァアアアア!」

追加で〈オロチ〉のヒーちゃん、〈人弓聖馬・ペガス・ケタウロス〉のぺーちゃん、〈レヴィアタン〉のヴァイアが召喚される。

その瞬間、形態変化も終わり、20メートル級に成長した〈アクス〉が登場した。

そして30メートル級のハルバードを振りかぶった。

「『 神守盾 ( しんしゅたて ) 』!」

もちろんさせないとロゼッタが盾で防御を決める。ハルバードは竜の翼の幻影を纏ったスキル攻撃を繰り出し、神を守る最高の盾に激突する。

六段階目ツリー、ロゼッタ最高の盾は壊せず、ハルバードが弾かれた。

ここだ。

「『我が軍勢よ。蹂躙せよ』ーー!」

『オオオオオオオオオオオ!!』

瞬間、フラーミナの大軍勢が躍りかかり、一瞬で怪獣大決戦が始まった。

ダメージが次々入って行くが、〈竜〉の威信か、〈アクス〉はハルバードにスキルを纏わせて乱舞。まず〈オロチ〉のヒーちゃんがHPをゼロにされて消えてしまう。

「ヒーちゃん!?」

「リヴァアアアア!?」

「うっそ、ヴァイアも!?」

身体の特別大きい2体がなんと呆気なく退場。凄まじい強さを見せつける〈アクス〉。

しかもウールーフートリオとぺーちゃんも結構なダメージを負っていく、このままではやられてしまう。

「マジかー!? みんながんばれー! 『最後に勝つのはこの我だ』!」

フラーミナの最終奥義スキル。逆境系の『最後に勝つのはこの我だ』を発動する。「みんながんばれー」と言っているのに勝つのは「我ら」ではない傲慢スキルよ。

これはモンスターのHPが3割を切っていたら、火事場の馬鹿力が発動し、ステータスを全て3倍にするという鬼スキルである。フラーミナ、実はこれを初めて使った。

それほどここまで追い詰めてきた相手は初めてだったのだ。

マシロの継続回復ではモンスターは回復出来ないため、これで戦闘継続能力を上げ、さらに相手を打ち倒すのが狙い。

そしてその狙いは上手く行く。

「いっけーーー!」

「「「ウォーン!」」」

「くらえええええ! 『ライフフォース・アトミック』!」

「『必殺の溜め』! 『 将軍魂 ( ジェネラルソウル ) 』! 斬れ―――『必殺・ 大神抜閃 ( おおかみばっせん ) ・ 破邪銀狼華 ( はじゃぎんろうか ) 』!」

『ぬう!?』

フラーミナのモンスターが一気に攻勢に出てHPを削り動きを封じると、そこにゼルレカが飛び込み、ライフバースト系のアトミックを叩き込む。

トドメはクイナダ。

バフをてんこ盛りにした必殺技のユニークスキルで切り裂き、残りのHPを全て削りきったのである。

『ふっ――見事なり、挑戦者よ』

そう言うとズドンと座り込んだ〈アクス〉がエフェクトの海に沈んでいった。

〈第三 竜巣洞 ( りゅうすうろ ) 〉の番人、〈ドラグローブ・竜・アクスブラウン〉とやらは、こうして6班が撃破した。

そして他の4パーティも撃破することに成功していく。