第1714話 来年の方針――ゼルレカ〈エデン〉留任決定!
第1714話 来年の方針――ゼルレカ〈エデン〉留任決定!
〈ギルバドヨッシャー〉を深層の奥へ案内する道中は色々と知り合いもいたみたいで盛り上がってたよ。やっぱり〈ギルバドヨッシャー〉は顔が広いなぁ。
「あれ、魔法使いがいる!?」
「……おかしいわ。今度は神官が居るように見えるのだわ。――気をつけてみんな。ここは幻覚を見せられる罠があるのかもしれないのだわ」
「いやいや現実だよ!? ちゃんと俺本人だから!」
「幻覚はみんなそう言うのだわ」
「いや、言わないぞ!? あ!? 歌姫、狸盾、盾天使もそう思うよな!?」
「いやいや、私たちは魔法使いさんに一票、いや三票かな~」
「そ、そうですよ! 魔法使いさんなんか、魂が迷子になっちゃうくらい驚いちゃってます!」
「これは幻覚の仕業に違いないよ!」
「なんでだよ!?」
なんとシンジは〈ミーティア〉や〈エデン〉にも結構知り合いがいるようだ。さすがは記者を目指しているだけある。
さらに〈筋肉は最強だ〉と会った時なんて。
「あれ神官!? なんで神官がここに居るんだ!?」
「それはこっちの台詞だぞ冒険者!? なんで冒険者がここに居るんだ!?」
「こんとーーーーーん!」「マージびっくりした!? え、本物?」「震えた」
お互いを見てとんでもびっくりしているオルクとシンジ、それを見て目を煌めかせるオスカー君と、仰天する何人かとか。そんなにオルクとここで会ったのが意外だったらしい。
「ちょっと待て冒険者! 〈猫猫ダン〉を攻略したのが4日前だぞ? もうこんなところまで来たっていうのかよ!?」
「お、おう。俺もびっくりしているところだ。〈エデン〉のいつの間にか攻略は伊達じゃねぇぜ。マジでいつの間にか攻略者の証を握ってるんだよ」
「いやどういうことだし! いや、それよりも俺が冒険者に一時期階層数で負けていた、だと!?」
「そんなことより神官もなんでここまで来てるんだ!? さては実力を黙ってたな!? せっかく勝ったと思って今日自慢しようと思ってたのに!」
「なにおう!?」
どうやらオルクとシンジは親友らしい。
話が弾んでいるようだった。
〈ギルバドヨッシャー〉は66層でレベル上げするようだな。
続いて到着したのはAランクギルド、〈獣王ガルタイガ〉だった。
「サテンサ先輩! クエスタール先輩! 久しぶりだな!」
「やあ、ゼフィルス君。今回は誘ってくれてありがとね。あたいたち〈獣王ガルタイガ〉も少し遅れていたから助かったよ」
「お久しぶりですゼフィルスさん」
ギルマスのサテンサ先輩とサブマスのクエスタール先輩。
サテンサ先輩は相変わらずの姉御肌。そしていつも通りギルドメンバーから慕われている様子だ。
クエスタール先輩は物静か。相変わらず【憤怒】に就いているとは思えないおとなしさと礼儀正しさである。
「カルア。サテンサ先輩たちをここまで連れてきてくれてありがとな。それにゼルレカも」
「ん。楽勝」
「いいって別に、むしろあたいがどんだけ強くなったのかをパネェの姉御に見せられて気分がいいんだ!」
「誰がパネェだい。普通に姉御って呼びなまったく」
担当していたのは〈獣王ガルタイガ〉とは縁の深いカルアやゼルレカ班。
リカが〈千剣フラカル〉に入ったのは割と痛く、正直不安なメンツだったので、サチ、エミ、ユウカの仲良し3人娘にも入ってもらっていた。おかげで道中楽しく、そして問題無く進行してこれたらしい。
まあ、何かあればパワーでドカンだろう。
「そういえばサテンサ先輩のところは次代って決まったのか?」
「ああ、ゼルレカが帰ってくれば任せるって言ったんだけどねぇ」
「あたいはもう〈エデン〉の一員だ。今更〈獣王ガルタイガ〉に戻れるかっての!」
「ま、あたいもこうなるとは思ってたよ。それに今の方がゼルレカにとってもいいくらいさ。〈エデン〉以上に学べる場所は無いからね」
おお! ということはゼルレカは〈エデン〉に 留任 ( りゅうにん ) だ!
ゼルレカは一応〈仮加入〉扱い。本人さえ望めばいつでも〈獣王ガルタイガ〉に戻ってもいいという契約にはなっていたものの、こうなったらもう卒業まで〈エデン〉に居続けることになるだろう。
ふっふっふ、ゼルレカが〈エデン〉に居着きやすいようあの手この手で自分の家のような安心感を提供してきたのが、今実を結んだんだぜ!
「ゼルレカ、残ってくれるの?」
「ああもちろんだ。キキョウ、アリスも、これからもよろしく頼むぜ」
「わぁ!」
「やったねキキョウ!」
先に到着していたキキョウとアリスとも仲良しハグを決める。
うむうむ。尊き、そして美しきかな。
ゼルレカとキキョウとアリスが両手を繋いで輪になった。すごく良い。
「ま、そういうこったね。ゼフィルス君、これからもゼルレカをよろしく頼めるかい?」
「もちろんだ! ゼルレカは〈エデン〉に任せてくれ」
「頼もしいね」
サテンサ先輩とガシッと確かなハンドシェイクを交わす。
こうしてゼルレカは少なくとも俺の卒業までは〈エデン〉で過ごすことになった。
ふはは!
ちなみにこの時うっかり次代のギルマスを聞き忘れたのだが、ラウがクエスタール先輩からしっかり聞いておいてくれていたよ。
次に〈獣王ガルタイガ〉を引っ張って行くのはターニアのようだ。
この子もリーナの元クラスメイトで元〈1年51組〉。俺が【ハイニャイダー】に就かせた、現在〈2年2組〉にいる子だな。
確か、クラス対抗戦では上級職である【ハイクルニャイダー】になっていたとか。
【ハイライダー】系の高位職、【ハイニャイダー】は傭兵業の鉄板 職業 ( ジョブ ) だ。
その上級職、高の上である【ハイクルニャイダー】は〈獣王ガルタイガ〉にとってトップに君臨するのにふさわしい 職業 ( ジョブ ) であるらしい。名前も可愛いよね。
「さて、カルアはキャリーお疲れ様。明日からテスト勉強だな」
「…………にゃ?」
続いては〈集え・テイマーサモナー〉のカリン先輩とエイリン先輩も同時に到着していたので会いに行く。
「カリン先輩にエイリン先輩! よく来てくれた!」
「いやぁ、こっちこそ、よく連れてきてくださいましただよ! ありがとうゼフィルス君!」
「道案内もすごく助かったけど、情報が一番ありがたかった。というか報告書すごい。全部のモンスターとその生息地が載ってるって、さらに進化系統の報告書も読んだ。なにあれ、なにあれ、なにあれ、なにあれ、控えめに言っても大発見。大げさに言わなくても銀河級の超発見だった。グッジョブ」
「はっはっは! それほどでもあるぜ!」
カリン先輩がデレッと笑いながらお礼を言ってくるのに対し、クールなエイリン先輩はガチだった。報告書を片手にとても興奮している様子だな。
どうやら〈集え・テイマーサモナー〉にとって、モンスターの生息域、そして進化系統の情報はなによりも重要だったようだ。とても喜んでくれた様子だな!
「そういえばアニィは来てないのか? 次代のサブマスなんだろ?」
「アニィは戦闘職じゃないからねぇ。アイシャは来てるよ。――おーい、アイシャもゼフィルス君に挨拶しな~」
〈集え・テイマーサモナー〉と〈エデン〉の交流は深いため、もう次代のギルマス情報などは交換していた。それによれば、アイシャが次代のギルドマスターで、アニィがサブマスターになるらしい。
アイシャとはクラスメイトなので教室で顔を合わせているが、ここでも改めてお礼を言われたよ。
ちなみにアニィは支援職である【モンスターブリーダー】に就く子で、〈ファーム〉の常連というか、もう〈ファーム〉が家というか。ほとんど〈ファーム〉で生活しているってくらいモンスター大好きっ子だ。
モンスターを交換できるスキルを持っていて、俺たちも大変お世話になっている。
今度情報のお礼の一環として、シヅキ用の〈 エンヴィー ( 嫉妬の悪魔 ) 〉も交換してもらえることになっているのだ。楽しみである。
「フラーミナもお疲れ様」
「すっごく楽しかったよ! みんなのモンスターとここのモンスターで対戦しまくってね。あまりに白熱しすぎちゃって、本当はもう少し早く着けたはずだったんだけど……」
「まあ、大丈夫だろ。あの調子ならダンジョン週間中に35人全員LV60は間に合うさ」
連れてきてくれたのはフラーミナ班。
ロゼッタは居なかったが、代わりにアイギスとアルテが班に入り、大群となったモンスターたちに乗ってここまで来たのだ。
全員が〈ピュイチ〉に騎乗しているからできる大移動だったらしい。フラーミナたちは基本案内役だったそうだ。
また、ダンジョン週間3日目からはアルテがここ〈巣多ダン〉の1層から60層までの運搬役となっている。
その〈乗り物〉は――〈戦艦・スターライト2番艦〉。例の〈戦艦・スターライト〉のアルテ号だ!
これでピストン運行して次々とギルドを深層へ運んでくれているわけだな。
今のアルテが本気を出すと、移動だけなら2時間くらいで61層までスキップ出来るのだから凄まじい。
「アルテもほんと助かるよ。苦労してないか? 何か要望があれば聞くぞ?」
「いえいえですよ~。戻りは転移陣で帰れるし、道中のボスはみーんな〈エデン〉のメンバーが狩ってくれてるしで、楽なもんですよ~。でもそうですね~、美味しい差し入れとかあると、嬉しいかもです!」
「用意しておこう!」
ほんと、こうしてスムーズにギルドを運べているのはアルテの働きが大きい。
それくらいいくらでも用意しようじゃないか!
次はここ――〈カオスアビス〉と〈世界の熊〉だ。
「ゼフィルス君、今回はお招きいただき、また連れてきていただき、深く深く感謝するんだね」
「ゼフィルス、久しぶりだな! 今回は誘ってくれてありがとう。無事ここまでたどり着けたぜ」
見た目は怪しい雰囲気ビンビンなのに、とても丁寧なお辞儀で礼を取る〈カオスアビス〉のギルドマスターロデン先輩と、対照的に豪快に近いとても溌剌とした雰囲気に満面の笑みを浮かべて礼を言ってくる〈世界の熊〉ギルドマスターガロウザス先輩。
2人とも「熊人」らしくやや小太り気味の大柄体格だ。とても強そう。
この2人は親友らしく、最近は〈カオスアビス〉と〈世界の熊〉で一緒に行動することが多いらしい。ということで、今回も一緒にここまで来たんだ。
ここの担当はロゼッタ班。ミジュ、ナキキ、シュミネ、カタリナである。人数が多いので〈ブオール〉や〈クマライダー・バワー〉で牽引してもらうため、このメンバーだった。あと、ミジュは単純に「熊人」繋がりで色々見てみたかったらしい。それにナキキとシュミネは付いてきた形だな。カタリナはもし〈乗り物〉に乗りきれなかった時用の箱船係だったのだが、どうやら必要は無かったらしい。
〈世界の熊〉は半分のメンバーが『熊騎乗』が使えるし、〈クマライダー・バワー〉を使う人も居たので、〈乗り物〉は思ったよりも豊富だったのだ。
人数は2ギルド合わせてフルの70人である。
ちょっと牽引しすぎじゃない? 2ギルドとも強くなる気満々ということだな。
「そうだ、〈エデン〉には言っておくのだね。来期なんだがね、僕たちのギルドは合併することにしたんだね」
「え? そうなのか?」
「ああ、俺たちのギルドは多くが3年生、今年卒業だ。俺たちの代が卒業しちまったら〈カオスアビス〉はともかく〈世界の熊〉は確実にランクが落ちるだろうからな。そうなる前に合併、いやどちらかというと〈カオスアビス〉に吸収してもらうことになる」
なんと! これは驚きの情報である。
来期は〈カオスアビス〉と〈世界の熊〉は合併して1つになると!
「まあ、元々〈カオスアビス〉と〈世界の熊〉は1つのギルドが別れて出来たんだね。それが元に戻るだけなんだね」
「なるほど」
言われて見ると〈カオスアビス〉と〈世界の熊〉は元々1つのギルドに入りきれなくて、別れて出来たギルドだと聞いたことがあったのを思い出す。
元の鞘に収まる感じか。
「ちなみにギルドマスターはハイウド、サブマスにはナイヴスが就くことになっている。よければ少し気に掛けてやってほしい」
「了解だ」
なるほど、〈カオスアビス〉からギルドマスターを、〈世界の熊〉からサブマスターを選ぶ様子だ。
てっきり〈カオスアビス〉はキール辺りがギルドマスターになると思っていたが、意外な人選。いや、キールなら前に出てくるより軍師的な位置に付くことを選ぶかもな。