第1875話 レイドボス〈ベヒモス〉勇者猫の第二形態!
第1875話 レイドボス〈ベヒモス〉勇者猫の第二形態!
「ニャオオオオオオオ!!」
「みんな私の後ろへ! 形態変化の終了直後が一番危ないわ」
「〈バトルウルフ〉みたいな攻撃が来るかもしれないものね!」
「『大号令』! みなさんシエラさんの後ろに回ってくださいまし!」
最初の形態変化。
シエラとラナが促したように、〈バトルウルフ(最終形態)〉の時は、形態変化が終わるとほぼ同時にブレスをぶっ放してきた。
これは形態変化直後の無防備な身体を狙ってきた相手をぶっ飛ばす狙いが含まれていたな。その経験からうちのメンバーたちも無闇には突っ込まず、しっかりタンクの後ろに控えるというスタイルで形態変化の終わりを見守った。
そして形態変化が終わった瞬間、〈ベヒモス〉が叫び、その周囲に召喚の魔法陣が描かれた。
「ニャオオオオオオオオオ!!」
「「「「「ニャー!」」」」」
「きゃー!」
「猫津波だー!」
「呑まれるー!?」
そう、第二形態は眷属召喚、なんとレイドボスがレイドボスを呼び出すというとんでもない戦法、30.5層のレイドボス〈猫津波〉を呼び出してしまったのだ。
「慌てなくていいわ――『オープン・ザ・サウザンドシールド』!」
「壁で行く先を制御します! ポン! ユニークスキルは 夢幻 ( ゆめまぼろし ) の巨塔――『 夢幻 ( むげん ) 四塔盾 ( しとうたて ) 』!」
シエラから千もの盾が〈猫津波〉を抑えるべく阻み、ラクリッテの塔が相手に対し斜めに建てられたことで、こっちに向かって押し寄せてきていた〈猫津波〉が壁に沿って流されていく。
「リーナ、これはおそらく眷属召喚。〈猫津波〉第一形態の召喚だ! 全員に通達!」
「はい! 『マルチコネクトネットワーク』! みなさん! 第二形態は〈猫津波〉の召喚です! 30.5層攻略の時の戦法でいきますわよ!」
「「「「おおー!」」」」
まずったなボスよ。
〈猫津波〉は確かに〈強い〉、〈可愛い〉、〈呑まれてみたい〉の三拍子揃ったとんでもない存在(?)。
30.5層とか、俺たち〈エデン〉ですら手こずりすぎて周回を後回しにしたとんでもレイドボスである。あの時に続けて周回していたら、誰かしら戦闘不能者を出した可能性が高かったからな。先に60.5層の〈ヨウネル〉周回をしてレベル上げしたほどだ。
だが、俺はあの〈猫津波〉が重要な伏線だと知っている。
そう、最奥のレイドボスの第二形態が〈猫津波〉の召喚なのだ。絶対に慣れておく必要があった。
ゲームでは30.5層とか辛くも突破し、「周回? いやそれはちょっと……」と遠慮して最奥のレイドボスへと挑み、〈猫津波〉によって「ああー!?」したプレイヤーは多かった。
よって俺たちは、60.5層の〈ヨウネル〉でLVを85の上限まで上げたあと、30.5層の〈猫津波〉もたくさん周回していたのである。
おかげで〈猫津波〉にもビビらずにしっかりと対応ができていた。
「カタリナさん、右に進路を変更!」
「はい! 『 多重操 ( たじゅうそう ) 聖琴 ( せいきん ) 結界』!」
「ラクリッテさん、そのまま誘導をお願いしますわ!」
「ポン! 群がるは幻の甘い夢の蜜! ――『 甘夢幻 ( かんむげん ) 二塔盾 ( にとうたて ) 』!」
カタリナの結界で進路を変更させ、ラクリッテの塔を囮にして注目を集めて誘導し、そこを一気に叩く。
〈猫津波〉の特性はマジで津波。
正面から盾で抑えようとしても無理、呑まれてしまう。だが、誘導することは可能なのだ。カタリナやラクリッテがしたように、正面に盾を出すのではなく、斜めに盾を出すことで、〈猫津波〉の進路を変更させることが可能だった。
これが俺たちが〈猫津波〉に慣れ、編み出した戦法。
とはいえ 相手 ( 猫 ) は液体、鉄砲水みたいなものなのでこの戦法は結構難易度が高いのだが、慣れればこんなものだ。そう、〈猫津波〉と戦うには慣れがものを言う。〈猫津波〉の周回、練習は――必須なのだ。
あとは攻撃しやすい場所に誘導して叩く。
〈猫津波〉に慣れれば、この戦法がベストだ。
だが、この〈猫津波〉は本物のレイドボスではない。故に。
「今だエリサ!」
「! そうだったわ! この〈猫津波〉は眷属だったわね! 『 万魔宮殿 ( パンデモニウム ) 』! 『睡魔女王・集団睡民』! これで一掃よ! 『エンドレスエンド』!」
そう、この召喚〈猫津波〉はあくまで 眷属 ( リクルート ) 。
ボス補正を持っていないため〈即死〉が効くのだ! 閉じ込め、眠らせ、最後は多段〈即死〉判定のユニークスキルによって、甘い塔に誘われて集まってしまった猫たちが一掃されてしまう。
「エリサさんを中心に〈猫津波〉を一掃しますわ!」
「ついにエリサちゃんが主役キターーー! 私にまっかせなさい!」
〈猫界ダン〉ではあまり活躍できてなかったエリサのテンションが上がる。
〈猫津波〉はリーナたちに任せて大丈夫そうだ。その間に本体を叩く。
「うおおりゃあああ! 『 天光勇者聖剣 ( あまのひかりのゆうしゃせいけん ) 』!」
「物理で攻めます――『エル・バランレード・ラグナロク』!」
「『執事に不可能はありません』! そこです――『 闘神拳 ( とうしんけん ) 』!」
「行かせん! 『天空 絶光 ( ぜっこう ) ・ 疾駆無秒閃々 ( しっくむびょうせんせん ) 』!」
「どんどんデバフ追加だ! 『働くな斬り』! 『怠慢と堕落の剣』! 『惰性と堕弱の一撃』!」
「右足がお留守だよ――『 神峰 ( しんほう ) の宝刀』!」
「ニャオオオオオオオ!!」
物理アタッカーは下手をすれば〈猫津波〉に呑まれるので、本体担当だ。
〈猫津波〉はあくまで眷属。本体は〈ベヒモス〉の方だからな! こっちも叩く必要がある!
「ニャオオオ!!」
「また何かデカいスキルを使おうとしてるぞ!」
「ニャアアアアアアア―――――――――!!!!」
「これは、バフ!?」
「〈猫津波〉もパワーアップしましたわ!」
「こいつは『カリスマ』だ!」
「またゼフィルスさんのスキルですか!」
勇者のユニーク級スキルまで使ってくるとかとんでもないな。
だが、〈猫津波〉までパワーアップさせたのは悪手だぜ!
「フィナ!」
「はい! 『天秤の行方』!」
そうフィナが〈六ツリ〉スキルを使うと現れたのは巨大な天秤。
それが右から左へと傾くと、なんと『カリスマ』でパワーアップしたはずの猫たちのバフアイコンが、デバフアイコンに変わってしまったのだ。
「「「「ニャニャ!?」」」」
これにはさぞおったまげたことだろう。
『天秤の行方』はバフとデバフを変更するとんでもスキルだからな。
え? ならデバフもバフに変わっちゃうんじゃないか、って? 大丈夫だ。『天秤の行方』が『スキルLV10』だと相手のバフをデバフに変えるだけの一方通行になるんだよ。なにそれ、鬼強すぎじゃない?
おかげで猫たちはみんな揃って弱体化した。
「今がチャンスだ! いくぞーー!! 『ゴッドドラゴン・カンナカムイ』!」
ここで一斉攻撃が入り、良いダメージが入ったな。このままいけるか? そう思ったが、第二形態〈ベヒモス〉は諦めない。
グッと力を入れたかと思うと、更なる強化を打ち出してきたのだ。
「ニャオオオオオオオオオ!!」
「これは! この金色の光は!」
「これ、ゼフィルス先輩の『 勇気 ( ブレイブハート ) 』!?」
またもとんでもないスキルを使ってきたな。
さっき【勇者】のスキル『 勇者の剣 ( ブレイブスラッシュ ) 』も使ってきたのだから、そりゃ第二のユニークスキル『 勇気 ( ブレイブハート ) 』を使ってもおかしくはない。だが、さすがにこの状態で大暴れしてもらっては困るので即沈静化だ。
「モニカ、奪ってくれ!」
「了解でやがります――『そのバフ貰い』!」
「ニャアアアアアア!?!?」
さすがは【強欲】。〈六ツリ〉の『そのバフ貰いLV10』は相手のバフを全て奪う罪深すぎるスキルだ。LV1とかだと1つしかバフが奪えないため、こういう時のためにLV10にして全部奪える状態にしておくのが吉。
これが見事にぶっ刺さり、『 勇気 ( ブレイブハート ) 』で上がった大量のステータスバフが全部モニカに奪われた。モニカが勇気でパワーアップ!?
「これで2つ目のHPバーもトドメだ! 『 勇者の剣 ( ブレイブスラッシュ ) 』!」
「ニャ!?」
ここでようやく2本目のHPバーをゼロにすることに成功する。
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本日2話行きます!