LNCrawler

第1892話 ハンナ最強プレゼント〈最上竜王級・錬金釜〉

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第1892話 ハンナ最強プレゼント〈最上竜王級・錬金釜〉

その日は結局10層まで進め、2体目の守護型ボスも〈金箱〉を2つ残させたあと、俺たちは帰還した。

そして、そのまま〈エデン〉のギルドハウスの錬金工房へと突撃した。ラナと一緒にな!

「ハンナ! ハンナはいるかしら?」

「ひゃわわ!? りゃにゃ ( ラナ ) 殿下ーー!?」

「りゃにゃ?」

そしたらちょうど工房の入り口付近に居たシレイアさんが跳び上がらんばかりに驚いていたんだよ。

そりゃ、急に自分たちの工房に王女様が来たらこういう反応にもなるだろう。

でもすでに色々済んでしまった〈エデン〉の中では、こういう反応はすごく新鮮! いいぞシレイアさーん!

「あら? 驚かせちゃったかしら? 悪かったわね。それでハンナは居るの?」

「いえいえそんな勿体ないお言葉で――ただいま呼んできましゅーーー!」

さすがはラナ、向こうが驚いても動じない。王女というのも伊達ではない。

最近すっかり忘れることも多いんだが、ラナは王女なんだよな~。

錬金工房の奥に駆けていったシレイアさんだったが、すぐに「ハンナしゃまハンナしゃま!」「どうしたのシレイアさん、口調が昔に戻ってるんだよ!?」「しょんなことよりお客様でしゅ! りゃにゃ殿下が来てましゅ!」「え? どなたでしょう?」そんな会話が聞こえてきた。

りゃにゃ殿下がラナだと通じてないようだぞ?

そんなことを思っていると、ラナが普通に奥の部屋に入って行ったんだ。俺も追いかける。

「ハンナ、ここに居たのね!」

「りゃにゃ殿下ーーー!?」

「あ、シレイアさんの言ってたりゃにゃ殿下って、ラナ殿下のことだったんですか!」

納得、と言わんばかりに笑うハンナだが、シレイアさんは笑い事じゃなさそう。

結局アルストリアさんが見事なスニーキングで近づいてきてシレイアさんを連れて行ってしまった。

あれ? 今の錬金術師に必要なワザだっけ?

そんなことを思っていたらハンナから問いかけられる。

「ゼフィルス君もどうしたの? ここにくるなんて珍しいね」

「おう、実は――」

「私が言うわ! 私に言わせて! ――聞いてよハンナ! 実は今日から入ダンした〈聖界ダン〉で、凄いもの見つけちゃったのよ! とにかく凄いのよ! ハンナも気に入るわ!」

「え!? そんな凄いものを見つけたんですか! 見たいです見たいです!」

ラナが凄いものしか言ってないのにハンナの受け答えが的確……!

さすがはハンナだぜ。

言わせてと言った割には全然情報が伝わってないので俺がフォローする。

「それじゃあ百聞は一見に如かず。まずは実物をご覧に入れようか!」

「そうね! ゼフィルス、出してみて!」

「おうよ!」

え? 物は俺が持ってるよ。ならなんでラナだけ付いてきたのかって?

ラナとハンナって、仲良しなんだよ。

きっとラナもハンナが驚く姿が見たかったに違いない。

俺も見たい! ということで刮目せよ!

「これが最上級ダンジョンのランク3、〈聖界ダン〉で手に入れたレジェンド級の生産アイテム。その名も――〈 最上竜王級 ( さいじょうりゅうおうきゅう ) ・錬金釜〉よ!」

ババン! と背後にテロップが出現しそうな勢いでラナが告げる。

まったくラナめ、美味しいところを持っていって。

まあいい。これからの説明は俺がするからな!

「ええ!? これ錬金釜! 最上級の錬金生産アイテムなの!?」

「そうなんだ。これがあれば高品質が作りたい放題! たとえ難易度激高の最上級アイテムでも高品質の成功率が半端じゃなく高いんだ。さらに錬金生産の時間短縮、使用したMPを数%返還、『素材返し』した時ほぼ100%の確率で全返還、錬金生物及び錬金砲などの性能強化などなど、挙げれば切りが無いほどの高性能の錬金術師用生産アイテム、それがこれだ!」

「すっご~~~~い!!」

なんて純真無垢なすっご~いだろう。

非常に良き! ダンジョン攻略のあと、真っ直ぐ帰還したのは間違いではなかった。おかげでハンナのすっご~いいただきました!!

「ふえ~、はわわ!」

〈最上竜王級・錬金釜〉に早速〈解るクン〉を翳すハンナ。その効果に「ふえ~」と「はわわ」までいただいちまったよ。いやぁ、ごちそうさまです!

俺は満足した。

「これすごいねゼフィルス君! ラナ殿下!」

「だろう!」

「でしょう!?」

ラナと並んでドヤったんだぜ。すっごく気持ちいい。

「あ! アルストリアさん、シレイアさん来て来て! これ見てよ!」

「え? えっと、失礼いたしますわ?」

「苦しゅうないわ!」

ハンナの身内来い来い発言に、控えていたアルストリアさんがラナに会釈して近づいていく、シレイアさんも一緒だ。その目は〈最上竜王級・錬金釜〉に向いている。

2人とも〈解るクン〉を翳して「こ、これは!」「しゅごいでしゅ!」と感激していた。

その性能の高さ、〈ダン活〉で並ぶものは無いからな。

正真正銘、錬金用の生産アイテムで一番強力な〈錬金釜〉だ。

「ね、ねえゼフィルス君、これで早速なにか作ってみてもいい?」

「それはハンナにお土産として持ってきたものだからな。好きに使うといいさ」

「これが、お土産……」

「相変わらず、〈エデン〉のお土産はしゅさまじいです~」

「うん! それじゃあえっと、〈エンテレ〉作ってみるね!」

「さらっと最上級アイテムを選ぶところがハンナさんですわね」

「尊敬でしゅ!」

「え? だ、だって〈エンテレ〉の残りが少なくなってるってゼフィルス君からお願いされてたんだもん」

アルストリアさんが唖然とし、シレイアさんが尊敬の目でハンナを見る中、ハンナの「だもん」がとても可愛い。

「ゼフィルス、なんだか今邪なことを考えなかった?」

「考えてないが??」

なぜかラナがむむむ顔で俺の方を見上げてくる。何も考えてないよ?

「本当かしら?」と今日は特に追及してくるラナをなんとか躱す。

「できました!」

「早っ!!」

なぜかラナと攻防している間にハンナの錬金が完成していた。

見れば大量の〈エンテレ〉。

正式名称〈ダンジョンワールド・エンド・テレポート〉、最奥に行ったことのない人物が居ても、一瞬で最奥にテレポートしてしまえる最上級アイテム、それが大量に転がってたんだ。多分100個はあるんでない?

「凄いねこの錬金釜、こんなに早く正確に、しかも大量生産できちゃうなんて!」

「ついにハンナ様が〈エンテレ〉のような最上級アイテムまで100個単位で錬金できるようになりまひた!」

「あ、レベルが87に上がったよ!」

「ええ!?」

「良いこと尽くめだな!」

「うん! 凄いんだよゼフィルス君、これね、下位素材でも半分くらいの素材で作れそうなんだよ! これなら余ってる 上級上位 ( ジョウジョウ ) の素材で最上級アイテムが作りたい放題かも!」

下位素材。

本来最上級アイテムを作る時には、レシピに指定された最上級素材が必要なわけだが、 上級上位 ( ジョウジョウ ) 級の素材でも作れないことはない。これが下位素材だな。等級がワンランク下の素材で作製可能だ。だがデメリットとして、下位素材を使う場合、使用する素材は倍以上必要なのだ。1必要なところは2必要だし、10必要な素材系統は26必要とか表示される。これが非常にネックだった。

だが、ハンナが言うには半分でできるようになったとのこと。

つまり最上級素材が10必要なところは 上級上位 ( ジョウジョウ ) 級が13必要と表示され、1必要なところはそのまま1で済むようになったらしい。凄い大革命だぜ。

それを聞いて湧いたのはもちろんアルストリアさんとシレイアさんだ。

「素晴らしいですわ! 下位素材で上位の物が作りたい放題!? すぐに 上級上位 ( ジョウジョウ ) 級素材をかき集めますわ!」

「はい! いってくるです!」

「お願いねアルストリアさんとシレイアさん! 私も気合い入れるよー!」

この大革命にハンナたちは素早く行動に移したな。

素材の消費が激しいため、もったいなくて下位素材として使いたくないと倉庫に山となっていた素材たちが日の目を見ることになりそうだ。

それだけではなくアルストリアさんとシレイアさんが追加発注までしようとするレベルである。それだけの大事だったのだ。

学園では現在、公式ギルドを始め〈巣多ダン〉でレベル上げブームが到来している。〈巣多ダン〉の素材がかなり供給されまくり、過多になりつつある現状、かなり安く仕入れまくることができそうだとアルストリアさんが微笑んでいたな。

とそこでふとラナが錬金工房の一部を見ているのに気が付く。

「ねぇ、シレイアさんだったかしら?」

「ひゃ、ひゃい!」

「あれはなんなの?」

そう言って指を差す方を見たシレイアさんが「ああ」と頷く。

「あ、あれは注文リストでしゅ」

「注文? 結構な量があるけど」

「ハンナ様なら1日もしないで終わるので大丈夫でしゅ!」

「え? これハンナが1人でやってるの?」

「そうでしゅ!」

「ハンナ、ちょっと働き過ぎじゃないの?」

「そんなことないですよ? 私、今とっても 漲 ( みなぎ ) ってます! ふんす!」

「それにしてもこれは、――ゼフィルス」

「お、おう。俺も今ラナと同じことを考えていると思うぜ」

呼ばれて俺も頷く、ハンナの1日の依頼としてホワイトボードに貼られていた依頼書は、ざっと見ても30枚は超えている。しかもそれが1つ辺り1000個単位の納品になっていたのだ。

まあ、ハンナならこれくらい軽いだろう。だが、ラナが言いたいのはそういうことではない模様。

「これ、ハンナがいなくなったら色んなところが回らなくなるわよ? 〈ダンジョン商委員会〉とか、機能不全になるんじゃないかしら?」

そう、そこにあった依頼書を見る限り、公式ギルドからの依頼が膨大だった。

これ、ハンナがいなくなると公式ギルドがストップする、なんて事態になりかねないほどの注文数だったのだ。これ供給が止まったらアウトじゃない? って言うね。

「ゼフィルス、そう言えば後輩の錬金術師は?」

「いや、まだいないな。うん、だが……これはハンナの後任を育てないといけないようだな」

ラナと一緒に振り返ると、ハンナの周囲にはいつの間にか盛られたアイテムの山たち。

あれと同じ仕事ができる【錬金術師】の後任を育てないと、学園がピンチっぽい。