LNCrawler

第1897話 やる気が滾って60.5層!生命の実と知恵の実!

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第1897話 やる気が滾って60.5層!生命の実と知恵の実!

「これはまた、とんでもないレシピを持ってきましたですね」

「作れるかタネテちゃん?」

「お任せくださいです、と言いたいですが……」

「ふむ?」

例の〈スカイスローン・ハイローラー〉や〈スプールルート〉のレシピをタネテちゃんのところに持っていったら、レシピを見て珍しく唸る表情になった。

これは珍しい表情。

「いえ、作ること自体問題ね――ないです。ただ、納得のいくものを作ることができるか、そこが問題ですね」

「アルルと同じこと言ってるな」

「アルル先輩には世話になっているですから」

生産職目線、とでも言おうか。

俺たちが持って来たのはいずれもレジェンドレシピ。しかもただのレジェンドレシピではない、作ったらまさにこの世にはない最強の装備になり得るポテンシャルを持った1品になる。

故に、手を抜きたくないらしい。

別に手を抜くことはないのだが、LV100が見えてきたことで、どうせ作るなら最強のパフォーマンスであるときに作りたい、と思うようになってきてしまったようだ。

「時にゼフィルス先輩、今のLVは?」

「今はLV88だな」

「もうちょっとじゃありませんか!!」

そう、〈聖界ダン〉では実はLV上限が95に設定されており、30.5層のレイドボスを撃破すれば最大LV90まで上げることが可能。

人類の最高到達点と伝わる上級職LV100の頂きまで、あとほんの少しのところまで来ているのだ。

そして、〈エデン〉と専属契約を結ぶ生産職のみなさんからは、〈エデン〉なら絶対そのうちLV100に届くと、そう思われている。

なら、自分たちもLV100になる可能性は高い。

どうせこんな大作を造るなら、自分たちが人類の最高到達点に届いてから作りたいと、そう思うようになってしまったのだ。

「〈スカイスローン・ハイローラー〉はともかく〈スプールルート〉はこの素材の多さに加え、かなり大がかりなものですから」

「確かに、作り直す時間が勿体ないよな。だがタネテちゃん、そこまで言うのなら絶対にLV100になって、さらにこの世で今後超えるものがないほどの作品を造って貰わないと困るぜ?」

「! お任せくださいです! 私がLV100になった暁には、世界最強、そして今後超えられることのない伝説の装備を造ってやるですよ!」

「良く言ってくれたなタネテちゃん!」

ガシッと確かなハンドシェイクを交わす。

なんだかアルルの時と似たような展開だが、さっきもタネテちゃんが言っていたように、アルルと話してそういう結論に至ったのだろうな。

目前に見えてきてしまったLV100の頂き、夢の最強装備の作製。

タネテちゃんもアルルも、その目はキラッキラに輝いていたんだ。

◇

「それで、タネテにも待ってって言われたのね」

「ああ。これはタネテちゃんのためにも、俺たちも頑張らなくちゃいけないぞ!」

「…………」

〈エデン〉ギルドハウスの地下工房から戻ると、早速シエラたちと情報を共有した。

すると、なぜかジト目が返ってきたんだ。やったぜ!

「最強装備、名前がかっこいいわね!」

「だな! これは俺たちも気合いを入れて突破しなくちゃいけないぞ? このままレベルキャップが解放されるなら、次のランク4、〈万界ダン〉でLV100に至るだろう!」

「もうすぐじゃない!」

「ああ、もうすぐだ!」

ラナと一緒に盛り上がり、なぜかお互いイエーイとハイタッチする。なんか楽しい!

「今〈聖界ダン〉の攻略でも防具はまだ大丈夫だし、〈万界ダン〉でLV上限に届くところまでこのままの装備で大丈夫かしら?」

「そうですわね。今後のレイドボスでどういうモンスターが登場するのか分からない以上なんとも言えませんが、現状防具もみなさん最上級で揃えていますから、なんとかなりそうですわ」

うむ。シエラとリーナの言う通り、防具の更新という面も大丈夫だ。

みんな高位職で ステータス ( 防御力 ) もばっちし育てている。今のままでも〈万界ダン〉を攻略するところまでは誰の防具を更新しなくても保つはずなのだ。

これもノエルのバフやゼルレカのデバフの影響が大きいけどな。

今のうちにお金や素材を貯めておき、生産職がLV100に至った段階で更新に入るのが吉。生産職のみんなも同じような意見なので、俺たちに今必要なのは、〈聖界ダン〉の攻略とレベル上げだ!

「そうと決まれば素材集めとレベル上げに精を出すぞ! ダンジョン週間も近い、ここで一気に〈聖界ダン〉を攻略してやるぜ!」

「防御力が厳しくなったら途中でも装備を調えるのよゼフィルス?」

「もちろんだ。その辺は抜かり無い。アルルとマリー先輩にも同じことを言ってあるから安心してくれ」

別にアルルたちも生産したくないと言っているわけではない。言うなれば二度手間が嫌だという感じだな。素材に戻す過程で素材が消えたり、造るのに時間が掛かりすぎるものを劣化版で造るのが我慢ならないらしい。

貴重な素材を惜しげもなくつぎ込むのだから無理もない。貴重な品はやはり、最高の1品を作るのに使いたいと思うのが生産職である。ハンナは別だが。

だが、どうしても防御力が足りない。戦闘不能者が出る! という場合はもちろんアルルたちに繋ぎの装備でも頼むさ。

「それじゃあ早速今日も〈聖界ダン〉に出発よ!」

「あ、ラナそれ俺のセリフだぞ!?」

もう何度目かになるか分からないラナに俺のセリフを取られ、今日も〈聖界ダン〉に出発だ。

ここは空飛ぶ天使ばっかり出る上に、数で襲ってくるので大変だが、レベル上げという面ではとても素晴らしい。

俺たちは45層に突入するころには、すでにこの辺のLV上限である90にみんな上がっていたからな。

もうみんな日に日にテンションが上がっていくのが見えるようだったぜ。

とにかく階層の更新に大量の天使の撃破がセットになるので、いやでも大量の経験値が入ってくるのだ。経験値が美味しいです。

LVが90になったことでみんなスキルもだいぶ育ってきて、〈六ツリ〉のLV10スキルや魔法もだいぶぶっ放せるようになった。

おかげで〈座天使・ソロネ〉周回も楽勝になったほどである。未だに『100メートル 直滑降 ( ちょっかっこう ) 火車突撃 ( かしゃとつげき ) 』は俺の『 完全勇者 ( アブソリュートブレイバー ) 』以外じゃ止められないけどな。いや、あれを止めるには本当にLV100のガチ受けタンクが20人体制で受け止める必要があるのでこれが一番楽なのだ。

キキョウが禁止をしても下り坂を駆け下りてくる動作が無くなるわけじゃないので、無敵の勇者のボディで弾くのが最善。最初それを見せた時、すでに驚くことが少なくなって久しい〈エデン〉メンバーたちも「「「え、ええええええええ!?」」」と驚いてたくらいだ。とても気分が良かったのは内緒。ふはは!

「やっと、60層到達ね!」

「『階層門発見』! あちらに階層門がありますわ!」

「お、あそこだな。よし、近くの聖域を制圧して、まずは安全を確保だ!」

「ゼフィルス、もう制圧って普通に言うようになったわね」

60層ともなると〈聖界ダン〉の広がりはとんでも凄いことになり、その聖域は全部で8箇所。

その全てに大量の天使がいるのだから一部は避けるに限る。

リーナにまず階層門がどこにあるのかを見つけてもらい、ピンポイントで攻めるのだ。その時まずお隣の聖域を落としておくと攻略しやすくなる。

聖域はお隣が攻められると援軍に駆けつけるからな。

「ゼフィルスさん、そろそろですわ!」

「よし、このまま本命に向かうぞ! みんな遅れるなよー!」

「「「「おおー!」」」」

階層門のある本命のお隣を落とし、できる限り本命から援軍を出してもらいまくって疲弊したところで侵攻開始。

階層門のある聖域は、大きな樹が2つある草原だった。

大きな木の実を何個も付けている巨大な樹、その間にあるのは湧き上がる噴水だ。

噴水からは止めどなく水が流れ出て、4つの川ができている。

そして噴水が湧き上がっている場所をよく見れば、そこにあるのは階層門だ。

とても聖域というインパクトを放っている、足を踏み入れてはダメなんじゃないかと思わせる、そんな神秘的な雰囲気の佇まいだった。

「これはそのまま行くと濡れてしまいますわね」

「噴水の中心にあるって、もうちょっと私たちが通ることも考えて欲しいわ」

ラナが無茶を言ってらっしゃる。でもちゃんと考えてあるから安心してほしい。

「あったわ。天使を生み出す水晶よ。――ノーア、いける?」

「お任せくださいまし! 『神代わりカウンターストライク』ですわー!」

「「「―――!?!?」」」

「ここでタッチですわー!」

見事なタッチだ。ギルドバトル〈城取り〉で慣らしているだけある。

水晶を守っていた守護天使たちをカウンターでぶっ飛ばし、そのままノーアが水晶にタッチする。

同じように他にも3箇所あった水晶をタッチすると、なんと階層門の前で吹き上がる噴水が止まったのだ。

「あ、この水晶を触るのが噴水を止める仕掛けだったのね!」

「みたいですわ。これなら濡れずに階層門に入れそうで安心しました」

「ナイスだノーア!」

「おーっほっほっほ!」

「はーっはっはっは!」

ノーアにグーして階層門を確保。

その後、援軍に駆けつけてきた天使共を殲滅し、お隣の聖域も全て制圧し終えると、レイドボスへ挑む準備をする。

だがここで、ちょっとただならぬ悲鳴が轟いた。

「わ、なにこれなにこれ!? ゼフィルスさんゼフィルスさん! この木の実、すっごい効果なんですけど!」

モナである。採集メンバーのモナたちがこの聖域にある2つの樹から採集した木の実を見て大はしゃぎしたのだ。

持ってきたのは2種類の実、片方は〈生命の実〉、もう片方は〈知恵の実〉である。

〈生命の実〉は食べるだけで、料理アイテムとは別枠でHPとSTRをバフする。

〈知恵の実〉は食べるだけで、料理アイテムとは別枠でMPとINTをバフする。

とんでもない効果だな。

攻撃力をバフするアイテムは数あれど、ステータスのHPの最大値とSTRを伸ばすアイテムは今まで存在しなかった。それだけこれがとんでもないものだということが分かるだろう。

「なにこれ、すっごい効果じゃないの! みんな食べましょ!」

「効果時間は30分のようです。あと、どちらか片方しか食べられないようなので注意しましょう」

「モナ! これはたくさん持って帰るぞ! 大量に集めてくれ!」

「まっかせてください!」

そう、ここにはこんなとんでもないアイテムまであるんだよな。

しかも、レシピさえあれば加工してさらに強力なアイテムにすらできてしまう。

ふふふ、60.5層に住まうレイドボスの前に立つ2本の樹、もちろんレシピはここのボスから手に入れることができるのだ。

さあ、準備も完了。60.5層のレイドボス、攻略の時間だぜ!