第1910話 ついに登場〈クマアリクイ(最終形態)〉!
第1910話 ついに登場〈クマアリクイ(最終形態)〉!
「今度は――〈 熱帯の森林 ( ジャングル ) ダンジョン〉!?」
「アリスも覚えてるよ! ここ、ジャングル! あとアリクイとクマがいるの!」
「いやちょっと待てアリス、確か出るのはどっちかだけだったと思うぞ? どっちだったっけ?」
「アリクイだ」
そう、みんな大好き――〈 熱帯の森林 ( ジャングル ) ダンジョン〉は〈クマアリクイ〉がボスとして君臨するダンジョンだったな。
クマなの? アリクイなの? 正解はアリクイです! 動きはクマだ。
なお、アリスとゼルレカは混乱している。
「あ! あれって〈アラル〉!?」
「デッカい!」
「このダンジョン、色々大きくしすぎですの!」
アルテの言葉にカグヤとサーシャが目を丸くしてツッコんでいた。
だがツッコんだのは言葉に対してではない。ここに登場するコアラ型モンスター〈アラル〉――の最終進化系に対してである。
「『看破』! 出ました。あれは〈マスター・オブ・アラル〉です!」
「全員道着を着てる!? 10メートル級の大きさで何をする気だし!」
ここに登場する〈アラル〉の進化系は10メートル級の二足歩行の道着を着たコアラモンスターだった。割とかっこいい見た目。
空手か、それとも柔道か、あの体格でなにを出してくる気なのかと俺も初めて出会ったときはドキドキしたよ。ちなみに攻撃方法は基本的にチョップと蹴りである。多分空手の一種?
そんな〈アラル〉が8体行動とかして襲ってくるのだからたまらない。
まあ、全部蹴散らして進んだが。
ちなみにドロップは道着だった。こんなデカいものをどうしろと?
「2層も大したことはないわね!」
「ええ。わたくしたちもレベル上げをしてきた甲斐があるというものですわ!」
うむうむ。なにせ俺たちのLVは95だからな。こんなところで苦戦しては先が思いやられてしまう。つまり、楽勝で良いのだ。
そんなことを思いながら2層を通過しようとしていると、突如異変は起こった。
「!? アンテナに反応!? 『エリアボス探知』! リーナさん、来てます!」
「みなさん、カイリさんがエリアボスの接近を感知しましたわ!」
「待て、きっとそのボスはあれだ! 俺がやる!」
「私もやるわ!」
道中でカイリがエリアボスの接近を感知したのだ。
これは朗報(?)。
〈聖界ダン〉まで5層以内でエリアボスが襲ってきたことは無かったが。〈万界ダン〉からは浅い階層でも普通に襲ってくるようになるのだ。
ちなみにゲーム時代、〈 熱帯の森林 ( ジャングル ) ダンジョン〉の時に〈クマアリクイ〉を 周回 ( ブッコロー ) した回数が多いほどここで襲われやすくなる、なんて迷信がまことしやかに囁かれていたのだが、きっと関係無いよね?
そしてそいつはやって来た。
「グマーーーー!!」
「あ! なんか叫び声が変わってるわ!」
「来ました! アイコンは――2です!」
「1班と3班でいくぞーー!!」
「けっちょんけっちょんにしてやるわー!」
「『看破』します! あれは〈クマアリクイ(最終形態)〉です!」
「クマなの? アリクイなの?」
「どこかの狩られるウルフと同じような名前しやがってー! あとクマじゃなくて君はアリクイだよ!?」
「グマーーーー!?」
出てきちゃったのは〈クマアリクイ〉を大型にした姿の――アリクイ型ボスモンスター。
―――〈クマアリクイ(最終形態)〉だった。
どこかの誰かと名前が似ているね。不思議だね。
もちろんクマではない。こいつはアリクイだ!
〈ニセグマ〉系列の最終進化系の一角である。
〈クマアリクイ〉は進化すると〈ビビルクマジロー〉や〈ビリビリクマリス〉、〈ビリビルクマサブロー〉などに進化していくのだが、最終的に〈クマアリクイ〉へ回帰した存在だ。それくらい、〈クマアリクイ〉が良かったということだろう。
だが、進化した時の能力はしっかり受け継いでいて、〈クマアリクイ(最終形態)〉は、なんと〈雷属性〉を多用し、電撃の 鞭 ( 舌 ) で縦横無尽に攻撃してくる強力なボスモンスターとなっていた。舌を出してくるとかもうクマじゃないじゃん!
さらには全長は20メートル級である。大きくなりすぎー!
「グマーーーーー!」
「なによ、〈クマアリクイ〉のくせになかなかやるじゃないの! 『神の守り』!」
「後ろがガラ空きだぜ〈クマアリクイ〉! 『 天光勇者聖剣 ( あまのひかりのゆうしゃせいけん ) 』!」
「グマーーーーー!?」
電撃の 鞭 ( 舌 ) をラナの神の結界に防がれた隙に、俺が背後に回り込んで『聖剣』系でズドンしてあげた。瞬間、ナキキが『グロリアス・ロールオーバー』でひっくり返してしまったので――ダウン。
総攻撃を繰り出した。
「グマーーーー!」
「やはり、結構硬いですね。来ますよ!」
「ミジュ、シヅキ、ぶちかましてやれ!」
「おけ!」
「まっかせてよ!」
1班のメンバーは俺、シュミネ、ナキキ、ミジュ、そしてシヅキだ。
「グマーーーーー!」
「『ビッグクマン・ギガデストロイフィスト』!」
「グマン!?」
「これでも喰らえー! 『魔王砲』!」
ズドンズドンと良い攻撃が当たっていく。
〈クマアリクイ(最終形態)〉はその巨体に見合わぬ動きでデカい拳によるアタックを仕掛けてきたが、ここでミジュがパンチ返しを繰り出した。クマ対ニセグマの拳の衝突、手に汗握ったぜ。勝ったのは――もちろんミジュ。
さらにはシヅキの『魔王砲』が土手っ腹に命中し、ノックバックさせたところで一斉攻撃を叩き込んだ。
「グマーーーー!!」
「きゃ!」
「回復します――『 樹聖恵 ( じゅせいけい ) 』!」
「そのまま回復をよろしくねシュミネ! ――〈クマアリクイ〉も成長したんでしょうけど、私も成長したのよ! 『大聖光の無限宝剣』を喰らいなさい!」
「グマ!?」
あ、ラナがアタッカーに回った。
スキルLVが10に至り、64本になった宝剣の嵐が〈クマアリクイ(最終形態)〉へと飛ぶ。
もう最初に〈クマアリクイ〉に挑んだときにバフをミスってオロオロしていたラナはいない。もう…………なんかそんな時代が本当にあったのか怪しいほどの進化を遂げているのがラナである。
〈クマアリクイ〉よ、君もパワーアップしたのだろう。自信を身につけて襲ってきたのだろう。――でもね、ラナの方が多分パワーアップしてるんだ。
「グマーーーーーーーーー!?!?!?」
なんだか、「そんなバカなーーー!?」とでも聞こえたような断末魔を最後に、〈クマアリクイ(最終形態)〉のHPもゼロになってしまったのだった。
「見てゼフィルス! 〈最上級クマアリクイの巨毛皮〉ですって! ハンナはこれいるかしら!?」
「ほほう? いや、ハンナはもう使わないんじゃないか? ダンジョン潜らないし」
「あ、そうよね! でもなんだかこれを見ていたら懐かしくなっちゃったのよ」
「分かる」
ハンナの最初の装備は、〈クマアリクイの大毛皮〉から作った〈アーリクイーン(黒)〉だったからなぁ。ちなみに、生産用装備ではなく、戦闘用装備として作られていた。あの頃のハンナはまだダンジョンに潜っていたんだ。懐かしい。
「それに〈金箱〉! 2箱よ! ゼフィルスはそっちを開けてもいいわ。こっちは私が開けるの!」
「なぬ!?」
さらには〈金箱〉も2箱ドロップだ。
しかし、ラナのテンションがいつもよりも高い気がする。
懐かしいボスと戦えて嬉しかったのかな? それも分かる気がするぜ。
お祈りを済ませ、〈万界ダン〉で初となる宝箱をオープンする。
「お、おお! マジかこれ」
「ゼフィルス、なんて書いてあったの!?」
俺の〈金箱〉に入っていたのはレジェンド色――じゃないレシピだった。
まあレイドボスじゃなかったしね。エステルに『解読』してもらえば、読めるようになったレシピには〈究極アーリクイーン(精強)シリーズ装備全集〉と書かれていたんだ。
まさかの〈アーリクイーン(黒)〉の最上級!? 〈クマアリクイ(最終形態)〉で作製するシリーズ装備の全集レシピだったのだ!
「やっぱり作りましょうこれ! 記念に絶対良いわ!」
「ここまでお膳立て(?)されちゃあ仕方ないな! よし、記念に作るか!! マリー先輩たちのレベリングにもなるしな!」
こうしてまさかの最上級〈アーリクイーン〉を作ることに決まったのだった。
ちなみにラナの宝箱に入っていたのは――錬金術師用のグローブだった。
その名も〈失敗挽回の錬金グローブ〉。あ、こ、これ当たっちゃうのか。
これは錬金で 失敗 ( ファンブル ) や 大失敗 ( デザートファンブル ) した時、素材を消費しなくなる、『【錬金術師】失敗挽回』スキルのついた専用腕装備だ。
早速とんでもなく破格の装備が当たってしまった。
なぜか〈クマアリクイ〉って錬金と親和性高くない? 不思議!