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第1912話 〈エンペラーゴブリン〉最終形態戦!

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第1912話 〈エンペラーゴブリン〉最終形態戦!

「〈鉱ダン〉というと、未だ誰も突破したことのない、エクストラダンジョンね?」

「わたくしも知っていますわ。最高到達層は37層。そこで 上級上位 ( ジョウジョウ ) 級のモンスターが登場したことで〈ハンター委員会〉が撤退したと、最近のニュースで流れていましたわ」

「正式名称は〈鉱石と貴金ダンジョン〉。通称〈鉱ダン〉。エクストラダンジョンの中で唯一攻略が済んでないというか、〈エデン〉がまだ1回も入ダンしたことのないダンジョンだな」

そう、切り出したところでシエラとリーナが食いつく。

守護型ボスの〈エンペラーゴブリン〉最終進化系が奥で待ちぼうけを食らっているが、周囲にはゴブリンも多いのでみんな楽しそうに狩りをしているな。

「ゼフィルスは、何か懸念があるのね?」

「ああ、〈採集無双〉からの報告なんだが、3層の〈廃鉱ダン〉からはろくな素材が『発掘』できなかったとソドガガが嘆いていたそうだ。ランク3の〈聖界ダン〉で手に入れたレシピに書かれていた鉱石が、何一つ手に入らず、鉱石探知にも引っかからなかったらしい。そこで、もしかすれば〈鉱ダン〉の方にあるのでは? と考えたわけだ」

「確かに、最上級ダンジョンに入ってから鉱石類のドロップがあまり良くないという話は聞いていますわ。〈木箱〉産レシピ、〈銀箱〉産レシピ、〈金箱〉産レシピに書かれた鉱石類は確かに『発掘』できますが、レイドボスからドロップするレジェンドレシピに書かれている素材が一向にドロップしない、と」

「ゼフィルスは、その鉱石類が〈鉱ダン〉の前人未踏の場所にあると考えているのね?」

イエスである。考えている、ではなく知っているのだが、そこはスルーで。

そう、実はこの最上級ダンジョン、特に鉱石類に関してはレジェンドレシピに書かれている鉱石はランク4までドロップせず、採集もできないのである。

ええ? と思うよな? どういうことって。

最上級ダンジョンのランク4までで採集できる鉱石は〈金箱〉級まで。レジェンド級を作るための鉱石はまた別口で用意されているのだ。

それが最後のエクストラダンジョン。〈鉱石と貴金ダンジョン〉。

50層まであり、深層の41層からは最上級ダンジョンレベルのモンスターが登場する難易度に跳ね上がる、鉱石や貴金を大量に採集できるダンジョンだ。

「レジェンドレシピによく書かれている素材〈オリハルコン〉。おそらくこれが、〈鉱ダン〉の深層で入手できると、俺は睨んでいるんだ」

最強の装備作りはサブ ストーリー ( クエスト ) 。これ鉄板。

〈ダン活〉でも例に漏れず、レジェンドレシピの最強装備を作りたければ〈鉱ダン〉に行け、という仕様だった。

もちろん全部じゃないぞ? ボスドロップから作れる装備も多い。

だが、真に最強の装備を作りたければ〈鉱ダン〉の攻略が必須、というのが〈ダン活〉の設定だったのだ。〈鉱ダン〉には鍛冶の最上級生産アイテムもドロップするからな。

俺は一度〈万界ダン〉の様子を見せ、やはりここでも〈オリハルコン〉は手に入らないことを確認して、提案したわけだ。

「そうですわね。作製できないレシピもだいぶ数が貯まっているとアルルさんたちから連絡を受けておりますわ。〈鉱ダン〉、行ってみる価値はありそうですわね」

「私も賛成よ」

元はシエラが戻ろう、装備を揃えようと言いだしたことなので、シエラは即の賛成だった。

「では――あのなんちゃらエンペラーゴブリンを倒してしまいましょう」

なんちゃら!?

悲報……〈 国落 ( くにおとし ) の 災厄 ( さいやく ) ・ヘルデザート・スペード・エンペラーゴブリン〉というかっこいい名前で再登場したのに、リーナに名前覚えてもらえず…!

「私がやるわ」

「お、俺もやるぜ!」

早く戻ろう、そんな意思をシエラからヒシヒシと感じるままに、あー、略称〈エンペラーゴブリン〉との戦闘が決まった。

担当は俺たち1班とシエラの2班。〈エンペラーゴブリン〉のアイコンに書かれていたのは「2」だったので、2パーティで挑む。

「相変わらず、大きいボスっすね!」

「階層門を守る守護型ボス。ですが、体格が大きすぎるせいで逆に階層門の位置がバレているのですが、これは守護型ボスとしていいのでしょうか?」

「だだっ広い草原のフィールドにポツンと立ってるあれは目立つ」

いやほんと。

ナキキ、シュミネ、ミジュの言う通りである。

〈エンペラーゴブリン〉ったら、階層門の前に立って守護型ボスらしく守っているのはいいんだけど、丸見えなんだよ。身長20メートルもあるから。

リーナが『階層門発見』を使うまでも無く目視で「あ、あれですわね」と見破った(?)レベルだもん。草原にアレは目立つ。

まあ、それはともかく久々の再戦だ。

俺はちょっとワクワクしていた。

「シエラ、今回は俺を先頭にさせてくれないか?」

「ゼフィルスを? 何か考えがあるの?」

「いや、ちょっと挨拶しておきたくてさ」

「挨拶……」

守護型ボスのタゲは最初に〈パーソナルフィールド〉に入ったものに向けられる。

俺が最初に侵入すると、それまで腕を組み立っていた〈エンペラーゴブリン〉が目を開けた。

まるで俺を待っていてくれたようで、ちょっとじーんときたんだ。

「久しぶりだな〈エンペラーゴブリン〉よ。お互いずいぶんと強くなったようだ」

「ゴオオ」

「おう、今日はもちろん、戦いに来た! 相手してくれるよな!」

「ゴアアアアア!!」

俺の言葉、やっぱり伝わってるだろ!

挨拶が終わった瞬間臨戦態勢になる〈エンペラーゴブリン〉。

相変わらず、右手に大剣、左手に長杖を持ったスタイルだが、大剣は刃渡りだけで20メートル、長杖は25メートルもあり、かなりのリーチを誇る。

まずは長杖を掲げると、なんと〈エンペラーゴブリン〉にバフが掛かった。

初手バフとかマジやべぇ。

「ミサト!」

「たは! それ貰っちゃうよ~! 『パーフェクト・バフ・ドレイン』!」

「ゴアアアアア!」

だが、そのバフはミサトがドレインしてしまい、強力なバフアイコンが消えてミサトに付く。

怒りマークの入った〈エンペラーゴブリン〉は、続いて大剣を振り下ろさんとしてきた。

「いくぜ! 『 天光勇者聖剣 ( あまのひかりのゆうしゃせいけん ) 』!」

「ゼフィルス?」

シエラが防御するために構えていたが、俺の『聖剣』の方が先に放たれる。

本来ならシエラが受け止めたところに俺が『聖剣』を叩き込むのが正解。

だが、すまんなシエラ、この一撃だけはやらせてくれ。

「これが、強くなった俺だーーーーー!!」

「ゴアアアアアア!!!!」

〈エンペラーゴブリン〉も強烈なスキル、『 破砕剣 ( はさいけん ) 』を放ってきて、『聖剣』と激突。

強烈な光のエフェクトを散らしながら一瞬鍔迫り合いになったが、次の瞬間には――俺の『 天光勇者聖剣 ( あまのひかりのゆうしゃせいけん ) 』が押し勝ち、〈エンペラーゴブリン〉をぶった切っていた。

「うおおりゃああああああああ!!」

「ゴガアアアアアアアア!?」

「うわ、すごいっす!?」

「い、今! 『ビッグクマン・ギガデストロイフィスト』!」

「『大魔王降臨』だよ! クロちゃん! クジャちゃん!」

「『世界樹召喚』! ナキキ、いってきなさい!」

「はいっす!」

「ゴアアアアアアア!」

「またバフっす! でも全部ぶっ壊すっす! 『ハルマゲドン』!」

ズドン。

非常に強力な破壊が〈エンペラーゴブリン〉を襲う。

〈エンペラーゴブリン〉の持ち味は、バフ。

大量のバフを身に宿し戦うためかなりの強敵のはずなのだが、こっちにはバフを奪うミサトや、バフを 破壊 ( ブレイク ) してしまうナキキがいるので問題無い。

「ゴアアアアアアア!!」

懐かしきファイヤーボール。

そういえば攻撃魔法を最初に使ってきたのも〈エンペラーゴブリン〉だったな。

だが、あれから進化を遂げた〈エンペラーゴブリン〉のファイヤーボールはもはや別物。

まるでガトリングのように凄まじい連射で弾幕を張るレベルの攻撃をしてきた。

しかし。

「これほどの魔法をゴブリンが使うのね。でも――『 守陣形 ( しゅじんけい ) 四聖盾 ( しせいたて ) 』! 『エンプレス・オブ・カバー』!」

シエラの盾はそんな攻撃すら全て防ぎきる。

「『ゴッドドラゴン・カンナカムイ』!」

「ゴアアアアアアア!!」

前みたいに1対1で打ち合う機会が少なくてスマン〈エンペラーゴブリン〉。

最初の対峙だけで許してくれ。

今まで〈エンペラーゴブリン〉と戦ったのは、全てソロだった。

本当ならこいつともソロでやり合いたいところ、俺なら時間掛ければ倒せそうだし。

だけど、今の俺には仲間がいるんだ。

「ゴアアアアアアア!!」

「! 懐かしいワザ出してきたな!」

杖を捨て、大剣を両手で握るあのスキル。

間違いない、ソロで戦っていた時にもよくやられた『ゴブリン流・必殺破砕剣』。

初めて敵で使用してきた――ユニークスキルだ。

守護型ボスなのにユニークスキルを使ってくるとかパナイ。これは継承スキルだな。進化前に使えてたスキルを引き継いで使えるだけだ。最終進化系で覚えるユニークスキルは当然守護型ボスでは使えない。要はあの時の再現だろう。

なら、俺はこれでお相手しよう。

「『テンペストセイバー』!」

『ソニック』系の上位スキルで後ろに回り込む俺、そしてユニークスキルが叩き込まれたところを狙い、あの時の再現のようにぶった切った。

「『インフィニティ・バニッシュセイバー』!」

「ガアアアアア―――――!!」

ズシーンと膝を突く〈エンペラーゴブリン〉。

背中に叩き込まれた【救世之勇者】の六段階目ツリー、スキルLV10の攻撃。

ユニークスキルの後に叩き込まれたこれが効かないはずもなく、ダウンしたのだ。

「総攻撃だーーーーー!!」

サンクス〈エンペラーゴブリン〉。

悪いが、これで締めだ。

「『 勇者の剣 ( ブレイブスラッシュ ) 』!」

ズドンと叩き込む勇者の剣。

他にも大量の総攻撃を喰らい、〈エンペラーゴブリン〉のHPがゼロになる。

「ゴブ」

「おう。また遊ぼうな!」

なんだかこっちに振り向いた〈エンペラーゴブリン〉が、少し笑った気がした。

そして膨大なエフェクトの海に沈んでいき、〈金箱〉を残して消えていったのだった。