第1915話 〈鉱ダン〉を軽~く突破してたらツッコミ万歳
第1915話 〈鉱ダン〉を軽~く突破してたらツッコミ万歳
「確かにゼフィルス先輩が言いだしたら有言実行してしまう、みたいなことを言ってやがりましたが。本当に有言実行しちまいやがりましたよ」
「う、うん。言うのと実際は、やっぱり違うよね、モニカの言いたいことがとっても分かるよ」
「2人とも、なんだか反応が新鮮でちょっと羨ましくなってきたぜ」
現在41層。
軽~く40層の壁を突破し到達した41層を見てモニカとクイナダがやや茫然と驚いていたんだよ。ゼルレカの言葉も分かる。反応が新鮮だよな!
ふっふっふ、これでみんなにも〈鉱ダン〉が40階層以上あるダンジョンだと分かってもらえただろう。
「クイナダも難儀ね」
「分校に1度戻ったから、気分が若干リフレッシュしちゃったんじゃないかな?」
「アレだね、分校に戻る前は80%くらい〈エデン〉に染まってたけど、分校に戻れて50%くらいまでなんとか戻ってこれた感じかな?」
「は、反応にフレッシュさが戻ってきてて、ゼフィルスさんが嬉しそうにしてます!」
そんなクイナダを見て、シエラ、ミサト、ノエル、ラクリッテがそれぞれ述べる。
うむうむ。言い得て妙だな。クイナダは分校に戻って良い影響(?)を得て戻ってきたようだ。モニカと共感できる部分が増えている気がするんだぜ。
「40層のボスも大したことなかったわね! どうやら私たちは、強くなりすぎてしまったみたいだわ!」
「体感で 上級上位 ( ジョウジョウ ) のランク9、〈竜ダン〉に出てきた徘徊型〈暗黒竜〉クラスはあると感じたな。俺たちはあいつをLV65で倒したし、LV95になっている俺たちにとってまさに敵じゃないだろうさ!」
ふはは!
こっちはラナとハイタッチ中だ。
俺たちもずいぶんと強くなってしまったと実感してしまう戦いだったんだ。
〈鉱ダン〉の40層のボスは今言ったとおり、推奨LV60から65くらい。名前は〈クマ型ゴーレム・メタルクリムゾンベアー〉。
またクマだったよ!! 赤くメタリックなクマ型ゴーレム。意外にも実際動いているのを見ると、なかなか胸を熱くさせてくれるゴーレムだった。
もちろん胸が熱くなったので全力で〈六ツリ〉を叩き込んだんだ。するとすぐに光になってしまった。ク、クリムゾンベアーーーーーー!!
「なかなか順調ですわね。いえ、道中のモンスターが難なく屠れるからでしょうか? 採集しながら進んでいますのに、41層に着いた段階でまだ15時前ですわ」
「おう。これなら今日中に45層までいけそうだな!」
目指せショートカット転移陣だ。
エクストラダンジョン門には〈転移リング〉が無いから〈転移水晶〉とか〈テレポ〉、〈エンテレ〉が使えない、帰還の手段が転移陣しかないので要注意だ。
当初は40層で今日は帰還しようと話していたが、1日で45層までいけそうな雰囲気。
「ゴー!」
「ゼフィルス殿、やはりここのモンスターは最上級モンスターの強さはありそうです」
「と言っても〈樹界ダン〉の〈ウルフ〉くらいの強さね! まだまだ余裕よ! 『大聖光の無限宝剣』!」
「ゴー…………」
41層に登場したゴーレムが宝剣によって次々と屠られていく。
ラナがアタッカーで無双してるよ!
おかしいな。ラナはヒーラーだと忘れそうになってきた。
「なんで〈エデン〉はこう、テンションが変わらないでやがりましょう? 普通はもっとこう、〈鉱ダン〉で未踏破区域に入った! とか、40層よりも先があったのか、これは大発見だ! みたいなやり取りがあっても良いと思うんでやがります」
「そ、そうだよねモニカ! もっと喜んでもいいよね! 大発見に騒いでもいいんだよね!?」
ふふふ、モニカの〈エデン〉侵食度がまだまだ低そうで安心。
クイナダは、一般常識と〈エデン〉の常識に揺れている様子がまた良いんだ。
でも手加減はしないぜ!
「俺もやる! いくぜ――『インフィニティ・バニッシュセイバー』!」
「だからそれオーバーキルだよ勇者君ーーー!?」
ズドンズドン。
鉱山の邪魔者は消えた。
ニーコがなんか叫んでいたが、きっとノリノリだったと思うので問題無い。
モンスターが居なくなれば――『発掘』の出番だ。
「うおおおおおおおお! 『大発掘』ーーーー!!」
「ソドガガがとても興奮してるよ!」
「最上級の鉱石がじゃんじゃん採れるから仕方ないな!」
「おお!? 宝石なんかもゴロゴロ出るぞここ!?」
まず近くの『発掘』ポイント、地面から結晶体のような 岩 ( 鉱床 ) が突き出ている部分へソドガガが跳んだ。あのずんぐりむっくりの身体で非常に俊敏な動き!
ツルハシをガツンガツンガツンガツンと打ち付ければ、大量の鉱石や宝石がボロボロ採れたんだ。
「これ、本来最上級ダンジョンで採れる鉱石類ですよ! 〈万界ダン〉の3層の『発掘』で産出した物と同じです!」
「さすがはサティナさん、よく覚えてる! つまり大当たりだ」
そう、〈万界ダン〉の3層は廃鉱なのに『発掘』ポイントも多いエリア。
そこから産出したものと今ボロボロ採れているものは、同じ物だったんだ。
普通の最上級〈銀箱〉産装備なら、作製可能な鉱石類だな。ボス素材と混ぜれば〈金箱〉級だって作れてしまう。しかし、〈オリハルコン〉はまだ産出しない。
「ぬぅ!!」
「ソドガガが、〈オリハルコン〉が出ない。もっと先の階層へ進む必要がある、って言ってるよ!」
「俺には〈ぬぅ!!〉しか聞こえなかったのに、そんな意味が込められてたのか!?」
さすがは付き合いの長いモナ。ソドガガ語の翻訳が素晴らしい。ソドガガもうんうん頷いてるもん。
「OK、あまりここに時間を掛けてもいられん、さっさと45層まで行くか!」
「だからノリが軽いんでやがりますよ……」
俺たちは先に進んだ。
44層で最上級ダンジョンのランク2並の強さを持つモンスターが現れたが、俺たちの敵では無かった。問題なのは。
「ぬぅ!」
「45層も〈オリハルコン〉が出ない! って言ってます。もっと先に進む必要がありそうです!」
「モナはなんでソドガガの言うことが分かるんだ??」
さっきの「ぬぅ!!」と今の「ぬぅ!」、いったいなにが違うというんだ!
びっくりマークの差かな?
「『ゼフィルスさん、この先に守護型ボスがいると先行していた4班、5班、6班から連絡がありましたわ。アイコン3がついてるそうです!』」
「複数パーティ推奨ボスか!」
先行していたカルアの班から連絡で守護型ボス発見。間違いなく最上級クラスのボスだな。
推奨LVは80なんだが、うん、俺が居なくても大丈夫だ。
「よし、倒していいぞ!」
「倒していいぞ? 今ゼフィルス先輩、倒していいぞって言いやがりませんでしたか?」
「えっと、倒しちゃってもいいよって意味だと思うよ?」
「ちっげぇでやがります! そんなことは分かってるんでやがりますよ! なに軽いノリで倒していいって言っちゃってるでやがりますか! 完全に倒せる前提、その辺のモンスターと同じ感覚なんでやがりますよ! 最上級クラスのしかも未見のボスでやがりますよ!?」
「…………ああ!」
「今気が付いたでやがりますか!?」
「えっと、だって今まで〈エデン〉って負けたことなかったし」
「…………そうでやがりましたね」
俺がゴーサインを出したら同じ班のモニカが二度見してきて、さらに同じ班のクイナダにヒシッとくっついて色々常識の摺り合わせをしていたんだ。
モニカのツッコミと困惑が心地良い……! 俺、2人を同じ班にして良かったよ!
「なんか、邪な気配を感じるのよね」
「そ、そんなの気のせいだぞシエラ! 俺がそんな邪な気配なんて、発するわけないじゃないか!」
【勇者】だからな!
「…………」
「シエラ先輩、浄化しますか?」
「お願いできるかしらマシロ?」
「ええ!? 必要なんて欠片もないぞ!?」
「えい、浄化です!」
「ああああああ! 清められる~~~~!?」
シエラからジト目もらってさらにテンションが上がってたらマシロに浄化されてしまった。
もちろん振りだ。スキル使ってないもんね。手をギュッとされただけだ。
「『ゼフィルスさん、今大丈夫ですか? リカさんたちが守護型ボスを撃破しましたわ』」
「早いな!? よーし、今日はここまでだ。ショートカット転移陣に登録したら、今日はもう帰還しよう!」
「『了解ですわ。みなさんを転移陣の前に集めますわね』」
ちょっと遊んでいたらもう帰る時間。楽しい時間は瞬く間に過ぎていくんだ。
「結局ゼフィルス先輩、45層ボスの名前すら聞いてないでやがりますが?」
「いいのよモニカ。エクストラダンジョンだし、ゼフィルスにとってはまだ遊んでられる段階なの。ゼフィルスがこう言っているうちは、〈エデン〉も大丈夫ということね。……きっと明日からは真面目にやると思うわ」
「遊び……そうでやがりましたか。エクストラダンジョンは遊ぶ場所だったんでやがりますね」
その通りだモニカ。
QPを払うことで入ダンすることができるご褒美的な場所。
〈食ダン〉〈海ダン〉〈秘境ダン〉、そして〈鉱ダン〉。
エクストラダンジョンは、遊ぶためのダンジョンだぞ?