第1937話 アルル無双の開幕。出でよレジェンド装備たち
第1937話 アルル無双の開幕。出でよレジェンド装備たち
〈 励起 ( れいき ) ・ 聖刃 ( せいばー ) 〉を作ったアルルはとてもテンションが上がっていたよ。端的に言えば大はしゃぎだった。
「コツは大体掴んだで! 今なら〈 励起 ( れいき ) ・ 聖刃 ( せいばー ) 〉ももうちょっと数値高く作れる気がするわ!」
「なんて頼もしい宣言なんだ!」
「アルルちゃん、はしゃぐ気持ちも分かりますけど、しっかり休憩も取らないとダメですよ?」
「おっとせやった。おおきにハンナはん」
アルルの奥義、『フル 炎 ( えん ) 2000連打鍛冶』はかなり消耗が激しい。
1回やったら10分は休憩することを義務づけ、ハンナも駆けつけてはしゃぐアルルに諭していた。
同じ生産職でもハンナは〈生徒会〉の生産隊長。生産職の体調を確認し、無理のない生産をしてもらうよう呼びかけるのもお仕事なのだそうだ。
「いやぁ、最強武器をこの手で作れる高揚感がたまらんわ! 危うく体調にも気付かずやらかすところやったわぁ」
「アルルちゃんったら……でもその気持ちはちょっと分かります。私も〈天聖祝福のオリハルコンメタル〉を作った時そんな感じでしたもん」
「ああ、ハンナがいつの間にかLV100になってた事件な」
「う、うん。でも、アルルちゃんの方が身体の負担は大きいから」
「分かる。頭では 分 ( わ ) こうとる。しかしや、今うちはめっちゃ打ちたくて打ちたくてたまらんのや! この休憩時間がマジ 億劫 ( おっくう ) やで!」
どうやらハンナがアルルを止めたのは大正解だったようだな。
最強装備作製でアルルのテンションが天井を破壊しかねない勢いで上昇中のようだ。このテンションに任せてハンマー振りかぶりまくってたらぶっ倒れてたかもしれない。『フル 炎 ( えん ) 2000連打鍛冶』直後はアルルすげぇ息上がってるしな。
「ダメですよ~? 鍛冶は特に生産の中でも体力勝負なんですから。体調管理はしっかりすること。その上で良いものを作りましょうね」
「はいな生産隊長はん~」
ハンナが立派に生産隊長しているな。
この日は、しばらくハンナと共にアルルの生産を見守った。
ハンナもMPが全回復したら『アイテムレボリューション』を使うために時々離席していたが、俺は昂ぶるアルルを諫める役目があったからな。
時々一緒に昂ぶってしまったような気がしなくもなかったが、アルルに無理はさせなかったぞ。
例えば〈猫界ダン〉から手に入れたレジェンドレシピからは、猫の武器スキル全てを使うことができる〈真の猫クラミハマネ〉を作製した。
俺も猫の攻撃スキルを全て使ってみてしまったんだぜ。めちゃくちゃテンション上がったよ!
また、これをギルドハウスに流したら、ちょっとした猫騒ぎが発生したこともここに記載しようと思う。
「というわけで、アルルが作ってくれた2本目の武器は――片手剣〈真の猫クラミハマネ〉だーー!!」
「ルルなのです! ルルが一番に使いたいのです!」
「残念だったなルル。すでに性能実験で俺が一番に使ってしまったあとさ」
「にゅ!? ゼフィルスお兄様、ずるいのです!」
「わはははははは!」
「リカも使いたい? 昔リカ、猫スキル使ってた」
「うむ。是非私も使ってみたい。私が使っていたのは中級武器だったからな。人で言う三段階目ツリーまでしか使ったことがない。上級、最上級クラスには六段階目ツリーに匹敵する猫スキルもあるという。是非使わせてもらいたい」
「俄然興味が湧いてきましたわ! ゼフィルス様、是非私にも使わせてくださいまし!」
「お嬢様、次は私にも」
「もちろんだ! リカにもノーアにもクラリスにも、使いたい人は今から練習場に行ってこい!」
「「「おおー!」」」
こんな感じで多くのメンバーが〈真の猫クラミハマネ〉と一緒に練習場へ消えていったんだよ。全ての猫武器スキルが使えるために全部のスキルを使うのに時間が掛かり、結構な取り合いが起こったそうだ。
誰か1人に貸与するのは難しそうな武器を作ってしまったんだぜ。
次作ったのも片手剣だった。
〈聖界ダン〉で手に入れた、〈 真 ( しん ) ・ 天聖剣 ( てんせいけん ) 〉だ。
だけどこれも色々問題があってな。
「〈神〉武器! 〈神〉カテゴリーのついた武器だよ! それ私に頂戴!(切実)」
「サチっちがいつになく本気だー!?」
「よっぽど1人だけ普通の〈金箱〉級だったのが寂しかったみたい!」
「でもちょっと待って、サチっちだけ最強装備だよ!? 能力値が全然違うよ!?」
「あ、私たちの武器も更新してもらわないと!」
「エミちゃんとユウカちゃんは今まで〈神〉のレジェンド武器使ってたでしょう!?」
そう、〈 真 ( しん ) ・ 天聖剣 ( てんせいけん ) 〉は〈神〉カテゴリーの片手剣だ。故にサチが一生懸命欲しいと主張してたな。
これでレジェンド武器を使っているエミとユウカに追いつける――かと思いきや、能力値的に圧倒的にサチの方が強くなってしまったからさあ大変。
エミとユウカは両手武器、サチは片手武器なので、性能的に同格なら普通はエミとユウカの両手武器の方が強いはず、なのに実際はサチの方がかなり高かった。
これはエミとユウカも黙っているわけにはいかないと新しい武器を声高に主張してきた訳だな。あの時サチを裏切ったエミとユウカが、今度はぐぬぬする番というわけだ。ちょっと楽しかった。
「これ、気に入りましたわ! 〈智天使・ケルビムの 回炎剣 ( かいえんけん ) 〉! 攻撃力が1000超えの武器なんて、初めて見ましたわー!」
ノーアが気に入ったのは、なんとその攻撃力1001というとんでもない能力値を叩き出した大剣、〈智天使・ケルビムの 回炎剣 ( かいえんけん ) 〉だった。
片手用の短剣、〈 励起 ( れいき ) ・ 聖刃 ( せいばー ) 〉で552だったのに。
両手用の大剣、〈智天使・ケルビムの 回炎剣 ( かいえんけん ) 〉は1001だ。
能力値やべぇ。まあ、大剣は一撃に威力を求める武器。手数がメインの短剣とは数値が大きく違って当たり前だが、ついに四桁を突破したか~。
これだよ。アルルがLV100にならなければこの大剣も四桁を突破しなかったに違いない! この凄まじい上昇値は、アルルがカンストした成果だ!
俺は今、猛烈にアルルがカンストしたことを肌で感じまくっていた。
「アルルさん、この〈智天使・ケルビムの 回炎剣 ( かいえんけん ) 〉をあと9本拵えてくださいまし!」
「おおーっとそれにはこのアルルマネージャー、ゼフィルスを通してもらおうか!」
「いつの間にかゼフィルス様がマネージャーになってます!?」
ノーアの注文を華麗にブロックする俺。
クラリスが戦慄しているとおり、今の俺はマネージャーなのだ。自称な!
「見てくださいましゼフィルス様! この威力を! 『神代わりカウンターストライク』!」
ズッショバーーーーーーーン!!(練習場の的が50枚一斉にぶった斬られる音)
「うおお!? すっげーーーーーーー!! ダメージ高ーーーー!!」
「おーっほっほっほ!」
「はーっはっはっは!」
「だからゼフィルス様! 是非あと9本を!」
「ダメ」
それはそれ、これはこれだぜ! 順番順番!
「さあーアタッカーだけじゃない! 次はタンク組の装備も作ってもらうぞー!!」
つまりは盾だ!
「わぁ! 待っていました!」
「イエーイ! 盾の番だねー!」
ラクリッテやトモヨのテンションが上がっている。
ふっふっふ、ちゃんと両手盾や大盾も作製しますとも!
「それじゃあ最初は――〈 神晶盾 ( しんしょうたて ) ・ラーベ〉の両手盾!」
「私の出番ですー!」
「是非使ってみたいっすー!」
両手盾と言えば装備しているのはラクリッテ。他にはヴァンやナキキだな。
まず最初に名乗りをあげたのはラクリッテとナキキ。
ヴァンは入ってこられない。さっきはしゃぎまくってたノーアにやられて今はグンナイしてるからな。
まずはラクリッテに装備させてあげる。
「す、凄い! この上昇値、凄すぎですよ!? 私が前に使っていた両手盾だって『スキルLV10』が3つも付いて能力値も高かったのに、これはそれ以上です! スキルが4つもありますよ!」
「おおお! 凄いっすー!」
ラクリッテとナキキのテンションが上昇中だ。
「続いて大盾行くぞーー!」
「〈真・天聖盾〉の大盾だよー! しかも2つあるー!」
トモヨも大はしゃぎだ。トモヨのために2つ作ったような側面があるからな。
〈真・天聖盾〉は小盾と大盾で能力が全く違う。
大盾の方はスキルが4つ付いたまさにタンク向けの装備だ。
早速装備したトモヨが攻撃をじゃんじゃん弾きまくってテンションを上げまくっていた。
「これ、全然衝撃が来ないんだけど! 『衝撃大耐性LV10』すっごーい!?」
とても楽しそうだった。
そしてもう1つの側面、小盾ももちろん作ってある。
「シエラ、どうだこの小盾の数値は!」
「凄いわ。レシピを当てた時から思っていたけれど、是非4つ作製してほしいわね」
「シエラの装備はなによりも優先だな!」
「……もう」
シエラに見せたのは1つの小盾。〈幼若竜〉に『解析』してもらえばその能力値が判明。
小盾は大盾とは違い、スキルは無し。なんとバニラなのだ。
その代わり能力値が凄いことになっている。ぶっちゃけ大盾よりも高いのだ。
シエラの上級ユニークスキルは、4つの小盾を装備したとき、その能力値の合計の半分をプラスする。
つまり、大盾2つ分以上の能力値がシエラに加算されるのだ。マジ強すぎる!
みんな新しい武器や盾。
最強装備に見事に夢中になったんだ。
「まだまだこれからや。うちはまだLV100に至ったばかり、調整すればもうちょっと数値が伸ばせる気がすんねん。そしたらギルドみんなの武器防具、改めてうちが打ち直したる! そこから始まるで! うちの最強武具伝説がな!」
「アルルが頼もしすぎるぜ!」
アルルの気合いが最高潮だった。
テンションが天元突破しているように見えるぜ!
俺はテンションには詳しいんだ!
そして俺の見立ては、どうやら正しかったらしい。
まさかあんなことになろうとは……!