第1938話 全集合の猛ダッシュ。目的地まで最速でゴー!
第1938話 全集合の猛ダッシュ。目的地まで最速でゴー!
アルルがLV100になって1週間弱、その間アルルはそれはそれは体力の限界に挑むように装備を作製し続けた。
1個作製するのに息が上がるような作業を日に何十回もこなすのだ。
しかも熱中に夢中な状態で、朝目覚めて作製し、休憩しては作製しを繰り返し、多分夜も作製しまくっている。
マリー先輩やメイリー先輩から聞いたことがあるが、ギルドハウスの工房内では就寝時間を過ぎても校則が適用されず、割と夜遅くまでの生産が可能らしいのだ。
そういえばメイリー先輩、昼夜逆転生活で生産してるって話だもんな。そりゃ夜の就寝時間に縛られない方法もご存じだったというわけだ。
実は夜の就寝という規則は校則ではなく寮則、つまり寮ではなくギルドハウスで寝泊まりすれば夜だって生産できる、とのことなのだ。
つまりアルルはこの1週間弱、ギルドハウスに寝泊まりしながら延々と装備を作り続けていたということだ。なのに目は爛々としていて、あ、こりゃマズいと思ったね。俺はテンションには詳しいんだ。
「というわけで、アルルは当分ギルドハウスで寝泊まり禁止だ。寮に帰れ」
「そんな殺生やでゼフィルス兄さん!?」
俺からの通達を受けてガボーンっとショックを受けるアルル。
殺生なものか。むしろこのままアルルに生産させ続けることこそ殺生だろう。
ギルドハウスには温泉もあるし、食べ物もベッドも、〈幸猫様ファミリーズ〉もいらっしゃる。ちょっと寝泊まりできる環境を充実させすぎたな。
というわけで本日、アルルに寝泊まり禁止令が発令されたのだ。
「アルルちゃん、はしゃぐ気持ちは理解できます。私もLV100になった時、はしゃぎましたから! でもちょっと無理しすぎです。帰って休みましょう?」
「ハ、ハンナはん!?」
こっちにはハンナもいる。というかハンナから頼まれたのだ。アルルが無茶な生産、いや、はしゃぎすぎてるって。
テンションが天元突破してしまった弊害だな。俺も経験があるからよく分かる。
ハイになってると疲れって吹き飛んで感じなくなるもんな。
「なに、別に全面的に生産するなとは言ってない。ただ夜は帰れと言っているだけだ」
「休むことも大切ですよアルルちゃん。一緒に帰りましょう?」
「むむ、ハンナはんがそういうなら」
「俺は?」
おかしいな。これ、俺じゃなくてハンナだけでも十分効果があったんじゃない?
さすがは生産隊長だと褒めるべきなのだろうか?
「えっと、ゼフィルス君が一緒だったからアルルちゃんもあんなに素直に従ったんだと思うよ? なんなら、素材を取り上げる準備もしてたし」
「そんなん準備してはったんか!?」
素材を取り上げられたら、生産自体できない。
アルルが使うメイン素材は、ハンナからの供給物なのだ。ハンナが強い。
「えっと、最終手段ですよ?」
「うち、ハンナはんには逆らわんわぁ」
うん、あとで生産隊長は褒めておこう。
「……こほん、いずれにせよアルルが身体を壊す前に止められて良かったぜ。なにしろ、明日はいよいよあれがあるからな」
「あれ? なんやあったっけ?」
「アルルちゃん忘れてる!? もう生産しすぎです! 明日は海ですよ! あれ? まさか、水着のことも忘れてたりしますか?」
「あ!!」
アルル、ハンナに言われて冷や汗が流れたのを俺は確かに見た。
「今から行きましょう。アルルちゃん、ウム以外言わせませんよ?」
「ウム」
有無 ( うむ ) を言わさないなら聞いたことあるけど、ウム以外言わさないは初めて聞いたんだぜ。
最強装備の作製に夢中になるのは分かるけど、生産は無理しないようにね。
そうしてアルルがハンナに連れて行かれてしまった翌日。
「ついに〈エデン〉恒例の海へ行く日がやってきましたーーー!! みんな、準備はいいかーーーーーー!!」
「「「「「おおー!」」」」」
「「「いえーい!!」」」
〈エクストラダンジョン門・特伝〉通称:〈エクダン〉の中で、俺は集合したメンバーズを前にして気合いを注入していた。
ノリの良い方は「おーいえー」とも返してくれてテンションが上がる。
周囲で人々が俺たちを見てなんだなんだとざわついていても全く気にならない。
「水着は忘れてないな!? 他に忘れて居る もの ( 者 ) はいないか!? 全員ちゃんと揃ってるな!?」
「おう! 俺は忘れられてないぜ!」
サトルが勢いよく挙手する。うむ。
「総勢103名。しっかり揃ってます」
サンキューセレスタン。その言葉が聞きたかった!
セレスタンが言うのなら間違い無い。
本日向かうメンバーは、〈エデン〉50人、〈アークアルカディア〉19人、〈エースシャングリラ〉26人。計95人に加え、マリー先輩、メイリー先輩、ソフィ先輩、ミリアス先輩、タネテちゃん、レンカ先輩、メリーナ先輩、そして――タバサ先生だ。
「誘ってくれて嬉しいわ。みんな、久しぶりに遊びましょうね」
「タバサせんぱーい!」
「タバサ先生と一緒に参りますの、とても楽しみにしていましたわ」
「はい。たくさん楽しみましょう」
フラーミナ、カタリナ、ロゼッタがタバサ先生に手を振って挨拶しているな。
あの世代は昔から教える者として優秀だったタバサ先生が親身になって育てたため、タバサ先生は大人気なのだ。
現ギルドメンバーに、本日参加する8人を紹介する。
「なんだか、本当に凄い大所帯になってしまいましたね~」
「兄さん、どんだけギルドを拡張する気や」
「せやけどもっと増えれば、その分たくさん質の良い装備が作れるんやで」
メリーナ先輩、マリー先輩が辺りを見渡してそんなことを言うが、アルルから告げられてコクリと頷いていた。
今ここにいる人物たちが全員一角の人物として世に出ることが、半ば決まっているのだ。その装備、素材の流通などを預かるのは当然ここにいるメンバーズ。
この海回でこれだけの人数が来ているのは、顔合わせも兼ねているのだ。
トップ層がみんな仲良かったら、そりゃ平和へ一直線だろう。
楽しく装備なんかも作りたい放題だ。
「よし、それじゃあ出発だ! みんな、遅れずに付いてきてくれ!」
「「「「「おおー!!」」」」」
こうして俺たちは再び〈海ダン〉へと入ダンしたのだった。
ここからが勝負。
「シズ、パメラ、カイリ、シュミネ、頼むぜ」
「お任せください――『追求不可』! 『偽装』!」
「追跡者は全部排除デース! 『大忍法・闇の訪れ』!」
「排除はしないよ!? 『パーティインビジブル』! 『痕跡隠蔽』!」
「はい、惑わせれば宜しいんですよね――『原生の番人』! 『妨害アロマセラピー』! そして――『アルフの守り手』!」
シズが妨害系スキルを使うとすかさずパメラが〈六ツリ〉の隠密系大忍法を発動。〈六ツリ〉でLV10のスキルなのでまず上級の索敵スキルでも見つけられないが、念には念を入れてカイリにユニークスキルを使ってもらってさらに隠密行動を強化、痕跡から追ってこられなくする。最後は相手の妨害スキルや探知スキルを誤魔化すスキルをシュミネに使ってもらい、ダメ押しでユニークスキルの結界を発動。
エルフの結界は惑わしの結界、相手からはこっちが見えなくなる結界だ。
「よし、エステルたちは〈イブキ〉を」
「「「「「〈イブキ〉――召喚!」」」」」
エステルの教育がずいぶん広がってる!
この日のために量産した〈イブキ〉がズドンと9台も現れ、全員が乗り込むと、高速で出発だ。
「これで跡を尾けては来られないだろう」
そう、これから向かうのは秘密の入り江。
何人たりとも進入は不可だ。せめて今日だけはな。
さすがにこの大所帯では跡を尾けられかねないので全力で撒いて大出発だ。
「〈エデン〉の出発は慌ただしいなぁ」
「それだけ重要なポジションだからな、あの秘密の入り江は!」
俺たちのほぼプライベートビーチだ。
来たければ自力で見つけ出すがいい。ふはははははは!
「私が階層を飛び越えられれば手っ取り早かったんだけどね」
「カイリの上級ユニークスキルでもさすがに100人超えはカバーできないからな、仕方ないさ」
こっそりとシエラに聞こえないようにカイリと話す。
カイリの言う通り、【ダンジョンインストラクター】の上級ユニークスキルは次の階層へ転移する能力だ。
だが、これは10パーティ+10人の『ゲスト』まで、計60人までしか効果が及ばない。なので今回は普通に(?)妨害工作をして突破だ。
「2層、入ります!」
「エステル、ユニーク発動だ!」
「はい! 『戦車姫最終奥義・戦車覚醒』!」
「索敵班、周囲に誰か隠れ潜んでないか、しっかり見つけてくれよ!」
「「「おおー!」」」
2層で待ち伏せということも考えられる。
故に、エステルの奥義をここで発動、〈イブキ〉に乗りながら索敵スキルを発動して2層の出入り口付近を丸裸にした。
人の気配は、なんと3パーティ! 全部撒いてやるぜ!
「〈イブキ〉に乗りながらスキルを発動できるとか、とんでもない使い方です!」
「そうだろうタネテちゃん? これも〈乗り物〉を作ってくれている生産職のおかげだ! これからも頼むぜ?」
「私は何に手を貸してしまったのでしょうか。なんだかそこはかとなく不穏な雰囲気がするのですが!?」
「気のせいだ!」
〈イブキ〉作製者であるタネテちゃんがその使い方に度肝を抜かれていたな。
試験的に乗ったことはあるが、実践(?)で乗り合わせたのは初めてだったのだとか。
「到着!」
「ぼくに任せてくれたまえ!」
「おお! あのニーコがこんなにも頼もしく!」
確か1年生の頃はバテバテイヤイヤ言ってサチたちにがっつり脇を固められて連れて行かれていたニーコが、今回は〈樹界ダン〉でゲットした〈竜激の七つ道具〉を使って素早く隠し扉を開けみんなを招いていたんだ。成長したなぁ。
「どうだ?」
「はい。後方はクリア」
「『索敵』にも『直感』にも反応なし」
「よし、上手く来られたみたいだな!」
こうして無事追っ手もなくプライベートビーチ、秘密の入り江に到着したのだ。
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あとがき失礼いたします。
お待たせいたしました! 海回です!
また、お知らせ!
ニシキギ・カエデがカクヨムネクストで投稿している作品〈プレモン〉が、カクヨム100名作にノミネートされました~!
カクヨムネクストでノミネートされた作品は〈プレモン〉だけみたいで、とても嬉しい気持ちです!
そしてこれを記念しお祝いし!
〈プレモン〉は普段20話無料のところ、404話無料にしました!
是非この機会に〈プレモン〉を読んでみてください!
〈プレモン〉へはこちらからどうぞ!↓
https://kakuyomu.jp/works/16818023213237037068
よろしくお願いします!