第1967話 上級職ランクアップ! メーレイ・ロイ編!
第1967話 上級職ランクアップ! メーレイ・ロイ編!
「ゼフィルス先輩、今よろしいでしょうか?」
「よろしい。ミツルか? どうしたんだ?」
新たなメンバーたちの〈 上級転職 ( ランクアップ ) 〉をして盛り上がっていたら、〈エースシャングリラ〉のサブマスター、ミツルがとある人物たちを連れて俺に話しかけてきたんだ。
どこか晴れやかでウキウキとした様子の3人を代表し、ミツルが自慢するように言う。
「実は! メーレイとロイもレベルカンストに届いたんです! よければゼフィルス先輩に2人を導いてもらえないかと!」
「おお! それはめでたいじゃないか!」
そう、ミツルが連れてきたのは2人の男子。「エルフ」で下級職、高の中、【精霊魔弓】に就くメーレイと、「男爵」で下級職、高の上、【彦スター】に就くロイだった。2人とも、〈エースシャングリラ〉の1年生だ。
「メーレイ、ロイ! 2人ともLVカンストに届いたのか!」
「はい。ようやく、というところです」
「ゼフィルス先輩、どうか俺たちをもっともっと輝かせてください!」
そう言って真剣に俺を見る2人の表情がまぶしい。さすがは美形男子たち。
ちょっと勢い余りすぎてグラジオラたちの方が先にカンスト&〈 上級転職 ( ランクアップ ) 〉してしまったが、別行動中だったメーレイにロイも無事にカンストに届いた模様。
それなら、やるべきことは決まっているな!
「もちろんだ! 俺に任せておけ。LVカンストした2人とも、すぐに上級職にしてやるぜ! ちゃんと2人の〈上級転職チケット〉も用意してあるんだ!」
「おお! よかったね2人とも!」
「「ありがとうございます!」」
「よし、すぐに持ってこよう! そして、2人を今日中に上級職にしてやるぜ! ――ミツルは一緒に来てくれ。準備するぞ」
「はい!」
そう言って俺は2人を待たせ、ミツルと一緒に〈リンゴとチケット交換屋〉に向かう。
「ゼフィルス先輩! 改めてありがとうございます!」
「こっちこそ、2人を連れてきてくれてありがとうなミツル。もう立派なサブマスターじゃないか」
「へへへ。最近やっと頼られるようになってきたんです。上級ダンジョンに潜るようになって、僕も成長を実感してきてますよ」
少し前までAランクギルドのサブマスターとして力不足を感じていたようだが、最近はメキメキと成長し、だいぶ頼りになる存在に成長してきているミツル。
自身で精一杯だったころのミツルはもういない、1年生を助け引っ張る余裕まで生まれているようだ。成長が著しいぜ。
だからこそ、俺はミツルにここを案内した。
「あ、ここが〈リンゴとチケット交換屋〉」
「の、裏側だな。ここのことは知ってるだろ?」
「はい。憧れてました。僕たちもリンゴジュースを集めようとした時もあったのですが、〈ゴルプル〉を倒せなくて」
「あ~。なるほどな」
ミツルも1年生時代、〈上級転職チケット〉を求めてリンゴジュース狩りに参加したことがあったそうだ。だが、レアモンスターであるゴールデン系モンスターは素早い。とにかく逃げる。しかもレアモンスターなもんだから出会うのも大変。
そして、仕留めるにもコツがいるのだ。だからこそお高い値段で取引されている。
ミツルはどうやら、狩ることができなかったようだ。
「中は、シンプルなんですね」
「そりゃな。金庫型の〈 空間収納倉庫 ( アイテムボックス ) 〉が置いてあるだけだしな」
〈リンゴとチケット交換屋〉は基本閑古鳥が鳴いている。交換なんて日に多くて5回。交換が無いという日も少なくないので売り子も〈エデン店〉と共同でやってるほどだ。
店側の見た目はガッチリとした異世界風銀行窓口、みたいな立派な作りをしているが、中にあるのは金庫だけである。チケットとジュースを交換するだけだしね。
俺は〈学生手帳〉をスキャンして金庫を開け、〈上級転職チケット〉を2枚取り出す。ここに、俺たちやミツルたちが手に入れた〈上級転職チケット〉がほぼ入っているのだ。
「〈学生手帳〉でスキャンすると鍵が開く、スペシャル仕様の〈 空間収納倉庫 ( アイテムボックス ) 〉ですか」
「だな。登録してある本人しか開けられないし、金庫型〈 空間収納倉庫 ( アイテムボックス ) 〉はダンジョンオブジェクト化させることができるから、壊されたり動かされたり、そもそもスキルの対象にすることもできない。この〈エデン店〉で一番セキュリティが高い場所だな」
ここをミツルに見せたのも、〈エースシャングリラ〉の引き継ぎの一環だ。
ミツルにここを任せられるようになったら、登録の手続きをしようと思っている。
ま、せめて六段階目ツリーを開放してからだな。
こうして目的の物を回収し終わると、俺たちはメーレイとロイのところに戻った。
そして〈上級転職チケット〉をペラリと見せる。
「待たせたな。用意してきたぜ!(ペラリ)」
「それはまさしく〈上級転職チケット〉!」
「俺たちも、ついに上級職になれる! 感謝しますゼフィルス先輩! これで俺の歌をもっと奏でるぞーー!!」
期待が膨らんでいたのだろう、メーレイは緊張しつつもキラキラした目で〈上級転職チケット〉を見つめていた。ロイなんか燃えている。
よし、〈 上級転職 ( ランクアップ ) 〉の時間だな!
2人から発現条件を満たせているか色々と聞いて、足りなさそうなものを満たしてから測定室に向かった。その前に職員室で鍵を借りないとな。
「き、今日もですか?」「昨日5人〈 上級転職 ( ランクアップ ) 〉したばかりなのに!?」「今日は2人か、一見少ないように見えるが、合計すると15人だからな?」「15人も上級職が増えちゃったのか、〈エデン〉組は……」そんな先生方の声が職員室の至る所から聞こえてきた。どうやら、今日も驚かせてしまったようだぜ。
ちょっと楽しいのは秘密。
震える手で鍵を渡してくる先生にお礼を良い、ミツルも合わせた4人で測定室に入る。
「それじゃあ早速だが、メーレイ」
「はい。いつでも」
キリッとした表情で前に出てくるイケメンメーレイ。いつもよりもイケメン度が増し増しに見えてくるぜ。
「メーレイは【精霊魔弓】から【スピリットオーラアーチャー】に〈 上級転職 ( ランクアップ ) 〉してほしい」
「! もちろんです。エルフ最高の弓士と伝えられる 職業 ( ジョブ ) に就くことができるとは光栄の至り。是非お願いしたいです」
「承った」
メーレイに就いて欲しいのは上級職、高の上、SUP35の【スピリットオーラアーチャー】。【精霊魔弓】の完全上位互換で、精霊矢を大量に放つことができる。
シェリアを見て分かるように精霊は属性を持っているものだ。つまり精霊矢は属性を常に纏っている攻撃になる。強いぞ。
加えて普通の精霊級だけではなく、【スピリットオーラアーチャー】も大精霊級や、精霊王の力を矢に込めて撃つことが可能。その威力は推して知るべしだ。
かなり強力なアタッカーだな。
斥候能力も持っているので、ダンジョン探索でも大きく活動できるだろう。
「ロイは――ちょっと難しいな。選択肢は3つ、【スーパースター】、【音楽の貴人】、そして【スターバトルアイドル】がある。それぞれ【スーパースター】はアイドル系の通常ルート。ダンスも含めた歌で応援するバッファー特化型だ。【音楽の貴人】は音楽のみで勝負する。歌うより演奏する方が得意なバッファーだな。最後の【スターバトルアイドル】はアタッカーもできるバッファーだ。行動がとにかく派手で、戦いながら味方をバフするスキルがなかなか強い」
「【スターバトルアイドル】をお願いします! 俺は、もっと派手に輝きたい!」
「ははは! 了解だ!」
ロイは戦闘のことになるとぐいぐい行くな。さすがは男爵。
【スターバトルアイドル】は上級職、高の上、SUP36。
今言ったようにアタッカーもできるアイドルだ。
片手剣を装備可能で踊るようにして攻撃する。しかも攻撃スキルを使いながら味方をバフするスキルを持っているので、効率的にバフを稼げるのだ。
デバフアタッカーの真反対、バフアタッカーだな。
この日、メーレイとロイは、【スピリットオーラアーチャー】と【スターバトルアイドル】に〈 上級転職 ( ランクアップ ) 〉した。
ロイは覚醒の光にも包まれたのでたくさんパシャパシャしておいたよ。本人はプレミアがつきそうだと喜んでいたな。
さあこれで、〈エースシャングリラ〉のメンバー30人は、全員上級職になった。