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第1979話 真の最強装備を作ったら〈万界ダン〉へゴー!

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第1979話 真の最強装備を作ったら〈万界ダン〉へゴー!

数日が経過した学園内では、最強アイギスの話題は、もうそれはそれはびゅーびゅーあっちこっちで囁かれていた。

「あ! 見ろ! アイギス先輩だ!」

「勇者さんもいるわ!?」

「きゃー! 本物よー!」

「すげぇ。あれがこの世の頂点の装備、〈エデン〉が作り出した至宝!?」

「聞けば何人ものお偉いさんたちがこの最強の至宝を手にしようと交渉を持ちかけようとしたらしいぞ? 全部学園に弾かれたが」

「ああ。学園内の警備とかすげぇ増えたもんな。出入り口のチェックも厳しくなってるし」

「なお、厳しくなっているのは最強装備を交渉できるような大物さんだけに対して」

「大物さんたち、ピンポイントで職質されて涙目になってたところ、何度か見たよ」

「あの装備は誰だって欲しいよな」

「おい大変だ! また〈トップマリー〉が新たな最強装備一式を作り出したらしいぞ!」

「マ、マジか!?」

「ま、またか!?」

「もう完全にノウハウ掴んじゃってるじゃねぇか! これから最強装備、もっともっと増えるぞ!」

「これで何個目だ? 3セットは作ってるだろ!?」

「掲示板も賑わってる。曰く、〈エデン〉は生産職がLV100になるのを待ってたらしい。生産職もLV100に届いたし。じゃあ作ろうか、ということでこの最強装備ラッシュが始まったとか」

「言い方軽くない!?」

「〈エデン〉にとっては普通ということよ」

「こんなのが普通であってたまるか! 俺にも最強装備ください」

「あなたに授けるなんて勿体ないわ。革の水着で十分よ」

「水着姿でダンジョンに潜れと!?」

「きゃー! アイギス先輩が手を振ってくれましたー!」

話題はまさに最強装備一色。

アイギスは最初こそ慣れない感じで顔を引きつらせたりすることもあったが、今では手を振る余裕まで出てきて一躍時の人状態だ。

1人だと囲まれて大変なことになるのでいつも俺や他のメンバーと一緒に行動するようになってしまったが、それに関してアイギスはむしろ望むところみたいなことを表明していた。

「むしろ役得です。正直、これは他のみんなよりも1歩2歩先を行くことができたのではないかと思っています」

とのことだ。

俺だって最強装備自慢とかちょっと羨ましいもん。

みんなは多くがまだ〈金箱〉級の装備だからな、真の最強装備はレジェンド級。文字通り1歩2歩どころか、5歩くらいみんなよりも前を進んでいることだろう。

アイギスが見たこともないくらい幸せそうな顔をしていたんだ。

「本当に役得です。ゼフィルスさん、本当にありがとうございます」

「それは何度も聞いたぞアイギス? もうお礼は良いって。ほら、それより俺と腕を組んでいたら装備をよく見せられないだろ。もっと堂々とだな」

「構いません。もう十分装備は見せました。次は私がゼフィルスさんと――」

そう言って俺に体を寄せてきて腕まで絡ませて来るアイギス。

装備と俺を関連付けて注目度を上げる心算か? だがどうしてだろう? なぜかアイギスの装備を綺麗な眼差しで見ていたはずの学生たちから、今では怨嗟の声まで聞こえだした気がする。きっと気のせいだよな?

「そこまでよアイギス! ちょっとくっつきすぎよ!」

「そんなことありませんラナ殿下。これはお礼でもありますから」

「お礼はそんなくっついて言うものじゃないわ!」

ここでラナ襲来。

ばったりと出会ったというか、多分迎えに来たのだろう。

俺とアイギスは現在装備をアピールする散歩中だった。宣伝ともいう。

ほら生産職のみんなよ、これが頂きだ! もっとよく見て目を肥やし、君たちも将来最強装備を作りあげるのだ!

時計を見ればそろそろ散歩も終わりの時間だった。

「もー! ゼフィルスはアイギスに甘いわ! すっごい甘くなってるわ! もう終わりよ! ほら、離れなさい! 次は私の番よ!」

ちゃっかり自分が代わると主張する王女様。しかし、そうはさせないとぎゅっとする腕に力が入るのを感じた。

「ダメです無理です! 私は今たっぷり働いたのですからここからはゼフィルスさんタイムなんです!」

「もー! 昨日も一昨日もそれやったでしょう!」

「いいえ、毎日でも足りません。ご褒美は毎回しっかりもらうべきなんです」

珍しくアイギスがラナと対峙していた。

あのアイギスが。騎士のアイギスが。

なんか、みんなよりも3歩後ろを歩いているような、お淑やかであまり前に出なかったあのアイギスが、これが真の最強装備の効果の1つということか。

アイギスにとって真の最強装備は、大きな自信になっているのだろう。

「むむむー! ――ゼフィルス、もうちょっと強く言うのよ! 離れてって!」

「え? いや別にそこまで離れて欲しいわけじゃ」

「ゼフィルス、今何か言っていたかしら?」

「シ、シエラ!?」

シエラまで来ちゃった!?

しかも最初から強力な眼光が俺を捉えていたんだ。ジト目じゃない!? そんな!

ふとよみがえる、学園ニュースに勇者と竜騎姫のツーショット写真がうっかり公開されてしまったあの日の問い詰めが頭をよぎった。

あのときはマジ危なかった。『直感』さんに助けてもらわなければここには立っていなかったかもしれない。

『直感』さんの言う通りにして、ギルドメンバー希望者全員とツーショット写真を撮ることでなんとか切り抜けたんだ。

でもなんだか、シエラの目があの時と近い気がするんだ。(ガクブル)

「アイギス?」

「シ、シエラさんの言葉でもこの場を譲るわけにはいきません……!」

そう言ってギュッとさらに俺の腕が強く抱きしめられる。でも鎧のせいで柔らかくはない。ぐぬぬ!

「……アイギスがずいぶん自分を主張するようになったわね。これも真の最強装備の力なのかしら?」

「そ、そうだと思うぜ? ここ数日で、アイギスにとても自信が付いたように俺も感じてるんだ」

「自信がついたのは良いことなのだけどね。悪い方にも作用しちゃってるのよね」

そう言ってシエラがジト目にジョブチェンジ。ふう、よかった。

「むむむー! もーゼフィルス! 早く私の真の最強装備も作りなさい!」

「いや、ラナのは良い専用装備がまだ当たっていないんで」

「もー!」

早く自分の真の最強装備が欲しい。

その気持ちも分かるが、ラナの専用装備となると〈神界ダン〉に行く必要がある。

俺たちの装備は、まだまだ先なのだ。

装備は更新してもいいが、それは汎用系になるだろうな。つまり、最終装備ではなく、繋ぎの装備だ。真の最強装備まで強化するのはもったいない。

だが、そういう汎用系の繋ぎの 最強 ( レジェンド ) 装備も作っておくのは悪くない。

「分かったよラナ。それじゃあ汎用系装備シリーズを 最強 ( レジェンド ) 装備で作るとしよう。それで専用装備が当たるまで繋ぎにするという感じで――」

「〈万界ダン〉に行くわ!」

「なぬ?」

「私の専用装備を落とすボスがまだ出会えてないのよね? なら、次のボスを狙うわよ!」

「おお!」

ラナの宣言に俺は納得に打ち震える。

実はこれまでもラナの専用装備を狙い、〈聖界ダン〉のレイドボスが落としそうだと何回も周回して、50人メンバーが揃わないときは徘徊型やレアボスを狙ったりしてボスを倒しまくっていたのだが、かなりの専用装備レシピがドロップしているにもかかわらず、俺やラナの専用装備は皆無だったのだ。

ラナにとって、もう〈聖界ダン〉のドロップは期待できない、ということだろう。

マリー先輩とアルルも、順調に最強装備を作っている。

そろそろ、〈万界ダン〉に赴いてもいいだろうというのがラナの主張だった。

「まだ時期尚早ではないでしょうか? 今のところ私とクイナダさん、ゼルレカさんしか真の最強装備が作れていません。せめてタンクの真の最強装備を1セットは作っておかなければ危険があるのでは?」

アイギスの主張も分かる。

まだ真の最強装備を作り始めたばかりなのだ。

あれから、クイナダの装備を真の最強装備に強化限界突破させ、さらにゼルレカの装備まで真の最強装備で作った。しかし、ダンジョン攻略で肝心のタンクの装備がまだできていない。タンクの装備ができてから出発というのは納得できる主張だった。

とはいえ、〈万界ダン〉の浅層くらい、レジェンド級じゃなくても問題は無い。

LV100に到達した俺たちなら、タンクの装備が今のままでも30層までは問題無く進めるだろう。30.5層のレイドボスに挑戦するまでにタンクの装備を作ればいいのだ。

「むむ。――シエラはどう?」

「シエラさんはこっち側ですよね?」

そう言ってラナとアイギスの視線がシエラに向く。

〈万界ダン〉で5層に到達したとき、真っ先に引き返そうと主張したのはシエラだった。なぜかって? あれがあったからだよ。6層は、幽霊が出るからなぁ。

ラナ、それは悪手だぞ。シエラなら〈万界ダン〉を今の状態で進むなんて許可を出すわけが――。

「私はラナ殿下に賛成するわ」

「なにぃ!?」

「シエラさん!?」

「シエラ! そうこなくっちゃね!」

シエラの予想外な発言に俺とアイギスはビビリ驚愕し、ラナは下手な指パッチンをしていいねを送る。なお、指パッチンはスカッていた。

しかし、いったいどういうことなんだ?

あのシエラが6層のデンジャラスゾーン(?)を前にゴーサインを出すだって? まさか、カイリのユニークスキルに気が付いたのか!?

俺はそう、驚愕の目でシエラを見つめるが、シエラはアイギスがギュッとしている俺の腕に目が釘付けでジト目だったんだ。

シエラがゴーするのなら、〈エデン〉メンバー全員には異存はない。

この話はその日のうちに持ち帰って〈エデン〉のギルドハウスで話し合われ、そして正式に例の6層へ挑むことに決定したのだった。