第1995話 超朗報!?〈装備強化玉〉買い取りキャンペーン!!
第1995話 超朗報!?〈装備強化玉〉買い取りキャンペーン!!
「今日は〈万界ダン〉を20層まで攻略したいと思う!」
「昨日は5層だけだったけど、今日は一気に10層も攻略する気なのね」
「おう。昨日はほとんど様子見。6層というちょっとした苦手階層もあったし、真の最強装備の試運転から今の装備でも攻略は問題無さそうかのチェックもあったからな。結果、今の装備でも十分30層までは進めそうだと判断した」
「かなり余裕があったものね!」
「ボスも、それほど苦戦はしませんでした」
「とはいえ、たかだかまだ10層だ。行き詰ったらもちろん引き返すことも視野に入れてるから安心してくれシエラ」
「わかったわ」
ギルドハウスで今日の目標の打ち合わせ。
昨日は1日掛けて5層しか攻略しなかったが、今日は一気に10層攻略する気で挑む。
〈エデン〉は先日、6層という壁で引き返すという大変珍しい事態が起こった。
その苦手なホラーダンジョンの攻略法、〈エデン〉の対処法も理解したし、今の装備でも十分に安全マージンを取れているというのが分かったからな。
学園長、俺たちはしっかり準備を整えた上で〈万界ダン〉に挑んでますよ!
というわけで。ならば一気に攻略速度を上げようという心算だ!
みんなの反応は、なかなかに良いものだったよ。
「アルル、装備の進捗状況は?」
「レジェンド級の装備はいくつか作ったで。LV100のうちが仕上げた、最強装備や!」
「「「「おお!」」」」
アルルに振れば、出てきたのはアルルがこれ以上ないと言わしめる数値を叩き出した最強装備たち。
「まあ! まあまあ! クラリス見てくださいこの〈智天使・ケルビムの 回炎剣 ( かいえんけん ) 〉を! 私が持っているものよりも数値が30近くも上ですわ!」
「こちらの〈 真 ( しん ) ・ 天聖剣 ( てんせいけん ) 〉も素晴らしいですよお嬢様。初めて作ったサチさんの装備よりも15も上がってます」
それはアルルがLV100なりたての時に作った武器たち。
ノーアの大剣〈智天使・ケルビムの 回炎剣 ( かいえんけん ) 〉は、最初作ってもらったとき、その攻撃力は驚異の1001だった。四桁超えを初めて作り出し、大いに沸いたのを覚えている。
しかし、今回アルルが持ってきた〈智天使・ケルビムの 回炎剣 ( かいえんけん ) 〉は最高傑作。なんとその攻撃力は――1030だったのだ。強化無しでこの数値だ。
サチに渡した片手剣の〈 真 ( しん ) ・ 天聖剣 ( てんせいけん ) 〉も同じである。攻撃力が15も上がっている。
いや、30や15って、かなりデカいぞ? 上級下位ダンジョンのドロップ大剣とか、攻撃力200にも届かないもん。
「同じレベルでも鍛冶の打ち方1つでこうも色々と能力が上下するんが鍛冶の難しいとこや。そして、燃えるとこでもある! これらはうちが修業し直して研究し、作りあげたまさに最高傑作。〈強化玉〉を 使 ( つこ ) うても文句はない出来や!」
「これをメインに使わせていただきますわ! ゼフィルスさん、〈強化玉〉の使用許可を!」
「それはちょっと待ってくれ」
「? ゼフィルス?」
アルルにここまで言わしめた武器に惚れ惚れしながらテンション高めにそう言ってきたノーアに待ったする。
心苦しいが、まだそれは真の最強装備にするわけにはいかない。なにしろ、それは最終装備ではないからだ。
ノーアの武器は、まだ先がある。
「ノーアの今の武器でも十分〈万界ダン〉には通用していただろ? そして、最上級ダンジョンはまだ2つもある」
「ノーアの最終装備は、まだドロップしていないと言いたいのね?」
俺はシエラの言葉に頷く。
最強装備に〈装備強化玉〉や〈性能限界玉〉を使い、もうこれ以上無い程強化し尽くした装備を、俺たちは真の最強装備と呼んでいる。
だが、真の最強装備はそのキャラの最終装備にこそ施したい手段なのだ。
なにせ、〈装備強化玉〉の数は有限。なんでもかんでも真の最強装備にはできない。
故に、最終装備。
そのキャラがもうこの装備から換装しないという最終到達点の装備にこそ〈強化玉〉は使用したいのだ。
そして覚えているだろうか?
もうずいぶん前に、俺は最上級ダンジョンには〈宝剣〉〈宝槍〉〈神剣〉〈神槍〉の類いが眠っていると言ったことを。
それ、未だに出てきてないんだよね。
なにしろ登場するのは、次の〈神界ダン〉だからだ。
最終装備は、まさにそこで手に入るレシピにあり。
つまり、この攻撃力の数値がもう凄まじすぎる〈智天使・ケルビムの 回炎剣 ( かいえんけん ) 〉も繋ぎなのだ。
故に強化するわけには――。そう思った時だった。
「あ、そうだゼフィルス君、〈装備強化玉〉なんだけど、〈生徒会〉に在庫結構あるよ? 千個単位で」
「うへえあ?」
ハンナからとんでもない言葉が出てきて俺のセリフが乱れたんだ。
「え? ハンナ? あるの? 〈生徒会〉に〈強化玉〉が?」
「うん。昨日倉庫の整理してたらね、なんかたくさん出てきたの。使うなら〈エデン〉に売れると思うよ? それにねゼフィルス君が真の最強装備の作り方を広めてから無闇に〈強化玉〉が使われることが少なくなってね、結構〈エデン店〉や〈ダンジョン商委員会〉で買い取りできることも増えてきたんだよ」
「マジで?」
―――〈装備強化玉〉。
それは装備の+値を上げ、装備を強化してくれる貴重なアイテム。
〈エデン〉では2年間ず~っと溜め続けており、まあたまに〈イブキ〉とかに使うこともあったけど基本は溜め続けて、今は合計で2万個くらいあるはずだ。
〈装備強化玉〉の上位アイテムである〈光の真強化玉〉や〈竜玉〉もそこそこの数があるはずで、〈エデン〉全員の装備を+10まで上げることができる数が集まっている。
とはいえ余裕があるわけではなく、さすがになんでもかんでも真の最強装備に出来るわけではない。と思っていたのだが。え? 買えちゃうの? たくさん?
加えて、ハンナやアルストリアさんの補足説明を聞くと、なんと俺が〈装備強化玉〉の使い方を広めた副次効果で、「貴重な〈装備強化玉〉を中級装備に使うとか勿体ないだろ! 装備更新しようよ!」みたいな風潮が出来上がりつつあり、今まで装備を更新するお金もないし、〈装備強化玉〉で済ませよう。みたいな安易なノリで使われていた〈装備強化玉〉が、少しずつ売られてきているそうだ。
むしろ以前は「せっかく強化したんだからもったいなくて装備更新できない」みたいな風潮があったらしく、そこにメスを入れ、強化ではなく装備更新を推し進めることで〈強化玉〉を余りやすくすることに成功しつつあるのだとか。
しかもこれ、広めているのはなんと〈ダンジョン商委員会〉のマリアらしい。
すげぇぞマリア!
そして〈ダンジョン商委員会〉のマリア、〈総商会〉に出張しているメリーナ先輩も〈装備強化玉〉の買い取りフェアを開催し、集めてくれたようなのだ。
「ゼフィルス様! これは私の〈智天使・ケルビムの 回炎剣 ( かいえんけん ) 〉を真の最強装備にすべしという神の――ではなく〈幸猫様〉のご意志に違いありませんわ!」
「!! 〈幸猫様〉のご意志!!」
俺はカッと目を見開いた!
なんてことだ。
〈幸猫様〉が真の最強装備を増やせと言っている!?
そんなの、「はい」「イエス」「オッケー」「喜んで!」以外の言葉が無いじゃないか!
いや待て焦るな! 今のはノーアが勝手に〈幸猫様〉を持ち出したのかもしれない。すぐに本 人 ( 神 ) に確認しなくては!
「そうなのですか〈幸猫様〉!?」
俺は目にも止まらない速さで〈幸猫様〉の前に躍り出る。
すると〈幸猫様〉は、鷹揚に頷いた気がしたんだ。勝利!
「おお! ――ノーア、これは汎用系武器にも真の最強装備化の出番が回ってきたぞ!」
「おーっほっほっほ! さすがは〈幸猫様〉ですわ! お心が広いですわー!」
「はーっはっはっは! これは忙しくなるぞ! ――ハンナ、〈装備強化玉〉は全て〈エデン〉で買い取りだ! ――サトルは〈装備強化玉〉の在庫を数えて最終装備用の〈装備強化玉〉を除外した、余っている〈装備強化玉〉の数を導き出してくれ!」
「了解です!」
「アルル、〈装備強化玉〉が確保できたらまずは盾から強化を頼む! 鎧は手が空いたらでいい!」
「承ったで! シエラはんの大盾装備が、もうすぐ仕上がるんや!」
「なんだって! アルル、それは真の最強装備にするしかないぞ!」
「さっきと言っていたことが逆転していますぅ~!?」
「これが〈幸猫様〉のお力なのですわね」
こうして〈幸猫様〉が押し出す「汎用装備にも〈装備強化玉〉を」計画が一気に始動。
シレイアさんとアルストリアさんのツッコミが、なぜか心地よく感じた。
「こっちは任せてくださいゼフィルスさん、今日中には〈強化玉〉を集め、仕分けしておきます!」
「頼んだぜサトル! ――よし、俺たちは〈万界ダン〉に出発だ! 20層まで攻略し、じゃんじゃん新しい装備レシピを手に入れるんだ!」
「「「「おおー!」」」」
アルルが今回持ってきてくれた最強装備たちは、全てに〈装備強化玉〉が使われることが決定し、アルルにはそのまま最強装備たちを持って工房に戻ってもらった。
明日には完成している可能性が高いとのことだ。
俄然楽しみになってきた。
真の最強装備のフィーバータイム到来だ!