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第2000話 懐かしきフタピちゃんとゼルレカトラウマ克服!?

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第2000話 懐かしきフタピちゃんとゼルレカトラウマ克服!?

14層はさほど有名では無い〈倒木の大林ダンジョン〉だな。

〈倒木〉と言えば 上級下位 ( ジョーカー ) のランク1にも似たような〈嵐後の倒森ダンジョン〉があるが、 中級下位 ( チュカ ) の規模はそれと比べるとかなり小規模だ。

とはいえ、倒木が折り重なるようにして道を塞いでいたりするので、 中級下位 ( チュカ ) となって初めての、倒木を除去するスキル持ちなどがいるとショートカットできるようなギミックが登場する。

カイリの【シーカー】や、〈採集無双〉の【コリマー】だったアンベルさんなどが覚えられるスキルだな。

とはいえ、ぶっちゃけそこまで使い道がなく、遠回りすればいいだけなので覚えさせるのはSPの無駄だと俺は不採用としているスキルだけどな。

あと、なにせここ。

「ドデカい倒木がすごく折り重なっているわね」

「よし、〈戦艦・スターライト〉に乗って乗り越えるか」

「…………それありなのか?」

そう、飛んで乗り越えちゃえばいいのだから。「騎士爵」が〈イブキ〉や〈戦艦〉を装備しておけば、貴重なSPを使う必要なんて、ないんだよね。

〈採集無双〉のアンベルさんがちょっと唖然として俺に振り向いていたが。俺は目を瞑って腕を組んだまま、硬い表情でウムと頷くしかなかったんだ。

きっと同じ課にはこの倒木の山を除去できるスキルを 使用可能 ( アクティベート ) してしまった子が居たのだろう。現実は 辛 ( つら ) たん。

「なんだか懐かしいわね。ここ、〈ゴピップス〉の大型クエストをしたところよね」

「ラナは覚えているか!」

「当たり前でしょ! あのフタピちゃんぬいぐるみは今でも大部屋に飾ってあるわよ!」

「飾ってあるのです! ゼフィルスお兄様、忘れちゃダメなのです!」

「ルルもか!」

そう、結構変貌しているフィールドではあるが、俺たちが 中級下位 ( チュカ ) を通過した際に攻略した3つのダンジョン、その1つがこの〈倒木の大林ダンジョン〉だったりする。

ここに登場する〈ゴピップス〉というレアモンスターが印象的で、結構可愛いのだ。

なにせ、〈ダン活〉のマスコットキャラクターだからな。(違います。 公式 ( ・・ ) マスコットキャラクターは別にいます)

ラナやルルの言う大型クエストとは、このレアモンスター〈ゴピップス〉のドロップである〈精霊樹の苗木〉を集めてほしいという学園のクエストのことだな。

〈精霊樹の苗木〉からは復活系のアイテムが作れる素材〈精霊樹の幼い実〉がドロップするため、当時かなり高額なQPと、今なら限定報酬として〈ゴピップス〉ぬいぐるみ、フタピちゃんをプレゼント! という誘惑に釣られて〈エデン〉も参加したんだっけ。

ちなみにその双葉の芽がトレードマークの〈ゴピップス〉ぬいぐるみ、フタピちゃんはフラーラ先輩のお手製だ。今もギルドハウスの大部屋、そのショーケースに飾られているぞ。

「大丈夫だ忘れてないさ」

「それなら良いのです!」

「ええ! そうだわ! 今度こそ〈ゴピップス〉をテイムしましょうよ!」

「あ~。まあ居ればな」

そういえば〈ゴピップス〉の可愛さを前にラナがテイムしたいとねだってきたこともあったな。当時はテイマー系のフラーミナがまだギルドメンバーじゃなかったので諦めてぬいぐるみで我慢してもらったが、その思いが再燃したっぽい。

でもラナ、残念だがここ、レアモンスターは出ないんだよ。

レアモンスターって中級ダンジョン限定のレアだったし。他の等級ダンジョンにはレアモンスター系は登場せず、別のレアになってしまう。

ちなみに上級ダンジョン限定のレアはレアイベントな。

最上級だとレジェンドレアである。

これらは通称レア枠と呼ばれている現象だ。

閑話休題。

「むむ? なんにもなかったわね?」

「ボスも出なかったのです。レアモンスターさんも隠れて出てこなかったのです」

「エリアボスだけでも呼び出しましょうか?」

なお、14層ではエリアボスに襲われることもなく階層門に到着してしまったので、ついでにエリアボスだけ〈フルート〉で呼び出して屠っておくことにした。

〈倒木の大林ダンジョン〉の最奥ボスは〈丸太六兄弟〉。

ここにやってきたのはその最終進化系である〈百人家族の 雪崩丸太 ( なだれまるた ) 〉だった。丸太にしか見えない木材が組み合わさって人型からクマ、果ては家にまで変形し、姿を変えて襲ってくるユーモアあふれるボスだな。

変わり身の術を使いまくり、もはや丸太が 本物 ( ボス ) か 偽物 ( 木材 ) か分からないだけの〈丸太六兄弟〉とは規模が違ったよ。

なかなか楽しく倒せたと思う。

宝箱は〈木箱〉! そこは木いらないんだけど!?

次の15層はついに守護型ボスの出る階層だ。気を引き締めなければならない。

「それじゃあ気持ちを切り替えていこうか。また〈ママキノコ〉と〈オバキノコ〉みたいに〈参戦〉現象の応用で挟撃戦術を繰り出してくるボスがいないとも限らない。みんな、注意してくれ」

「特に15層と言えばそのハンディは相当なものよ。4パーティ推奨だもの」

「もしくは2パーティ推奨の守護型が2体ということもありましたわ。そこでさらにエリアボスともなれば、三つ巴すらあり得ますものね」

俺のセリフの後を補足するように言うシエラとリーナに感謝。

みんなが気を引き締めたのが分かった気がした。

階層門を潜ると、みんなでキョロキョロと辺りを見渡す。

「ここは、見たことないダンジョンね」

「私たちが知っているダンジョンはあと2つですから。あそこのダンジョンは人も少なかったですし、きっと後半なのでしょう」

「もう。ゼフィルスは私たちにいくつ高難度のダンジョンをやらせたのよ!」

ラナがぷりぷりしていると見せかけて声色は弾んでいる。いつもの振りだ。

なので俺は照れるぜというポーズを取っておいたんだ。

「なんでゼフィルス先輩は照れてるんでやがりますかね?」

「まあ、ゼフィルスだから」

「ここも覚えてないのかよ。〈 鉄姿 ( てつすがた ) の 鉱山 ( こうざん ) ダンジョン〉は結構有名なダンジョンだぞ?」

お、ゼルレカはここに来たことがあるらしい。

「ゼルレカ、ここに来たことあるのか?」

「パネェの姉御に特訓っつうか、心身を鍛え直すみたいな感じで連れてこられてな。あんときはまだ〈放蕩獣鉄剣〉の火力に浮かれてて、ここでマジ洗礼を受けたって感じだよ」

「ああ。ここ物理系全然通らないもんな」

さすがはサテンサ先輩だ。

ゼルレカのことをよく考えてダンジョンをチョイスしている。

ここは――〈 鉄姿 ( てつすがた ) の 鉱山 ( こうざん ) ダンジョン〉。

その名の通り、ここに登場するモンスターは全て鉄の姿。メタル系だ。

もちろんシルバー系じゃないので経験値は増えないし、魔法は普通に効くメタル系だけどな。むしろ魔法系じゃないと突破が困難まである。

〈 幽霊 ( ゴースト ) 特性〉とは違う意味でとにかく硬く、物理攻撃がとても効きにくいのだ。

当時の俺たちのパーティだと魔法系がヒーラーのラナと錬金術師のハンナ、それにオールマイティの俺だけだったので避けたダンジョンでもある。

メインアタッカーのエステルでも厳しいほどの防御力だったんだ、ここのモンスターたちは。

それをサテンサ先輩は分かったうえでゼルレカを放り込んだらしい。まだ【怠惰】に就いてない、当時の【ハイニャイダー】だったゼルレカをだ。さすがは「猫人」。

獅子は我が子を 千尋 ( せんじん ) の谷に落とすと言うが、スパルタである。

「それでゼルレカは丸くなったと?」

「まあ、色々と溜まってたものを思いっきり吐きだしたからな。それでいくらかは?」

「さすがはサテンサ先輩だぜ」

「うっ、思い出したらなんか行きたくなくなってきた」

どうやらゼルレカは軽いトラウマと引き換えにここで落ち着きを学んだらしいな。

「よし、それじゃあ魔法使いをベースにして先に進むぞ! メルト、頼んだ!」

「任せろ。俺たち2班が前へ出る。7班は俺たちに続け、行くぞ!」

「「はーい(ですの)」」

2班のメルトに加えて7班のアリスとサーシャという魔法アタッカー主体のメンバーを中心に前に出てもらい、鉱山のフィールドを突き進む。

「ふおおおおおおおお!!」

「あ! ソドガガが暴走した!」

途中最上級ダンジョンの鉱床に興奮したソドガガがエンジョイする場面もあったが、かなりの『発掘』に成功したのでオーケー。

こんな感じで15層は突き進み、奥にある大きな大きな部屋に突き当たった。

「あ! 守護型発見ですわ!」

「お嬢様、落ち着いて! 前に出ないでください!」

「1体の4パーティ推奨ボスね。強敵よ」

「1班、2班、7班、9班でいくぞ!」

「え!? あたいか!?」

「大丈夫だゼルレカ! ゼルレカはもう【怠惰】。あの時のゼルレカじゃない! ここでトラウマをねじ伏せろ! デバフでとんでも柔らかくしちまいな!」

「! なんかその言い方、パネェの姉御っぽいな……! おっしゃ、いつまでもビビってられっか! これ以上ないってほど強くなったあたいの実力を、今こそ見せてやるよ!」

「その意気だぜ!」

9班のゼルレカも巻き込み、守護型ボス〈アーミークロメタル・アダマンタイトローボー〉という黒光りするロボットに挑んだのだった。

結果から言おう。

本来ならとんでも硬くて魔法以外じゃほとんどダメージにならないようなボスである〈アーミークロメタル・アダマンタイトローボー〉だったが、ゼルレカの【怠惰】の力でガッツリ防御力デバフを喰らってダメージが普通に入るようになるくらいまで柔らかくされてしまったんだ。

最大の強みだった硬さを破られてはどうにもならず、〈アーミークロメタル・アダマンタイトローボー〉はついに撃破されてしまったのだった。

「おっしゃー!」

「やったなゼルレカ!」

「ああ! もう大丈夫だ! ありがとうなゼフィルス先輩! あたい、今すごく強くなったって実感した! もうあの時のあたいじゃねぇ! あたいは成長中だ!」

「その意気だゼルレカ!」

祝、ゼルレカトラウマ払拭だな。

お祝いに、ノーアが『ドロップ革命』してくれた2箱の〈金箱〉もゼルレカに1箱開けさせてあげるか!

「おめでとうゼルレカ!」

「ゼルレカ、おめでとうでやがります!」

「ゼルレカ~、おめでとう~」

「おめでとうです」

「ありがとよ!」

ゼルレカをお祝いするみんな。

うむうむ、良い空気だな。

だが、まだみんなは知らない。

今開けた16層への扉が、どこへ繋がっているかということに。

俺はチラッとだけ階層門を見る。

次の16層は――〈 暗森 ( くらもり ) の 魑魅 ( ちみ ) ダンジョン〉。

――ホラーダンジョンなんだ。