第2005話 盾受けタンク装備更新!真の最強装備で21層へ
第2005話 盾受けタンク装備更新!真の最強装備で21層へ
20層を攻略した翌日。
俺たちは〈ダンジョン門・最上級伝〉、通称:〈最上ダン〉に現地集合して装備の更新を実行していた。
「聞いてほしい! 今日はもしかしたら30.5層のボスへ挑む可能性がある! そこで、タンクの装備、特に盾をこの機会に一新したい! そのために今日はアルルに来てもらった!」
「ほんま、装備を渡すだけやけどな! 自信あるで~。ゼフィルス兄さんはこれを最終装備までの最後のつなぎと言うてるけど、普通の人なら家宝に認定されてもおかしくない出来や!」
集まってくれた約50人を前に俺とアルルで演説する。
俺たちの後ろには昨日のように布がかぶせてある何かが鎮座しており、みんなの興味がそっちに移っているのがありありと感じられるな。俺たちの話も聞いてね!
「ではそろそろお披露目しよう! アルル!」
「すでに見たことある人も多いと思うんやけど、お披露目や! シエラはん、シャロンはん、ロゼッタはん、フィナはん、キキョウはん、ナキキはん、ヴァンはんへ贈る――大盾と両手盾や!」
そういってバサッと布をはぎ取るアルル。
「「「「おおおおーーーー!!」」」」
そして歓声が上がったんだ。
「トモヨちゃんの大盾にそっくりです!」
「こっちはラクリッテちゃんの盾だね! タンクはみんなこれを装備するんだぁ」
「なんだかタンクの中であたしだけ更新しないのは、ちょっともったいない気がしやがりますねぇ」
シヅキ、ノエル、モニカの3人からそれぞれ感想が上がる。
そう、大盾はトモヨが装備している〈真・天聖盾〉、そして両手盾の方はラクリッテが装備している〈 神晶盾 ( しんしょうたて ) ・ラーベ〉だな。しかも意匠や色などをデザイン変更していない、全員統一、お揃いの装備たちだったんだ。
「呼ばれたタンク7人は前へ出て装備してくれ! あ、それとトモヨとラクリッテも前へ!」
「その試作を超える完全版も持ってきてるで!」
「へ? 私のも!」
「わ、わかりました!」
こうして〈エデン〉の受けタンク10人のうち、モニカ以外の9人の装備が一新され、お揃いになった。9人とも新しい装備にきゃっきゃしてるな。
「完全版、数値すごい!」
「はい! それに新しい盾は、なんだか輝きが違う気がします!」
「みんなかっこいいぞ! それじゃあ盾を構えてこっちを向いてくれ! これから記念撮影するぞ!」
「「「「わぁ!」」」」
お揃いにしたら記念撮影は鉄板中の鉄板だ!
大盾を構えるシエラ、シャロン、トモヨ、ロゼッタ、フィナ、キキョウ、の6人に、両手盾を構えるラクリッテ、ナキキ、ヴァンの3人がお揃いの盾を構える姿は壮観だ。
「「「おお~!」」」
「ラクリッテちゃん! 勇ましいよ~!」
「ヴァン、気絶しないようにな」
「大丈夫であります!」
「それはどういう意味なんっすかね?」
みんなも歓声状態。わかってくれるかこのかっこよさ!
ノエルがアゲアゲでラクリッテを誉めまくると、メルトがヴァンに忠告する。
ヴァンの左右はラクリッテとナキキだ。ナキキがとても不満そうにヴァンを見ていたが、気のせいということにしておいてほしい。
シャロン、トモヨ、ロゼッタという大物組がヴァンから離れたところに配置されているのも、他意はないんだ。本当だ。パシャパシャ。
「ゼフィルスたちが今日は早く来てなにかしていると思ったら、これだったのね! かっこいいじゃない!」
「シエラさんは小盾も大盾も〈真・天聖盾〉で統一されていますから、映えますね」
「シエラ! こっちに目線くれ!」
「…………」
正面からだけではなく、右斜め、左斜めからもパシャパシャ。
少し照れているのか、赤くなっているシエラも多めにパシャパシャだ。
9人の中心にいるシエラは、もっと目立ってもいいのだ!
ふう、良いスクショが撮れたんだぜ。
「それじゃあそろそろ出発だ! どんなレイドボスが来ようとLV100に到達し、随時装備を更新している俺たちなら必ず勝てる! 行くぞ!」
「「「「おおー!」」」」
そう俺は宣言し、「頑張ってきーやー」と手を振って見送るアルルに手を振り返しながら入ダンした。
「なんだか今日のゼフィルスは、気合が入っているわね」
「分かるかシエラ?」
「ええ。あんなパフォーマンスまでして、今までのレイドボスではここまですることもなかったじゃない。それにこの盾だけじゃなく、朝他にもなにかしてたわよね?」
〈万界ダン〉に入ダンすると、シエラが近寄ってきてこっそり問うてくる。
ちょっとドキリ。さすがは〈エデン〉のサブマスター、俺の行動が、見抜かれてる!?
実は今回、〈万界ダン〉の30.5層のレイドボスは、かなり特殊なボスなのだ。
そいつが現れるだけで戦意喪失しないとも限らない。故に俺はみんなに、勝てる根拠と自信を植え付けたかったのだ。それでこのタイミングに大々的に装備更新を行なったわけだな。とはいえだ。
「ははは。なんだか俺の『直感』さんにこうしておけと諭された気がしてな!」
そう言ってごまかしておく。俺はまだ〈万界ダン〉の30.5層ボスなんて知らないはずだからな!
「…………」
「さあ、まずは〈 格闘王 ( かくとうおう ) ・ケイオウ・コケッコー〉を倒すぞ。2班には守護型ボス戦では必ず出てもらう」
「……任せて。新しい盾の使い心地を見るには、いい相手だわ」
「あの15メートル級を前にいい相手とは?」
「昨日と同じ相手なのがいいのよ。どれくらい硬くなったのか実感できるじゃない」
「なるほど確かに!」
ということで、ボス戦だ。
結果から言おう。圧勝だった。
「コ、コケー…………」
「なるほどね。だいぶ硬くなったのを実感したわ。これはいいわね」
「お気に召してもらえたようでよかったよ」
シエラの手ごたえは上々だったようだ。
「おーっほっほっほ! 今回の〈金箱〉も革命済みですわ! 今日も朝から徘徊型ドロップを頂戴しますわよ!」
「よ、お嬢様。かっこいいです」
ノーアが『ドロップ革命』してくれた〈金箱〉をオープンする。すると。
「こ、これは! 〈 超衝撃的 ( ちょうしょうげきてき ) ・ 鳥唐揚げ ( とりからあげ ) 〉のレシピです!」
「明らかに徘徊型のドロップではありませんわー!?」
「こっちも、〈 超天才的 ( ちょうてんさいてき ) ・焼き鳥 集 ( しゅう ) 〉のレシピね」
「両方とも失敗ですわー!?」
ノーアの悲鳴が響き渡り――両方『ドロップ革命』失敗。
レジェンド色に光っていなかったのでそうだとは思ったが、徘徊型ではなく、この〈 格闘王 ( かくとうおう ) ・ケイオウ・コケッコー〉からの普通のドロップだったようだ。
しかし、唐揚げに焼き鳥だと!? しかも最上級ダンジョンの〈金箱〉産。
これは……ミリアス先輩に是非作ってもらわないといけないものではないか!?
よし、今度お祝いの時なんかに作ってもらおうと決める。
「次は21層よ! みんな、私についてきなさい!」
「あ! ラナそれは俺のセリフ!」
こうして21層へ初入ダン。
ここからは――中級中位ダンジョンの追想だ。
21層に入ると、とても開けている見通しの良いフィールドが広がった。
雨上がりのように所々で大きな水たまりができているのが特徴的だな。
「覚えてるわここ、確かそう、〈 足水 ( あしみず ) の 平地 ( へいち ) ダンジョン〉よ!」
「正解ですラナ様。よく覚えておられましたね」
「エステルの〈ダンジョン馬車〉が大活躍したダンジョンだもの。それは覚えているわ!」
最初のランク1はラナの言う通り、〈足水の平地ダンジョン〉の追想だ。
足首まである水たまり、そしてカエル型のモンスターが特徴的なダンジョンだな。
ゲームでは水たまりから急に飛び出してくる「どう考えてもお前水たまりに隠れられないだろ!?」という大きさのカエル型モンスターの奇襲以外特に脅威なものはないダンジョンだったが、リアルだと足が水に浸かると体力が奪われるために、攻略の難易度がかなり高く設定されていたっけ。
そして俺たちは多くの学生がぽかんと見る中、エステルの〈ダンジョン馬車〉で水たまりに浸からずに駆け抜けたのだ。そのままボス部屋まで行って攻略者の証をゲットしたんだよ。
「そんじゃ、〈イブキ〉を使おうか。〈戦艦・スターライト〉でもいいが、採集物やモンスターも知りたいから、今回は〈イブキ〉採用で」
「はい。では――〈イブキ〉召喚です!」
大きな水たまりもこれで素通りだぜ! 浮いてるために水たまりを全スキップである。なお、
「ケロケロケーーーー!」
水たまりの上を通過する時、案の定8メートル級の大型カエルに襲われたんだ。
しかし、
「『看――」
「ゲロリンーーー!?」
カイリが〈幼若竜〉で看破する前にドンっと〈イブキ〉が激突。そのままカエル型モンスターは光になってしまったんだよ。
「これ、〈イブキ〉に乗っている限り看破できないやつじゃない!?」
「この浅い水たまりのどこにあの巨体が隠れていたんですの!?」
カグヤとサーシャのツッコミが的確で素晴らしい! ★ ( 星 ) 3つあげちゃう!
そう、ここの水たまりも足首までしかないので、水面を見てもカエルなんていないし、『看破』もできない。でも、水たまりを通ると襲ってくる。マジどこに居たの!? 土の中かな?
そして『看破』する前には光になる。出現から退場まで1秒の早業だったんだよ!
まあ、結局〈イブキ〉を徐行させてなんとか『看破』に成功したんだけどな。
名前は〈水たまり隠れ忍ガエル〉だった。
「このカエルって忍者だったのー!?」
「1秒で光にカエルのはただのカエルですのー!?」
うん。こうして21層は簡単に突破した。