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第2008話 27層~30層!聖戦からバルフ、猫、巨人登場!

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第2008話 27層~30層!聖戦からバルフ、猫、巨人登場!

27層の〈 餅天 ( モチテン ) の 聖戦 ( せいせん ) ダンジョン〉の追想は、入ダンしたこともないのに女性陣たちは一目でそれを見抜いた。

「「「「〈聖戦ダン〉だーー!!」」」」

もうね、息ぴったりだったよ。

フィールドは田んぼ。水が抜けきり休耕中に見える田んぼがその聖戦の舞台。

「もち米を育てる田んぼはモチッコのもの?」そう主張するかのような〈モチッコ〉陣営、対して「栄養豊富な水田はスライムのもの?」そう主張するかのような〈スライム〉陣営がそれぞれ左右に分かれてプルプルしている。

――聖戦。

なんか大層な名前がついているダンジョンだが、その舞台が 休耕田 ( きゅうこうでん ) で本当にいいの?

中級中位ダンジョンならぎりぎりありだったが、最上級ダンジョンだと実にシュールに見える不思議。なにせ、規模がすごいのだ。

「すごいわ、〈モチッコ〉も〈スライム〉も何種類いるの? それに100体は軽く超えてるわね」

「小さいのから大きいのまで……あの〈アルティメットモチモチモチッコ〉が大将かな?」

「スライムの方は――『看破』です! あれは〈アルティメットプルプルスライム〉というようです」

モチッコもスライムも、10メートル級が大将の様子だ。

ちなみに〈アルティメットプルプルスライム〉を倒せば〈魔石(最上級)〉が手に入るぞ。〈ゼリー〉は手に入らないけどな。

手に入ったらヤバかったよ。10メートル級の大失敗が学園に溢れていたかもしれない……。

「モチモチ対プルプル……じゅるり」

「カ、カルア、あれは食べ物じゃないからな?」

「ん」

シエラ、カイリ、エステルが冷静に分析する横でカルアが食欲を向けていたが、これは置いておこう。あと、リカが目をキラキラさせて前を見つめている。目が離せない様子だ。リカにとってここはストライクなダンジョンなのかもしれない。

「規模すご!」

「あ! 両陣営が突っ込んだよ!」

「〈教会ダン〉を思い出すけど、なんというか、こっちの方がほほえましく思っちゃう」

ユウカの言葉には完全に同意だ。

天使と悪魔が争っていた〈教会ダン〉がガチっぽかったのに対し、こっちはなんだろう? ネタ? お遊戯? 本人たちは超真面目に聖戦しているつもりなのかもしれないけど、傍観者から言わせると、

「「「「か、可愛いーー!」」」」

可愛いしかなかった。

モチッコとスライムの、多分激しいぶつかり合いもおしくらまんじゅうにしか見えない。文字通り、まんじゅうが押し合っているようにしか見えないのだ……!

こんな光景を見せられたプレイヤーたちからも困惑した声が多数上がってたのを今でもよく覚えている。

これをどうしろと?

そしてそのうち〈聖戦ダン〉は「〈ダン活〉の真のマスコットを決めるための戦いの場なのだ!」と言われるようになったんだ。〈バトルウルフ〉? 不参加ですね。

なぜか、もしここにハンナが突っ込んだらどうなるんだろう? とそんなことが頭を過ぎったが、俺は首を振ってその考えをなんとか吹き飛ば――。

「それでゼフィルス、これどうするの?」

シエラが横目でこっちを見て聞いてくる。

瞬間、すべてを吹き飛ばしたハンナが勝利して〈ダン活〉の新たなマスコットになる光景が脳裏に思い浮かんでしまった。

いや違うんだ。そうじゃない。

えーっと、そうだ!

シエラが言いたいのはつまり、この聖戦に横から入り、殲滅して押し通るのか。

それとも〈戦艦・スターライト〉でひょいっと回避するのか、という話だ。

ハンナを突っ込ませるの? とか聞いたわけじゃないのだ! ここにはハンナ居ないしな!

ふう。何しろこの27層は、なぜか縦長のフィールドで左右へ行くことができない。切り立った崖があり、その向こうは迷いの霧が立ち込めているのがここからでもよく見える。そう、俺たちは前へ進むしかないのだ。あの聖戦中の田んぼに!

なお、このまま待っていてもどんどん補充のモチッコやスライムがポップするのでこの聖戦は終わらない。永遠に真のマスコットの座は空席だ!

ちなみに中級だとここのレアボスが〈天魔のぬいぐるみ〉をドロップするため、真のマスコットは〈天魔のぬいぐるみ〉だと呼ばれていたのは秘密である。

「それじゃ、〈戦艦・スターライト〉を使おうか」

「「「「さんせーい!」」」」

〈教会ダン〉の時や〈聖界ダン〉の時は殲滅を選択したというのに、なぜかここではスルーを選択し、みんながさんせーいする不思議。

あの頑張っておしくらまんじゅうしているモチッコとスライム聖戦には、割って入れないよ! 開発陣はまたなんてものを作ってくれたんだ!

ちなみに、ここのエリアボスは、階層ボスがモチッコ系、希少ボスがスライム系だ。俺たちが〈戦艦・スターライト〉で争う聖戦の真上を通過するとき、モチッコが優勢になっていた、とだけ言っておこう。リカがいつまでも目を輝かせて見つめていたよ。

27層は戦闘こそなかったものの、いろいろ情報は得られたのでスルー。パシャパシャ。

「も、もうちょっとだけ」

「リカの方が熱中してる!? ん! リカ、行くよ!」

続いて28層へ。

ここもおなじみだ。

「あ! ここ、〈猛獣の集会ダンジョン〉の追想よ!」

「ここも〈ウルフ〉系がたくさんいますね~」

そう、中級の〈ウルフ〉系、〈猛獣の集会ダンジョン〉の追想だった。

「〈ウルフ〉系は 初級中位 ( ショッチュー ) 、 中級中位 ( チュウチュウ ) 、 上級中位 ( ジョーチュー ) と、中位の階層に出現することが分かっている。その中でも基本ランク7やランク8などの後半に出やすいらしいな」

「〈ウルフ〉は強敵ですからね」

「強敵、だったかしら?」

エステルのつぶやきにラナが首を傾げていた。

〈バトルウルフ〉よ、ラナに強敵とすら認識されてないぞ!

なぜかこっちに垂れ下がった尻尾を向けて震えている〈バトルウルフ〉を幻視した気がしたが、きっと気のせいだろう。〈バトルウルフ〉は勇敢で強いのだ……! しかし。

「? ここのエリアボスも、なぜかフィールド端っこにいますね」

「呼びましょうリーナ! ここのエリアボスは、きっと〈バトルウルフ〉よ!」

7層の〈バトルウルフ〉も、フィールドの端で震えていたが、デジャヴかな?

〈竜の箱庭〉に映るエリアボスの反応は、またも俺たちから最も遠くにあったんだ。

なお、その後サティナさんによって呼び出されてしまった〈バトルウルフ(第三形態)〉は、見事に〈第二形態〉の時と同じ反応をしていたんだよ。

「シヅキ、逃がすなよ!」

「まっかせてよ! 『震えろ・大魔王様からは逃げられない』!」

「ウォーン!?」

「おかしいね。エリアボスってこんな逃げるようなボスだったかな? この光景、ぼくはこれで3度目だよ」

なお、逃がさないようにしてたらニーコからそんなつぶやきが聞こえてきた気がしたが、きっと気のせいだよね?

結局〈バトルウルフ(第三形態)〉も俺やラナたちによって狩られてしまったのだった。

あと、それを見た〈ウルフ〉たちが一斉に俺たちから距離を取り始めたせいで、その後もあまり狩りができなかったんだ。ここって待ち伏せ系のダンジョンだったはずなのに、待ち伏せてる〈ウルフ〉消えたんだけど? おかしいな……?

28層も終了。次いきますか!

「29層、楽しみね! そろそろあれが来ると思うのよ!」

「ええ、あれですね」

「わかっているわ。あれね」

ラナのあれが来るの言葉に分かる分かると頷く女性陣。

果たして何が来るというのか?

中級中位ダンジョンにあるのはあと2つ、そのうち、俺たちが入ったことのあるダンジョンは1つだ。ラナはきっとそっちのことを言っているに違いないな。

そして29層に到着すると、またも女性陣が感嘆の声を上げた。

「「「わ~!!」」」

「猫ちゃんまみれなのです!」

「猫さんの森なのー!」

そう、 中級中位 ( チュウチュウ ) と言えばこのモンスターも忘れてはいけない。もちろん――猫である。

もうお察しだろう。ここは――〈孤高の小猫ダンジョン〉の追想だ。

「時間は――大丈夫みたいだ。〈聖戦ダン〉をスルーしたから余裕はあるしな」

「ということはゼフィルス?」

「ああ。ここで少し休憩にしよう」

「やったわー!」

「猫ちゃんを観察しまくりなのです!」

「愛でてあげるの~!」

「くれぐれも触ったりするなよ~! あとタンクの誰かと行動しろよー!」

〈孤高の小猫ダンジョン〉のモンスターはとにかくのんびり屋。

ほとんどがノンアクティブモンスターの背景で、戦闘は1体ずつというのは変わらない。ただ、その1体はものすごく強くなっているけどな。

「大きさはさほど変わらないのに、ぎゅ~っと力が詰まっている感じがするのです」

「そうなのルルおねえちゃん?」

「あい! ルルの目に狂いはないのです!」

猫モンスターたちの体は、他のダンジョンと違って大型化はされていない。

それはそれはもう全くと言っていいほどされていない。

大きくなると、可愛さも減ってしまうからね。

身体は小さいままにパワーだけが上がっているのさ。戦ってみると、その強さがよーくわかることだろう。

「あ、ラウが戦ってるぞ!」

「1人でいなせるか?」

「最初は驚いたが、いける――『獣王の拳を防げる訳無し』!」

「ニャー!」

たまに戦闘をしかけてくる猫もいる。

ラウが挑まれて1メートルほどの二足歩行で魚の骨ソードの二刀流を繰り出す猫と戦闘になってたな。なぜかタイマンだ。

最初こそその攻撃力や素早さに驚いていたが、それに慣れたあとは大技をクリティカルヒットさせてたよ。

戦闘に興味のあるメンバーはラウの下に集まっているな。結局ラウが勝った。

「ごろにゃんごろにゃんなのです」

「これが〈猫界ダン〉で手に入れた〈匠の猫じゃらし(特大)〉の力なの~!」

「すっごいじゃらされてる!」

「う、あたいはちょっと離れてるぜ。なんかその猫じゃらし、すげぇ引き寄せられちまうんだ」

あ、こっちのロリっ子チームでは〈匠の猫じゃらし(特大)〉が使われてる。

何体かの猫たちがじゃらされてるじゃん。

ゼルレカはじゃらされる寸前に離れることができたようで安心。

下手をすれば、猫モンスターと一緒にゼルレカがじゃらされている可能性もあったかも。

「次は私もやらせてほしい」

「リカの目がマジ。中級中位ダンジョンの追想、侮れない」

リカがロリ組に順番待ちを申請しているな。真剣と書いてガチと読む、みたいな顔してる。リカはモチッコだけじゃなく、猫も大好きなんだ。

そんな感じで休憩をとっていると、エリアボス襲来。

「ブ~~ニャ~~!」

「あ! デブ猫王よ!」

「お、大きくなりましたねぇ」

「むしろ猫玉になってるじゃないの」

登場したのは〈猫王のキングニャー〉、通称〈猫キング〉の最終進化系。

――〈 猫魂 ( ねこだましい ) のエンペラーダニャー〉、通称〈猫ダマ〉である。

全長10メートル級にも達する、ま~るい猫だ。

「ん。怠惰を極め切った姿」

「ニャ~ン?」

「む、そなたも丸くにゃるだろ? だって? 私はお腹くらいしかならない」

「ニャニャ~ン」

「違う、私は動けば元通り」

なんかまたカルアが会話してる? いったいなんの会話をしているのか。

あとカルアのお腹はそこまで丸くならなくてもいいと思うんだ。

「ニャ~ン?」

「ん。相容れない。ここで倒す!」

「ニャーーーン!」

なんかよくわからないけど戦闘開始だ!

〈猫ダマ〉がそのでっかい体を活かして転がってくる。カルアが横に回避した。そして。

「パスするわ。転がっていきなさい――『カウンター・レイ・ストリーム』!」

シエラがカウンターでズドン。

カルアの後ろにシエラが居たのが〈猫ダマ〉の運の尽きだった。

「ナイスパス! 『 神 ( しん ) ・ 獣 ( じゅう ) ・ 願 ( がん ) ・ 獣王獅子戦牙 ( じゅうおうししせんが ) 』!」

「ブニャー!?」

なぜかボールになってしまった〈猫ダマ〉はコロコロされてしまい最後は光になってたよ。おかしいな。カルアとタイマンするみたいな雰囲気だったのに、獣王が倒してたぞ?

「ん。私には仲間がいた。それがそっちの敗因」

そしてカルアがなんかかっこよく締めてた。

29層もこれにて終了。

猫たちにお別れを告げて俺たちは、いよいよレイドボスのいる30層へと到達した。

「最後はおそらく〈 雄大 ( ゆうだい ) の 巨人 ( きょじん ) ダンジョン〉の追想ね。各階層に1体の巨人型モンスターがポップ。それを倒すだけで奥に進める、力試しのダンジョンだったはずだわ」

「その通りだシエラ。あそこはある意味人気のダンジョンだったから俺たちは挑まなかったな。馬車も使えなかったし」

階層が進むごとに強くなる巨人を倒しながら進むバトルタワー型のダンジョンだな。

最初は〈 一つ目巨鬼 ( サイクロプス ) 〉や〈ゴリアテ〉といった巨人らしい巨人から始まるのだが、最後は巨大な怪鳥や巨大な蛇といったモンスターが登場してくる、とにかく大型モンスターが詰められたようなダンジョンだった。

後半巨人どこいったの?

俺たちはそれを10体ほど倒すと、ついに30.5層の階層門が聳え立つ 救済場所 ( セーフティエリア ) に到着した。