第2016話 上級ダンジョンの追想はホラーも腹筋に注意!
第2016話 上級ダンジョンの追想はホラーも腹筋に注意!
「ついに41層か」
「ここからは上級ダンジョンエリアになるのね」
「間違いないだろうな。見た目、完全に〈嵐ダン〉の追想だ。モンスターたちまで吹っ飛んでいる光景も含めてな」
40層を攻略した翌日。
今日も元気に〈ブモル〉の最終進化系を張っ倒し、俺たちは〈万界ダン〉の41層、上級ダンジョンエリアへと侵入していた。ちなみに今日の〈ブモル〉からは両手用のメイスがドロップしていたよ。
41層に入った瞬間「コケーー!?」と鳴き声を上げながら〈アルティメットファイターコケッコー〉が嵐に吹き飛んでいく光景を見てここが〈嵐ダン〉の追想であるとみんな確信したね。
「ここでは救済アイテムの〈風除けの指輪〉が使えませんでしたわゼフィルスさん」
「追想とはいえ、本当の〈嵐ダン〉じゃないからかもな」
リーナからの報告で、上級下位ダンジョンでは使えていた救済アイテムの1つ、〈風除けの指輪〉が使用不可という報告を受ける。
俺は知っていたが、少しだけみんなはざわついていたな。
「ならまずは別の方法を検証しよう。〈イブキ〉には『環境対策モード』もある。それで突破できるようならそのまま突破するぞ」
「了解ですわ!」
こういう時〈イブキ〉の力は大きい。
〈イブキ〉はそもそも〈嵐ダン〉でドロップする〈乗り物〉なのでこういう環境にはめっぽう強いのだ。
予想通り、〈イブキ〉なら41層で唐突に突風が吹いても問題なく突っ切れるということが早々に判明した。後は余裕だったな。
立ちはだかる巨大な〈スライム〉、〈モチッコ〉、〈コケッコー〉などが行く手を阻むが、なぜか嵐によって吹き飛ばされていく。立ちはだかれてない……!
だが、ここでとあるモンスターを発見する。
そう、それは――普通サイズのスライムだった!
「『看破』! あれは〈アルティメットレアスライム〉というそうです!」
「あの〈スライム〉は欲しい! ハンナのお土産に!」
「〈レアスライム〉!? なんだかハンナが喜びそうな名前だわ! 確保よー!」
「きゃ! また嵐が!」
「スライムが飛んで行っちゃったよー!?」
「ああ!? ちょ、どこ行くのよ〈スライム〉! エステル、ユニークよ!」
「はい! 『戦車姫最終奥義・戦車覚醒』!」
「〈白の玉座〉! 『大聖女の祈りは癒しの力』! 『大聖光の無限宝剣』!」
なんか〈スライム〉相手に超豪華なユニークスキルと魔法が使われた!
それ、レイドボス戦に使うやつ! 〈スライム〉にやっちゃダメー!
嵐によって吹っ飛んだ〈スライム〉だったがラナの宝剣は自動追尾能力つき。
当然のように逃げられずに直撃してしまい――1本目の宝剣でもう光になってた。
オーバーキルすぎる!
「ドロップがどこかに落ちたわ! ニーコ!」
「任せたまえ! 『お宝レーダー』!」
ドロップもニーコの追跡には逃れられずゲットだ。
その名も〈究極レアスライムゼリー〉。〈スライムゼリー〉系だった!
これで大失敗ができるぞ!
「やったわね! これならハンナが喜ぶこと、間違い無しよ!」
「究極のスラリポマラソンがはかどっちゃうかもな!」
〈スライムゼリー〉にメイス!
みんなで協力してハンナに良いお土産ができたんだぜ。
道中少し嵐に悩まされつつも階層門に到着。
本当に、ここのモンスターたちはこの環境でどうやって生きているのかとても気になるんだぜ。
41層からは上級下位ダンジョンであると確信してからは早かった。
なにせ、上級下位ダンジョンはかなり地に足を付けて攻略したからな。俺なんてランク1からランク10まで全部の攻略者の証を持っているほどだ。
みんな対策が染みついているんだ。
ランク1〈嵐後の倒森ダンジョン〉。
ランク2〈霧雲の高地ダンジョン〉。
ランク3〈山岳の狂樹ダンジョン〉。
ランク4〈冠水の島鳥ダンジョン〉。
ランク5〈闇夜の永眠ダンジョン〉。
ランク6〈浮遊の巨石ダンジョン〉。
ランク7〈氷結の彫刻ダンジョン〉。
ランク8〈雷庭の屋敷ダンジョン〉。
ランク9〈火山の入口ダンジョン〉。
ランク10〈大亀の背戦ダンジョン〉。
救済アイテムが使えなかったのはちょっと痛いが、なくても突破は可能。
ここも懐かしみながら突破したな。
43層ではあの「頭吹っ飛んだー!?」でおなじみ、〈トラキ〉の最終進化系の一体、〈パージワークス・ザ・トラキ〉が出現……!
みんな警戒していたよ。でも突かないわけにはいかないからね、ちょっとどういう反応するのか、確かめてみたね。そしたら、案の定。
「あ、頭吹っ飛んだーーーー!?」
「って爆発したーーー!?」
「頭が花火になっちゃったーーー!?」
〈トラキ〉の頭が吹っ飛んだと思ったら、上空でパーンと花火になっちゃったんだ。思わず視線を集める頭部。そこへ。
「きゃー!?」
「やば!? 警戒していたのに思わず目を奪われちゃったんだよ!?」
「サチ大丈夫!?」
そんな隙だらけのところに頭が無くなった〈トラキ〉が攻撃してきてさ、あれはヤバかったね。あんなの警戒してても見ちゃうって!
〈トラキ〉の初見殺しが進化しすぎだよ!!
さらに45層、通称〈夜ダン〉の追想では、その守護型ボスが超厄介だった。
「ホネデス!」
「あ、自己紹介どうも」
「何言ってるのよゼフィルス! 自己紹介じゃないでしょどう見ても!」
その守護型ボスは何を隠そう、あの腹筋注意なレアイベントボス、〈ホネデス〉の最終進化系、〈P・R・ホネデス〉だったんだ! いったいなにを自己PRする気なのかこのホネデスは! 俺も何度も自己紹介されたよ。
「ホネデス! PR ( ぴーあーる ) ホネデス!」
「ぐぅ~~~!?」
「なんかゼフィルス先輩が何かに悶えているですの!」
「そう名前を連呼しなくてももう覚えちゃったよ! ホネデス!」
「ぶはっ!?」
カグヤのツッコミに耐え切れず腹筋がよじれた。
そう、今までランク6で登場していたホラー系ダンジョンが、上級ダンジョンではランク5で登場し始めてしまったんだ! 中級のホラー系ダンジョンはランク6なんだが、上級のホラー系ダンジョンはランク5が多い。
ということは〈万界ダン〉では45層、55層、65層という、守護型ボスが登場する階層にホラー系が配置されることになってしまう! 恐ろしや。
この〈P・R・ホネデス〉もその1つだ。
ちなみに45層のエリアボスは〈夜ダン〉の〈リッチデブブ〉系列の最終進化系だったんだが、出会わなかったなぁ。
「ゼフィルスに任せても大丈夫かしら?」
「お、俺に任せておけシエラ、ここは俺たちが切り開く!」
「ホネデス!」
「あ、自己紹介どうも――じゃない! 俺はゼフィルス、今から〈ホネデス〉を討ち取る者だ!」
「ホネデス!」
「どうしてかしら。このボスにはあまり怖いと感じないわ。骨なのに……」
〈ホネデス〉に対してシエラがいつも通りに見えたんだが、これはきっと気丈にふるまっているだけだろう。気丈にふるまったシエラが頼んでくるんだぜ? もう張り切っちゃったよ!
〈P・R・ホネデス〉は以前と同じく〈即死〉系を大量に使ってくるものだから、『即死無効』の装備は前提。以前とは違い、体が20メートル級となり、右手と左手が〈ホネデス〉になっている〈P・R・ホネデス〉は左右から「ホネデス」「ホネデス」言いながら即死弾を撃ってくるから侮れない。たまに正面からも「ホネデス」来るからな。さすがは自己PRボスだったぜ。
「「「ホネデス…………」」」
「おっしゃー倒したぞー!」
「やったわね! なんかゼフィルスの動きも少し切れがなかったから心配だったのよ!」
「そ、そんなことないぞ? うん。だが、ここからはダンジョンも折り返しだし、さすがの強敵だった、ということだな。うん!」
「…………」
シエラに少しジト目で見られたけど、無事に45層も突破したんだ。
〈金箱〉から〈P・R・ホネデスの召喚盤〉がドロップしたときはちょいビビったぜ。こんなの使ったら味方の腹筋に被害が出ちゃうよ! またオルクにでもあげるか?
特筆すべき階層はそんなところだろうか?
ランク9の〈火口ダン〉も〈竜〉系ではなく〈恐竜〉系などの最終進化系だったしな。
50層はカメの背中で10体くらい大型ボスを狩ったら守護型ボスのいるエリアまで運んでくれたので、あとは守護型ボスを撃破して終了だ。
カメボス〈ダダル〉の最終進化系からは〈乗り物〉装備、なんと50人以上が乗ることができる〈メディカル・アンビュランス〉のレシピがドロップした。
カメさんが緊急車両に!? いえ、救急トラック車型の装備なので安心してほしいんだぜ。
こうして40層台は楽(?)に攻略した。
「なんだか楽だったわね。もしかしたら今までで一番楽な階層だったかもしれないわ」
「かもな。最近は〈エースシャングリラ〉のみんなと一緒に 上級下位 ( ジョーカー ) に潜ることも多かったし、その分予習ができていたんじゃないか?」
「そうかもしれないわ」
ついこの間まで〈エースシャングリラ〉は 上級下位 ( ジョーカー ) を攻略していた。その影響か、〈エデン〉のメンバーたちも 上級下位 ( ジョーカー ) の追想ではかなり分かってる行動が目立っていたんだ。
翌日からは51層からは 上級中位 ( ジョーチュー ) の追想だ。
ここも大体攻略済みのダンジョンの追想なので問題は無さそう。
ランク1〈謎室の 古跡 ( こせき ) ダンジョン〉。
ランク2〈守衛の氷宮ダンジョン〉。
ランク3〈毒沼の墓場ダンジョン〉。
ランク4〈雲上の聖域ダンジョン〉。
ランク5〈地下の魔界ダンジョン〉。
ランク6〈登坂の豪雨ダンジョン〉。
ランク7〈大狼の深森ダンジョン〉。
ランク8〈禁足の大猫ダンジョン〉。
ランク9〈 爬翔 ( ハショウ ) の火山ダンジョン〉。
ランク10〈時計の狂塔ダンジョン〉。
問題は、ここは純ホラー系ダンジョンがランク3なんだが、ランク5でも割とホラーが混じっているところだろうか。
上級中位 ( ジョーチュー ) は、ホラー系が2か所あるんだよ。
「やっと53層を抜けたと思ったら……」
「55層は〈クリーチャー〉系と〈悪魔〉の混成軍だよー!?」
53層は〈毒沼の墓場ダンジョン〉。墓場と名前が付いている通りここががっつりホラーだ。墓の下から〈 幽霊 ( ゴースト ) 〉やスケルトンがこんにちはしてくる。
エリサがまとめて寝てなさいしたり、ラナたちが寝てるものもまとめて天に送り届けたりしながら、ところどころ毒の沼になっているフィールドをサーシャやオリヒメさんが凍らせて進み、ようやく突破。
しかし、安心したのもつかの間。55層ではどう見てもアンデッドに片足突っ込んでる見た目の〈クリーチャー〉系が大量にお出迎えしてくれたのだ。
え? もちろん俺たちは城に攻め込む側だよ。ランク5〈地下の魔界ダンジョン〉の追想は、魔界の城を制圧する系の階層だったからね。
「全部浄化よ! この城を私たちに明け渡しなさい! 『大聖光の無限宝剣』!」
「シエラたちがおびえるからみんなまとめて光になれー! 『インフィニティ・バニッシュセイバー』!」
「一気に突撃します。〈スプールルート〉――『暴走列車・ 特急城壁螺激槍 ( とっきゅうじょうへきらげきそう ) 』!」
「「「ブ、ブギュウ~~~~!?」」」
なぜか城攻めに慣れている〈エデン〉メンバーズたちにより、瞬く間に魔界の城は落ちてしまったのだった。
ついでに守護型ボスを張っていたホラーと悪魔ロボ型ボス、〈コキュートスクリーチャースケルトン〉と〈大悪魔に魂を捧げた鳥ロボ〉も撃破。
なんか片方がやられ際に「最後ニ鳥サンニ、ナレタ……ガクン……」とか言って光に還っていたんだ。鳥ロボ……鳥さんになるために悪魔に魂を売ったのかな?
56層は未だに誰も攻略した者がいないランク6、〈登坂の豪雨ダンジョン〉の追想。
名前の通り豪雨のダンジョンで上り坂。つまり坂の上から常に大量の水が流れてくるというフィールドだ。うっかり足をさらわれようものならそのまま入口まで流されていってしまうという、ある意味で戦闘不能になるよりも厄介なダンジョンである。
まあ、〈イブキ〉や〈戦艦・スターライト〉があれば余裕なんだけどな。
ここまで環境難易度が極端だと逆に修行もなにもないのでスルーしたダンジョンだ。
次の57層はランク7〈大狼の深森ダンジョン〉の追想。
ここは――3度目の〈バトルウルフ〉が登場するダンジョンだな!
なお、案の定というべきか、フィールドの端っこにうずくまる様にしていたので、俺たちの前に〈フルート〉で呼び出して撃破したよ。
〈バトルウルフ〉って、なんでフィールドの端から動かないんだろうね?