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第2017話 レイドボスの前に癒しはいかが?猫と狼タイム

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第2017話 レイドボスの前に癒しはいかが?猫と狼タイム

「ついに58層、到着よ!」

「58層……やっぱり猫だったわね」

「か、可愛いです~!」

58層と言えば 上級中位 ( ジョーチュー ) ランク8の追想だ。

そして 上級中位 ( ジョーチュー ) ランク8と言えば――〈禁足の大猫ダンジョン〉、通称〈猫猫ダン〉である。

期待通り、〈万界ダン〉の58層も、猫で溢れたフィールドが広がっていたんだ。

ラナが喜色の声を上げ、シエラが言葉とは裏腹にほっこりし、マシロが目を輝かせる。

ホラーダンジョンなどで心なしかすり減った気持ちが回復していくかのようだ。

「ニャー」

「ニャーニャー」

「ニャンゴロニャー」

思い思いにゴロゴロする猫たちが可愛いこと可愛いこと。

時刻は14時。今日はホラーダンジョンが2か所もあったせいで駆け足気味になり、そこそこ早めにランク8に到着した感じだ。つまり、時間はある。

となると、女性陣がすることは決まっていた。

「休憩よ! ゼフィルス! ここで大休憩をすることを提案するわ!」

「ゼフィルス殿、私たち3班全員、同じ気持ちでございます」

「2班もよゼフィルス。ここで一度休憩にしましょう。60.5層でレイドボスと戦う前に、色々癒さないといけないの」

そこまでか。まあ予想通りだ。

「もちろん俺には否は無いぞ。――みんな聞いてくれ! ここで一度大休憩をとるぞ!」

「「「はーい!」」」

「「「「わ~!」」」」

「あ、禁足地には入るなよー!」

ラナ、エステル、シエラの説得により、俺もすぐに大休憩を宣言する。

特にシエラのように、一部は今までホラーでがっつり削られた正気度とかを回復させないといけないからね。

〈万界ダン〉の29層で〈猫ダン〉が配置されていて、58層にも〈猫猫ダン〉が配置されている理由って、やっぱりレイドボスに挑む前にしっかり癒しておけよ、ということなんだろうなぁ。

なお28層と57層にはバルフが出るので犬派、狼派への対応もばっちりだ。

なぜかその癒し担当のバルフが俺たちから一番遠いところに居たのは不思議だけどな!

「ニャンニャンゴロゴロ」

「フニャ? フニャフニャ」

「ああ、いいな。カルアもそうは思わないか?」

「リカはああいうのがいいの? こう? ふにゃふにゃ」

「んんんん!?」

あ、あっちではカルアのふにゃふにゃ攻撃によってリカがふにゃふにゃになってる。楽しんでいるっぽいな。

「メルトさん、自分はあまり猫は……ちょっと苦手意識があります」

「ヴァンは城を何度も破壊されてるからな。ヴァンの城を制圧できたのは今のところ〈エデン〉メンバー以外では猫だけだ。それで苦手になったのか」

「何とか猫に効く有効な対処法はありませんか?」

「猫に効く有効な対処法、か……」

こちらではヴァンの悩みと相談事をメルトが腕を組んで聞いていた。

いや、ヴァンの城ほどの強度があれば〈猫津波〉以外は防げると思うぞ?

レイドボス・連型が相手ではさすがの〈六ツリ〉でもいつかは落とされるから仕方ないて。

「ネコしゃん、アリスと遊ばない?」

「ニャー?」

「それならルルと遊ぶのはどうなのです?」

「ニャ~」

「むむむ、手ごわいのです!」

こっちではアリスとルルが猫を口説いていた。

しかし猫はちょっと興味を示すが、すぐに毛づくろいに移行する。

アリスたちのお誘いは失敗してしまったようだ。

「ルルたちの誘いを断るなんて不届き者じゃないでしょうか? いっそ滅ぼした方が」

「ちょ、シェリアさん漏れてる! 嫉妬力が漏れ漏れです! 私それ分かるんですからね!」

断った猫にジェラっとヤバげな目を向けるシェリアと、なぜか目を丸くして抑えようとするキキョウよ。というか待って、今キキョウ嫉妬力が分かるって言った? まさか【大罪】職の補正か何かだろうか? あとで詳しい話を聞きに行かなければ。

「はぁ。癒されるわ。やっぱり癒しって大事だと思うのよ」

「分かるよシエラさん! 癒しに猫は不可欠だよね!」

「あ~、ホラーで失った乙女の何かが猫で補充されていくようだよ~」

「ほーら、猫が大好きな猫じゃらしだよ。ほらほら~」

「ニャー!」

こっちはシエラ、サチ、エミ、ユウカという珍しい構成。

そして、4人とも全員が猫じゃらしを持って猫をじゃらしていた。

4つの猫じゃらしに翻弄され、大変やられまくっている1匹の猫が超羨ましい。

そんなピクニックにも似た感じでわいわいキャッキャと猫を鑑賞し、15時になったところで出発する。

「それじゃあ行くか! いざ、60層へ!」

「「「「「おおー」」」」」

「シエラはもう平気か?」

「ええ。しっかり上書きしたわ」

何が上書きされてしまったのだろう?

シエラの記憶の奥底に沈んでしまった何かに敬礼!

58層もすでに階層門の位置は判明していたため軽~く通り抜けると、次は59層。

「ギャアアアアアオオオオオオオオオ!」

「わわわ! いきなりドラゴンさんなのですー!」

59層は〈 爬翔 ( ハショウ ) の火山ダンジョン〉の追想。ここの深層で初めて〈亜竜〉が登場したんだよなぁ。

だが〈万界ダン〉では、59層の階層門を潜った直後から、普通に〈亜竜〉が跋扈している様子が目に入ってきた。それ以外は淘汰されてしまった模様。まさに深層の様子だな。

「『看破』です! あれは、〈アルティメットワイバーン〉、〈プロミネンスドレイク〉、〈テンペストハザードワイアーム〉に〈オロチ〉です!」

「いっぱいいる~!」

「まさに生存競争の頂点といった面々だな。よし、歯ごたえを確認しながら階層門へ向かうぞ!」

〈亜竜〉とはいえ通常モンスターだ。腕を慣らすのにちょうどいい。

「『グラビティ・メテオ・エクスボール』!」

「『竜絶兵砲・ V ( ヴィクトリー ) ドラゴンバスター』!」

「『大忍法・竜撃滅波』デース!」

「『ドラゴンファング』!」

「ギャアアアアアオオ!?」

「ブリュバアアアアアア!?」

「ドッシャアアアアアン!?」

「亜竜たちが次々吹っ飛んでいくんだよ!?」

「竜種吹っ飛んだーですのーー!」

火山の中央へほとんど道なりに真っ直ぐ進み、襲い来る〈亜竜〉たちを交代しながら撃破して進んだ。

「60層到着!」

「火山の頂点にある階層門を潜ったら、そこは時計と歯車に覆われたフィールドって、少し混乱しそうだわ!」

「ここが 上級中位 ( ジョーチュー ) のランク10、〈時計の 狂塔 ( きょうとう ) ダンジョン〉の追想ですか」

「〈攻略先生委員会〉と〈ハンター委員会〉の調査によれば、このダンジョンはとても特殊で、時間以内にモンスターを攻略できなければダンジョン自体から退場してしまうらしいわ」

「ああ。シエラの言う通りだろうな。ほら、時計さんがおいでなすったぞ」

シエラが言ったようにここは時間制限付きダンジョン。

時間内にモンスターを倒せば先へ進めるが、1度でも時間をオーバーしてしまうとゲームオーバー。ペッてダンジョン自体から吐き戻されてしまうのだ。つまりは1層からやり直し。(ショートカット転移陣に登録しておけばそこからやり直し)

ここもバトルタワー型だな。時間内に攻略できなければすべてが無に帰す。恐ろしいダンジョンだ。

また、完全攻略すると最上級ダンジョンクラスの装備がそれなりの数手に入るので、 上級上位 ( ジョウジョウ ) で六段階目ツリーを開放したら〈時計の狂塔ダンジョン〉で最上級装備を手に入れておくというのは、割とよく使われていた手だった。

ただ、ここではレシピは手に入らないので、〈竜の試練〉の方を攻略できる実力があるのなら来なくても問題無し。俺もここを攻略しなかった理由だな。

なお、もちろん〈万界ダン〉でも時間内に60層を攻略できていないと〈万界ダン〉自体から追い出されてしまう。そうなったら55層のショートカット転移陣からやり直しだな。

まあ、〈テレポ〉があれば即60層に戻ってこられるが。

上から降りてきた大きなノッポの古い時計がカチカチと音を鳴らして振り子を揺らせば、周囲で一斉にモンスターがポップして襲ってくる。

「ガオオオ!!」

「シャアアア!」

「キキキキキ!」

登場するのは〈悪魔〉系や〈機械〉系の大型モンスターたち。

「ここは時間制限付きのフィールドだ! だが慌てることはない。いつも通りやれば時間以内に攻略は十分可能だ! 焦ってミスはするなよ!」

普段から〈エデン〉は周回効率を高めるためになるべく時短するよう心掛けている。

それ故に、〈時計ダン〉の追想は慌てるほどではない。

しっかり時間以内にモンスターを撃破し、それを3ウェーブしたところで時計が襲ってきた。こいつ、エリアボスでもあるんだよ。

「もう! 古びた時計は退場してなさい! 『大聖光の無限宝剣』!」

最後はラナが時計を退場させてジ・エンド。

「これでタイムを計れるモンスターも居なくなってしまったので、60層でもゆっくりできるな!」

「ここってそんな攻略法だったの!?」

「いえ、モンスター全部倒したのでどのみちクリアですの!」

ふ、ちょっとした冗談にも反応してくれるカグヤとサーシャが超サンクス!

「ゼフィルス。60.5層への入口を見つけたわ」

「すぐに行こう」

ちょっとばかし移動すれば、そこには見慣れたレイドボスへの門がドンと建っていた。

その前で最後の休憩を入れて、 来 ( きた ) るレイドボスに備える。

「ゼフィルス、ここのボスなのだけど」

「ああ。おそらくだが〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉が登場する可能性が高い。何しろ30.5層が〈ヘカトンケイル〉だったしな」

「そうよね……」

周期的な順番で、〈ヘカトンケイル〉の次は〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉だとこの世界でも決まっている。俺の予想に、シエラも疑問の余地なく頷いていた。

「シエラにはまた〈氷属性〉の全体攻撃を防いでもらうぞ。できるか?」

「任せて。それだけは確実にこなしてみせるわ」

「よし、頼んだ!」

そう、ここに登場するレイドボスは2年生の時に学園祭で登場した〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉。〈リッチ〉系の最終進化系だ。つまりはホネ。シエラが苦手なボスである。どうしてか俺のテンションが上がる……!

〈ヘカトンケイル〉が登場した段階でみんなにも予想を話していたので、改めて心構えだけさせて料理アイテムで強化する。

準備完了。

「それじゃあ行くぞ! レイドボスは強敵だ。だが、〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉が相手なら行動パターンは覚えている。恐れることはない! みんなができることをすれば絶対に勝てるだろう! 行くぞ!」

「「「「おおー!」」」」