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第2023話 65層は最後のホラー!?マミーマミーマミー!

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第2023話 65層は最後のホラー!?マミーマミーマミー!

〈空島侵略戦艦・デストロイシップ〉の〈金箱〉は、ノーカテゴリー系の専用装備がほとんどだった……!

【大海賊】【女盗賊】【復讐者】などの【賊職】系下級職の専用装備だな。

なお、艦内にあったドロップも【賊職】系の専門装備がほとんどだった。

ぐっ、さすがは侵略戦艦!! だが〈エデン〉に【賊職】持ちはいないんだ!

これは〈エースシャングリラ〉行きだな。

続いての〈万界ダン〉63層は―― 上級上位 ( ジョウジョウ ) の〈瘴気の渓谷ダンジョン〉の追想だ。

「む、いけません、これは〈毒〉です!」

「はわわ! 回復します!」

「待ったマシロ! ――その前にカイリ! 状態異常とデバフ、両方を頼む!」

「うん! 『自然環境保護』! 『大環境全適応』! 『フォロー・ミー』!」

「よし、マシロ、頼む」

「〈毒〉治します! 『天使の願い』!」

63層に入った瞬間エステルが叫ぶ、『毒無効』持ち以外の全員に〈毒〉のアイコンが付いていたのだ。

原因はこのフィールドを覆う特有の薄紫の 靄 ( もや ) 。これが〈瘴気の渓谷ダンジョン〉の名が示す、瘴気である。この瘴気のある環境に居るだけで状態異常に掛かってしまうのである。最初に受けたのは〈毒〉だが、他にも〈呪い〉〈恐怖〉〈混乱〉〈鈍足〉〈睡眠〉〈気絶〉、加えてデバフも誘発してくるというとんでもないマイナス環境なのだ。

これは回復しても環境対策をしていないとまたすぐに状態異常やデバフが付いてしまうので、俺がカイリに指示して環境対策を掛けてもらい、続いてマシロに回復してもらう。

「全員、アイコンをチェック! 問題ある人は挙手だ!」

そう問うが、手を挙げる人は皆無。ふう、デバフはつかなかったようだな。

「ここが、〈瘴気の渓谷ダンジョン〉――の追想なのね」

「〈ハンター委員会〉の方の情報ですと、フィールド全体がマイナス環境で、環境対策なしだと『耐性』や『大耐性』を持っていても時間経過で状態異常になってしまうという、とんでもないダンジョンですわ」

「だな。対策するには『無効』系を所持するか、『環境耐性』を得るか、カイリのような環境対策スキル持ちに頼ることだ」

このダンジョンは問題ありまくりとして〈ハンター委員会〉が入ダン条件を満たしている者へは注意喚起をしているからな。

フィールド自体は渓谷という名の通り、オープンダンジョンにしては素直すぎるほどの一本道なので環境対策さえすれば攻略は難しくはないんだが。

ちなみに、渓谷の川はかなり小さい。ぶっちゃけ小川レベルの枯れかけ状態だ。道を歩くには悪くない環境ではある。

その甲斐あって、俺たちは登場するモンスターも軽く蹴散らしながら、階層門までそれは順調に進めてしまった。

「おかしいわね。〈万界ダン〉を攻略するうえで鬼門となる階層だと思ったのだけど」

「結構簡単に階層門までたどり着けてしまいましたわね。さすがはカイリさんですわ……」

「良いことね! さっさとこのフィールドも抜けちゃいましょう!」

〈ハンター委員会〉が警告するほどのダンジョンとあって警戒していたのに、肩透かしでやや呆然とするシエラとリーナがちょっと面白かったんだぜ。ラナはいつも通りで安心だ!

64層は〈巣多の樹海ダンジョン〉、通称〈 巣多 ( スタ ) ダン〉の追想だ。

またの名を〈スタンピード〉ダンジョンとも呼ばれているとんでもないダンジョンだな。とにかくモンスターがガンガン攻めてきたよ。さすがはランク4の物量ダンジョンだぜ。

とはいえ、〈巣多ダン〉の物量とやり方にはすでに慣れたもの。俺たちは普通に全部薙ぎ払って進んだ。〈トラキ〉系は43層と同じ〈パージワークス・ザ・トラキ〉だったのは助かったね。あの初見殺し「頭吹っ飛んだー!?」からの「たまやー!?」のコンボはすでに経験済み。無事3回ほど引っかかるだけで通過できたよ。

いや、あれ知ってても引っかかるんだって!

だが、メインは次の65層ダンジョンだ。

「 上級上位 ( ジョウジョウ ) のランク5ダンジョンは確か、〈砂漠の墓標ダンジョン〉、だったわね……」

「砂漠に建つ巨大な墓の建築物を攻略するダンジョンという話ですわ。登場するのは――主にアンデッド系ですわね」

「…………」

さあやってまいりました! 65層はホラー系ダンジョンです!

シエラの側にはもちろん俺が控えている。ここでちょっとかっこいいセリフとか言って励ましちゃって好感度アップだ!

「大丈夫だシエラ。俺に任せろ! 絶対にシエラは守って見せる!」

「信じてるからねゼフィルス」

グハッ!

「信じてるからね」

「信じてるからね」

「信じてるからね」

俺の脳にシエラからの信頼100%のセリフが侵食しリフレインした。すごい破壊力だ!

こんなに信頼されたらなんにだって立ち向かっちゃうよ!

気合を入れて、いざ入ダン。

「マミー!」

「きゃああああ!」

「シエラはお前のマミーじゃない! 還って寝てろ! 『ゴッドドラゴン・カンナカムイ』!」

「「「「マミー!?!?!?」」」」

邂逅一発目から2メートル級マミー系アンデッドの〈アルティメットマミーサン〉が4体でシエラを驚かせてくれたので、感謝を込めて――間違えた、怒りを込めてぶっ飛ばした。シエラのことをマミーとか、まったく、とんだ勘違いだぜ!

これが初見殺しでな。

階層門を潜ったばかりの入り口付近は本来なら 救済場所 ( セーフティエリア ) なのだが、ここでは出迎えが発生するのである。

なお、この出迎えに「ああどうも、出迎えご苦労様っす」と何もしなければ別に攻撃されないのだが、「敵だ! 土に還れ!」とぶん殴ると 救済場所 ( セーフティエリア ) 内で戦闘したとみなされて普通にエンカウント状態になるので要注意。

そう、〈猫猫ダン〉などを思い出してほしいのだが、ノンアクティブモンスターは別に 救済場所 ( セーフティエリア ) にだって普通に入れちゃうのだ。ただ戦闘はできないけどな。しかし、こっち側から手を出したら話は別。反撃ももちろんされてしまうというのが〈ダン活〉のルール。

そう、この〈アルティメットマミーサン〉たちはノンアクティブモンスターで本当に出迎え要員だったのだ! プレイヤーがびっくりして思わず攻撃してしまうと〈アルティメットマミーサン〉たちが大挙となって押し寄せてくるという罠。な、初見殺しだろ? 包帯男のマミーが出迎えとか、こんなの誰だって引っかかるわ!

俺は攻撃しちゃったけど、仕方なかった……!

『ミミミーン、ミミミーン! 侵入者あり! 侵入者あり! 総員、直ちに起きよ! 繰り返す――』

攻撃すると鳴るアラート。なんで墓にアラートがあるのかはわからない。

あと、絶対に起こしちゃダメなやつを起こしてる。そのまま寝かせておいてあげて!?

「マミー!」

「マミー!」

「ひっ!」

なお、起きたモンスターがマミーマミー言いながら押し寄せてくるこの混沌よ。

赤ちゃんに生まれなおしてこい!

でもナイス!

「よし、もういいぞラナ! 一掃してやれ!」

「任せなさいよ! ――おはよう! でも再び眠りなさい! 『レクイエム』!」

「「「「マミー!?」」」」

なお、もちろんフィールド中のモンスターを集めたのは、この方が一掃するのが楽だったからである。他意はない。

ラナの『レクイエム』でみんな光に還ったよ。

〈マミー〉たちは倒されると相手に〈呪い〉を付与してくるが、すでにラナの『病魔払いの大加護』は使用されているのでへっちゃらだ。俺には〈 勇者猫 ( ゆうしゃねこ ) の聖勲章〉で『状態異常無効』持ってるので効かないしな!

そう、故に最初のマミーは俺が倒す必要があった、というわけなのだよ。うむ。

「…………」

最初は驚いて俺にひしっとくっつき顔を赤くしていたシエラもだんだん普通になってきた。そこはもうちょっとおびえていてもらっても、いやなんでもない。

結局最後はエリアボスまで投入された生者VSアンデッドとの戦いは、無事生者側が勝利。迷路のような墓ダンジョンもリーナとカイリが居れば問題もなく、道は見えた。しかし、その道中もまた大変。

「マミー?」

「ひゃあ!?」

「ナイス! ――じゃなかった! やかましいわこんにゃろー!」

「マミー!?」

出るわ出るわ、道の途中、部屋の真ん中、地面。いたるところに棺桶が設置されていて、近くを通るとこんにちは。

本当に侵入者撃退用システム? むしろ侵入者を待ってたんじゃないの? というような見事な登場で俺たちをあの手この手で驚かせてきたんだ。

広場にさ、ポツンと井戸があったりしてさ。しかも7メートル級マミーでも入れそうなくらい不自然に大きいんだよ。ありゃ出るぞ、近づいたら出るぞ、絶対出るぞ、と思わせて、メルトが先制して『グラビティ・メテオ・エクスボール』で井戸の中にメテオを撃ち込んだ時は大爆笑だったよ。「そんな殺生なー!?」とでも思いのこもった「マミーーー!?」の声が辺りに響いてたんだ。

そんなことがいたるところで起こったんだ。

ぶっちゃけ、ちょっと楽しかったよ。対策ありのお化け屋敷って楽しいのな。

「次のモンスターハント開催地はむしろ 上級上位 ( ジョウジョウ ) のここにするか?」

「――却下よ」

「――あひゅん!?」

と本気で悩んで思わず口に出してしまったら隣のシエラから、却下のツンを脇腹に喰らったんだ。しまった聞かれてた! でもこれも、ちょっと楽しかったのは秘密なんだぜ?

道中そんなこんなありながらようやく階層門まで到着。

守護型ボスをしていたマミー系〈ヘイ・ベイビーマミーライフ〉というベイビーなのかマミーなのか分からないボスをフルボッコにして、俺たちは無事65層も突破したのだった。