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第2025話 過去最大にして最強の追想で足止めされる!

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第2025話 過去最大にして最強の追想で足止めされる!

上級上位 ( ジョウジョウ ) の追想という、もう極まった感じのとんでもないダンジョン環境、60層台を突破した翌日。

俺たちはついに71層へ突入しようとしていた。

「あれ? そういえば次はどこの追想なのかしら? 流れから言ったら最上級ダンジョンの追想?」

「そうですね……学園にあるダンジョンは全部で80。うち初級10、中級30、上級30を突破しましたから、残っているのは最上級ダンジョンとエクストラダンジョンでしょうか?」

「エクストラダンジョン! そういえばあったわね! 忘れていたわ!」

ここにきてラナたちもそのことに思い至ったのか、71層について予想し始める。

エステルの言う通り、ここまでは順調に流れに則った等級の追想を突破してきていた。

残りの学園ダンジョンは10(?)。

しかし、最上級ダンジョンは90層まであるダンジョンだ。数が合わない。

じゃあ深層の奥にはどんなダンジョンが待ち受けているのか?

実は〈万界ダン〉は追想だけじゃないのだ。ちゃんとオリジナル階層も存在するのである。まあ、これはあとで分かるだろう。まだ秘密だ。

「あ、71層はやっぱり〈 食 ( しょく ) ダン〉よ!」

「ん! レッツカレーダンジョン!」

「カルア先輩がいきなりテンション最大に!?」

「いつの間にか装備がフォークとスプーンになってますの! カレーにフォークは必要ですのー!?」

71層はエクストラダンジョンの1つ、〈食材と畜産ダンジョン〉、通称〈食ダン〉の追想だった。そう、71層から75層は――エクストラダンジョンエリアなんだ。

周りは畑だらけだな。

それを見てラナが断言したら、カルアが一瞬で両手を挙げてカッと目を見開いていたんだ。手にフォークとスプーンを持っているところも芸が細かい。セリフはカレーだけど。非常に混乱している様子……!

「ん! 本気出す――『エージェント猫召喚』! 黒猫隊、すぐに牛さんを探してくる。見つけた子、褒美は思うがまま」

「「「ニャー!」」」

「カルア先輩がガチだよー!」

「黒猫ちゃんたちも心なしか、いつもよりも目がマジですのー!」

うむ。それでこそカルアだ。

「みんな、ここがエクストラダンジョンの時と同じくモンスターが少ないとは限らない、しっかりパーティ行動を心掛けて探索だ! そして安全が確認でき次第、この採取物を刈りまくるぞ!」

「「「「おおー!」」」」

「あの、ゼフィルス先輩! もう〈採集無双〉が刈り始めてます!」

「すごい勢いで畑が消えていくですのー!?」

「…………」

ふう。みんな〈食ダン〉と聞いて目の色を変えてしまってるんだぜ。

しかしそれも致し方なし!

〈食ダン〉の採取物は美味しい。それはそれは美味しい! しかし、等級的には初級のダンジョンだった。

ダンジョンの採集物は等級が上がれば上がるほど良いものがドロップする。味も然り、最上級の肉はマジほっぺが落っこちる心配をしなければならない。

じゃあ最上級ダンジョンの〈食ダン〉は?

もうね、大変だよ。大変なことですよ。

俺だって食べたいわ!

マジ、採りつくす!

それはギルドメンバーの総意だったようで――!

「『フルマッピング』ですわ!」

「『立体地図レーダー完備』! 『安全ルート探知』!」

「「「『索敵』!」」」

「私たちは空から探しましょう。――ゼニス!」

「クワァ!」

「いっくよワダラン!」

「ガアアアア!」

「ぺーちゃん召喚!」

「ヒヒヒヒーン!」

「いち早く安全を確保しなければなりません。行きますよ姉さま――『天空飛翔』!」

「ちょ、フィナちゃん私を抱えてどうする気ーーーー!?」

食料をめぐってみんなガチの探索開始。

もし食料を取っていこうとする輩を見つけたら、きっと怪獣たちが降ってきて大変なことになるだろう。

……〈食ダン〉のモンスターは〈ゴブリン〉だったはずだが、そこに聖竜とかバハムートとかが下りてくるのか……。南無。

「『ギルドコネクト』! アイギスさん、そこから北、ゴブリンの要塞がありますわ! 滅ぼしてくださいまし! これより追加の人員を送りますわ! ――エステルさん!」

「はい! 3班と6班で行ってきます!」

「要塞攻略ね! 腕が鳴るわ!」

「私たちは〈採集無双〉の手伝いしてよっかラクリッテちゃん」

「は、はい! 準備万端ですよ!」

こうして北側にあったらしいゴブリン要塞は滅ぼされ、速攻で安全が確保された(強制)ので、残ったメンバーで人海戦術で畑を刈りまくった。この畑に実るものは全て俺たちのものだーー!

でも〈採集無双〉とか、俺たちの3倍近く速い速度で回収している。すごい。AGIでは俺たちの方が圧倒的に速いはずなのに。

「ふう。いっぱい採ったわね」

「たはは~。1つ味見をしてみよっかメルト様」

「悪くないな。このトマトとかどうだ?」

「お野菜斬るのはルルに任せるのです! とう!」

「空中でトマトが8分割に!?」

「ルルおねえちゃんすごーい!」

ちょっと休憩中、採取したみずみずしい野菜を味見してみることになってルルがトマトをスラッシュしていた。マジパナイ。スクショを取らなければ! パシャパシャ。

「こっちはキュウリ、こっちはスイカがありましたよ」

「「「スイカ!」」」

この前スイカ割りをしたばかりだが、スイカは相変わらずの人気ぶりだな。

「ねぇご主人様、私があーんしてあげるわ――ふぶ!?」

「なにをしているのですか姉さま。――教官、姉さまがすみません。代わりと言っては何ですが、私が食べさせてあげます」

「フィナちゃん!? それは違うんじゃないかな!?」

探索から帰っていたエリサがしなだれかかってキュウリを差し出してきたが、一瞬の早業でフィナがチョップして入れ替わってた。入れ替わるんだ!?

「せっかくだからエリサとフィナの、両方をいただこうか。パクリ――ん!?」

ケンカしないよう俺が2人の手の野菜を食べれば解決だ。って 美味 ( うま ) っ!

このキュウリ美味い! たかがキュウリ、されどキュウリ。噛んだ瞬間、パリッといい音を立てて口の中に入り込み、噛めば噛むほど瑞々しさと甘み、そして旨味がじんわりと広がるんだ。最初から棘も無いし、まさに食べられるために生まれた感じ! これが止まらない。本当に止まらずパクパクと食べ続け、終いにはエリサの指まで食べてしまったほどとんでもない味と食感だったんだ。まさにやみつき。

「ほ、ほわー!? 食べられちゃった! 私の指、ご主人様に食べられちゃった! きゃー!」

「ちょ、ずるいです姉さま。――いえ、違います。姉さまが何かする前にすぐに手を洗わせますので安心してください教官」

「な、なにするのフィナちゃん! ちょ、来ちゃらめ~~!」

「捕まえました」

なお、エリサは俺が思わずパクリとしてしまった指をかばって逃走したが、AGIでフィナに勝てるはずもなく、あえなく捕まって水場に連行されていった。エリサとフィナのごっこ遊びはいつ見ても面白い。

「ゼフィルス」

「シエラ? どうした?」

「その、私も――」

シエラがキュウリを片手に話しかけてきたかと思うと、そこで歓声が上がった。

「ん。大量大量」

驚いて2人で見れば、5メートル級の牛を両手で持ち上げてやってくるカルアが居たのだ。さすがSTRが育ってるだけあって力持ち!? ビジュアルがやべぇ。

「カルア、それどうしたんだ!?」

「パメラに〈解体大刀〉を使ってもらうため、捕まえてきた」

「なるほど~」

「私の出番デースね!」

動物もモンスターも、狩ればドロップを落とす。故になぜ捕まえてきたのかと問えば、『ドロップ2倍』スキルを持つパメラの武器でトドメを刺してもらうことが目的だったみたいだ。

「モ~!?」

「いっちょあがりデース!」

動物系はモンスターではないので最上級ダンジョンでも弱い。初級武器のはずの〈解体大刀〉で一撃で絞められた牛は、2メートル級の肉ブロックを2つ残して光になった。

「ん! グレイト!」

「それほどでもあるあるデース!」

以前は牛さんを倒すことに抵抗があったようなカルアだったが、もう大丈夫みたいだな。

と、ここでシエラと話し中だったことを思い出す。

「あ、そういえばシエラ、悪い。話し中だったのに」

「いいのよ。その、またの機会にするわ」

そう言ってキュウリを背中に隠しながら戻っていくシエラ。

まさかとは思うが、シエラもあーんしに来たのだろうか? そして俺はそれをみすみす逃し――いかん、考えたらショックでクラっとした。そんなチャンスを棒に振ったなんて、きっと気のせいに違いない! ふう。

「ゼフィルスさん、このフィールドの大きさがおおよそ判明いたしましたわ。さすがは〈食ダン〉の追想だけあって、とんでもなく大きいですわよここ」

「全部の採取物を取ろうと思ったら1日掛かりでも無理だと思うから、切りの良いところで引き上げよう!」

ここでリーナとカイリから相談。

〈食ダン〉は1層1層がとんでもなく大きい。すべてのダンジョンの中でもダントツで大きい階層を持つダンジョンだ。故にここ〈食ダン〉の追想もまた大きく、とてもではないが刈りつくせない面積だったんだ。

俺はカイリのアドバイス通り、採取物がある程度貯まったら移動し、別の種類の採取物を収穫するという行動を繰り返しながら次の72層を目指した。

エリアボスは〈アルティメットワイルドサントリオ〉という、あの〈コケッコー〉〈プビィ〉〈モーギュ〉の最終進化系が集まった3体ボスだったが、分断して各個撃破!

「コケーーーーー!?」

「プビィーーーー!?」

「ブモーーーーー!?」

「いっちょ上がりデース!」

ここで調理レシピをドロップしたのがいけなかった。

「ん、ゼフィルス、これは周回しなくてはいけない」

「同意だわ。このダンジョンの特性も相まって、すさまじい料理アイテムのレシピがドロップすると思うのよ」

「おおう」

シエラが向こう側に回ってしまったので〈フルート〉とサティナさんの出番。

結局俺たちは〈万界ダン〉に来て初めて、たったの1層に1日掛けて踏破することになったのだった。

調理レシピは――30枚近くドロップしたよ。だからまあ、オッケーかな?