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第2027話 エクストラダンジョンを抜けるのは無理だった

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第2027話 エクストラダンジョンを抜けるのは無理だった

「やっぱりというか、結局エクストラダンジョンを抜けるのは無理だったぜ」

「ああ。そうだな」

「仕方あるまい。温泉を目の前にして 通過 ( スルー ) することは、女性陣が許さなかったからな」

俺が呟くとメルトが同意し、レグラムがさもありなんと言わんばかりにうなずく。

現在73層。

昨日は〈食ダン〉と〈海ダン〉のコンボを喰らって結局72層から進めなかったが、今日は鋼の精神力で階層を進めるぞ! そう意気込んだのもつかの間、73層は〈秘境ダン〉。つまりは温泉がいっぱいあるダンジョンだったために鋼の精神力は一瞬で砕けてしまったのだった。

端的に言えば、女性陣の「温泉入りたい!」のセリフに屈服した。

女性陣が一緒にお風呂に入ろう? と誘ってきたら男はイエスするしかないのだ。簡単なこの世の真理だよ。もういっそ切り替えて〈秘境ダン〉を楽しもうと思うんだ。

現在は〈竜の箱庭〉を囲ってみんなでどこの温泉がいいか模索中。

「ゼフィルス! ここなんか良いんじゃないかしら! ほら、大量の湯気が出ている様子がここからでも見えるわ!」

「いえ待ってくださいラナ殿下、ここの方が断崖絶壁に囲まれていて安全性が高いかと思われますわ」

「こっちの温泉の川エリアはちょっと危険ね。モンスターがそれなりにいるわ。行くならせめて水着装備を最上級のものにしないと……」

「塔のてっぺんにある温泉もいいかもしれませんよ? 私ならゼニスで安全確保が可能です」

〈海ダン〉の追想は昨日行ったばかりなので当然のように最上級水着はまだできていない。最上級水着を作ってたら夏休みが終わっちゃうからな! 故に最低限安全性の確保できる場所が求められる。

みんな温泉はゆっくり浸かりたいだろうしね。

「こういう時 救済場所 ( セーフティエリア ) の場所が分かる調査系の 職業 ( ジョブ ) 持ちが欲しくなりますわね」

「キャロルちゃんはまだ 上級中位 ( ジョーチュー ) だもんね。私もそういうスキルがあればよかったんだけど」

リーナとカイリが難しい顔をする。

調査系 職業 ( ジョブ ) 持ちなら地図の上からでも 救済場所 ( セーフティエリア ) を発見できるスキルがあるからな。最近キャロルが五段階目ツリーで覚えてカイリたちに自慢していたのは記憶に新しい。

リーナとカイリは地図から 救済場所 ( セーフティエリア ) を見つけるスキルを持ってないのだ。行けば分かるんだけどな。

話し合いの末、リーナが提案した断崖絶壁に囲まれている場所が第一候補になった。〈秘境ダン〉の14層にあった〈 湖温 ( こおん ) の秘湯〉によく似ていたのだ。

「エステルさん、〈戦艦・スターライト〉の使用を許可しますわ!」

「はい! 〈戦艦・スターライト〉召喚です!」

今まで〈イブキ〉で地形や出現モンスターを確認しながら進んできたはずなのに、〈戦艦・スターライト〉で空から出発である。みんなが温泉好きすぎる!

「ギルドハウスに温泉があるおかげで、みんな温泉好きだからな」

「くぅ! ちょっとみんなを温泉好きにさせすぎたか……!」

まさかギルドハウスに〈温泉結晶〉を複数設置したのが裏目に!?

メルトの言葉に俺も察したよ。原因俺だった。まあいい。

「みなさん、安全確保が第一ですわ! わたくしたちが持っている水着は中級装備。モンスターとの戦闘は水着ではできないと思ってくださいまし! まずは索敵班がモンスターが発生する場所か否かを探知! 救済場所 ( セーフティエリア ) と確認でき次第、突入いたしますわ!」

「最上級ダンジョンの温泉がどんなところか、私たちで見極めるのよー!」

「「「「「おおー!」」」」」

女性陣の気合がすごい。

あのリーナが、なんか要塞攻略でもしそうな重大で偉大なことをこれからするぞ、みたいな雰囲気で鼓舞しているのだが、目的は温泉なんだよ。いや、安全確保は良いことなんだけどな?

「そろそろ到着よ」

「エステルさん! お願いいたしますわ!」

「はい! 『戦車姫最終奥義・戦車覚醒』!」

はい、エステルの上級ユニークスキル発動です。

ここから一気に索敵探知ができるメンバーが索敵開始する。

「ん。安全、確認」

「オールグリーンです」

「モンスターの姿、いずれも確認できないデース!」

「突入ですわ!」

突入指示出ました!

エステルが高度を下げて、着水です。温泉に到着だ!

「あ、ヴァンは船室に避難してろ!」

「りょ、了解でありま――」

「すぽぽーんと〈マイセット早着替え〉ですわー!」

「ぐはぁ!?」

「ヴァ、ヴァ~~~~ン!?!?」

「遅かったか……!」

ヴァン気絶も入りました!

どうやら船室ではノーアがまさに早着替えをしていたようで、ドアを開けたヴァンが直撃を受けてその場で倒れたんだ。船室は避難する場所ではなかったっぽい。

「さあクラリス! 行きますわよ!」

「ま、待ってくださいお嬢様! 今タラップを降ろしますから!」

なお、そんなヴァンに目もくれず出てきたノーアたちは、今年の〈海ダン〉の時と同じ水着姿だ。そう言えば、あの時からノーアってマイセットに水着を登録してあったもんね。

さすが、水着になるのが誰よりも早い。

「みなさん、安全を確保できました。わたくしたちも着替えに行きますわよ!」

「「「おおー!」」」

「俺たちはここでひとまず見張りをしてるからな~」

「お願いねゼフィルス」

シエラも今はリーナと同じ目的のようで、船室に入っては一瞬で早着替えして出てくる。どうやらみんな事前にマイセットへの登録は済んでいたようだ。

女子の水着姿が、大変目に優しいです……! エクストラダンジョンには勝てなかったよ。(2回目)

「誰1人水着を忘れた者がいないのがすごいな」

「オリヒメ曰く、〈万界ダン〉に〈食ダン〉の追想があった時点でみんなに水着を用意するよう周知したらしい。昨日の〈海ダン〉の追想では着られるような 救済場所 ( セーフティエリア ) が無かったことを残念がっていたからな」

「……ということは、一昨日の時点ではみんな水着は用意していなかったと……?」

なら一昨日の時点で73層に来なかったのは正解だと言えるな。

攻略が鈍足になってよかったのかもしれない。あれ? なんかさっきと逆の思考してるぞ!? これがエクストラダンジョンの魔力……!

見ればタラップが下ろされ温泉の水質、温度、深さなどが調べられ、危険がないことが分かると、みんな一斉に温泉に浸かりにいっていた。

〈秘境ダン〉の追想なので、人が入っても問題ない温泉なんだ。

「あ、あ~、これ、なんだかすごいわ」

「わ、分かります。体の内側からぽかぽかと、それだけじゃなくじんわりと何かがしみ込んでくるようです」

「体が蕩けるよ~」

「リラックスです~」

ラナ、エステル、ノエル、ラクリッテの表情がすごい蕩けてる。

すごく気持ちよさそうだったんだ。

「うちの女性陣はすごいな。男子の前で水着になることも、温泉に入ることも慣れてる」

「それは言わないお約束だぞラウ」

俺が慣らした! なんちゃって。

なんだかこれも普通の光景に見えるが、考えればすごい光景だよな。

しかし、それは言葉にしてはいけないぞ? 女性陣にやめたと言われてはたまらないからな。

「ゼフィルスたちも早く来なさいよ~」

「水着持ってきているのでしょ?」

「当然だ!」

もちろん男性陣も水着を忘れた者は皆無。

約1名気絶中だが、ヴァン以外はみんな水着に着替えて温泉に浸かったんだ。

「お、おお? おおおお! これは、確かに、力が抜けるというか、優しい波動と言うか。あれだ。 体力 ( HP ) が回復しそう~」

「確かに、これは、気持ちがいいな」

俺たちも水着に早着替えして温泉に浸かると、それは〈秘境ダン〉の温泉よりもすごかった。

何て言えばいいのだろう? 体の悪いものがすべて溶け、いろんなところが整っていくような、ファンタジー回復の泉かと思うような癒し効果抜群の温泉だったんだ。

端的に言えば気持ちいい。これは間違いなく温泉だよ!(錯乱)

ここが〈秘境ダン〉の温泉だったら、このまま温泉で遊ぶところだが、もうなんだろう……、浸かっているだけで幸せという感じで一歩も動かず温泉を堪能したくなったんだ。

「はあ、生き返る~」

「あ、それだ!」

誰かが言ったセリフに俺たちはみんなで頷いた。

まさにそのセリフが適当だよ! ここはまさに、生き返る温泉だったんだ。

学園長へのお土産に少し持って帰ろうかな~。

「さあ、温泉も堪能したし、そろそろ次に行こうか!」

「堪能しつくしたわね! でもまた来たいわ!」

「攻略してしまえば〈テレポ〉でいつだって来られるさ!」

たっぷり4時間。もう太陽が真上に来ちゃってる時間までみんなで温泉を堪能して、俺たちはようやく出発した。

危ないよ。これ以上いたらまた1日エクストラダンジョンコースだよ!

次は大丈夫。何しろ〈鉱ダン〉だ。

74層に入ると、爆発したのはソドガガだった。

「――――!!」

「すごい! ゼフィルスさん、ここ、本物の〈鉱ダン〉よりも〈宝石〉や〈貴金属〉の鉱床が格段に多いですよ! ソドガガがとてもはしゃいでいます!」

〈鉱ダン〉でも宝石はいっぱい採れたのだがここはなんとそれ以上。

さらに〈金〉〈銀〉〈プラチナ〉を始めとする〈貴金属〉の採集ポイントまであってヤバかったんだ。

ソドガガがテンション上がるのも分かるぜ。

さすがにすべてを取りに行くと時間が厳しいので40ほどの鉱床から宝石や貴金属類を大量に入手し、俺たちは75層へと向かったのだった。

また後日来ようね!

75層は当然のように――〈道場〉だった。

入るとバトルタワー形式でシルバー系モンスターが襲ってきた。

「これは、〈道場〉、ですか?」

「もう! 私たちはもうレベル上がらないわよ!」

それはそう。

75層の守護型ボスは、なんと〈シルバーボスアルティメットプビィ〉。

なんとシルバー系のボスが登場したのだ!

シルバーでボス。シルバーは〈ダン活〉では経験値。ボスは通常モンスターよりも大量に経験値をくれるモンスター。

故に、正直こいつを倒すととんでもない経験値をくれるのだ、が……。

俺たち、もうレベルカンストしてるんだよ……!

ゲームでは、レギュラーキャラを育成する場所では無かったんだここ。〈『ゲスト』の腕輪〉が輝くんだぜ。

というわけで普通に倒し、『取得経験値1.2倍』の付いた腕輪を〈金箱〉から2つもゲットしたので、これは【錬金術師】の新米組に渡すことにして、今日はここで帰還することにしたのだった。

夏祭りまで残り3日!

エクストラダンジョンエリアを抜けたぞ!!