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第2029話 追想最後のレイドボスは〈ア・クマオウ〉さん

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第2029話 追想最後のレイドボスは〈ア・クマオウ〉さん

ア・クマオウさん! 〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉さんじゃないですか!

悪魔王――漢字で書くとかっこいいのに、クマじゃねぇかよ!

普通「悪魔王」のルビつったらデーモンロードとかだろ!

なんでア・クマオウになっちゃったんだ!?

(デーモンロード←ちょっとかっこいい)

(ア・クマオウ←よく分からないクマの王)

悪魔王のルビの付け方1つでここまで印象が変わっちまうとか、これが〈ダン活〉クオリティだよ!

悪魔とクマの親和性は高いんだ! 〈ダン活〉ではな。

「グゥゥゥゥゥマアアアアアアアア!!」

「クマさんがクマって鳴いたのです!」

「やっぱりこれ悪魔よりもクマにしか見えません!」

ルルとシェリアの声に我に返る。

おっと、ツッコんでいる場合じゃない!

だがここは悪魔系のダンジョン。

見た目はクマだが、悪魔系のボスだ。強いぞ。

「来るぞ!」

〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉が城からダイブした。

瞬間、カルアたち『直感』持ち組も叫ぶ!

「ん! 離れて!」

「耐震防御です!!」

「上じゃない! 下だ!!」

ここまで『直感』組が焦り、かつバラバラな掛け声があっただろうか?

しかし、〈エデン〉のメンバーは優秀。元々リーナが調べてくれていたため、最初の大技にもしっかりと対処していた。

「シエラ、ラクリッテ、シャロン、ヴァン!」

「『アブソープション・ワン・フォートレス』!」

「ポン! ユニークスキルは 夢幻 ( ゆめまぼろし ) の巨塔――『 夢幻 ( むげん ) 四塔盾 ( しとうたて ) 』!」

「うん! 『ゴッドオリハルコンランパート』!」

「はっ! 『オリハルコン城』!」

タンクたちが出すのはすべて壁系の防御スキル。

その後ろにみんなが隠れたのと、〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉が着地し、両手に持つ斧を地面に叩きつけたのはほぼ同時だった。

「グマアアアアアア!」

瞬間地面が爆ぜる。

「アースクウェイクですわ!」

〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉を中心に地面が盛り上がりランス状に隆起する全体攻撃。

それはアースクウェイクと呼ばれるスキルに酷似していた。しかし、その規模は巨大。まさに全体攻撃もかくやというほどボス部屋全土へ波紋のように衝撃と隆起が広がったのだ。

だが俺たちが展開した防御スキルでこっち側の攻撃はしっかり防御。

壁型の防御スキルであれば波紋は抑えることが可能だ。

多少衝撃はあったが、初手の攻撃は見事防ぎきっていた。

「グマアアアアアア!」

その両の剛腕と斧を地面に突き刺していた状態から体を上げ立ち上がると、改めてその姿が顕わになる。

体は45メートル級。〈ドラゴレム〉よりかは若干小さいものの、レイドボスの中でも屈指の巨大さだ。

金色の体毛に覆われた二足歩行。明らかな人型の体をしており、腹から胸まで悪魔が好むような色のデザインアーマーを着込んでいる。

両腕には闇闇しい斧が1本ずつ握られており、斧の先は闇のオーラがばんばん溢れ出していた。さきほどのアースクウェイクを繰り出した斧だ。

アーマーの中央には何かの闇っぽいクリスタルが煌めいており、危険がいっぱい。

ここまでは見た目はクマ率90%。だが背中に申し訳程度に生えている蝙蝠の翼と悪魔の尻尾が悪魔だということをちょっぴり自己主張していることを、俺は知っている。

うん、やっぱりほぼクマだよ〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉。

「ゼフィルス、先ほどの攻撃が再び来るとまずいぞ!」

「ああ! 全員万が一に備えてシエラ、ラクリッテ、シャロン、ヴァンの近くに居るようにしてくれ!」

「「「はい!」」」

先ほどの全体攻撃級のアースクウェイクは初見殺し。城から飛び降りるアクションと組み合わせた強力な攻撃だと知っている俺からすれば無用な心配だが、他にも警戒すべき攻撃は存在するので4人のタンクを中心にさせる案は悪いことではない。

「反撃開始だ!」

「グマアアアアアア!!」

「ナキキ防御!」

「『シールドオブセット』っす!」

〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉の攻撃はシンプル。

その力強い剛腕から繰り出される、斧を振り回して攻撃するのがメインとなる。

1班に目掛け攻撃してきたためまずはナキキに盾をかざしてもらい防御。

「ぬおおおおお!? すんごい衝撃と貫通持ってるっす~~!?」

「ナキキ、大丈夫ですか!? 『ネイチャーハイヒール』!」

ナキキが受けたのは〈六ツリ〉であり、現在スキルLV10の防御スキルだ。

本来ならレイドボスの攻撃すらも防御できるはずだが、ナキキのフィードバックはかなりのもの、なんと3割近くもHPが減ったのだ。

これは相手が防御スキルを張ってもダメージを貫通させる『貫通』系スキルの強力なものを持っているということ。

「ヒーラーはタンクのHPに細心の注意を! 相手は間違いなく『大貫通』かそれ以上のスキルを持ってるぞ!」

「グマアアアアアア」

「ラッシュ系だ! 防御スキルを張りまくれ! 『ブレイブシールド・イグニッション』!」

「私を抜かせはしないわ――『シールド・テラ・クワトロ』! 『オープン・ザ・サウザンドシールド』!」

続いてこの45メートル級レイドボスがまさかのラッシュ系、つまり連打攻撃を繰り出しやがった。

右の斧を振りぬき左の斧を振り下ろす。続いて右の斧を叩きつけ、左の斧で薙ぎ払い。そんな1本20メートルを大きく超えていそうな斧で連打なんかされたらたまらない。学園祭では、これを防御し耐えきれた人は皆無だったそうだ。そりゃそうだろうさ! これも『貫通』付き攻撃だもん!

だがここは俺とシエラで防御スキルを張ってやり過ごすことに成功する。

俺たちの防御スキルは『貫通耐性』や『貫通無効』系を内包する防御スキルなのでフィードバックはほとんどない。

「グマアアアアアア!」

「周囲範囲攻撃だ! 防御を固めろ!」

しかし次の自分を中心とした広範囲への攻撃は、防御スキルを使ったメンバーも『貫通耐性』持ちはまちまちで、フィードバックもかなりのものだった。

ここはヒーラーの出番。

「『ネイチャーサークルハイヒール』!」

「私が継続全体回復掛けます! 『神使の継快儀式』!」

「良いぞ! 常に継続回復を切らすな!」

「うぉおりゃあ! 『怠慢と堕落の剣』! 『惰性と堕弱の一撃』! 『脆弱と漫然の一閃』!」

「『エールベストパフォーマンス』! 『コングラチュレーション』!」

シュミネが全体回復を、そしてカグヤが全体に継続回復を付与して一瞬でHPを戻していくと、反撃。

ゼルレカがデバフを打ち込み、ノエルがバフをじゃんじゃん掛けて戦線を安定しにかかる。しかし。

「グマアアアアアア!」

「なに! バフやデバフを元に戻しやがったぞ!」

ゼルレカの言葉がボス部屋に響いたとおり、〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉が叫ぶと闇のオーラがあふれ、せっかく付与したアイコンが敵味方すべて消えてしまう。

さすがはあくまで悪魔として登場しているクマ、〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉。

バフやデバフを元に戻してしまう、いわゆる「いては」系スキルもしっかり覚えている。

そりゃこんなの使われたら学園祭では勝てんわ!

だが、こっちには対策がある。

「ラナ!」

「任せなさい! 『光守られし聖なる奇跡』!」

ラナの上級ユニークスキルは1021の 職業 ( ジョブ ) の中で唯一いては系を無効にできる。

「バフとデバフをかけなおすぞ! 相手の攻撃力が高いから、ガンガン弱体化してやれ!」

「任せてくれ! 『働くな斬り』!」

「グマアアアアアア!!」

消えてしまったデバフをかけなおすために指示を送る。

だが、ここでトラブル発生、やる気は良かったゼルレカだったが、それが〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉の怒りに触れてしまったのだ。端的に言えば反撃スキルが発動し、その直撃を受けたのである。

〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉が左の斧を地面に振り下ろすと、さっきよりも小さな規模のアースクウェイクが発生。地面がランス状に隆起し、なんとゼルレカが直撃して空中に吹っ飛ばされたのだ。

しかも追撃まで発生。左の斧から手を離した〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉が、一瞬でしゃがみこんだかと思うと、足、腰、胸、腕とひねりを加えた、鋭すぎるアッパーカットを放ってきたのである。

「クマアアアアッパーーーー!!」

「ぐはーーー!?」

「「ゼ、ゼルレカーーー!?」」

クマアッパー直撃!! 45メートル級のレイドボスがわざわざしゃがんで溜めを作ってのアッパーである。実はこれ、必殺系のスキルだ。

実に地表から100メートルくらい上空に吹っ飛ばされたゼルレカ。ここから地面に落ちると〈敗者のお部屋〉に一直線である。ゲームでもそうだった。〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉の『必殺・クマアッパー』の直撃を受け、そのまま地面に落ちれば大ダメージで戦闘不能になる。故に必殺級威力の技だ。マジパナイ。

だが大丈夫だ。地面に落ちなければセーフ。

「ヴァーン!」

「はっ! 『ミラクル・ハクッション』!」

「ふびゃあ!?」

ヴァンの『ハクッション』系スキルは文字通りエアクッションみたいな魔法だ。

本来はボス他、ギルドバトルなどで相手を吹き飛ばしたり受け止めたりするものだが、こうやって落っこちてきた味方を受け止めるにも重宝する。まさにミラクルだ。

「ぐはっ! やっべぇ、死ぬかと思った!」

「ゼルレカー大丈夫ー!?」

「ゼルレカ、怪我はないですか!?」

「アリス、キキョウ、大丈夫だ。いや大丈夫じゃねぇ! 真の最強装備で身を包んでるっつうのにHPが6000も吹っ飛んだ!?」

「「6000!?」」

「助かったぜヴァン」

「なんの、お役に立ててよかったであります!」

ゼルレカ、無事着地。戦闘不能ならず!

アリスとキキョウが思わず駆け込んできたのでそっちに降ろせば、HPがとんでもないことになっているのに気付いた様子だ。なにせ、アースクウェイクに『必殺・クマアッパー』の直撃と二撃も喰らったのだ。

真の最強装備を着けておいてマジよかったぜ。ゼルレカは紙装甲のHP受けビルドだ。装備を充実させて万が一に備えた俺の勘は正しかったんだぜ。

即でHPを戻すと、ゼルレカも戦線に復帰する。

いや、ゼルレカってタフだな。

「さっきはよくもやりやがったなー! 『モチベーション・ゼロ』! 『エンド・オブ・バイタリティ』! 『ライフフォース・アトミック』!」

「反撃行くぞーー! ボスの攻撃は大体わかったな! アースクウェイクだけはマジ気をつけろ! 吹っ飛ばされたらカルアとアルテで攫ってきてくれ」

「ん、任された」

「了解ですよ!」

そこからは反撃の時間。

〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉の強力な攻撃も何とかやり過ごし、それでも3人ほど追加で空中に吹っ飛ばされたが、追撃の『必殺・クマアッパー』が来る前にカルアがユニークスキルで、アルテが『ユニットスイッチ』で回収して何とかセーフ。

誰1人戦闘不能になることもなく、なんとか第一形態を突破したのだった。

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あとがき失礼いたします。

昨日、〈ダン活〉小説16巻の発売の発売日が決定いたしましたーー!

発売は――2026年8月15日です! 予約開始!

詳しくは近況のノートでご確認ください。↓

https://kakuyomu.jp/users/432301/news/2912051601289474166

今回の表紙カバーは、なんと初めてギルド〈エデン〉のメンバーじゃないキャラが載っております! やはりこの方はすごい……!

特典SS情報も載せておりますので是非是非見ていってくださいね!