第2030話 第二形態で大暴れ、ゼフィルスVS悪魔王!
第2030話 第二形態で大暴れ、ゼフィルスVS悪魔王!
「グマアアアアアア!!」
「あれが、第二形態ですか!?」
「なにあれ!? さっきまでと別人、いえ別グマじゃないのよ!」
「悪魔らしくなったわね……」
〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉の第二形態は、さっきまでのクマ形態とは打って変わって、悪魔形態に変化。
なんと紫色の骨を思わせるごつごつとした邪悪な鎧で全身を覆い、腕は凶悪なまでに膨らんで鋭い爪付きの手甲へ、肩からは2つずつ大きく反り返った角が生えていた。頭部には、顔の上半分を隠し、目まで覆ういかつい面型の兜を装備している。
ともすれば悪魔な見た目のパワードスーツともとれるような形態だった。
一言で言おう。かっこいいと。
クマにしておくにはもったいないかっこいい悪魔パワードスーツ鎧だったんだ!
これは厨二病に侵された方々ならば絶対みんな同じことを述べるだろうという確信があるね。え? 俺は違うよ? うん、ほんとほんと。
「くっ! かっこいい見た目じゃないか……!」
「メルトはあのかっこよさが分かるのか!」
でも厨二病じゃなくてもかっこいいものはかっこいいんだよ。分かるね?
分かってくれる人が身近にいて俺はちょっとにっこりした。
「グマアアアアアアア!!」
「来るわ!」
「シエラ、シャロン、ヴァン! 壁展開だ!」
「『アブソープション・ワン・フォートレス』!」
「『ゴッドオリハルコンランパート』!」
「『オリハルコン城』!」
突っ込んできた〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉がその剛腕と爪を振るわんとするのでシエラ、シャロン、ヴァンの盾で抑えにかかる。
レイドボスなのに、すさまじい早さだった。
ズガンズガンズガンズガンズガンと、まるで採掘するがごとくその剛腕を振るって壁と城を破壊しようとする。
「長くは持たないわ!」
「攻撃を打ち込め! 『 天光勇者聖剣 ( あまのひかりのゆうしゃせいけん ) 』!」
「『神樹砲・トラ』! ってえええ!? 私の矢が弾かれた!?」
「『トリガーハッピー』! ぼくの銃弾も全然効いていないのだが!?」
「あの鎧のせいだな! 生半可な攻撃は鎧が全部弾いてしまうぞ!」
「どうすれば!?」
「ぼくたち戦闘中役立たずになってしまうよ!?」
「鎧に覆われてないところを狙ってみてくれ!」
「「う、うん!」」
「グマアアアアアアア!!」
「!! 防御壁、破られました!」
「なにあの爪、どんな威力してるの!?」
「オリハルコンを爪で削っちゃダメですの! それ爪の方がオリハルコンより強いって意味になっちゃうですのーー!?」
クマ強し。
少し時間はかかったものの、シエラ、シャロン、ヴァンの防御壁をその自慢の爪と腕ですべてぶっ壊したのだ。カグヤとサーシャはこんな時でもツッコミご苦労様です!
さらに防御力もすごい上がってる。生半可な攻撃では鎧に弾かれてしまうことが判明。特にカイリやニーコから悲鳴が上がった。
「グマアアアアアアア」
「大暴れか! アタッカー下がれ! タンクは防御! 遠距離から攻撃してダメージを稼ぐぞ!」
クマ、大暴れ。
まるで怪獣のごとくズシーンと大地を響かせながらその剛腕をめちゃくちゃに振るいまくる。それはまるで台風のごとくだ。近づくことすらままならない。
動きまくるせいで鎧に覆われていない部分を遠距離から狙うこともできず、とてもやりにくい攻防一体の技だな。
ここまではかっこよかった。
「グマアアアアアアア!」
すると今度は自ら寝転がってなんとブレイクダンス――ではなく赤ん坊の駄々っ子のごとく暴れだしたのだ。
「大暴れの規模がすさまじいんだけど!?」
「赤ん坊の駄々どころじゃないですの!?」
寝ているもんだから両手両足が自由に使える。
腕を振るい地面を叩けば、それだけで小規模なアースクウェイクが発生。
足も同様だ。それがめちゃくちゃに暴れまくるせいでそこら中でアースクウェイクが発生しまくる。見た目はともかくマジ近づけない! だが、その程度で手が出せなくなるほど〈エデン〉メンバー弱くはない。
「いい加減、おとなしくしろ! 『グラビティフィールド』!」
「抑え込みますわ! 『 絶対免疫爆結界 ( ぜったいめんえきばぐけっかい ) 』!」
「ヒーちゃん、ヴァイア、抑えにいって!」
「突っ込みます! 『列車装甲・ブレードドライブ』!」
メルトが右腕を重力で捕らえて動けなくし、カタリナが右足に結界を使ってドカンドカン爆撃。
フラーミナのテイムモンスター、〈ヤマタノオロチ〉のヒーちゃんに〈海竜神リヴァイアサン〉のヴァイアが左腕を抑えに行き、〈スプールルート〉を召喚したロゼッタが、ブレード盾を展開して左足に突っ込み動けなくした。
「ナイス! 攻撃再開!」
「『神装暴走』! 『神宝剣・アマネタチ』!」
「『神装暴走』! 『神宝本・ダイイングユーゼロ』!」
「『神装暴走』! 『神宝弓・アルテミス』!
押さえた瞬間、まず攻撃に飛び込んだのは仲良し3人娘のサチ、エミ、ユウカ。『神装暴走』は神装の消費が二倍になる代わりに威力が上昇する自己バフだ。
「『プリンセスラブリーチャーム』! とう! 『神世界インフィニティ』! 『ヒーロー・スターレイ』! 『大回転超切斬』なのです!」
「『大精霊様、全六霊機降臨』! お願いします大精霊の方々――『天変地異・エレメントヘヴン』!」
「『氷龍』!」
「『雷神竜・インフィニティ』!」
さらにルルがデバフを振るいながら飛び込んでいき、それを援護するようにシェリア、サーシャ、アリスが顔面へと攻撃を加える。
するとぐるりと顔面がシェリアたちの方を向いて口を開いた。クマさんの口に光が発生する。あれはアカン!
「キキョウ! 究極防御!」
「!? 『究極嫉妬盾』!」
「グマアアアアアアア!」
まるで「 痛 ( いった ) いじゃないこのー!」と言わんばかりに、なんかクマがブレスを吐いたのだ。まるでドラゴンや悪魔が放つような、ビッグで強力なブレスである。
「「「きゃああああああ!?」」」
「う、けとめました!」
「ナイスキキョウ!」
いや、今のは危なかった。あのブレスはSTR依存の攻撃なので、VIT値の低いシェリアやアリスたちに直撃していたらとんでもないことになっていただろうな。
キキョウが居て助かったな。
「グマアアアアアアア!」
「立ち上がりますわ! 退避!」
「「「きゃああああ!」」」
まるで「よくもやったなー!」と怒らんばかりに両腕を振り上げながら体を起こし、立ち上がる〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉。その両腕は、漆黒の闇に包まれていた。
「防御!」
「アースクウェイクが来ますわ!」
いや、違うんだリーナ。あれは――、
「グマアアアアアアア!」
瞬間、振り上げた腕を振り下ろし、そのままダンジョンオブジェクトであるはずの地面に爪をざっくりと突き刺す〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉。
その瞬間地面の至る所から闇の柱が打ちあがる。無差別攻撃だ。しかも連打。
かなり悪魔らしい魔法を使ってきたな!
「地面からの〈闇属性〉の攻撃だ! 攻撃が来る前に地面が暗くなるぞ! 回避できる者は回避! アルテはリーナたちを回収!」
「はい! ――『パーティスイッチ』!」
「「きゃあ!?」」
リーナたちの足元も闇に染まった。次の瞬間には下から闇の柱が建ってリーナたちに大きなダメージを与えただろうというところでアルテが無事回収。
〈竜の箱庭〉は闇に飲まれてしまったが、あれは人のHPを削る攻撃なので、攻撃がやんだ後には〈竜の箱庭〉は無傷でその場に残っていた。
「あっぶな! ヒーラーは巻き込まれたメンバーを回復!」
「はい! 『巫女狐の全体回復儀式』!」
「『ラファエルヒール』! ――トモヨ先輩、大丈夫でしたか!?」
「うう、油断した~! 空を飛んでるとき真下からの攻撃って見えづらいから苦手なんだよ~」
空を飛びながら援護していたトモヨだが、真下が闇に染まったのに気付かずに巻き込まれたらしい。なぜ見えないのか。トモヨの胸部装甲が厚い!
「反撃を叩き込め! 『ゴッドドラゴン・カンナカムイ』!」
「『大聖光の無限宝剣』! ゼフィルス、何か策はないの!? 弱点とか! 〈ヘカトンケイル〉や、えっと、でっかい〈リッチ〉のときにやったみたいなやつ!」
「残念ながら、そんなものはない!」
「ええ!?」
ラナの頭から〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉だけ名前が飛んでたようだがそれは置いておき、今言った通り〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉に弱点らしい弱点はない。
〈ヘカトンケイル〉は1年生編の時に、〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉は2年生編の時に、両方ともレベルが適正値に届いていないからこそあんな弱点というか、突破口があったんだ。
その点〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉は完全体と言っていい。純粋にフィジカルが段違いなレイドボスを、50人のギルドメンバーで倒して突破し、最後のダンジョンにたどり着いて見せろというのがここのコンセプトなんだ。
故に、かなりのガチ対決になっているのである。
しかし、突破口が無いわけではない。俺はタイミングを計っていた。
そして、ようやくそのタイミングが来た。
「グマアアアアアアア」
「ああ!? 〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉が悪魔城を登っていくよ!」
「今度は何する気ですの!?」
「キタ! あれは、もしかしたら最初してきた全体アースクウェイクを仕掛けてくる気かもしれないぞ!」
「「「!!」」」
「第二形態で斧を失っていますが、それで来ないと思うのは早計でした――『姫総帥の大号令』! 皆さん集まってください! 防御準備!」
「俺の『直感』さんが良いことを囁いた!」
「ゼフィルスどこ行くの!?」
「良いことを思いついたんだ!」
「!? みなさん、防御準備と同時に攻撃準備! ゼフィルスさんがまたなにかやらかしますわよ!」
リーナ! 超聞こえてるぞ! やらかすってどういうことだし!
リーナの指示出しが大変気になるがそれをいったん飲み込み、俺は準備に取り掛かる。
「グマアアアアアアア!」
〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉はさっさと悪魔城を登り切り、屋上に立ち上がり一度眼下を見下ろすと、一度クマと吠えてからフライングダイブする。
アイ・キャン・フライだ!
させないよ?
「『 英勇転移 ( ブレイブポート ) 』! からの――『 天光勇者聖剣 ( あまのひかりのゆうしゃせいけん ) 』!」
「グマ!?」
俺はほぼ〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉の真下に転移していた。そこから一気に『 天光勇者聖剣 ( あまのひかりのゆうしゃせいけん ) 』でぶった切る。狙いは、片足!
「どっりゃああああああ!」
「「「えええええええ!?」」」
「グマアアアアアアアア!?」
ズドバンと30メートル級聖剣を一閃!
見事狙い通り片足をぶった切った。
空中でそんなことをすればどうなるのか?
片足をやられたノックバックで見事にバランスを崩す〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉、しかも『聖剣』効果で行動が一瞬ストップしてしまう。もう、立て直すことはできない。
そのまま〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉は空中でバランスを崩したまま地面に落っこちてしまったのだった。
「クマッタアアアアアアアア!?」
当然のように――ダウンだ!
「今だーーー!! 総攻撃ーー!!」
「ゼフィルス先輩も落っこちたのにぴんぴんしてるー!?」
「『エターナルフロスト』! 『氷龍』! 私もツッコミたいですのー! 『フリーズドバスター』!」
ここで一気に総攻撃。かなりのダメージを稼いだ。
そう、あの初見殺しの全体攻撃を逆に利用し、ダウンを奪うのが突破口。
これによりかなりのダメージを受けた〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉は2つ目のHPバーをゼロにし、ついに最終形態へと移行してしまうのだった。