第2032話 〈金箱〉回!悪魔専用装備と思わせて――!?
第2032話 〈金箱〉回!悪魔専用装備と思わせて――!?
膨大なエフェクトを発生させて消えていく〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉をしばらく無言で見つめていたが、消えて〈金箱〉が現れたところでようやく俺たちの時間も動き出した。
「勝ったの?」
「ああ、勝ったんだ! あの〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉を倒したぞーーーー!!」
ラナの言葉に振り返って声を張ると、みんなが喜色満面に包まれた。
「やったー!」
「やりましたわー!」
「やったーなのです!」
「ん!」
「やったのー!」
「やりましたー!」
ラナ、ノーア、ルル、カルア、アリス、キキョウが先だって勝ち鬨を上げると、みんなも続いて勝ち鬨を上げてイエーイハイタッチ! わっしょいわっしょいとボス部屋は歓声に包まれたんだ!
「間違いなく今までで一番の強敵でした」
「ええ。タンク、ヒーラー、アタッカー、バッファーにデバッファー。みんなの力が十全に発揮したからこその勝利ね」
「ヒーラーの仕事が多かった印象です。それだけ多くのダメージをみなさん受けたということでしょう」
勝ち鬨が収まると、戦闘を振り返って改めてボスの感想を言い合うエステル、シエラ、シェリア。
特にシェリアの言う通り、今回はヒーラーがとても大活躍していたんだ。
普段タンクがしっかり防いでくれるおかげでヒーラーは手持無沙汰になることも多いのだが、今回はヒーラーががっつり回復していかないとタンクすら溶けるという超威力の攻撃が多発。しかも上下からくるものだからまたとんでもなかった。
「――そこにラナ殿下の宝剣が突き刺さって隙ができたのです! ルルはその隙を見逃さずにズバーンしたのです!」
「ラナ殿下もルルお姉ちゃんもすごいの~」
「それほどでもあるわ!」
でもラナは攻撃魔法ばかり撃っていた記憶しかないのはなぜだろう?
ルルやアリスにドヤ顔しながら胸を張るラナを見て、俺はヒーラーが足りていたんだな、と思うことにした。それは、まだ少し余裕があったということだからな。うん、いいことだ。
「ん。ゼフィルス、早く〈金箱〉開けよう?」
「おおっとそうだったな! みんな! 〈金箱〉の前に集合だ!」
そう言ってみんなで悪魔城の前に集まる。
「この悪魔城、結局アイキャンフライ・クマフライングプレスする土台でしかなかったね」
「私も、他になにかギミックが隠されているかと思ったのに、結局何もなかったんだけど!? というか、門閉まってるし!」
トモヨとシヅキが悪魔城を見上げて、シヅキがなぜか憤ってるな。
きっとこの悪魔城の門が開いたら、何かが出てくるに違いない! と思ってたのに結局何も出なかったから肩透かしを食らってしまったのだろう。
〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉は王のくせにレイドボス・大型に分類されるからね。連型のように子分は出てこないのだ。
しかしアイキャンフライ・クマフライングプレス……。
確かに、この城ってこんなに豪華な城なのにただのジャンプ台なんだよな……。
アースクウェイクや雷を避けさせないために中に入れないようにしてあるし。
「ゼフィルス様。クジの用意ができました」
「ご苦労セレスタン!」
俺も一緒になって悪魔城を改めて見上げていたら、セレスタンが早速いい仕事をしてくれたので気持ちが一気に〈金箱〉へ向く。
〈万界ダン〉最後の最奥ボス〈金箱〉。〈パーフェクトビューティフォー〉万歳!
ここは何が何でも〈金箱〉を開けたいところ!
全員集めて、いざ、くじ引きタイムだ!
「あ、当たったよ!」
「私も!? やったー! 当たりクジだよー!」
まず当たりクジを引いたのは――トモヨとシヅキ!?
一緒に悪魔城を見上げていたメンバーだ。まさか、悪魔城が勝利のカギ!? 一緒に見上げていた俺にも当たりクジくる!?
その予想はかなり的を射ていたのか、なんと当たりクジがまだ2つしか出ていないにもかかわらず、なんと残り5つまで誰も当てられなかったんだ! これが〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉のお力なのか?
「残りはミジュ、ナキキ、シュミネ、シエラか」
最後に残ったクジが俺だ。この中の2名が当たりクジを手にする!
思わずごくりと喉が鳴った。きっと緊張の音だろう。
「まず私」
「来いミジュ!」
「えい――」
最初はミジュ、ちょっと軽いノリで引かれたクジ。果たしてその色は――白。
「むぅ。ハズレ」
とてもドキドキしたんだぜ。の、残りは4つだ……!
「次は私っす! いくっすよー!」
「来いナキキ!」
続いてはナキキ。みんなの注目が高まる中、ナキキがクジを掴んで引っこ抜く。
「当たるっすーー! ……白っす」
はぁぁぁぁぁぁ。
ナキキもハズレ。マジかよ。当たりクジがまだ2本もあるこの緊張とドキドキ感。ヤバすぎる。
残りはシュミネとシエラ。ここで2人に当たりクジを引かれれば――ごくり。
こ、ここまで残ったのだから最後まで持ちこたえてくれよ当たりクジ!!
「では、私も引かせてもらいますね」
「頑張れシュミネ」
「頑張るっすよ! 私たちの仇を取ってくれっす!」
やばい、ミジュとナキキが応援に回った!?
気持ちで負けていたら全部持ってかれかねないぞ! 俺も祈る。〈幸猫様〉、どうか俺に当たりクジを!!
シュミネの手が、俺の持つ3つのクジのうち1つを摘まんだ。
そして、ゆっくりと引き抜かれていく。
もうドキドキは最高潮だ! 変な汗がたらりと伝ったのを感じた。
そうして引き抜かれたクジは―――白。ハズレだった。
「ハズレ、ですね」
「ということは?」
改めて俺の手を見る。そこにあるクジは2本。
「ゼフィルス」
シエラに促されて頷き、握っていたクジを解放すると、残っていた2本とも――赤が付いていた。
それは、当たりクジの特徴。
「つまり、残ったシエラさんとゼフィルスさんが当たりですわね」
「「「「「おお!」」」」」
マジかーーーーーーー!!
クジが1本でも最後まで残ることは滅多になかったのに、2本残るとかマジかよ!!
残った俺とシエラが当たりクジ確定じゃねぇかーーー!!
「うおおおお! やったぞーーーー!!」
「ゼフィルス先輩が超嬉しそうだよ!?」
「嬉しさが爆発してるですのーー!?」
「ああ、めちゃくちゃ嬉しいぞーーーー!!」
イエス〈金箱〉万歳! 万歳だーーーー!!
思わずシエラに手を出して腰を掴むと、クルクルと踊りだす。
「きゃあ!?」
「やったなシエラーーー!!」
「ああーー!! ゼフィルスなにやってんのよ!?」
「ゼフィルスさん!?」
しかし長くは続かず。俺としたことが、まだ〈金箱〉を開けてもいないのに喜びのテンションがうっかり漏れてしまったんだぜ。
3回ほどクルっと回ったところで落ち着いてシエラを解放する。しかし、ラナはご立腹だった。
「もーなんでシエラだけ!? いつもはもっと続くじゃない!」
「うっかり少しだけテンションがあふれてしまったようだ。大丈夫だ。この〈金箱〉でフィーバーすれば、今度はラナと 狂 ( クル ) おう! 約束だ!」
「え? ま、まあそう言うなら、受けてあげてもいいわ!」
「何言ってるのよゼフィルス。そんなの許さないわよ」
「シエラ!?」
ラナと約束すれば、今度は顔を赤くしたシエラが人差し指を俺の脇腹に向け、狙いを定めていたんだ。ヤバい、なんかヤバい! ひ、人の脇腹に指を刺したらいけないんだよ?(震え)
「ゼフィルスくーん、〈金箱〉開けないの~」
「開ける開けるー!」
しかしここでトモヨから救いの声が掛かって俺はすぐにこれに飛びついて離脱したんだ。危なかったよ。危うく ブレーキ ( 脇腹 ) をつつかれるところだった。
「はぁ」
シエラから仕方ないわね的なため息が聞こえた気がしたが、気のせいということにして〈金箱〉オープン回に移行する。
「まずは私からね! いくよー、じゃーん! 中身は――レシピ!」
「続けて私も行くね! ドーン――って召喚盤!?」
お祈りをすでに済ませていたトモヨとシヅキから〈金箱〉がオープンされると、トモヨはレシピ、そしてシヅキは――なんと〈ア・クマオウの召喚盤〉だった。マジで!?
〈ヘカトンケイル〉の時同様、いや、それ以上にヤバいものが当たってしまった予感! よーし、これはとりあえず仕舞っておこうー!
「『解読』です」
「読めるようになってきたよ~! これは……え? 【アークデーモン】系列専用装備!?」
「な、なんだってー!? ちょっとトモヨちゃん、詳しく見せて!」
おお! トモヨが当てたのは【アークデーモン】を含む専用装備だった。【アークデーモン】から上級職になった【サタン】や【ルシファー】も恩恵を与れる専用装備だ。ちゃんと〈STRとVIT〉などのフィジカルタイプと、〈INTやRES〉系の召喚タイプの2種類のレシピが描かれている。
その名は――〈堕天悪魔シリーズ〉装備全集だ。当然のように全集レシピ。
名前が超かっこいいんだけど!
「これ! 召喚タイプの 最強 ( レジェンド ) 装備! 是非作ってくださいお願いします!」
「許可しよう!」
「やったーーーー!!」
今回、シヅキが超パワーアップすることに決まったな。
「ちょ、シヅキだけちょっとずるいわ! ご主人様、次は私に良いのを当てて! ボスが悪魔だったんだから、きっと私専用装備も来るはずよ!」
そう、うるうるした目で見上げてくるのはエリサだ。
あざと可愛い表情で大変良き。
「よし、俺もエリサの装備が来るよう、〈幸猫様〉に頼んでみるぜ! エリサ、一緒に頼むぞ!」
「うん!」
「ああ〈幸猫様〉〈仔猫様〉〈愛猫様〉〈神猫様〉! いつも素晴らしいものをありがとうございます! 今回もいいものをお願いします!」
「お願いします!」
お祈りして、オープンだ。――いざ!
パカリと開けると、中に入っていたのは――レジェンド色のレシピ。
期待が高まる!
「ではここは私がやりましょう――『解読』です」
なんと珍しく『解読』はフィナがやってくれた。姉を密かに応援している、ということかな? いじらしくて大変良き!
そして読めるようになったレシピに書かれていたのは――【勇者】専用装備だったんだ。
「ああ!? お祈りがこっちにきたーーー!?」
「〈幸猫様〉!? ちょっとずれちゃってるよーー!?」
なんとエリサではなく、近くにいた俺の専用装備がツモった模様。
果たしてこれは勘違いなのか? それとも〈幸猫様〉のプレゼントなのか?
どうやら俺のお祈り力が強すぎてしまったようだ。
名前は〈魔王勇者シリーズ〉装備全集レシピ。誰が魔王やねん!
まあ下級職の【勇者】から〈 上級転職 ( ランクアップ ) 〉できる上級職5種全ても恩恵に預かれる装備だな。
ありがたく使わせてもらうぜ!
おっしゃーーー! 新しい装備にテンション上がってきたぞーー!!!!
「最後は私ね」
最後はシエラの番。
エリサがこっそりシエラに近寄って祈っているのを、俺は見逃さない。
シエラも祈ってオープンすれば中に入っていたのは――またレジェンド色のレシピだった。
「『解読』です」
相変わらずフィナが『解読』。果たしてエリサの願いは届くのか!
「え!」
思わずそれを見てシエラが驚きの声を上げた。なんだ? 何が当たったんだ!?
「これ、〈国守盾姫シリーズ〉装備と書かれているわ。全集レシピよ」
「【盾姫】系列の専用装備レシピだーーーーー!!」
「そんな、まさかの全滅ーーー!?」
なんとびっくり。〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉が【盾姫】系列の専用装備レシピをドロップしていた。
そう、実は〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉は【盾姫】系列の専用もドロップするんだよ。城持ちだからかな? 「伯爵」系統の専用装備も落とすんだ! 悪魔って盾持てないはずなのに!
だが見事な采配だぜ〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉、超ナイス!
「これもすぐに作ってもらおう! シエラの装備、換装だ!! 最優先だーー!!」
「あれ!? 私は!?」
悪いなシヅキ、タンクのシエラの方が優先なのは絶対なのだ。
ラナも「シエラだけ!? 私の専用装備は!?」って顔をしているが、シエラ専用装備の方が先に当たってしまったので仕方なし。仕方なしなのだ!
そこで俺たちの手にとある存在感。これは間違いない。
「みんな改めて、〈万界ダン〉攻略おめでとうーーーー!!」
「「「「「おめでとうーーーーー!!」」」」」
もちろん右手に収まっていたのは〈万界ダン〉の攻略者の証だ。
それじゃあ恒例のクルクル祭りとしゃれこむぜーーーー!!