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第2047話 新たなクラス対抗戦の試みアシストモンスター

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第2047話 新たなクラス対抗戦の試みアシストモンスター

「クラス対抗戦の新イベント! もちろん協力は惜しみませんよ学園長!」

「ほ、ほほほ、そ、そうかね? ありがとうゼフィルス君。とても心強いぞ……」

「……(あ、学園長の言葉が微妙に引きつっている感じが、俺には分かる! フォローしないとダメかも)」

学園長がクラス対抗戦の協力を申し込んできた。もちろん俺に否は無い。

まだ内容を聞いていない気がするが、ゲームにはなかった新イベントだ。どんな内容でも俺が成功に導いてやるぜ!

ちょうどカイエン先輩も仕事が一段落したらしく、学園長の後ろに立つ。

どうやら本格的な話が始まる模様だ!

「それで学園長、何をするんですか!? 〈エデン〉に何をお求めですか!? 最上級武器とか? あ、真の最強装備とか要ります?」

「いや、武器は欲しいが今はいいのじゃ」

「ゼフィルスさん、少し落ち着いてくれ(ゼフィルスさん、学園長の意識が飛んで行っちゃいそうだからパワーワードはほどほどにしてあげて!?)」

おっと、俺としたことが少しはしゃぎすぎてしまったようだ。

いつの間にか前のめりになっていた体を元に戻してソファの背もたれに預けると、学園長が「こほん」と咳払いして、いよいよ本題に移った。

「ゼフィルス君に協力を頼みたいクラス対抗戦のイベントとは他でもない」

ごくり。

「最上級ダンジョンにしかおらんというレイドボスをクラス対抗戦で使いたいのじゃ」

「おお!」

レイドボス――クラス対抗戦!

俺の脳裏に一瞬で「クラス対抗! レイドボスを何分で倒せるかな?」という文章と共にその光景が過ぎった。

だが、俺の予想はまだ甘かったらしい。どうやら学園長が考えているのは、もっと先のようだった。

「レイドボスを召喚しての、共に行動するんじゃ。もちろん、今まであった移動制限を解いてのう」

「レイドボスを召喚して共に行動する!? クラス対抗戦で!?」

俺の想像していた、学園祭のようなレイドボス戦から一転、なにその新たなゲーム!

俺の脳裏に〈ヘカトンケイル〉を連れたクラスと〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉を連れたクラスが激しく激突する光景が脳裏を過ぎった。なにそれ超面白そうじゃん!!

「そ、それはとても面白そうですね!」

自分の声が感動に震えているのが分かる。

「そう言ってくれると嬉しいわい。ちなみにカイエン君の考案じゃ」

「さすがですカイエン先輩!」

「ありがとう(学園長から振られたときはマジ悲鳴ものだったけど、頭を捻り倒して考えた甲斐があったよ!)」

俺にはクールでかっこいいカイエン先輩がさらにかっこよく見えた! ただでさえ高かった評価がさらに上方修正されたんだ!

カイエン先輩! 新しいゲームスタイルを考案するなんてすごすぎです!

「あー、ゼフィルス君、説明させてもらってもいいかね? その、なぜクラス対抗戦の仕様を変更しなければならなかったのか、などじゃ」

「そういえばそうでした。なぜですか?」

学園長に言われてようやくそのことに気がつく。

おっといけない。どうやら新イベントに心とテンションが普段よりも多く持っていかれてしまっていたようだ。俺は改めてキリッと心を鉄の理性と自重さんで引き締め、学園長に向き直った。

「うむ。理由は2つある。1つは……実はもう去年からその兆しがあったのじゃが、現在クラス対抗戦のあり方、その役目が変わってきておるのじゃ」

「役目、ですか」

「ゼフィルス君はクラス対抗戦がなぜ行なわれるか、知ってるかの?」

「もちろんです! クラス対抗戦は学生全員のアピールの場! すなわち、就活のためです!」

「その通りじゃ」

例えばこれがギルド対抗戦であったならば、ギルドに参加していない者は就活ができないということになってしまう。故に全クラス、全学生が参加できるクラス対抗戦が組まれているのだ。

そして当日は多くの企業さんたちが来園し、学生たちの仕上がりを確認する。

これが就活として非常に大きいらしい。自分のクラスが何組なのかもアピールの対象。〈1組〉に所属していれば、それだけ企業さんの注目度もアップするという寸法だ。

だが、その役目が揺らいでいるという。いったいどういうことなのか!

「理由が学生たちが強くなりすぎてしまったことじゃな。すでに6000を超える学生が上級職に就いておる。2年前は200くらいじゃったはずなのにのう。……このペースなら年度末には万に届くじゃろう。上級ダンジョンは、まさに革命を生み出したと言っても過言ではない。これにより、企業の方々よりもずいぶんと差がついてしまったのじゃ。正直自分たちで会社を作った方がいいくらいにのう」

「!!」

万を超える上級職!

そうか、もう上級職の数はそんなにもなっていたのか!

過去との差がすごいことになっているのがよくわかる。

最近上級下位ダンジョンが大賑わいだって聞くし、ボスも〈ダンジョン商委員会〉のおかげで次々倒されている。〈上級転職チケット〉のドロップ量も多く、学生がかなり育っている様子だ。

だが、それにより〈トップマリー〉のように自分たちで会社を作っちゃった方が儲かる、のし上がれるということに、気が付いてしまったようだ。

どこかの会社に入ってこき使われるより、そりゃ自分でやった方がそりゃ気持ちが楽だし儲かるわ。

「最近は企業のスカウトに対しても断る学生が多くてのう。学園も上級ダンジョンに潜れる学生たちを欲しておる。若い数字のクラスに所属する学生はすでに大手の企業でもスカウトが難しいほどになってしまっているのじゃ」

「ふむふむ、つまり、クラス対抗戦をしても、上位クラスの学生はスカウトできないということですか」

クラス対抗戦の目的はそもそも就活。全ての学生のアピールの場であり、学園側としても上位のクラスにはこんな子たちが居ますよ、という自慢の生徒たちのお披露目の場だった。

だが今では自慢の生徒は学園がまずスカウトします! 企業には渡しませんよ!

または、アピールはする! でも就活はしないよ!

という学生がかなり多くなってきているとのことだ。

確かに、クラス対抗戦の意義が超揺らいでいる。

「また、学生間のレベル差も問題視されていての。〈1組〉は強くなりすぎじゃ。これじゃあ勝負にならん。クラス対抗戦に参加させなくてもいいのでは? という話も出たくらいなのじゃ」

「な、なんですとー!?」

「だって〈1組〉、これ以上のアピールはいらんじゃろ?」

…………確かに。いや待ってください学園長! それとこれとは話が別です!

「しかし、それでは〈1組〉の学生がかわいそうじゃ。そこでもっと戦力差を縮め、学生同士が競い合える場を用意できないかとカイエン君に相談してみたところ、例の案を考えてくれたのじゃ」

「おお、おおおお! カイエン先輩……!」

「ははは(あの学園長、それ以上持ち上げないでくれませんか!? なんかゼフィルスさんの見つめる目がすんごいことになってますから! ゼフィルスさんが俺のことをなんて思っているのか、とても聞きたくないよ!)」

片手を軽くあげる謙虚なしぐさ。カイエン先輩のクールさが留まるところを知らない! またまた俺のカイエン先輩の評価は上方修正され、天高く昇って行ったんだ!

「そこで〈エデン〉が持つレイドボスの召喚盤を学園に販売、もしくは貸し出しをお願いしたいのじゃ。ムカイ先生の話によれば、少しのシステム変更を加えればレイドボスを召喚盤から召喚し、学生が操ることができるとのことじゃ。召喚コストも変更可能とのことじゃから、戦力の低いクラスには多めにコストを配りレイドボスを使ってもらえれば戦力差はかなり埋まるじゃろう。ひいては〈1組〉もクラス対抗戦に参加できるはずじゃ」

「おお……!」

〈1組〉の参加が取り消されない。カイエン先輩ばんざーい!!

「つまり、防衛モンスターのコストを各クラスで差をつけるということですか!」

「うむ、そして防衛モンスターの仕様を少し変更してのう。今まで拠点から2マスまでしか出られなかったモンスターの枷を外すのじゃ。これで学生は防衛モンスターを連れて攻めに出られるようになる。わしらはこれを、アシストモンスターと呼ぶことにした」

「アシストモンスター……!」

「マスを移動できるだけで防衛モンスターの時のコストシステムと大きく変わらない仕様を目指しておる。故に、組数が大きいクラスには大量のコストを与えるつもりじゃ」

「な、なるほど!!」

今までのクラス対抗戦ではコストは一律、全クラス同じだった。これを変更し、クラスの戦力を見て適切な量のコストを配ろうという判断のようだ。

大量のコストさえあればレイドボスの召喚も可能。防衛モンスターのようにコンソールに召喚盤をはめ込み、共に動けるアシストモンスターを召喚する。すごい!

「まあ、レイドボスの召喚盤をどう取得させるかなどの課題はあるが、おおむねそのようにして組数の若いクラス、数字の大きいクラスの戦力差を埋めようと考えておる」

「脱帽です学園長!」

「うむ。ありがとう。また、学園が考えておるのはそれだけじゃない。先ほど言ったもう1つ、これはレイドボスの攻略法を広めることも目的としておるのじゃ」

「!! それは!」

「うむ。最上級ダンジョンの攻略で最もネックになるであろうレイドボス。それが学園のアリーナで、練習可能になる。召喚盤さえあればの。さすれば最上級ダンジョン攻略のハードルもだいぶ落ちよう」

「おお、おおおお!」

「ついては、学園でいつでもレイドボスの召喚が可能になったということを大々的にお披露目し、多くの人、学生たちに強い興味を持ってもらおうという試みでもあるのじゃ」

昨日の夏祭りでタバサ先生や、他からの情報で最近、〈攻略先生委員会〉と〈ハンター委員会〉、〈救護委員会〉の多くが最上級ダンジョンへ突入できるようになったと聞いた。

だがその攻略最大の障害は――レイドボス。

やはりその壁は高く、5000人規模で戦うことが前提のボスを50人で倒すイメージが、未だ湧かないという。

そう、学園長は学生たちにレイドボス戦に慣れてもらいたいのだ。

俺たちが持つ召喚盤で、疑似的にレイドボスを召喚し、学生たちに体験してもらう、そしてクラス対抗戦が終わった今後もアリーナではレイドボスの練習が可能になる。それを告知するのもクラス対抗戦の目的の1つとのこと。

レイドボスに慣れれば、最上級ダンジョンの攻略も夢ではないと言う。

なにそれすごい!

クラス対抗戦の役目はもう企業からのスカウトよりも――レイドボスのお披露目とその体験に切り替わりつつあるらしい!

「そして〈 エデン ( ゼフィルス君 ) 〉から提供されておるレイドボスの攻略法などもこの機会に広めたいと思っておるのじゃ」

「素晴らしい!」

〈エデン〉には、レイドボスの召喚盤が――10種類以上揃ってる。

レイドボスは、召喚盤をよくドロップするのだ。これも〈金箱〉4箱確定の恩恵。

ならば、俺の答えは決まっている!

「もちろんです学園長! ちょっとギルドメンバーと相談することにはなると思いますが、〈エデン〉はその企画、是非前向きに協力を検討させていただきますよ!」

「う、うむ。ではゼフィルス君。いい返事を期待しておるぞ」