第2051話 次々専用装備お披露目!〈万界ダン〉の実態!
第2051話 次々専用装備お披露目!〈万界ダン〉の実態!
「これが、〈万界ダン〉の専用装備ですの!?」
「とんでもない、とんでもないものなんだよ!!」
「マリー先輩、これ最初に出すもの間違ってない!?」
「わはははは!」
サーシャとカグヤのツッコミに心の中でありがとうしつつ、俺もマリー先輩にツッコんだんだ。マリー先輩はいつものドヤ顔高笑いだったよ。してやったりって顔してた。く~っしてやられたぜ!
「まあ、本音を言えば、専用装備がどういうもんか改めてみなはんに見てもらいたかったんよ。これ全部【盾姫】専用なんやで? そんで兄さんたちが〈万界ダン〉で手に入れてきた装備全集の類は多くが、専用装備やったんや!」
「そうだな!」
その言葉には、うむ、と頷かざるを得ない。
比率で言えば7割から8割くらいが専用装備だった。
エリアボス ( ・・・・・ ) の〈金箱〉からは【大戦士】系列や【大剣豪】系列など、下級高位職のシリーズ全集が、〈銀箱〉なら【ソルジャー】系列や【ソードマン】系列など、下級中位職のシリーズ全集が、〈木箱〉なら【戦士】や【剣士】系列など、下級低位職のシリーズ全集のレシピがドロップした。
もちろん系列なので、その下級職から〈 上級転職 ( ランクアップ ) 〉していれば上級職でも恩恵が得られる。専用装備だな。
汎用系よりも専用装備の方が得られる恩恵もアップする。
そう、〈万界ダン〉――別名追想ダンジョンと呼ばれたあの最上級ダンジョンは、下級職の専用装備がゴロゴロドロップするダンジョンなのである。
「うちも最初はびっくりしたわ。兄さんたちが採ってきた装備レシピを見てまさかな思うたわ。せやけど今は確信に変わっとる、あの〈万界ダン〉は下級職の 全て ( ・・ ) の専用装備が出そろうダンジョンなんやってな!」
「!!」
さすがはマリー先輩、見抜いてたか!
その通り、〈万界ダン〉は追想ダンジョンだけではない。その装備にも影響しているが故の〈万界〉なのだ。
つまりだ。〈ダン活〉の下級職の数は――409職。
その全ての専用装備が、〈万界ダン〉で入手することが可能なんだよ!
すげぇ。だが、その数が多すぎて、欲しい専用装備がなかなか来ないアンビリーバボー。
おかげでゲーム時代。妖怪にとてもたくさん悪さをされたのは忘れられない思い出だ……!
「下級職すべての専用装備が揃う……!」
「それじゃあ【アークエンジェル】とかもあるのかな!?」
「それがあれば、トモヨさんだけじゃなく、私やエフィさん、マシロさんもすごいことになりそうですね」
「私もラナ殿下みたいにドカンとしちゃったりできちゃうのでしょうか!?」
天使組が盛り上がってるな。
エフィはさらなるパワーアップの機会に震え、トモヨもそれに気が付き、フィナもそれに頷いて、マシロがはわわしてる。
でもマシロはドカンしなくても大丈夫だよ?
「実際たくさんの専用装備が出たものね! 【大剣豪】とか【大戦斧士】とか【大戦士】とか!」
「そうだな!」
ラナは道中にドロップしたものをよく覚えているようだ。
でも、なんか足りない気もする。なんだろうね?
きっと〈妖怪:あと1個足りない〉が悪さでもしたのだろう。
よくあることだ。
「ですがこれだけの種類があると、なかなか目当てのものがドロップしないでしょうね」
「この1週間で集まった全集レシピは30枚くらいだったかしら?」
「シエラ君の言う通りだね。ぼくはよく覚えているよ。【女忍者】や【戦場メイド】、【暗黒騎士】に【アルフの守り手】、【スターキャット】などの専用装備レシピがドロップした。おそらく レイドボス ( ・・・・・ ) が落とすレジェンド系は、下級職、高の中や高の上の全集レシピなのだろうね」
シエラの言葉を引き継いだのはニーコだった。
あの412個もの〈金箱〉のうち、全集レシピは30枚もドロップしている。ただ、結構偏っているのがニーコの言葉からも分かるだろう。
「おお! 私たちも最強の全集装備を作ってもらえる時が来たのデース!」
「ですが【聖女】は落ちていません。特に高の上のレシピが少ないですね」
「シズ君の言う通りだね。例に挙げた 職業 ( ジョブ ) はすべて高の中だ。高の上は【セージ】、【雷子姫】、【氷姫】の3種類だけだ。これ、かなり出にくいよ?」
この1週間でドロップした412箱中、高の上のレシピがドロップしたのはわずか3枚。
単純計算で約100分の1以下だ。
今後はダブってしまうこともあるだろう。
〈エデン〉メンバー全員分をドロップするのはいつになるか、これだけでもかなりの難易度であることが分かるな。
だが、こっちにはニーコがいる。
「なるほど、ニーコの出番と言いたいんだな?」
「え?」
ニーコの言葉を咀嚼してとっても明快な結論を出したというのに、ニーコの反応はまるで予想外のことを言われたと言わんばかりだった。あれ? 間違ってないよね?
「ニーコがスキルで出現率を偏らせて全集レシピばかりドロップさせれば 全員分 ( ・・・ ) もいける! そう言いたいんだろ? 自分に任せておけと!」
「い、いやいやいや勇者君落ち着きたまえ。それは早とちりというものだ。うむ、例えば、そう例えばだ。全集レシピがこれ以上ドロップしたとして、クラス対抗戦まで今ある30枚をすべて作れるかいマリー先輩?」
「さすがに難しいなぁ、ま、無理をすればギリ行けると思うけどな!」
「そういうことだよ勇者君。これ以上は手に入れても間に合わないさ。それに〈エースシャングリラ〉の子たちに最上級の専用装備なんか渡したら、成長に悪影響が出かねない。そうじゃないかね?」
「確かに、ニーコの言うことはもっともだ」
「ほ……」
まあ今はね。
でも、これから出番が多くなることを忘れてはいけないよニーコ?
どのみち、全員分の専用装備は、作ることになるのだから。
「ふおお!? またなにか悪寒が!?」
おっといけない。俺の念が強すぎてしまったらしい。
さあ、続き続き!
「マリー先輩、アルル、タネテちゃん! 続いての装備もお願いします!」
「せやな! さっきも話に出たんやけど、【セージ】、【雷子姫】、【氷姫】、【女忍者】【戦場メイド】、【アルフの守り手】、【スターキャット】の7種類はできてるで! 兄さんたちが大量にレイドボス素材を持ってきてくれたおかげで素材が集まったんや!」
「「「「おお!」」」」
そこから始まったのは全集装備の試着大会。お祭りが始まったんだ。
【セージ】はミサトの専用装備だ。その名も〈 賢者兎 ( セージ ) シリーズ〉全集レシピ。
「たはは~! なんだかすっごく聖なる感じの装備だよ! メルト様、見て見て~」
「【大罪】職とは思えない装備だな。真っ白じゃないか」
ミサトの装備はほんと、真っ白にして潔白な全身装備だった。まあ【セージ】のユニークスキルが『サンクチュアリ』だからね。
メルトが何か言いたげだが、結局は飲み込んで褒めることにしたようだ。ミサトが割と本気で喜んでいるな。
続くように【雷子姫】はアリス、【氷姫】はサーシャだ。
懐かしいな。下級職時代が早く終わってしまったために、なんだか懐かしい気持ちになるんだ。
「キキョウ見て~! アリスの新装備なの~!」
「すっごい可愛いよアリス! 羨ましいもん!」
「えへ~」
「サーシャったら自分だけ新装備になって! ちょっとその場で1周、いや10周くらい回ってみて!」
「それ目がくるくる回ってしまうですの!? カグヤしっかりするですの!」
上級職、高の上のメンバーは優先的に仕上げてくれたようだ。
【雷子姫】のアリスは黄色をベースにしたゴスロリに近い見た目の装備。雷マークの入ったリボンをたくさんつけているドレスという見た目の装備だった。
【氷姫】のサーシャも氷色をベースにしたドレス風衣装で、スカートの上から左右と後ろを覆うオーバースカートのフロント開きを着ている。
2人とも大変可愛い装備だ。
「マリー先輩マリー先輩、俺たちのは!?」
ちなみに下級職、高の上のレシピならあと2つ当たっていたりする。
そう、【勇者】専用装備の〈魔王勇者シリーズ〉と、【アークデーモン】専用装備の〈堕天悪魔シリーズ〉だ。
こちらは初めて〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉を撃破した時に手に入れた装備だ。
あの時は下級職、高の上の全集レシピが3枚も当たってビビったものだ。
しかし、今回作られた中に俺たちの装備は無い。はて?
「兄さんたちのはちょっと待っててな! もうちょっと強化できる気がすんねん」
「クラス対抗戦までには最っ高の装備を贈るから、ゼフィルス兄さんはすまんけどもうちょっと待っててなぁ」
「うおお、そんなの聞いたらわくわくして眠れなくなっちまうじゃないか……!」
俺やシヅキの装備は現在格闘中とのこと、いったいどんな仕上がりになって俺たちの前に登場するのか、マジ楽しみだ! そう思っていると。
「ゼフィルス」
「シエラ!」
やってきたのは〈 国守盾姫 ( こくしゅたてひめ ) シリーズ〉全集装備を身に着けたシエラだった。
背を伸ばしたまま気品溢れる姿で歩き、真っ直ぐに俺へと向かってくるその姿は圧巻の一言。
薄紫をベースにシエラに似合うよう調整された衣装。
1年生の頃のシエラを思わせる、懐かしい衣装をベースに金属系のアーマーのパーツが至る所に着けられ、胸には勲章にも似た盾姫の証が付いていた。
下はスカートを覆うフロント開きのオーバースカート、その左右に大きく伸びたタセットがかっこいい。腰にはいつもの4つの小盾。こちらは換装したばかりなので変更なし。
そして大盾はがっちりしていてみんなを守ってくれそうだ。メイスも――名前は可愛いのに叩かれたら痛そうな見た目なんよ。
初めて着るはずなのに違和感なく着こなすシエラが素晴らしい。
ただ歩いているだけなのに誰もが注目してしまう。そんな特大のインパクトがあったんだ。これが美しさのインパクト! 目が離れません!
「う、美しい。まるで芸術のようだ」
「もう」
思わず褒めると、少し照れるように体を横に向けてポーズを取り、軽くアピールしてくる。
みんなが注目していなければ、俺はきっと拍手をしながらブラボーと言っていたに違いない。他のメンバーからも「かっこいい……」「きれい~」と感嘆の声が聞こえてくる。
分かる。
「どや、兄さん? 分かったか?」
「分かったぜ。すごくよく分かったぜマリー先輩」
なにが分かったか分からなかったが、何かが分かったんだ。
きっと、今のシエラを見た人はみんな分かったと思う。
そして次々とシエラを取り囲んでみんなが誉めつくしたんだ。
なお、そんな会場の熱を浴びた裏方はというと。
「え? 次私デスか!? いえ、シズにお願いしたいデース!」
「いいえ。私はまだ着替えが終わっていませんのでどうぞパメラ、逝ってきてください」
「なんだかイントネーションが違った気がするデース!」
シエラの後続がしばらく詰まったのは別の話だ。
ちゃんと【女忍者】のパメラ、【戦場メイド】のシズ、【アルフの守り手】のシュミネ、最後に【スターキャット】のカルアまで、この日だけで8人も真の最強装備のフル装備が渡ったんだ。