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第2055話 エミメナ、メーレイ、ロイ、の力を刮目せよ。

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第2055話 エミメナ、メーレイ、ロイ、の力を刮目せよ。

「それじゃあ行ってくるわ!」

「おう! いってら~」

「みんな! 私についてきなさい!」

ラナがかっこよくパーティメンバーを率いてボス部屋に入っていったな。

俺も気持ちよく手を振って送り出した。

エステルが少し慌てていたが、あれで止まるようなラナではない。

きっとキャロルは何もせずとも攻略者の証をゲットできるだろう。うむ。

「ということで、次は俺の番だな! 組むのは誰だ?」

「私」

「うおぉ!? エミメナ居たのか!」

「キャロちゃんの見送りしましたので当然」

いつの間にやらエミメナが隣に居てキャロルに手を振っていた。

全く気配なかったぞ?

「今回はヒーラーとして参加予定です。よろしくお願いします。ゼフィルス先輩」

「こちらこそよろしくな」

エミメナは【司祭】から【ナイトメア】に〈 転職 ( ジョブチェンジ ) 〉し、そして【メドゥーサ】に〈 上級転職 ( ランクアップ ) 〉した経歴を持つデバフヒーラーだ。

思わずヒーラーなの? と思ってしまうだろうが、元ネタに当たるメドゥーサの血には蘇生の力が宿っているとされているためか、【メドゥーサ】はヒーラーポジションとして活躍することが可能な 職業 ( ジョブ ) だった。

「ゼフィルス先輩。みんなを呼びに行きましょう。次は私たちの番ですから」

「だな。みんなは69層か?」

「はい」

今回組むのは俺、エミメナ、メーレイ、ロイ、そしてヴァンになった。

ヴァンは意外な人選だと思うかもしれないが、メーレイやロイなど、男子組と仲がいいのだ。

69層に向かいヴァンたちがいる方へ向かおうとすると、モンスターとエンカウント。

「マージローン」

「「「マージー」」」

「あ、〈アイスアルマージロン〉の群れ」

やってきたのはアイス系のアルマジロ型モンスター〈アイスアルマージロン〉の5体構成。体長3メートルの氷の甲羅を持った、防御力に自信を持った相手である。

あと地味に鳴き声が腹筋にちくちくきてパナイ。「マージ」とかどこかで聞いた気がするし、「マージローン」とか区切る場所によって「ローン」? それとも「ジーロン?」に聞こえてしまうのだからおいしい。

「よし、〈石化〉してしまえ」

「了解です。――今日はチョコの気分、パクリ……。『目が合ったものは石化せよ』!」

ここはエミメナに任せると、チョコレートを食べ、そしてスキルを発動したんだ。

ちなみにチョコレートはスキル発動には関係なかったりする。

これはエミメナの緊張を解すルーティンだ。

『目が合ったものは石化せよ』は〈五ツリ〉の〈石化〉の状態異常付与スキル。

非常に強力なスキルで、タゲを向ける相手への付着率を大上昇させるのだ。

エンカウントした時、誰もヘイトを稼ぐ行為をしていなければ、自分たち全員にタゲを向けていることになるため、先制で放つとまず大成功する。

これにより、5体中すべてのジーロン、じゃなかった。〈マージロン〉を〈石化〉状態にすることに成功する。

「おお! 全部成功とかやるなぁ!」

「『状態異常耐性貫通』に『石化付着率上昇』もLV10ですから。成功率には自信がありますよ」

エミメナがそう言ってドヤる。

【メドゥーサ】と言えばその真骨頂はやはり石化だ。故にヒーラーとは別に、〈石化〉の状態異常はものすごく得意としている。

―――〈石化〉。

あまりしっかり登場はしていなかったな。

改めて〈マージロン〉たちをみると、見た目は石にはなっていないが、石みたいに固まりピクリとも動かず、HPバーには〈石化〉の状態異常が付着している。

〈気絶〉と対を成す、非常に強力な体外状態異常だ。

刺さると体は固まってしまい、意識はあるのに全く身動きが取れず、スキルも魔法もユニークスキルも使えない状態でぼこぼこにされてしまう。

また、〈麻痺〉や〈拘束〉にも似るが、〈麻痺〉〈拘束〉は時間経過ですぐ 治 ( 解け ) るのに対し、〈気絶〉と〈石化〉は外部から干渉されなければ解除にかなりの時間を要するのが大きな違いだ。

一応時間経過でも治るのだが、ぶっちゃけ回復魔法を必要とする状態異常と考えて相違ない。掛かったらすぐにヒーラーが状態異常を解除しないと、戦闘が終わるまでそのままということが多い強力な状態異常だな。

とはいえ〈麻痺〉や〈拘束〉とは違い、本来は成功率は低く、付着させてくるスキルや魔法も少ない、強力が故にかなり使いづらい類の状態異常だな。

なお、ヒーラーが掛けられたらマジアウトなので、必ず〈気絶〉と〈石化〉を解除するアイテムだけは全員に持ち運ばせること。

え? 万が一全員が〈気絶〉か〈石化〉したら? まあ、その時は全滅だな。この〈マージロン〉たちと同じように。

「ゼフィルス先輩、これは」

「お、メーレイ、ロイ、ヴァン。ちょうどいい時に来たな。探してたんだ」

わき道からやってきたのは俺たちの探し人。エルフのメーレイ、戦うアイドルのロイ、オリハルコン製の両手盾がまぶしいヴァンだった。

俺とエミメナと〈石化〉してしまった〈マージロン〉たちを見てちょっとどうしていいのか分からない顔をしている。

「そろそろ俺たちの番だから迎えに行こうと思っていたところだったんだよ」

「そうでしたか。ありがとうございます。自分たちもちょうど戻るところでした」

「それでそれで、これは何ですかゼフィルス先輩! なんか〈石化〉で固まっちゃってるカモ、いや、アルマジロが豊作なんだが!?」

「〈マージロン〉のタックルは今の自分でも良い訓練になるのでありますが、こうなってはもうダメでありますな」

「おう。ヴァンの言う通りだ。メーレイ、ロイ、介錯を頼むぜ」

「お任せください、と言いましょう」

「任せてくれ! ……それでヴァン 先 ( せん ) 、こういう時バフとかどうすりゃいいの?」

「〈石化〉状態の敵が相手なら必要ないでありますな! MPを節約し、通常攻撃で仕留めるであります」

「やっぱりかよ!? スキル無しとか超地味じゃん!?」

エミメナとメーレイとロイはパーティメンバーなのでハンディ無しで介錯可能。

ここでハンディが入ると〈石化〉が解除されてしまうのだ。故に3人なら介錯を任せても問題は無い。

しかし、あっちの男組はずいぶん仲良くなったんだな。

ロイなんてヴァンのことをヴァン先とか親し気に呼んでるし、敬語も無しだ。

だが、動けない相手にわざわざMPを使うのはもったいない、通常攻撃で仕留めるようにと教えられて、目立ちたがり屋のロイがガビーンってなってるな。地味な作業はどうもロイは苦手なようなのだ。

ふむ、このまま普通に狩るのは面白くない。少し2人のスキルも見てみるか。

「いや、メーレイもロイもスキルを使って倒しちゃってくれるか?」

「え!? いいですかゼフィルス先輩!」

「おう。俺が許す! むしろ2人がどれだけ成長しているのか、ボス戦の前に確認しておきたいところだ」

「そういうことでしたら、自分の今一番の攻撃を――『雷の中精霊・精矢』! 『ミストラル・チェーン・オーディボルト』!」

「あ! メーレイ、ずっる!」

先に動いたのは【スピリットオーラアーチャー】のメーレイ。

その 職業 ( ジョブ ) は、シェリアのように精霊の力を使う弓士だ。

『雷の中精霊・精矢』は基本中の基本となる〈四ツリ〉スキルの1つで、〈雷属性〉の中精霊の力を矢に込めるスキル。メーレイの弓がバチバチ言ってるな。一度込めれば時間経過で消えるか他の精霊にチェンジしなければ、ずっとつがえた矢に雷の中精霊からの加護が付与されるようになるんだ。

続いて撃ったのは『ミストラル・チェーン・オーディボルト』。

敵から敵に貫通しながら飛んでいく誘導矢だ。A敵にぶつかったら、B敵へ、ぶつかったら今度はC敵へと飛んでいく。何度貫通できるかはスキルレベルによるな。

すさまじい雷の矢がものすごい速度でザザザザザーンと音を鳴らしながら刺さっていく様子は圧巻だ。お、止まった。貫通回数は7回だからLVは5だな。

ちなみに、単体のモンスターに使うと貫通した矢が戻ってきて突き刺さるので7連打できる優れたスキルだ。この攻撃だけでかなりのダメージが入ったな。

「俺も負けてられないな! 『バトルダンス』! 『メモワールブレイド』!」

ロイの【スターバトルアイドル】は自分はアタッカーで攻撃をしながら味方にバフを掛けることができる超有能 職業 ( ジョブ ) 。

バフの上昇率自体はノエルには敵わないが、アタッカーなのでダメージを稼ぎながらバフを付与できるのが超強い。

なんか、ソードマン先輩を思い出すぜ。使ったバフ斬りがメモワールだからかな?

『バトルダンス』は序曲、これを発動していないとバフ&攻撃のスキルが使えないのが少しネックだが、攻撃しながらパーティ全員の攻撃力を上げたり、状態異常の予防をしたり、とサポートできるので2職の 職業 ( ジョブ ) 分の働きができる。

戦闘のテンポも速く、流れるように5体の〈マージロン〉を倒してしまった。

いや、自分に火力バフできるからほんと強いな。

「マージ~」

「「「「マ~ジ~」」」」

〈マージロン〉たちはHPがゼロになれば状態異常も無くなるので、最後は辞世の句だけ残して光になっていったよ。辞世の句が「マージ」か。うむ……。マジなんだ。

「いいな! メーレイの精霊矢もスムーズに展開できて威力も高かったし、ロイも流れるように斬る剣捌きがかなり決まってた! 俺たちにはできない、魅せる剣技だったな!」

「ありがとうございます」

「分かってくれますかゼフィルス先輩! この踊るように斬る剣技が! 結構練習したんですよ!」

お礼だけ言うメーレイとは違って、ロイは自分が上級職になって剣が使えるアタッカーになりどれだけ練習したのかを熱く語っていたよ。

元々下級職時代はバッファーだったが、今は戦うバッファーになったからな。戦闘スタイルの構築にずいぶんと頭を悩ませたようだ。

「ゼフィルス先輩のアドバイスもとっても助かりました! 改めて大感謝ですよ!」

「どういたしまして」

もちろん〈ダン活〉知識を生かし、俺もロイに戦闘スタイルのアドバイスをしていたが、それも役だったようで何より。

こうしてパーティメンバーが揃ったので最奥に戻ると、すでにラナたちは攻略した後だった。

さあ、俺たちの番だな。