第2056話 ゼフィルス先生の授業と高速パワーキャリー!
第2056話 ゼフィルス先生の授業と高速パワーキャリー!
久しぶりにレアボスの〈宮廷氷魔導師団長・グライナダレ〉と〈新団長・ナダレグランキ〉に挑んだんだが、かなり楽勝だった。
ヴァンの城から一方的に攻撃するだけの簡単なお仕事です。
この第二拠点って、一定以上の力の差があると、もう攻略不可能な城みたいな立ち位置になるんだよ。
「ブオオオオオオオ!」
「『火の中精霊・精矢』! 『エレメント・パワーダート』!」
「奏でろ俺の歌ーー! 『演奏・祝』!」
「『部分石化・ 脆弱 ( ぜいじゃく ) 』! これ、こんなに簡単でいいんですか?」
「いい! 俺が許すぜ! 『 天光勇者聖剣 ( あまのひかりのゆうしゃせいけん ) 』! ――ヴァン! そろそろ城の耐久を回復だ!」
「はっ! 『国力回復』!」
今俺たちは、第三形態〈新団長・ナダレグランキ〉になったボスの猛攻をヴァンの城壁で受け止め、城から一方的に攻撃しまくっていた。
遠距離アタッカーのメーレイがヴァンとの相性最高。戦うバッファーのロイは戦えないので普通にバフを歌ってるな。
ヒーラーとして全く活躍の機会がないエミメナは、部分的に石化させ、防御力と魔防力のデバフを与える『部分石化・ 脆弱 ( ぜいじゃく ) 』を使ってデバッファーをしていた。
ヴァンの城はHPがゼロになる前に回復が追いついているので崩壊する可能性ゼロ。
もう楽勝を超えた超楽勝モードで〈ナダレグランキ〉のHPを削り切った。
「オオ…………」
新団長がエフェクトの海に沈んでいきます! お疲れ様でした!
俺は心の中でそっと敬礼して、やられてしまった新団長とお腹の中の元団長を見送った。
「勝っちゃったです……」
「勝ってしまいましたね」
「うおっしゃー! 勝ち鬨を上げるぞー!」
「ロイ、分かってるじゃないか! 勝ち鬨だー! よっしゃーーー!」
「「うおおおおおおおおおおおお!!」」
エミメナとメーレイがやや呆然と感想を言う中、ロイがガッツポーズをとってよっしゃしたので俺もノる。
ロイよ、ノリがいいじゃないか!! よっしゃー!!
ヴァンと一緒に3人でよっしゃよっしゃしていると、次第にエミメナとメーレイも乗ってくれる。
「やりましたー!」
「勝利です!」
「「「よっしゃー!!」」」
今日、エミメナ、メーレイ、ロイの3人と、とても仲が深まった気がした。
団結は力だ!
なお、ドロップしたのは〈上級転職チケット〉が3枚だった。
まさかだったよ!! いや、なんだか久しぶりで逆にテンション上がっちゃったんだぜ!
こうして 上級中位 ( ジョーチュー ) のランク2、〈 守氷 ( しゅひょう ) ダン〉の攻略を終えると、続いて向かったのは――上級の〈狼ダン〉こと〈 56 ( ごろ ) ダン〉へと入ダンした。
「って! さっきランク2を攻略したばかりなのに、なんでそのままランク7に入ダンしてるのーーーー!!」
うむ。やはりテルニアには、ツッコミの才能があるな。
良いリアクションだ!
「〈 56 ( ごろ ) ダン〉? ゼフィルス先輩、なんでここは〈 56 ( ごろ ) ダン〉なんて呼ばれているんです?」
「良い質問だミツル。ここの最奥ボスはな、〈バトルウルフ(第五形態)〉と〈バトルウルフ(第六形態)〉なんだよ!」
「ボスを基準に考えられてるー!?」
ちなみにこの上級の〈狼ダン〉が〈 56 ( ごろ ) ダン〉と呼ばれているのは、俺が名付けたからである。最初に踏破したの、俺たちだからな!
〈ダン活〉の〈バトルウルフ〉はマスコット枠。〈バトルウルフ〉が出るダンジョンだよってしっかり示しておかないといけないよね!(別にいけなくないです)
なお、〈大狼の深森ダンジョン〉も普通に〈スターライト〉で突破した。
「いいわ、いいわね! ここのワンちゃんたちは擦れてないし、たくさん襲ってきてくれて狩り甲斐があるわ!」
「ええ。〈万界ダン〉の57層のウルフたちは、あまり襲ってきませんでしたからね」
「「「「キャイーン!?」」」」
低空を飛ぶ〈スターライト〉に撥ねられて4体の〈ウルフ〉系が光になる。
そんな光景を見てラナがにっこり笑ってしまうのも仕方ない。
エステルの言う通り、なぜか〈万界ダン〉の〈大狼の深森ダンジョン〉の追想では、あまり〈ウルフ〉たちに襲われなかったのだ。むしろ俺たちを避けて逃げていたまである。なぜだぜ? 理由は不明さ~。
でも、追想ではない本物の〈大狼の深森ダンジョン〉では、〈スターライト〉を囲むようにして追走してくる〈ウルフ〉たち。ほんと、「いいよ、すごくいいよ君たち!」と褒めてしまいたくなるぜ。むしろ褒めた!
進行方向を塞ぎに来たら轢かれてしまうのに、それでも諦めないのだ。気合が違うよ! ほら〈万界ダン〉のウルフたちももっと頑張れよ!
「がんばれ〈ウルフ〉たちー!」
ああ!? ついにラナが追走してくる〈ウルフ〉たちを笑顔で応援し始めた!
俺も一緒にやるー!
「頑張れー! その調子だ〈ウルフ〉たちー!」
「なんでラナ殿下やゼフィルス先輩は〈ウルフ〉を応援しているんです!?」
「上級生にしか分からないことが、きっとあるんだよ~」
ふむ。ミツルにもツッコミの才能があるな。俺には分かる!
ソアもツッコんでもいいんだよ?
なお、2日掛けて最奥へ行った俺たちは、〈バトルウルフ〉戦に突入した!
「ひっさしぶりに会いに来たぜ〈バトルウルフ〉ー!」
「「「ワオン!?」」」
出迎えてくれたのは頭が3つの〈バトルウルフ(第五形態)〉。
入った瞬間、その3つの視線がメーレイ、ロイ、エミメナへと注がれ「グルル、次の獲物がやってきたぜ」とでも言いそうな獰猛な笑みを浮かべ――たはずだったが、次の瞬間、なぜか俺を見てその笑みが引っ込んでいた。ん?
3つの視線が俺を見てなぜか外れません。そしてなんかやる気満々の雄々しかった尻尾がしゅーんと垂れ下がっていく。震えているように見えるのは気のせいかな?
まあ、きっと気のせいだろう。
そして俺たちは〈バトルウルフ〉と10連戦した。
こっちは50人だからね。本当はもうちょっとやりたかったんだけど、時間もあまり余裕がなかったから泣く泣く周回はしなかったんだ。くぅ……!
絶対また来るからなー!
そう、心の中の〈バトルウルフ〉に手を振ると、なぜか尻尾を垂らした〈バトルウルフ〉が3つの首を揃えて横に振っていた光景を幻視した気がした。まあきっと気のせいだろう。
上級中位 ( ジョーチュー ) 3つ目の攻略者の証ゲット!
また金曜日は、俺が選択授業の教師として、二学期は最上級ダンジョンの歩き方を教えてほしいと学園長直々に頼まれてしまったので引き受けた。
「ゼフィルス君。そろそろ〈救護委員会〉〈攻略先生委員会〉〈ハンター委員会〉の面々が本格的に最上級ダンジョンを歩みだす。どうか最上級ダンジョンの踏破者として指導を頼みたいのじゃ」
「そういうことなら任せてください学園長! 他にAランクギルドやSランクギルドも授業に呼びましょう! 彼ら彼女らだってきっと最上級ダンジョンに入ダンし、攻略してくれますよ!」
「う、うむ。そんなポンポン最上級ダンジョンの入ダン者が増えるのも抑えられる人材が育ってないので困るんじゃが……。いや、これは将来引き抜くためじゃ。きっと学園の力になるのじゃ」
「学園長、頑張りましょう(頑張ってください学園長! 俺、応援してますから!)」
そんなやり取りがあって、俺は3年生の二学期も選択授業で教鞭を振るうことになったんだ。
でもすごかったよ。
歴戦の強者、という風格の先生から、今年卒業しました~、という歴戦の強者よりも明らかにLVが高い19歳先生まで、すごい人材たちが講堂のように広い教室を埋め尽くしたんだ。
最前列の正面には――タバサ先生がいる! タバサ先生~! 思わず手を振りたくなってしまったよ。
あ、フィリス先生も発見! 先生の立場が逆転しちゃった!? 今日は俺が先生です!?
なお、学園公式ギルドの面々は希望すれば誰でも参加可能なのに対し、AランクギルドとSランクギルドは斥候や 地図 ( ナビ ) 担当、それと役職持ちに限定されている。
学園としては、まず公式ギルドの面々の強さを上げなくてはいけないのだ!
もちろんたっぷりと最上級ダンジョンの歩き方を授業しておいたよ。
歴戦の強者っぽい方々が付いてくるのがやっと、みたいな雰囲気だったが、きっと頑張ってくれるだろう。
よし、明日からはいよいよダンジョン週間に突入する!
このままのペースでいけば、〈エースシャングリラ〉の六段階目ツリー開放も十分間に合いそうだぜ!