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第2057話 後輩の反応が薄い。誰だこんなにしたのは!

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第2057話 後輩の反応が薄い。誰だこんなにしたのは!

「今日からダンジョン週間に突入だー!」

「さあクラス対抗戦まであと9日よ! みんなスパートを掛けるからどんどん強くなりなさい!」

「放課後の時間のみで3日で2ヵ所の上級中位ダンジョンを攻略しておいて、ここから丸1日時間を使えるとか、僕たちはどうなっちゃうのかな姉ちゃん??」

「そんなの決まってるじゃんミツル君。LV60までアゲアゲしちゃうのよ!」

「その過程が、僕たちが苦労して少しずつ前へ進んでいた上級中位ダンジョンが、あっという間に突破されそうなことにもっと反応してあげて!?」

俺とラナがえいえいおーする傍らで、それを呆然と聞くミツルが震える声でソアに相談しているな。どうやらミツルは、まだ常識というものが強く残っている様子だ。大変良き。

逆にソアの方はすでに〈エデン〉に染まりつつあるな。こっちも大変良き。

ダンジョン週間初日である9月12日土曜日は、早速あのダンジョンへ向かった。

確かに、ここまでかなり急ぎ足で来ちゃったからな。休息も必要だろう。

そう、俺たちがやってきたのは上級中位ダンジョンのランク8――〈禁足の大猫ダンジョン〉こと、通称〈猫猫ダン〉だ。

「「「「きゃー!」」」」

入ダンした瞬間、やはり女子の悲鳴が木霊したんだ。

癒されていってほしい!

「今のルルの強さなら、猫ちゃんをおさわりしたい放題するという夢が叶うのかもしれないのです!」

「ルルお姉ちゃんにそんな壮大な夢が!?」

「わ、私も防御力には自信があります!」

「キキョウまで~!? じゃあアリスはゼルレカなでなでする~」

「え、おいアリス!?」

「ちょーっと待ってもらいましょうアリス先輩! なでなでもふもふするのならこのマルティにお任せだよ~♪」

うむ。盛り上がってる盛り上がってる。

LV100に到達した〈エデン〉メンバーも、今日は全員連れてきているからな。

総勢85人の超大所帯だ。

各自いろんな人と交流しながらも、猫を眺めたり、あるいは仲良くなろうとしたり、あるいは戦闘に突入したり、猫に追いかけられて逃げたりと、様々な楽しみ方をしていたよ。

「ふう。50人を超えるメンバーと入ダンとか少し身構えていたが、結局何もなさそうで安心だ」

「50人を超える仲間を一緒に連れてダンジョンを行動することはできない。ダンジョンのルールでもあるが、1層だけであれば問題ないというのは本当なんだな」

そう俺の呟きに答えるのはメルトだ。

基本的にダンジョンは50人を超えると階層門が機能しなくなる。

50人以上が一度に階層門に入ろうとすると、51人目から弾かれてしまいしばらく入れなくなってしまうのだ。

故に学園ではギルドの人数は最大50人までと決められている。

『ゲスト』にでもしていない限り50人を超える人がダンジョンで一緒に行動できないのだ。

なお、〈エクストラダンジョン〉だけは例外だ。故にあそこはエクストラなんだ。

しかし、1層だけなら普通のダンジョンでも85人行動は可能。入れないのは階層門、つまり2層以降だな。1層にはショートカット転移陣があるので例外扱いなんだ。もちろん、このショートカット転移陣も51人目からは弾かれる仕様だぞ。

まあ、時間をずらしたりすれば入れるんだが、時間は少しロスするな。

「あ、メルト様ーそっちいったよ~」

「うん?」

ミサトの声に2人で振り向けば、まっしぐらしてくるトラ柄の猫ちゃんが1匹。

とってもかわいい愛嬌を振りまいて、メルトの前で止まり、そのまま見上げてきたんだ。うるうるとした視線がグッとくる。

メルトも目を合わせたまま動かない。なにやら、ほだされている予感?

そんなメルトの反応を少しニヤニヤしながら眺めていると、ハプニング発生。

「ニャー!」

「ふぐふぁ!?」

ああっと! 猫が唐突にメルトのボディに行ったーーー!!

これは〈ワイルド茶トラ〉の『ネコヘッドぐり 突 ( とつ ) 』! 要は頭突き!

スキルエフェクト発生にすら固まっていたメルトの腹に見事に直撃。油断したメルトに「ふぐふぁ」させたんだ!

「メルト様ー!?」

「おのれ猫! 貴様の相手は向こうだろう! 『グラビティ・ロア』!」

「ニャー!?」

おっと容赦ない攻撃。

きっとミサトとバトルしていた猫がこっちに来たと思ってしまったのだろう。思いっきりメルトが重力のブレスで猫をぶっ飛ばしていた。

いや、今のは普通にエンカウントだと思うぞ? 油断したメルトが悪い。

「ニャー」

「ん?」

すると、今度は俺の足元に猫が。

しかも足に頭をスリスリしてきたんだ。この動作、カルアのエージェント猫が懐いているときと同じ。

まったく身に覚えが無かったが、きっと俺の勇者の波動的な何かが、猫を懐かせてしまったのだろう。そう思って普通にしゃがみこんで猫に手を伸ばす。愛いやつめ。だが、その瞬間猫がスキルエフェクトに包まれた。あ。

「ニャー!」

「ふぐふぁ!?」

「ゼフィルス先輩のお腹に猫が!」

「賢者に続き勇者までふぐふぁさせるなんて、とんでもない猫ですの!」

本日2人目の「ふぐふぁ」入った!

ちょっと、この猫、男子に厳しくない!?

いや、そもそもここの猫はおさわり厳禁だったわ。

「ニャー!」

「ニャーじゃない! 悪い猫はこの勇者が成敗してくれるわ!」

ふう。俺もはしゃいでしまったぜ。

〈猫猫ダン〉の1層で猫を見ながら癒され、たまに「ふぐふぁ」しながらも英気を養った。

男子の方に寄ってくる猫は、ちょっとワイルドだったけどな。

結局太陽が真上を通過した辺りで〈エースシャングリラ〉のメンバーを回収して出発。

なぜかまだ〈猫猫ダン〉で遊ぶ気満々のメンバーが40人ほど1層に残ってしまったので、俺たち〈エデン〉も10人程度しかいないが、まあ問題なかったな。

その日は〈猫猫ダン〉の最奥まで進み、無事ボスの〈五体猫戦隊・ネコレンジャー〉を撃破して攻略者の証をゲットしてもらったんだ。

その翌日、今度は上級中位ダンジョンのランク9、〈 爬翔 ( ハショウ ) の火山ダンジョン〉、通称〈火山ダン〉へと突入した。

だが、俺はここで驚愕のカルチャーショックを受けることになる。

「ここは深層に〈亜竜〉が出るぞ!」

「〈亜竜〉! つ、強そうですね……」

「ん? 違うぞミツル、〈亜竜〉が初めて登場するんだ!」

「?? はい、〈亜竜〉は強いですから、せ、精一杯頑張ります!」

「いや、そうじゃなくてだな。〈亜竜〉だぞ?」

「????」

「ゼフィルスよ、諦めろ。後輩たちは、フラーミナやアルテ、そしてアイギスによって〈竜〉はさほど珍しいものでもないんだ。グラジオラもドラゴンになれるしな。その下位種である〈亜竜〉なんて、すでにすごくもなんともないんだ」

「なん、だと?」

メルトに言われてガビーンと背後に雷が落ちる俺。

俺たちが初めてここに来た時は、そりゃ初めての〈亜竜〉に大騒ぎ大はしゃぎしたものだ。

〈ダン活〉で〈竜〉は特別な存在。中級以下には決して存在しないため、その姿が野生で確認されたのは、ここが初だった。

これがはしゃがずにはいられようか? いやいられまい。そんなはしゃぎようだった。しかし、今の子たちは〈亜竜〉はそう騒ぐほどでも驚くことでもない?

もうね、カルチャーショックだったね。超びっくりだった。

ミツルたちにこの感覚が通じないだと! たったの1年年下なだけで!?

誰だ後輩をこんなにしたのは!?(←ゼフィルスです)

「51層、到達です!」

「見ろミツル! あれが〈ワイバーン〉、あれが〈ドレイク〉、あれが〈ワイアーム〉! ――〈亜竜〉系だ!」

「はい! 強そうです!」

違うんだ! もっと〈竜〉系の類だということにときめいてほしかった……!

「ええい、〈エデン〉のお通りだーーー!! 『ゴッドドラゴン・カンナカムイ』!」

「え? えええええ!? ゼフィルスさんが倒すんですか!?」

「「「ギャーーー!?」」」

結局〈エデン〉メンバーで行き掛けの駄賃的にボコって通り抜け、そのままその日は最奥の〈 黒現迅亜竜 ( こくげんじんありゅう ) ・マラガストル〉、通称〈マラガ〉までボコって終了したのだった。

いつの間にか、〈エースシャングリラ〉のメンバー30人は全員、上級中位ダンジョンの攻略者の証を5つ持っていて、上級上位ダンジョンへ入ダンできることになっていた。不思議だね。

これが、ダンジョン週間、2日目の夕方のことだったんだ。

明日からは上級上位ダンジョンに行けるよ! やったね!