第2060話 ばったり出会ったのは筋肉とレイテルとオルク
第2060話 ばったり出会ったのは筋肉とレイテルとオルク
俺たちのサポートがあれば誰でも最奥まで行けちゃう夢の転移アイテム、〈エンテレ〉!
最近は道中の経験を積ませるために(?)敢えて封印してあったが、もう解禁で良いだろう。
こうして30人を4つの班に分け、それぞれ〈エデン〉メンバーと組ませてランク1〈 幻迷 ( げんめい ) ダン〉、ランク2〈空島ダン〉、ランク8〈教会ダン〉、ランク9〈竜ダン〉に送り込み、ローテーションで代わる代わる攻略者の証を取ってもらったんだ。
〈エンテレ〉120個を使用して30人を4つのダンジョンの最奥に連れていく簡単なお仕事です。
他のダンジョンはまだ〈エデン〉も攻略していないので、〈エデン〉が攻略したダンジョンのみだけどな。
俺たちが通ってきたルートはすでに報告書という名の攻略本が完成している。
それに六段階目ツリーを開放したのなら、上級上位ダンジョンの最奥ボスも十分倒せるというのが俺の予想だ。そして、それは大当たりだった。
「すごい。すごかったですゼフィルス先輩! 六段階目ツリーって、あんなに強いんですね!」
「私も〈六ツリ〉をぶっ放したよー! 〈クマロボ〉やっつけた!」
「ナイスファイトだったぜミツル、ソア!」
ランク1〈 幻迷 ( げんめい ) ダン〉最奥ボス、〈変形ロボ・時々・合体ロボ〉、通称〈クマロボ〉。
なんか懐かしい~。追想の時は会えなかったしな~。
「力が溢れてくるのを感じますぞ! 変身ならば我の方に分がありましたな!」
「ツッコミたい、ツッコミたいけどこれだけは言わせて! 私、すっごく強くなったよ!」
「ええ。もう私の曾祖母を超えたわね。テルニア、これからも〈エースシャングリラ〉を支えてあげてね。そしてもっと強くなって〈エデン〉を支えられるようになるのよ」
「シエラ先輩の期待に応えられるよう、頑張ります!」
こっちはこっちで盛り上がってるな!
テルニアたちの手には、この〈幻惑の迷路ダンジョン〉の攻略者の証が、しっかりと握られていたんだ。
他の班からの連絡が来て、〈エデン〉メンバーのサポートもあり、順調にみんな攻略者の証を手に入れている模様。超順調だな!
と、ここで他のギルドとバッティング。
「おお! そこに居るのは我が筋肉の友! ゼフィルスではないか!」
「アランたちじゃないか! なんか久しぶりだな!」
上級上位ダンジョン攻略中のAランクギルド、〈筋肉は最強だ〉とばったり最奥で遭遇したのだ。
あぶな! ボス周回は見られて居なかったようでセーフ! 現在別の班が周回中なのだ。
相変わらずすごい恰好のギルド。約半数が半裸だ。【鋼鉄筋戦士】だな。
半裸じゃないのは【サタン】メンバーズだろうな。うちで購入した者が多い模様。毎度あり!
ギルドマスターのアランが前に出て俺とグッと握手をする。
「ゼフィルスよ、こんなところで会うとは奇遇じゃないか。久しぶりに筋肉していくか?」
「そっちこそ、ランク1に来ているということは攻略者の証集めか? 筋肉はまた今度な。今はうちの下部 組織 ( ギルド ) のパワレベ中なんだよ」
ちなみに、久しぶりも何も俺は過去筋肉なんてことをした覚えはないとここに表明しておこう。なんだろう筋肉していくか? って……いや、気にしてはいけない。
「見抜かれているか。さすがはゼフィルスだな! 実はゼフィルスの 報告書 ( 攻略本 ) を参考に現在ランク2、ランク4、ランク8、ランク9の攻略者の証を集め終えていてな。ここで5つ目が揃うのだ」
「なんだって! すっげぇじゃねぇかアラン!」
マジで!? 〈筋肉は最強だ〉躍進しすぎじゃね!?
筋肉は防具を着れない。しかし【サタン】は着れる!
故に上級上位ダンジョンでも攻略可能になったことは知っていたが、まさか最上級ダンジョンまであと1歩のところまで来ているとか、マジビビったぜ! 驚いたぞ!
「俺たちだけの成果ではない。実はな、我らは同盟を結んだのだ! こちらの〈氷の城塞〉とな!」
「お姉ちゃんじゃん!! ハロー!」
「…………」
「あ~、ごめん妹ちゃん! ギルマスってば妹ちゃんとばったりあったためにびっくりして固まっちゃったみたいです!」
「もう、お姉ちゃんったら! あ、ベニテ先輩もハロー! オルク先輩とは上手くいってる感じ?」
「それはもう! 聞いて聞いて!」
「聞いて聞いて? じゃなーーい! なんでテルニアがお姉ちゃんよりも先にここにいるの!!」
あ、レイテルじゃん!
相変わらず、良いテンションとノリの良さ。このタイミングでばったりとか、レイテル何か持ってるんじゃないの?
「あ、それ聞いちゃう? ふっふっふ、それじゃあ教えちゃうよ~。実は今さっきここのボスを倒してね! この通り! 上級上位ダンジョンの攻略者の証5つ! 揃ったんだよーー!!」
「ぎゃー!? 妹に攻略階層抜かされてるーー!?」
専用ケースに5つの証を張り付けたテルニアが超ドヤ顔で姉に自慢してたんだ。
レイテルの「ぎゃー!?」もありがとうございます!
なんでレイテルってここまで叫び声が似合うというか、栄養価が豊富なんだろう? ごちそうさまです! 大変美味しゅうございました!
「というわけでな。頼りになるギルドとの合同攻略でここまで進めてこられたのさ」
「噂では聞いていたが、〈筋肉は最強だ〉は〈氷の城塞〉と合同攻略しているって話は本当だったんだな」
頼りになる、頼りになるか~。
チラッとレイテルを見ると「ひ~!?」と未だに悲鳴上げながらテルニアを問いただしている。そしてまた「ぎゃー!?」と叫ぶのだ。
確かに、あのツッコミ属性は天性の才能。攻略に欠かすことはできないな。
〈エデン〉もカグヤやサーシャに支えられてるところあるし。分かるよ。
特に〈筋肉は最強だ〉にはツッコミ要員は必要不可欠だろうしな。
「…………ゼフィルスがまた何かズレたことを考えている気配がするわね」
シエラがなんかジト目を送ってきてる!? ひゃっほーい!
あ、オルク発見。
「オルクも調子はどうだ? 順調か?」
「はい! 〈氷の城塞〉に守ってもらってます!」
「それは重畳だな!」
オルクはなぜかSTRとINT両方にステを高く振っているために防御系に難があったのだが、それは〈氷の城塞〉と組むことである程度解消されているらしかった。
あ、そうだ。ちょうどいい。
「そういえばオルクに渡したいものがあったんだよ」
「へ? これ、召喚盤!? なんの!?」
「そいつは最上級ダンジョンのランク4、〈万界ダン〉に登場する守護型ボス、〈ホネデス〉の最終進化系、〈P・R・ホネデス〉の召喚盤だ!」
「〈ホネデス〉の最終進化系!? 〈P・R・ホネデス〉の召喚盤!?」
さすがオルク、良い反応をする。
「最上級ダンジョンのアイテムか!」
「そんな、それすっごい強いやつじゃないの!? しかも召喚盤!?」
「レベルキャップ100のボスのドロップだな。かなり強いと思うぞ」
「LV100!?」
アランやベニテまで集まって召喚盤を見つめ、オルクがぷるぷる震えていた。落とさないようにな?
「いいのかゼフィルスよ? 貴重なものだろう? 我らの筋肉のように」
ムキっとアランが右の上腕二頭筋を唸らせる。
「いいさ。〈エデン〉では使わないし、使わないと勿体ないだろう?」
「確かに、使わない筋肉は次第に衰えてしまう。適度に使うことが重要ということか」
アランはそう言いながら膨らんだ二の腕を見ていた。
「そういうことだ。〈ホネデス〉使いは今のところオルクだけだからな。オルクに渡しておこうと思ってな」
話が噛み合っているようで嚙み合ってないが、アランとの会話には慣れてる。
問題は無い。
「すごい。あのアランとこんな普通に会話するなんて……」
「ゼフィルス先輩の凄さを再確認しました!」
あ、いつの間にかレイテルとテルニアまでやってきてた。
アランと普通にやり取りしているだけですごいと思われてます。まぁな!
「ゼ、ゼフィルスさん。マジでいいんですか?」
「いいぞ。弟子への餞別だ」
「うおおお! 俺はまたパワーアップしたぞーー! ゼフィルスさんあざっす!!」
「俺からも感謝するぞゼフィルス! お礼に今度特上のプロテインを贈ろう! 良い筋肉が育つぞ!」
「それなら〈天魔のぬいぐるみ〉の方が欲しいな」
「よし! 両方贈ろう!」
「ありがとよアラン!」
またルルたちが喜びそうだ。プロテインは、まあ飲みたい人が飲むだろう多分。
と、ここで現在周回中のメンバーがボスを倒し終えたらしい。
時間もちょうどいいし、今日はここまでだな。
「それじゃあ、俺たちは撤収するよ」
「おう。積もる話はあるが、また今度話そう!」
「最上級ダンジョンは強いぞ、アラン、頑張れよ!」
「任せておくがいい! しっかり筋肉を鍛え上げ。LV100の最強筋肉に至るのだ!」
「「「「応ーーー!!」」」」
「お姉ちゃんも元気だしてねー!」
「テルニアが私の元気を奪ったんだけど!?」
「ゼフィルスさん! この召喚盤で、俺もすぐに最上級ダンジョンに潜りますから!」
「オルク先輩は私が守るから安心してくださいね~!」
う~ん、みんな仲良し! 久しぶりにアランたちと会えて楽しかったぜ。
アランたちとは手を振って別れ、俺たちは一度ダンジョン門に帰還し、合流することにした。
ダンジョン週間も残すところ1日だ。