第2070話 フィールド決定! 作戦も決まって準備万端!
第2070話 フィールド決定! 作戦も決まって準備万端!
――第一アリーナの〈ヘカトン山〉は、以前1年生の〈学園出世大戦(Aランク戦)〉の時に戦った、〈ピラミッド〉フィールドに似ている。
中央に巨大なヘカトン山が鎮座し、その中心地の山頂には3×3マスのデカマスが存在する。
ヘカトン山から東西南北への道はなく、斜め方向に4か所の出入り口があるのみだ。
そのヘカトン山を中心にして東西南北の隣接に小さな山が1つずつ存在する。これの名はヘカトン小山だ。そしてヘカトン小山の中心に拠点が建っていた。
そう、今回の拠点は各小山の山頂の中心地にあるという、ちょっと変わったスタイル。ヘカトン小山も侵入経路は斜め方向の4ヵ所のみ。しかも幅が狭いため罠を張るのに最適だ。非常に守りやすい立地である。
これ、〈1組〉がいるからこんなに拠点が守りやすいフィールドが選ばれているわけじゃないよね? いや、あり得るかも?
残りの4つのヘカトン小山と拠点はフィールドの四隅に近い場所にあり、近くを崖山の山脈が立っていてお互いの干渉を防いでいるな。
これなら超遠距離攻撃は届かない。
〈学園出世大戦(Aランク戦)〉の悲劇〈弓聖手に救世主はいない事件〉を繰り返すことは無いだろう。
「それでゼフィルス、私たちはどこの拠点なの!?」
「慌てるなってラナ。今回は自分で拠点の場所を選べない代わりにランダムで決める形になっているんだ。よって、俺もまだ知らない」
「ここでも公平性が強く押し出されているのね」
「以前は若い数字のクラスから拠点の位置を決められましたが、その後に選ぶクラスには場所がバレてしまうというリスクがあって公平性を保っておりました。今回はコストによる戦力の平均化に伴い、この辺も変わってきておりますのね」
ここは第一アリーナ、〈1組〉の控え室。
第一試合の情報はすでに学園全体にインフォメーションにて通知されていたので〈1組〉メンバーも大半が知っていて〈1組〉の教室に集まっていた。
あとは出発するだけだったので早めに控え室にやってきた次第だ。
とここで控え室に職員の方がやってくる。〈1組〉の担任、フィリス先生だった。
「みなさん~。おはようございます~」
「あ! フィリス先生! おはようございます!」
「今日からクラス対抗戦ですね。みんな、ルールはちゃんと覚えていますか? 改めて先生から教えることはありますか?」
どうやら新ルールの説明に来てくれたようだ。道理で早めに控え室へ来ることが推奨されていたわけだぜ。
確かに、ルールが分からないなんてあってはならない。
「みんな、どうだ? 新ルールはちゃんと頭に入ってるか??」
「昨日ゼフィルスが叩き込んだから〈エデン〉メンバーは大丈夫じゃない? ――アイシャとハクはどう?」
「私も大丈夫。予習もばっちりだよ~」
「うちもええどす~。これでも〈1組〉所属ですからなぁ」
さすがは〈1組〉メンバーズ。
〈1組〉とはテストの点が超高いメンバーでもあるんだ。予習復習は基本技能だな。
あとはアイシャとハクにも昨日〈エデン〉が考案した作戦を周知するだけとなっている。
「ふふ、みなさんさすがですね。では続いて、〈1組〉のみなさんは召喚盤のレンタルはしませんか? 〈学生手帳〉からリストにアクセスできますよ。早い者勝ちです」
「いえ、〈1組〉には必要ないですよ。自前のものがありますから」
「……〈1組〉はどう頑張ってもレイドボスは召喚できないようなコストになっておりますが、大丈夫そうですか?」
「はい! そのためにクイナダも居ますしね!」
「うん! 31人目もこうして参加させてもらってるもん。レイドボスクラスの働きをさせてもらうよ!」
「頼もしいですね」
そう、実は1クラス30人という規定の中。〈1組〉は31人の学生が居たりする。
5月にクイナダが転校してきたからだな。
他のクラスは基本30人なので、〈1組〉はかなり有利だ。
それも、〈1組〉と他のクラスとコストにかなり差がある理由だな。
とはいえ、31人フルメンバーで参加させてもらえるのは感謝しかないな。
「では、〈1組〉は召喚盤の貸し出しは不要ですね」
「はい!」
ここで貸し出される召喚盤はレイドボスのものではなく、普通のものだ。
リストを確認すれば〈金箱〉産のボスから〈木箱〉産の通常モンスターまで様々なラインナップがされているが、俺たちは自前のものが大量にあるので全く問題ない。というかその学園の召喚盤、上級と最上級産の8割くらいは〈エデン〉が売ったものだし。
「アイシャもハクもいいか?」
「はい。今年も召喚盤は〈エデン〉にお願いするね」
「いつも悪いなぁ。他のクラスはみんなそれぞれで出しおうてるのに」
今回召喚盤がレンタル可になったのもその辺が理由だな。
〈1組〉は所属するのがほとんど〈エデン〉メンバーなので基本〈エデン〉が召喚盤を出してきたが、〈2組〉や〈3組〉ではかなり様々なギルド所属の学生が集まっているため、どこのギルドのものを使うのか、毎回揉めるのだそうだ。
〈エデン〉の召喚盤の方が強いんだから〈エデン〉が出せ、というのも違うしな。
話が逸れた。
「では先生からの言葉はもうありません。みなさん、試合が始まるまで、最後の打ち合わせを行なってください」
「「「「はい!」」」」
まだ時間はあるので昨日考えた作戦をアイシャとハクにも伝授する。
「なるほど~。さすがは〈エデン〉だよ! 昨日発表されたばかりの新ルールを聞いて、もうここまで作戦を練ってるなんて!」
「他のクラスが聞いたら嘆きが入るやろうなぁ」
「ただ、そこに今回レイドボスの召喚盤のことが発表されたから少し内容を変更しようと思う」
「はい。200組台は最初からレイドボスの召喚盤をレンタルできる、という話ですわね」
「おう。レンタルできるのは1枚のみ。そして第一試合出場クラスで200組台は2クラス、〈219組〉と〈280組〉だけだ」
「この2クラスはレイドボスを召喚してくるでしょう。最初にレンタルできるのは3種類、レイドボス・連型〈フェアリークイーン〉、レイドボス・大型〈 邪悪寄生花 ( じゃあくきせいばな ) ・ネネネネネルジュガン〉、レイドボス・大型〈バトルウルフ(最終形態)〉ですわ。全て最上級ダンジョンのランク1、〈樹界ダン〉のレイドボスですわね」
「むむむ。ちなみにレイドボス・連型というのは眷属と別行動可能なの?」
「良い質問だアイシャ。これが別行動可能だったらフィールド中にレイドボス・連型が飛び交うことになるからな。だが、そうはならないから安心してくれ。レイドボス・連型本体が移動する時は、眷属も一緒に行動する。故にどのレイドボスでも攻撃に動かせば拠点が手薄に、防衛に配置すれば攻撃が物足りなくなるのは変わらないな」
レイドボスも術者から2マスまでしか離れられないというルールのため、部隊を分けて行動させたりすることはできない仕様だ。
「レイドボス・大型〈バトルウルフ(最終形態)〉に跨って移動すれば、レイドボスの召喚盤集めにかなり有利に進むだろうけれど」
「他のクラスと戦えばレイドボスがやられる 可能性 ( リスク ) があるな。なにせ、アシストモンスターを運用する時は、そのモンスターを操る術者と一緒に行動しなくてはならない。レイドボスを倒せなくても術者を倒せればレイドボスは消え、ポイントが入るからな」
「だからって防衛に配置してもおそらく誰も襲わないわ。弱点である術者が中に引きこもっているんだもの」
「200組台がどう行動するかによってアプローチが変わるわね」
「ゼフィルス、最初の作戦は?」
そう問われてみんなが俺の方へ向く。
「レイドボスは厄介だ。故に各クラスに最初からレイドボスが配置されるのはとても厄介だと思っていたんだが、初期配置されるのはあくまで200組台のみ。あとはフィールドにばらまかれたレイドボスの召喚盤を回収しなくてはレイドボスを召喚できないときた。これは想定していたよりもかなりいい追い風が吹いてる。やはり初動の速攻がカギを握るぞ」
召喚盤は別に召喚に使わなくてもいい。
そしてアリーナにある召喚盤の数は限りがある。
なら、〈1組〉のすることは決まっていた。
「まずは俺たちも召喚盤集めに出るぞ! 例の秘策を使い、フィールド中の召喚盤を速攻で探し出す!」
〈1組〉に秘策あり。
レイドボスの召喚盤とは戦力だ。いくらコストを持っていても、召喚盤が無ければ召喚は不可能。
フィールドには9枚の召喚盤しかないのだから、最高でも9体までしかレイドボスは召喚されない。
しかし、1枚でも多く〈1組〉が確保すれば、その分敵対するレイドボスが減るのだ。
例えば半数の5枚とか〈1組〉が確保してしまえば、全クラスが共闘してきても、いくら大量のコストを保有していようとも――4体しかレイドボスは襲ってこない。
故に、〈1組〉も召喚盤集めに超本気を出すぞ!
「そして同じく召喚盤を探しに来たクラスとエンカウントしたら撃破! そのまま拠点を落としちゃってもいい!」
「いいの!?」
「おう!」
〈1組〉が拠点を落としても、一律300点にしかならない。獲得できるポイントは圧倒的にアシストモンスターの方が高いし、そっちを落とした方がお得だ。
今回は、手持ちのポイントも相手には奪われないルール。
例えば〈31組〉が1500点をゲットしていたけど〈1組〉にやられた。その場合、持ち点である1500点と拠点撃破の300点が支払われていたが、今年からは新ルールで一律されているせいで持ち点は奪われず300点しか入らない。厳しい……!
しかし忘れてはいないだろうか?
このクラス対抗戦は、KO勝ちが可能だということを。
「俺たちの目標は変わらない。7拠点中、6拠点を落とし、ポイントに関わらず第一試合を突破する!」