第2072話 実況席も混沌?最初の陥落クラスは〈280組〉!
第2072話 実況席も混沌?最初の陥落クラスは〈280組〉!
こちらは実況席。
「さあみなさんおはようー! 今日からクラス対抗戦が始まるよー! 栄えあるクラス対抗戦、第一アリーナの実況を任されたのは、今人気爆発中! 麗しき美女、キャスと!」
「相方のスティーブンが務めさせていただきます」
「さらにゲストはこの方! 本当にゲスト? もうレギュラーなんじゃないかと噂され、このキャスがびくびく震えている元凶! ユミキさんだー!」
「みんな、ユミキよ。今日もキャスをいじっていくから、悲鳴を楽しみにしていてね」
「私の悲鳴を楽しみになんてしないでーー!? 話題はクラス対抗戦だけで十分だよ!?」
「では話が脱線しないうちにクラス対抗戦の新ルールをおさらいしましょう」
第一アリーナの実況者はお馴染みのキャスとスティーブン。そしてゲストのユミキの合計3人でお送りされる。
自己紹介が終われば新ルールの周知だ。
急にルールが変わったものだから、本日到着したばかりの方は分からないという人も多い。故に、モニターを始めとする新ルールが書かれたポスターを周知する他、実況席からもこうしてルールが開示されていた。
「いや~、学園も考えたね! これならあの無敗の〈1組〉を倒せる可能性もあるよ!」
「去年は特にすごかったですからね。上位のクラスが一堂に〈1組〉を狙うも、逆に全クラスが返り討ちにされてしまいましたから。――ユミキさんはどう思います?」
「優勝は〈3年1組〉ね」
「ちょ、だから最初に結果を発表しちゃダメだといつも言ってるでしょうーー!?」
「ユミキさんはなるべく公平を期したこの新ルールでも優勝は〈3年1組〉だと思われるのですか?」
「ええ。だって例のレイドボス、あれの召喚盤を集めてきたのは、〈エデン〉のメンバーだもの。つまりほぼ〈3年1組〉のメンバーよ」
「レイドボスの弱点を知り尽くしてるってこと!?」
「それでも少人数でレイドボスを倒すのは厳しいのではないでしょうか?」
「それができてしまうから〈エデン〉なのよ。レイドボスの召喚盤の数は64枚。つまり〈エデン〉は最低でもそれくらいはレイドボス戦の経験があるのよ。もしかしたらその数倍は倒しているのかも」
「す、数倍!? いやいやいくら〈エデン〉がとんでもなくても数倍のレイドボス戦とか――え? ありうるのかなスティーブン君!?」
「少なくとも慣れているのは確実になってしまいましたね。他のクラスの知らない弱点を知っている可能性が濃厚になってきました」
「〈3年1組〉と本当に勝負がしたいなら、30体くらい必要なんじゃないかしら?」
「1人1体!?」
「30体は召喚不可能なのですが??」
「そうよ。つまり、〈3年1組〉の勝ちね」
「とんでもない予想が飛び出してきたんだよスティーブン君! しかも、なんか納得しちゃったよ私!」
「僕もです。おっとそろそろ開会式が始まりますよ」
開会式とラダベナ先生のお言葉を経て、全員が拠点へ転送された。
「さあ、そろそろ試合開始だよ! なんだか試合開始前に不穏な予想が出ちゃったけれど、気にしないでいこう!」
「さあ、注目の第一試合が始まります。いったいどこが勝ち上がるのでしょうか」
「〈1組〉は確定だから、あと1クラスね。場所的に、〈エデン〉から一番遠い〈219組〉か〈31組〉が生き残るパターンかしら?」
「ああっとまたも不穏な予想が!? っとここでカウントダウン~~~!!」
「勝ち残るではなく、生き残るですからね。分かりみが深いです」
「試合、開始だよ~~~!!」
「〈1組〉が飛び出したわね。しかも、20人が5人ずつ組んで四方向に進んでいるみたいね」
「レイドボスが跋扈しているかもしれないフィールドで5人行動!?」
「5人でレイドボスと当たってしまっても倒せる、という判断でしょうか? それとも逃げるために必要な人数が5名? とても気になりますね」
「まずは各クラス、レイドボスの召喚盤探しね。まさかクラス対抗戦に宝探し要素が加わるなんて。とても面白いわ」
「レイドボスの召喚盤が隠されているフィールドはランダム! ああっとうち1つを早速拾ったところがあったーー! ここは、〈90組〉だーー!」
「あそこにあったのは――この資料ですね。ほほう、最上級ダンジョンのランク2、60.5層ボス〈太陽猫聖獣・ヨウネル〉の召喚盤ですね。レイドボス・大型です」
「コスト1850は、すごいわね。私たちの世代なんかコストは数十から多くても百数十だったのに、コストのインフレが激しすぎるわ」
「〈90組〉の持ちコストは――3500! 十分召喚できるーー! 〈90組〉、誰にも悟られないうちにすぐさま帰還したーーー! しかし、これは、召喚はしない模様だーー!」
「ユミキさん、すぐに召喚しない理由は何だと思われますか?」
「機を見ているのでしょうね。あのコストなら2体目も召喚できる可能性がある。ここぞという時に召喚して相手の虚をつく作戦かしら? 〈280組〉か〈219組〉を倒せばコスト1600以下のレイドボスの召喚盤が手に入る。まずは〈200組台〉のクラスの拠点がどこにあるのか把握するところから始めるみたいね」
「ああっと今〈55組〉、そして〈111組〉と〈167組〉もレイドボスの召喚盤を手に入れたーー! みんなリスクを冒してばらけながら探し、結果を掴んだーー! これは熱いーー!」
「〈280組〉と〈219組〉の200番台はすでにレイドボスを召喚しておりますから、これでレイドボスを持っていないのは〈1組〉と〈31組〉だけになります」
「〈280組〉は大胆ね。選んだのは〈バトルウルフ(最終形態)〉。〈バトルウルフ〉と言えば初級、中級、上級すべてで見かけるけれど、まさか最上級ダンジョンにもいるなんて、最初に聞いた時は驚いたわ」
「観客席の歓声もすごい~~~! みんな初めてのレイドボスに夢中で釘付けになってるぞーー! 私も釘付けだーー!!」
「使用する方法はみなさんなかなかに分かれていますね。〈280組〉は背に乗って出撃。周囲を威嚇しながらレイドボスの召喚盤探しをしている模様です」
「でも、さっきから配置されているレイドボスの召喚盤の近くを通っているのにまるで気が付いていないのよね。〈バトルウルフ〉に乗って駆けているから、あの速度と揺れじゃ気が付かないのも無理ないわ」
「ああっとここで〈1組〉がレイドボスの召喚盤を2枚確保ーー! まるで場所が分かっているかのように、遠く見つけにくい場所にあった召喚盤が確保されているーー!?」
「いえ、何かアイテムを使っているようです」
「あれは――〈 猫 ( ニャウ ) ジング〉? 物探しの中級アイテムよ」
「あれで召喚盤を見つけているってことー!?」
「た、確かにアイテムを使用して見つけることは禁止されていません。〈1組〉は早くもこのルールを攻略してきた模様です!」
「これでフィールドにある残りの召喚盤は1枚。あるのは〈280組〉のヘカトン小山の近くね。まだ〈280組〉は見つけられてないわ。あ、〈1組〉が動いたわ」
「ああっとーー!? ヘカトン山の東側で動きがあったかーー!? 〈1組〉が〈280組〉の拠点方向に向かっているーー!? 人数は5人!」
「1人は遅れて付いてきております。バックアップや後方からの奇襲を警戒してのことだと思われますが、実質4人。向かう方向には〈バトルウルフ〉がおります。まさか」
「間違いないわ。このまま仕掛ける気よ」
「ああ!? 〈280組〉挑んだーー!? というか〈1組〉に挑んだーーー!? いや〈1組〉に挑んじゃうのか〈280組〉ーーー!?!?」
「相手は4人です。悪い判断ではありません。ですが……」
「あれ、もしかしなくても〈280組〉は相手が〈1組〉だと気が付いてないんじゃないかしら? ――あ」
「ああっとーーー!? 〈1組〉先陣を切ったのは――〈崩将〉のリカだーー!」
「レイドボス〈バトルウルフ〉の突進にカウンターを合わせた!? 初撃でですか!?」
「これが〈エデン〉メンバーよ、何度も戦ってるから、タイミングも分かっているのよ。カウンターも取り放題ね」
「うっそでしょ!? というか〈280組〉、ここにきてもまだきょとんとしてる者が大半だーーー!? 〈1組〉来てる! 〈1組〉来てるよ! ああ!?」
「〈微笑みのセレスタン〉がいつの間にか懐に!? 乗っていた3人が吹き飛ばされる一撃をレイドボスのボディに入れました!」
「コンビネーションが流れるようだわ! 真上からさらに追撃、狙いは――術者ね」
「ギリギリで回避ーー!? マジ危ない! 〈280組〉追い詰められている!? あの強力なレイドボスを全く活かせていない――あ?」
「あ、ああ、ああっとここで、ここで術者が討ち取られた模様です!!」
「討ったのは〈護衛冥土〉のシズね。〈護衛NINJA〉のパメラとコンビネーションで不意打ちを決めたのよ」
「ああああああ!? 〈バトルウルフ〉消えたーー!?」
「術者がやられれば使役していたアシストモンスターも消えるのが今回の新ルールです! その場合、術者が使役していたアシストモンスターのポイントが、全て相手側に支払われます。つまり――」
「これだけで〈1組〉は1600P獲得ね。一気にトップに躍り出たわよ」
「に、〈280組〉ーーー!? しかも一度消えたレイドボスは再召喚に20分のクールタイムが発生するんだよ!? ということは――」
「ここでこの場に居た〈280組〉が全てやられましたね」
「10人〈敗者のお部屋〉にご招待だわ」
「さ、最初に退場したのはまさかの〈280組〉リーダー! レイドボスを仕掛けながら、まさかの4人の〈1組〉に壊滅ーーー!?」
「会場が嘆きと絶望に染まっていますね。いえ、黄色い声も半分以上聞こえてきます。混沌としてますね」
「さあ、この程度で止まる〈1組〉ではないわ。あ、〈 猫 ( ニャウ ) ジング〉で最後の1枚の召喚盤も〈1組〉が確保したわね。あと、そのまま近くの〈280組〉拠点を見逃すはずもなく……」
「〈280組〉拠点! 未だ状況をわかってなーーい!?」
「あっと、ここで〈1組〉から増援です。さらに5人が送り込まれ、計10人が〈280組〉の拠点があるヘカトン小山を登り始めました!」
「〈280組〉、ここで侵入者に気が付いたわね。いえ、〈1組〉がお邪魔しま~すと声を張り上げてるわ。きっとアシストモンスターを出させるためね」
「〈280組〉必死の抵抗! しかし、しかし~~~~! ああ!?」
もうなりふり構わず防衛用の召喚盤をコンソールにセットし、アシストモンスターを召喚して必死の抵抗をした〈280組〉だったが。3分後。
「こ、ここで〈280組〉の拠点も陥落です!」
「試合開始から7分45秒。思っていたよりも最初の陥落は早かったわね」
学年最高値のコストを持っており、台風の目になりうるかと期待された〈280組〉だったが、残念ながら10分持たずに最初の陥落クラスとなってしまったのだった。