第2073話 〈1組〉VS〈55組〉のファイブファイブファイブ
第2073話 〈1組〉VS〈55組〉のファイブファイブファイブ
――――試合開始!
「みんないっくよー! 『エールベストパフォーマンス』!」
「『時兎タイムブースト』! 頑張ろー!」
俺たち〈1組〉は作戦通り、初動で スタダ ( スタートダッシュ ) を決めていた。
まず最初の作戦はこうだ、〈1組〉のクラスメイト31人から20人を攻めに、11人を防衛担当に分ける。
さらに攻めの20人を4チームに別れさせ、北側、東側、西側、そして拠点周りを担当させる。拠点周りは防衛の延長でもあるな。
目的はレイドボスの召喚盤集めだ。〈1組〉が召喚盤を確保することで、他のクラスが召喚盤を確保することを妨害することができるからな。
「いくぞー! 俺たちは北側だー!」
「あい!」
「腕が鳴る。鳴りまくって止まらない!」
「索敵は任せろ!」
「私はこれだね! 〈 猫 ( ニャウ ) ジング〉発動~!」
俺、ルル、エフィ、ラウ、ルキアは北側担当。
開幕ダッシュでヘカトン小山の北西出入り口へ飛び出しながら鼓舞すると、ルルは可愛く返事、エフィは強敵と相対できるかもしれないとはしゃいでいるな。
ラウも同じっぽい。今回は『気配捜索』と『直感』の合わせ技で索敵を担当する。
そしてルキアだが、実はここが一番重要なポジション、物探しアイテム〈 猫 ( ニャウ ) ジング〉による召喚盤の探査を担当する係だ。
〈 猫 ( ニャウ ) ジング〉は登録したものと同じ名前の物がどこにあるのかを探すアイテム。〈 猫 ( ニャウ ) ジング〉自体はレシピを手に入れたので量産可能だ。
これをどう使うのか?
ルキアは自分の〈 空間収納鞄 ( アイテムバッグ ) 〉に手を突っ込むと、まるで数珠繋ぎのように結ばれた〈 猫 ( ニャウ ) ジング〉 13 ( ・ ) 体を取り出した。
「反応あり! 北側には3ヵ所あるよ!」
「よし、分析してそれを追うぞ!」
実はこの〈 猫 ( ニャウ ) ジング〉にはそれぞれ別の召喚盤を登録してある。
そう、学園に提出した13種類すべてのレイドボスの召喚盤に対応しているのだ。
こんな〈 猫 ( ニャウ ) ジング〉が、あと数十セットもあるというのだから各担当に持たせるよね。もちろん〈2組〉や2年生、1年生のみんなにも配ったぞ?
そしてルキアが持つ〈 猫 ( ニャウ ) ジング〉のうち、俺たちの進行方向付近に3つの反応があると捉えたのだ。
ニーコやカイリが入れば『お宝探査』などのスキルで探せたのだが、2人は〈支援課〉なのでアイテムで代用だ。
「む! 北西と北東にあった反応、動いてるよ!」
「もう誰かに確保されたのか!? そっちはいい! なら動いていない方を狙うぞ!」
「それならここから北東に進んだ先だよ!」
「ニャンニャンニャン!」
「反応が近い!」
「見つけた! あれだ! 壁に飾られてる!」
「「おお!」」
ルキアの持つ〈 猫 ( ニャウ ) ジング〉の反応があった場所をよく探してみれば、なんとフィールドの真北の壁、地面から2メートルの地点に飾ってあるのを発見!
こりゃ目を凝らして地面を見てても見つからないわ!
他の召喚盤は、よほど見つかりやすいところにあったのだろう。
「『ゼフィルスさん! リーナですわ!』」
「リーナから通信だ! ナイスタイミング!」
俺たちのことは防衛担当の1人であるリーナが〈竜の箱庭〉でしっかり見てくれていたようだ。タイミングばっちり。
「『どうやら第一試合では分かりやすいところに召喚盤が配置されていたようですわ。〈 猫 ( ニャウ ) ジング〉の反応が1つを除いて全て動いているのが確認できましたわ』」
「試合開始3分でもうフィールドにあったほぼ全部の召喚盤が取られてるのか!? 〈1組〉は!?」
「『北と西の担当班がそれぞれ1枚ずつ確保することに成功していますわ。今は東担当班が最後の動かない召喚盤を手に入れようと動いておりますが、おそらく〈280組〉と交戦になる予感ですわ』」
情報共有。
西担当と言えばレグラム、オリヒメさん、メルト、ミサト、アイギス、だな。
空から探せるメンツだ。こちらは召喚盤を早々に確保したらしい。さすがだな。
そして東側はリカ、シズ、パメラ、セレスタン、シヅキだ。
メインタンクがいないのは、速度で付いていけないからだな。
そして〈280組〉と言えばレイドボスを初手から持っている相手、召喚盤のレイドボスは弱体化しているとはいえ、リカだけじゃ止めきれるか心配だ。
「周囲担当も援軍に向かわせよう。あそこにはカタリナとフィナがいる」
〈1組〉拠点のあるヘカトン小山の周りを担当するのはカタリナ、ロゼッタ、エリサ、フィナ、ノエルの班だ。通称、周囲担当。
この班は遊撃担当でもあるので、こういう時に援軍として出撃できる。ロゼッタが居れば駆けつけるのも即だ。
「『すでに連絡済みですわ! 今ロゼッタさんの〈ブオール〉に乗って出撃していきましたわ』」
さすがはリーナ。もう俺のアドバイスとか、いらないんじゃないか?
「『あ、今リカさんたちがレイドボスにアタックを仕掛けたのですが、どうやら術者を倒して勝ったようですわ』」
「ん? マジで?」
「『マジもマジですわ』」
おう……?
5人でレイドボス戦とかとても心配していたのに、どうやら心配無用だったらしい。確かに「ミッション:〈280組〉の術者を倒せ!」だけなら隙を見ていけないこともない、か?
「『また、ここでアイシャさんからお知らせですわ。すべてのヘカトン小山のクラスが分かったようですわ』」
「おお! さすがはアイシャだな!」
リーナを支える参謀担当として秀才アイシャを付けていたのだが、この短期間でどこのヘカトン小山がどのクラスかを、全て突き止めたらしい。
もちろん〈竜の箱庭〉とリーナのスキルを使い、アイシャがそれを分析した結果である。
「『アイシャさんによれば、ヘカトン山を中心に、北が〈1組〉、東が〈280組〉、南が〈167組〉、西が〈90組〉、フィールドの端にあるのは北西が〈111組〉、北東が〈55組〉、南西が〈31組〉、南東が〈219組〉とのことですわ』」
「ということは今の俺たちの位置から近いのは〈55組〉と〈111組〉か。両方ゾロ目だな。そして、レイドボスの召喚盤を所有するクラスでもある」
「『レイドボスの召喚盤は〈1組〉が3枚確保しましたわ。他のクラスは各1枚ずつ、1枚も取れなかったのは――〈31組〉みたいですわね』」
「そうか~」
〈31組〉。あの〈嘆きのケーイ〉なる人物のいるクラスか。
何気に俺の位置から一番遠いところに拠点あるし。
さすがに今は狙いに行けないな。
「『ゼフィルスさん、どう動きますの?』」
「東側で東班と周囲班が動いているんなら、俺たちも東側に行く。レグラムたちにも伝えてくれ。次の狙いは〈55組〉だ!」
「『承知いたしましたわ! あ、今ロゼッタさんたちが〈280組〉の拠点に到着いたしましたわ! エリサさんやノエルさんが元気に〈1組〉が来たよーとアピールしているみたいです。あ、今大量のアシストモンスターが召喚されました。みんな嬉々として倒しに行きましたわ!』」
「お、おう。そうか。まあうん、了解だ。――通信終わり」
そう言って通信が終わると、見計らったように索敵担当のラウが来る。
「ゼフィルスさん。どうやらあっちのヘカトン小山ではレイドボスが召喚されたようだぞ。肌にビリビリくる」
「北東――〈55組〉だな。ちょうど俺たちの狙いも、そっちなんだ」
「ほう? ならば、やるか?」
「おう! レグラムたちもすぐに合流する。現地集合としゃれこむぞ!」
「あい! ルルもぎったんばっこんにしてあげるのです!」
「ふ、ルルさんが味方とは心強いな。共に力を合わせよう!」
「おお……ラウ君が燃えてるよ~」
「待って、私もそれ混ぜて! ぎったんばっこんに私も参加する!」
みんなやる気満々だな。
ラウなんか、2年生のクラス対抗戦では2組に居て、ルルとは1対1のガチバトルをしたことがあるからか、ルルとの共闘に胸を躍らせている様子が伝わってくる。
なお、エフィも参加を表明。でもぎったんばっこんはシーソーの擬音だったような? まあいい。俺たちは即で走り出す。
ポジションは俺とラウとルルが前衛。
中衛がエフィで、後衛にルキアが続く配置。
すると、すぐに〈55組〉のヘカトン小山が見えてきた。
「ん? おい、なにか来てるぞ! ――ってありゃ勇者だーーー!?」
「〈1組〉かよーーー!?」
「レイドボース! レイドボース早く! 早くーーーーーー!!!!」
「俺が伝令に行く!」
「いいえ私が!」
「僕も行くーーーー!!」
あ、バレた。そして拠点方向に一斉に伝令(?)に走っていく全員。いや、伝令に全員走っちゃダメだろう!? なんだこれ、罠かな? 追い立てたら側面からやられるというメジャーな戦法でもされちゃう?
「罠か? ならばここは俺に任せてもらおう! 『罠発見』! そこだルキア!」
「はいよー『ホーリースパイク』!」
「あっちもだ!」
「おっし『シャインライトニング』!」
ズドーンビリビリ~。
ラウが発見した罠を破壊し、俺たちも後を追い突き進む。
「げぇ!? 罠効いてねぇ!?」
「おい逃げろ! 早く! 速くーーーー!!」
「おいてかないでー!?」
「とう!」
「あーーーーー!?」
「1人やられたーーー!?」
追いかけっこはAGI勝負。こっちにはルキアがいるからな。速い速い。
ルルが男子1人に追いついて「 倒 ( とう ) 」しちゃったので〈敗者のお部屋〉へご案内だ。
む! あれは、アシストモンスターか!
「アシストモンスター来るぞ! ポイントだーー!!」
「一番乗りは私が貰う――『ジェットバーストフェニックス』!」
「イッエ~~~イ!?」
「キャイン!?」
中衛のはずのエフィが先陣切ったーーー!?
燃える翼をはためかせて切り込んでアシストモンスターたちを吹っ飛ばすーー!?
「ああ!? ただのモンスターじゃ足止めにもならねぇ!」
「レイドボスは!?」
「拠点近くに配置されてる! 早く引き付けて!」
「とう!」
「ああああああ!?」
「また1人やられたーー!?」
ルルが2キル!
あとレイドボスはどうやら動けないタイプの模様。チラッとルキアを見る。
「ここにあるのは、どうやら〈ネファイブ〉みたいだよ!」
「おう。やっぱりか!」
〈55組〉が手に入れたレイドボスは、コスト1550、〈 邪悪寄生花 ( じゃあくきせいばな ) ・ネネネネネルジュガン〉、ネが5つで通称〈ネファイブ〉。
植物型で、動くのが苦手なレイドボスだ。
マジ〈55組〉にピッタリ! ファイブファイブファイブ!
「反撃しろー! 俺たちは〈55組〉、高位職だろう!」
「む、指揮官? 発見! 『アルティメットノヴァ』!」
「げぇ!? 『フロストギガトンシールド』! ――ってほんぎゃー!?」
「〈五ツリ〉を持ってるなんて立派。でもそれだけじゃ私には勝てない」
「拠点まで全力で退けーーー!?」
「とう!」
「ああああーーーーー!?」
「また1人やられたんだけどーーーーー!?」
〈55組〉は大きな被害を出しながらもようやくヘカトン小山を登り切り、26人に減ってしまった全軍とアシストモンスターで〈1組〉を迎え撃たんとする。
「ジャオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「いっけーレイドボス! 〈1組〉はたったの5人だ! 頼む倒してー!」
「お願いレイドボス!」
「〈55組〉の力も見せてやれ! これが5の力だーーー!!」
「レイドボスに続けーーー! 〈1組〉を倒すんだーーー!」
「ファイブ! ファイブ!」
〈55組〉、反撃。
なんか1人【チアリーダー】がいるな。「ファイブ! ファイブ!」って応援してる……!
べ、別に羨ましくなんてないぞ!
「全員〈身代わりのペンダント〉着用!」
「「「「おお(なのです)!」」」」
「ジャオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「あっれーーー!? 〈即死〉が効いてねぇんだけどーーー!?」
もちろん。
〈ネファイブ〉の対策は心得てるもん。
「ゼニス、『神竜の業火・ファイナルエクシードブレス』!」
「クワァ!」
「なん!?」
「でっかい火球!?」
「ジャオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「〈ネファイブ〉!? が、がんばれーーーーー! ドラゴンに負けんなーー!!」
「いや無理ーーー!?」
ここでドラゴン到着。
〈ネファイブ〉は空から乗り込むのが攻略法だが、飛行制限でそこまで飛び上がれないのがネック! ということで、初手から特大のブレスをプレゼントしているな。
「待たせたな。ここは任せるがいい! 『天空 絶光 ( ぜっこう ) ・ 疾駆無秒閃々 ( しっくむびょうせんせん ) 』!」
「さあ沈め、本物になり切れない偽者のレイドボスよ――『グラビティ・メテオ・エクスボール』!
「レグラム! メルト!」
西側担当キターーー!!
まさにグッドタイミング!
「よし、レイドボスはレグラムたちに任せるぞ!」
「 倒 ( とう ) !」
「きゃあああああああ!」
「また1人ーーー!?」
「俺たちは周りの小型アシストモンスターおよび、学生たちを相手取るわけだな! 『獣王無尽』!」
「『エル・セイバー』! 私は〈ネファイブ〉の攻撃を防ぐ」
「頼んだぜエフィ!」
「私もエフィに協力するよ! 『クロノス』!」
「ジャ!?」
「今――『アポカリプス』!」
「「『天海星・ウラヌスネプチューン・キャリバー』!」」
「『アルティメット・ドラゴンクロウ』!」
「クワァ!」
「ジャオオオオオオオオオオオオオオオオ!?」
「うっそだろ!? レイドボスがんばれ! 押されんな! 押し返――」
「とう!」
「あぎゃーーー!?」
「〈1組〉レイドボス相手に戦い慣れすぎじゃね!?」
「この状況で自由に動きすぎだろ!?」
〈55組〉は頑張った。レイドボスに頼りまくっていたけれど頑張った。
しかし、
「ジャオオオオオオオオオオオオ…………!?」
「うっそぉ!! レイドボスやられたーーーーーー!?」
「レイドボーーーース!?」
「レイドボス負けたーーーーー!?」
「〈ネファイブ〉ーーーーーー!?」
最終的にレイドボスは10人の〈1組〉によってやられてしまい。
最後は〈55組〉の拠点も陥落してしまったのだった。
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あとがき失礼いたします。
作者、お休みいただけたので1泊2日で海行ってきます!
やったー! 休みだー! 3ヶ月ぶりのお休みだー!
予約投稿しているので毎日更新は継続です! ご安心ください。
感想は明日帰ってから読ませていただきます!
では、行ってきまーす!