第2074話 〈31組〉VS〈90組〉&〈167組〉バトル光景!
第2074話 〈31組〉VS〈90組〉&〈167組〉バトル光景!
「ほんぎゃあああああああああ!?」
「〈嘆きのケーイ〉が嘆いてるぞ!」
「これが本場の嘆き……!」
「あんたたち、遊んでる場合じゃないわよ!」
ここは〈31組〉拠点。
〈1組〉を除けばこの試合の出場クラスの中で1番優秀なクラスだが、そのリーダーであるケーイは嘆いていた。
理由は10分に1回更新される上空スクリーンの戦況だ。
広すぎるアリーナでは情報収集が難しい部分もあって10分に1回、現在の戦況が上空スクリーンに更新される。ここから情報を読み取って作戦を練るわけだ。
どこのクラスがどのくらいのポイント稼いだ、とか、どのクラスが陥落しているのか、などだ。
そして今回から、新たな項目が追加されていた。
それは――レイドボスの召喚盤の保有数だ。
各クラス、そしてフィールドの9ヵ所の項目があって、スタートの時はフィールドに7つ、〈219組〉に1つ、〈280組〉に1つの計9つの召喚盤が表示されていた。
それが10分後はこうだ。
―――――――――――――
途中経過――〈残り時間:1時間50分00秒〉
〈1組〉『残り人数:31人』『ポイント:8751点』『召喚盤:5』
〈31組〉『残り人数:30人』『ポイント:46点』『召喚盤:0』
〈55組〉『残り人数:―人』『ポイント:0点』『召喚盤:―』
〈90組〉『残り人数:30人』『ポイント:0点』『召喚盤:1』
〈111組〉『残り人数:30人』『ポイント:0点』『召喚盤:1』
〈167組〉『残り人数:28人』『ポイント:10点』『召喚盤:1』
〈219組〉『残り人数:29人』『ポイント:8点』『召喚盤:1』
〈280組〉『残り人数:―人』『ポイント:0点』『召喚盤:―』
フィールド――『召喚盤:0』
―――――――――――――
「あいやあああああああああ!? フィールドの召喚盤が、もうなくなってるーーーーー!?!?!? しかも〈31組〉だけ召喚盤ゼローーーー!?」
〈31組〉はかなり優秀な学生たちだ。
ポイント2位というところを見てもそれが分かるだろう。
初動では北側で〈1組〉が大暴れしたが、南側も南側で小競り合いがあったのだ。
そう、〈31組〉〈167組〉〈219組〉による三つ巴の小競り合いである。
ポイントから見ても分かる通り、勝者は〈31組〉。
〈167組〉はアシストモンスターの2割をやられ、2名が退場して撤退。
〈219組〉も同じくアシストモンスターが1割やられ1名が退場したところでレイドボスを投入。〈31組〉を追い返すことに成功し、南側はかなり緊張状態となっていた。
〈31組〉は追い返されたものの、その場所のレイドボスの召喚盤探索は終えていて、しかもアシストモンスターもやられていないのでほぼ無傷。
完勝と言っていい成果を上げていて、「お、こりゃいけるんじゃね?」と思っていた矢先のこの途中経過だ。
もうケーイの嘆きも絶好調。最初は受け入れられなかったが、受け入れてしまってからは嘆きがしばらく止まらない。
他のクラスは軒並み召喚盤を持っているのに〈31組〉だけ持ってないアンビリーバボー。しかも、よく見たら。
「なんか〈55組〉と〈280組〉がやられてるじゃんかーーーーーー!?!?!?」
〈55組〉は〈31組〉に続くこの試合の参加クラスでは優秀なクラス。
それが10分耐えきれずに陥落していた。もちろんやったのは〈1組〉だ。ポイントを見れば明らかである。実は〈31組〉と〈55組〉は、実力だけでもみるとそこまで変わらない。上級職の人数は同じだし、平均レベルが5、6くらい違うだけだ。
つまり、〈31組〉も同じ道を辿る可能性高し。
「しかも〈280組〉って言ったら最初からレイドボス持ってたところだろーーー!? レイドボスどこ行ったーーーー!!」
なお、〈55組〉もレイドボスを使っていたが、〈1組〉の対応力になすすべなくやられている。こちらは術者が最後まで拠点内に隠れ潜んでいたため、レイドボス本体が倒されているのだが、もちろんそんな絶望と混沌的なことは〈31組〉は知らない。しかし、勘の良いものは居た。〈3年31組〉所属のスタークスだ。
「ケーイ、〈1組〉のポイントを見なよ! あれ、レイドボスを2、3体くらい倒してんじゃないかい?」
「へ?」
〈嘆きのケーイ〉改めて途中経過を見る。
その〈1組〉のポイントは『残り人数:31人』『ポイント:8751点』『召喚盤:5』だ。
「ん? おかしいな。目がちょっと疲れたのかもしれない」
目をコシコシしてもう一度確認する。でも見間違いじゃなかった。
〈1組〉のデータが色々とおかしい。
「会場の召喚盤の半数以上が持ってかれてるーーー!? しかもこのポイント数、レイドボスを倒しちゃったってことーーー!?」
嘆いた。
なにせ〈31組〉はさっき〈219組〉が使役するレイドボス、コスト1500〈フェアリークイーン〉を見たばかり。
正直あれに対抗するには、同じレイドボスが必要だと感じた次第。
レイドボスという戦力が同じならば、〈31組〉という地力の差で〈219組〉も倒せるだろう。〈嘆きのケーイ〉もそう思っていたのに。
フィールド――『召喚盤:0』
途中経過に書かれたこの数字がケーイを嘆かせた。夢も希望も無い!?
「ケーイ! 〈90組〉と〈167組〉が攻めてきてるよ!」
「レイドボス2体確認!」
「ええええええええええええ!? 動きが早すぎる!?」
もう〈31組〉は敵じゃない。
それが知られてしまったら、こうなった。
おそらく、事前に召喚盤を持ってないクラスが判明したら攻める心算だったのだろう。
「スタークス! スタークス! どうすればいい!?」
「くっ! まさかのレイドボス召喚盤ゼロ。もうレイドボスの召喚盤を手に入れるには他の拠点を落とすしかない。だがそれには今攻め込んできている2体のレイドボスを倒す必要がある。可能性があるとすれば、術者を狙い撃ちしかない!」
スタークスと呼ばれた彼は〈31組〉の参謀だ。
参謀の言葉を聞き、ケーイも覚悟を決めた。
「術者だ! 術者を倒すぞ! そしてどっちかの拠点に攻め込み、召喚盤を奪うんだ!」
「ケーイ、通路まで引きつけろ! そこにたっぷり仕掛けてある罠で足止めし、術者を探し出して迎撃するんだ! 専守防衛の精神を忘れるな!」
さすがは〈31組〉。嘆いてばかりではなく、しっかり対応してみせた。
ヘカトン小山は通路が狭く、防衛や迎撃はしやすい。
そこで術者さえ討てればまだ可能性はある。逆侵攻のカウンター準備も忘れない。
「俺たちは〈31組〉! 100番台のクラスになんて負けるかよーーー!!」
「ケーイ、片方は〈90組〉だよ!」
「細かいことはいい! ここでやらなきゃ敗北だ! 全員、本気出せーー!」
「「「「おおー!」」」」
待ち構える〈31組〉のところにやってきたのは。〈90組〉が誇るレイドボス・大型――コスト1850〈太陽猫聖獣・ヨウネル〉。
そして〈167組〉が持ってきたのは、なんとレイドボス・大型――コスト2350〈ヘカトンケイル〉だった。
「なんか〈ヘカトンケイル〉来たーーーーー!?!?!?」
「ヴオオオオオ!」
あれ、大変危険。
ケーイたちは3年生。
みんな1年生の時の〈ヘカトンケイル〉の恐ろしさは知っていた。あれはアカン!
「もうダメだーーーーーー!?」
「ケーイが嘆いた!?」
「30人であれをどう倒せって言うんだーーーー!?」
それはそう。
ゼフィルスだって〈ヘカトンケイル〉とやろうとしたときは、味方を盛大に鼓舞しまくって50人で倒せると思わせたのだ。
それがいきなりこんにちはして30人で倒せ、しかももう1体レイドボスいるよ、とかもう嘆くレベルである。
「ちょっとケーイ、さっきの鼓舞してたときのかっこよさはどこ行ったのよ!?」
「スタークス、指示くれ!」
「アシストモンスター展開! 一番コストでかいの、出して!」
「いっけー!」
〈31組〉の最大コストのモンスターは、 上級下位 ( ジョーカー ) ランク6〈岩ダン〉のレアボス――〈強打 義装機兵 ( ぎそうきへい ) ・カママクラス〉、通称〈カマクラ〉だ。
昨年〈1組〉が使っていた召喚盤である。コストは158だ。
コスト2850の〈31組〉なら、18体召喚できる計算。
〈31組〉が学園から借りた召喚盤だった。
「いっけー! 数で倒すのよー!」
「ケーイ、嘆いてないで指示出して!」
「みんな、俺たちには頼もしい仲間が付いてる! 行くぞーーー!」
「「「「「うおおおおおおおおお!」」」」」
〈カマクラ〉18体という援軍になんとか気持ちを上げて激突。
〈カマクラ〉は〈岩ダン〉のレアボスだ。
現在の〈岩ダン〉は毎日とんでもない数の学生が詰めかける、学園ダンジョンで最も人気の高いダンジョン。そのレアボスが18体とあって向こうもひるむ。今の〈岩ダン〉では、〈カマクラ〉は絶望の代名詞なのだ。
そう、スタークスの狙いはまさにこれ、心理的に訴えかけて〈カマクラ〉にビビらせる作戦だった。
そして隙ができれば――レイドボスの術者だって倒せる。
「うわ! あれ全部〈カマクラ〉だーーー!?」
「いや勝てねぇよ!?」
「こっちにはレイドボスがいるんだ! 〈ヘカトンケイル〉、吹き飛ばせーー!」
「ヴオオオオオオ!」
「〈ヘカトンパンチ〉いったーーー!」
「って防御されたーーーー!?」
「こいつら超硬えじゃん!?」
〈カマクラ〉は防御タイプ。その盾のような4つの鎌を使い、攻撃も防御もこなす、カマキリにも見えるボスだ。
〈ヘカトンケイル〉第一形態の伸びるパンチもガツンと受け止めた。
「い、いけいけー! 攻撃の手を緩めんなー!」
〈ヘカトンケイル〉の術者も指示を出し、さらに攻撃が激突する。
会場は大盛り上がりだ。ものすごい知名度のボスがやり合っているのだ。もうその盛り上がりはかなりのもの。
そして、〈カマクラ〉が攻撃を受け止められるのなら――〈31組〉は動くことができる。
「『上級索敵』! ――居た! 〈ヘカトンケイル〉の術者発見だ! 肩の上に居るぞ! みんないけーーー!!」
「斬れ――『オーバースラッシャー』!」
「ハジけ――『スピンローラークラッシャー』!!」
「あ、ぎゃああああああ!?」
「やっべ! 〈31組〉が潜り込んできてんぞ!」
これまた会場が盛り上がる。
そう、〈ヘカトンケイル〉の猛攻をアシストモンスターに受け止めさせ、その隙に〈31組〉が攻撃する。〈31組〉は優秀なのだ。〈167組〉では、相手にならない。
何体かの〈カマクラ〉を犠牲にしたが、〈167組〉メンバーを半分近く屠ってしまう。
「え? 嘘だろ?」
そしてその刃は、レイドボスの術者にして〈ヘカトンケイル〉の肩の上にいた〈167組〉リーダーにも届いたのだ。
「君の敗因は他のアシストモンスターを全て防衛に回したことだ! 嘆け! ――『デッドリーファング』!」
「ケーイ!? ぎゃーーーーー!?」
振りかぶる大剣が〈167組〉のレイドボス術者に直撃した。
こうして〈167組〉の切り札であるレイドボスも退場。
「「「「「うおおおおおおおおおお!!」」」」」
瞬間大歓声が上がった! ――しかし。
「おお?」
「あれ?」
「ん?」
その瞬間、〈31組〉メンバーたちの足元に現れたのは、見慣れた〈敗者のお部屋〉への転移陣。
「うそ、待――」
ケーイの言葉は続かず、〈31組〉は全員が退場してしまったのだった。
理由は、〈ヘカトンケイル〉に戦力を割きすぎて、レイドボス〈ヨウネル〉のスピードを見誤ったことだ。
〈ヨウネル〉は〈カマクラ〉たちを楽々と飛び越え、〈31組〉の拠点を強襲。
〈90組〉が〈31組〉の拠点を楽々と陥落させてしまったのだ。
その後……〈敗者のお部屋〉からは大きな嘆きの叫びが聞こえたとか。
〈31組〉『残り人数:―人』『ポイント:2396点』『召喚盤:―』陥落
〈90組〉『残り人数:28人』『ポイント:3500点』『召喚盤:1』