第2076話 〈1組〉VS〈90組〉と〈1組〉VS〈111組〉!
第2076話 〈1組〉VS〈90組〉と〈1組〉VS〈111組〉!
「ラナの攻撃が撃ち込まれ次第攻勢に出る! 準備はいいな!」
「「「おおー!」」」
「任せるがいい」
こちら北班と西班の混合チーム。
ラナたちをヘカトン山へ向かわせて、俺たちはヘカトン山の麓から出撃のタイミングを窺っていた。ゼニスだけは大きいのでアイギスはまだ拠点にいるけどな。
相手は〈90組〉。
迂闊にも〈31組〉へレイドボスを出撃させ拠点は手薄だ。
「来ましたよ!」
「「「!」」」
最初に察知したのはオリヒメさん。
〈90組〉拠点の真上に光の輪っかが生まれたのだ。
あれは見間違うことはない、ラナの『神の天誅』だ。
「出撃!」
瞬間、俺は出撃を指示してダッシュした。
きっと〈90組〉は『神の天誅』に集中することになるだろう。
何せ真上から攻撃が降ってくるのだ。とんでもない高威力で。
防御するにしろ避けるにしろ、俺たちの接近には気づくまい。いや、気づいても対処はできない。
罠こそ仕掛けてあったものの俺の足装備〈 勇者竜 ( ブレイブドラゴン ) グリーブ〉には『罠破りの竜行進』のスキルがあって大抵の罠は踏めばぶっ壊れる。
6人以上の集団で行進しているときしか発動しないが、周囲の味方が罠に掛からないというとんでもない効果を持っている。こういう時非常に便利だ。
「!? ええええええええ!? 〈1組〉来てんだけどーーー!?」
「とう!」
「ぎゃああああああああ!?」
「1人やられた!?」
「今の攻撃って〈1組〉の仕業かーーー!?」
「ちょ! レイドボスカムバーーーーーック!!」
ラナの『神の天誅』はすさまじい効果を発揮したようで……あれ? なんかもうボロボロ? 全く防げてない。拠点のHPだけはまだ結構残ってるが、多くの学生たちのHPは半分以上減っていたんだ。中には危険域に突入している学生もいる。
もしかしたら〈敗者のお部屋〉に行ってしまった人もいるっぽい?
ラナの一撃で?
……大チャンスだな! うん!
「突破するぞ!」
「アシストモンスターを出せ! 防御ーー!」
俺たちが拠点の隣接に到着すると、〈90組〉もただではやられないとばかりにボスモンスターを繰り出してきた。
あれは、懐かしい。 上級下位 ( ジョーカー ) ランク2、〈霧ダン〉の最奥ボス〈 霧雷鼓 ( きりらいこ ) ・ジョウキ〉じゃないか! コストは130。
それが10体近く出てきた。
〈90組〉の持ちコストは3500なので、1850の〈ヨウネル〉を出しても〈ジョウキ〉なら12体まで召喚できる計算だ。
残り2体は別の場所か?
「先制行くぜ! 『 勇者の剣 ( ブレイブスラッシュ ) 』!」
「道を切り開けばいいのだな――『疾風迅雷』! 『天剣』!」
俺とレグラムで、まず1体撃破。
「ちょ、ええええええええ!? 上級ボスがこんなあっさりと!?」
「は、反撃だ! 反撃を繰り出せーー! 『ダイナミックサンダー』!」
「とう!」
「あああああああ!?」
「また1人やられた!?」
「手ごわい敵、大感謝。『ウリエルバニッシュ』! 『エルスター・フラッシュ』!」
「「「「――――!」」」」
〈ジョウキ〉は雷属性を操る雲魔人のようなボスだ。
霧を発生させて目隠ししつつ、反撃の〈雷属性〉攻撃のコンボが良い感じ。
足止めしつつ反撃が可能なのでかなり良いチョイスの召喚盤と言えるだろう。
だが、俺たちには効かない。
「ミサト、浄化を頼む!」
「たは! 浄化の聖域広げるよ~『サンクチュアリ』!」
「な、なにーー!?」
ミサトの『サンクチュアリ』は聖域を広げるユニークスキルだ。
その聖域内は霧などの環境も払う力を持っている。霧が晴れ、ボスや学生たちの姿が見えればこっちのものだ。
「さすがにボスモンスターがこう多いと厄介だな――『三十六・ 重穴 ( じゅうけつ ) 展開』! 『グラビティ・ボール・エクス』!」
「『聖剣』! 『フルライトニング・スプライト』!」
「『獣王バスター』! 『エンペラーバスター』! 『ゼルワン・カイザーバスター』!」
「はいはーい! トドメいっくよー! 『そして時は動き出す』!」
ズドドドドドンとスキルと魔法のオンパレードが炸裂。
その光景に〈90組〉は思いっきり固まった。
「え? え? 〈ジョウキ〉が、全滅ーーーー!?」
「うっそだろ!?」
「ちょ、レイドボス! 〈ヨウネル〉戻して!」
「む、無理ー! 伝令なんかやられちゃったんだけど!」
「う、上! 上! 上ーー! 空に竜来てるぞーーーー!?」
作戦は良かったんだが、やはり最初のラナの一撃で浮き足立っていたのが痛かったな。〈ジョウキ〉もかなりダメージを受けていた個体もいたため、かなり楽にポイントをゲットし、そのまま〈90組〉の拠点に張り付いて攻撃しまくった。
「ちょ、ダメダメーー!?」
「ああ!? 拠点のHPがゼロになっちゃったーー!?」
「あいやーーー!?」
ここで〈90組〉も退場。
レイドボスがいない隙をついた、見事な戦術だったぜ!(自画自賛)
「みんなナイスだ! 俺たちの勝利だーーー!」
「「「「おおーーー!」」」」
勝ち鬨を上げていると、ここでコネクトが入る。
「『ゼフィルスさん、報告ですわ!』」
「リーナから連絡だ!」
さすがはリーナ、タイミングが良い!
「『〈111組〉のレイドボスが出撃しました!』」
なんと、それは〈111組〉が動き始めたという報告だった。
「マジか! 方角は!」
「『〈90組〉に向かってますわ!』」
「こっちに来てる? まさか〈90組〉が落ちたことにまだ気づいてない!?」
「『その可能性はありますわ、そして、ゼフィルスさんたちの背後を突く気でしょう!』」
なんと〈111組〉が遅すぎる出撃を決めた模様!
も、もう〈90組〉落ちてるんだけど! いや、普通ならこんなに早く落とすなんて思わないから十分間に合う計算だったのだろう。
〈1組〉が〈90組〉へ出撃した、それを見て出撃を決めたのだとすれば、十分及第点の反応だ。度胸もある。
でも、俺たちからすれば遅すぎたな。
「よし。ここでレイドボスを迎撃する! ラナは!?」
「『ラナ殿下たちは〈167組〉に回ってもらっていますわ』」
なんとリーナによれば〈167組〉のレイドボスを〈31組〉が倒してしまったため、ラナたちだけで〈167組〉を撃破できそうとのこと。
むしろレイドボスが復活する前に〈167組〉を倒したいため、ラナたちをこのまま〈167組〉攻めに参加させたいとのことだった。もちろんOKだ。
「レイドボスの1体くらいなら10人で十分撃破可能だ。〈167組〉はラナたちに任せる! リーナは〈111組〉拠点を頼んだ!」
「『お任せくださいまし。通信終わりますわ!』」
リーナの通信を終えると、すぐにみんなへと通達する。
「みんな! 〈111組〉がレイドボスをけしかけてきているらしい! ここで迎撃するぞ!」
「今度は〈111組〉ですか、忙しいですね」
「なるほど挟撃を狙ってきたか。だが、少し遅すぎたようだな」
「来るぞ! アイシャによれば、相手のレイドボスは〈猫界ダン〉最奥の――〈 巨神猫 ( ゴッドキャット ) ・ブレイブ・ベヒモス〉だ!」
「強敵な猫ちゃんなのです!」
「ニャオオオオオオオ!!」
すでにそこまで来ていた。
俺たちが〈90組〉跡地で待ち構えていると、〈ベヒモス〉と、それに乗った10人以上の学生がヘカトン小山を登ってきて――。
「ってえええ!? もう終わってるーーー!?」
「ちょ、〈1組〉が待ち構えてんだけど!?」
「げええええ!? 引き返せ!」
「〈ベヒモス〉戻れ!」
「ダメだ。勇者からは逃げられないぜ?」
「へ? い、いつの間に勇者が後ろにーーー!?」
「ルルも居るのです!」
「幼女もセットだとーーーー!?」
〈111組〉の狙いは予想通り、〈90組〉を突いている〈1組〉を背後から強襲することだったようで、〈90組〉が落ちているのを見るや否や、急ブレーキ。即で引き返そうとしたんだ。その判断は正しい。でも、遅すぎた。
今の反応、俺たちは夏休みの頃に追想の〈バトルウルフ〉でなんども経験してるんだぜ? あの〈バトルウルフ〉って逃げるんだよ。バトルしようぜ?
ということで俺は素早く『 英勇転移 ( ブレイブポート ) 』で回り込んだ。
勇者からは逃げられないんだ。あと、いつの間にか隣にルルも居た。『瞬間移動』を使ったな?
「こ、攻撃!」
「ニャオオオオオオオ!」
「ほう!」
〈ベヒモス〉は攻撃を選択、こいつは勇者スキルを使ってくるボスだ。見た目は第一形態であるが、前足がスキルエフェクトに包まれたかと思えば、繰り出したのはありゃ『聖剣』か! 出だしの早すぎる攻撃スキルだ。後出しではとてもではないが対応が難しい。しかし、こっちにはルルがいる。
「『デュプレックスソード』!」
それはハヤブサの二連斬り。
しかもルルは『真・小回り剣技』でスキルの回転率が大幅に上がっている。
加えて相手が「攻撃」と言ったときにはすでにスペルワードを唱えていたようで、普通に迎撃が間に合った。相殺。
「バ、バカな!」
「あれを防いだ!?」
「ナイスルル! 俺が本物を見せてやるよ! 『聖剣』!」
「ニャオ!?」
こいつはレイドボスではあるがボス補正は無いのでかなり能力が下がっている。〈四ツリ〉スキルでも十分効いたな。
「『天空 絶光 ( ぜっこう ) ・ 疾駆無秒閃々 ( しっくむびょうせんせん ) 』!」
「『ジェットバーストフェニックス』!」
「『神飛・ドラゴンオーバーストライク』!」
「クワァ!」
「ニャオ!?」
ここでレグラム、エフィ、アイギスが追いついた。
超速の攻撃スキルで文字通り飛んできたな。
ズドンと後ろからやられて〈ベヒモス〉が盛大に衝撃に揺れると、乗っていた学生たちから悲鳴が上がった。
「は、反撃だベヒモス!」
「ニャオオオオオオオ!」
「あれは、『テンペストセイバー』か!」
「『テンペストセイバー』!」
「『テンペストセイバー』対決!?」
〈ベヒモス〉が俺と同じスキルを使ってきたので意趣返しだぜ。
速度はほぼ同じ、だが、俺は使い慣れている実感がある。
一瞬交差する瞬間、俺の剣は正確に指示を出していた男子を捉えていた。
「ぐわぁぁぁぁ!?」
〈ベヒモス〉の上から吹っ飛ぶ男子。
「え? え? ええええええええええ!?」
「あとは頼んだ!」
「はい! 『アルティメット・ドラゴンクロウ』!」
「とう! 『ヒーロー・セイバー・モーメント』!」
「『天空華息吹・ヴァーテックスエッジ』!」
「『グローリーバニッシュ』!」
そこで俺の意図を正確に読み取ったメンバーたちが、吹き飛んだ術者君へアタック。
あ、なんか〈六ツリ〉とか必殺技が混じってる!
「ぎゃああああああああ!?」
「うっそ!?」
「術者ーーーーーー!?」
ここでレイドボスの術者退場。
ぶっちゃけ〈ベヒモス〉を倒すよりもこっちの方が簡単だった。隙だらけだったし。
術者が消えたため、ここで〈ベヒモス〉も光になって消えて、俺たちは〈111組〉のメンバーたちを〈敗者のお部屋〉へと送ってあげた。
その瞬間鳴るブザー。
「え?」
「あれ?」
「これは……?」
「終わりのブザーなのです!」
なんとここで終了のお知らせ!
第一アリーナに試合終了のブザーが鳴り響いたのだった。
まだ4クラスあったのになぜに!?
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試合終了――〈残り時間:1時間41分44秒〉
〈1組〉『残り人数:31人』『ポイント:13533点』『召喚盤:6』1位
〈31組〉『残り人数:―人』『ポイント:2396点』『召喚盤:―』4位
〈55組〉『残り人数:―人』『ポイント:0点』『召喚盤:―』7位
〈90組〉『残り人数:―人』『ポイント:3500点』『召喚盤:―』3位
〈111組〉『残り人数:―人』『ポイント:0点』『召喚盤:1』6位
〈167組〉『残り人数:―人』『ポイント:1590点』『召喚盤:1』5位
〈219組〉『残り人数:29人』『ポイント:8点』『召喚盤:1』2位
〈280組〉『残り人数:―人』『ポイント:0点』『召喚盤:―』最下位
フィールド――『召喚盤:0』
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見上げた上空スクリーンには、〈111組〉と〈167組〉がすでに陥落している様子が映っていたのだった。