第2083話 〈1組〉が組んでくれるかも!?ダイジェスト!
第2083話 〈1組〉が組んでくれるかも!?ダイジェスト!
第三回戦、つまり準決勝戦は熱かった。
さすがは残り18クラスという狭き門まで生き残った猛者たちだよ。
〈1組〉はまず〈276組〉に狙いを定めた。
ここ〈命運クロスフィールド〉は俯瞰して見るとX字に拠点が配置されたフィールドで、〈1組〉はランダム配置でその中心地、全ての拠点に囲まれた厳しい立地に配置されていた。これは厳しいぜ!
そのため防衛メンバーを16人配置し、周囲の警戒と情報収集に5人、攻めに10人を割り振り、〈200組台〉の拠点が近くにあれば、召喚盤を得て戦力が揃う前に落とす。
その過程で試合開始1分で〈276組〉の拠点を見つけたため、速攻で攻め入ったんだ。
そしたらどうだ。
試合開始からわずかな時間しか経ってないのにすでに召喚盤を2つ、しかも〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉と〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉が出てきて俺たちの行く手を阻んだんだ。あれにはびっくりしたよ。
〈フェアリークイーン〉も出てたし、さらに〈金剛マッチョ〉が大量に居たのだからマジ数がヤバかった。
明らかにコストを操る系のメンバーが居るな。〈276組〉と言えば3年生で僅か9つしかない低位職のクラス。ただでさえあまり強くないのに〈拠点落とし〉のためにコストにSPを振るとかよくやるよ。
だが、今回はそれがかなり良い方向に倒れた模様。
「〈金剛マッチョ〉を唸らせて足止めを狙え!」
そんな指示が〈276組〉から飛ぶ。
どうやら筋肉をムキっとうならせて足止めを狙った作戦だったようだ。
だが、俺たちには通用しない。しないよな? うん、しないな!
速攻で〈金剛マッチョ〉を3体光に還すと、大量の魔法を叩き込んでくる〈フェアリークイーン〉に全体攻撃魔法を叩き込む。
「眷属は全部吹き飛べ! 『インフィニティ・バニッシュセイバー』!」
「お邪魔デース! 『大忍法・ 激炎龍 ( げきえんりゅう ) 爆楼 ( ばくろう ) 』!」
「落ちろ――『十倍キログラビティ』!」
「―――!?」
これで〈フェアリークイーン〉の眷属を一気に80体から100体くらい排除して踏み込むと、待ち構えていたのは〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉の第一形態。
バサッとマントを広げると、ゆっくりと浮遊して、火魔法攻撃を打ち込んでくる。
「レグラム! アイギス! フィナ!」
「任せるがいい! 『天動天空・ 瞬脚 ( しゅんきゃく ) 』! 『 神斬 ( しんざん ) 』!」
「はい! ――『神飛・ドラゴンオーバーストライク』!」
「飛び込みます――『エル・バランレード・ラグナロク』!」
「オオオオ!?」
さすがにキキョウが居ないので浮遊は禁止にできない。だが、本来の姿よりも弱いので、飛行系のメンバーを突っ込ませて対処する。
ボス補正の無い〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉は『道連れのヘルズノート』を使えないため、〈即死〉対策をしなくていいのがありがたいところだ。
その代わりにしてくるのが空中からの大量魔法による爆撃なので、飛行対策が必須になるんだけどな。
「グマアアアアアアア!」
「行くぜ〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉! 『 勇者の剣 ( ブレイブスラッシュ ) 』!」
レイドボスの大きさは変わらないため非常に大きく、拠点よりも3倍以上も大きい。
〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉も例に漏れず、45メートル級と超が付くほどデカかった。20メートル級の斧を振り回して俺たちを蹂躙せんとするレイドボス。
さすがはこの試合で最も高コストだけあってそのパワーはパナイ。
しかもゼルレカが居ないのでデバフは俺の『 勇者の剣 ( ブレイブスラッシュ ) 』のみだ。
「『カリスマ』!」
もう俺もこれを使うしかなかったよね。
それくらいレイドボスたちが手ごわかった。
「あ! 〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉が拠点を台代わりにしたデース!」
「隙ありだーー! 『 天光勇者聖剣 ( あまのひかりのゆうしゃせいけん ) 』!」
「クマッタアアアアアアアア!?」
「「「「な、なにいいいいいいいい!?!?!?」」」」
だが、〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉が隙を見せたところを突いて良い感じにダウンを奪ったんだ。あれは爽快だったぜ。きれいに決まったもん。
あの〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉、拠点を自分の悪魔城と勘違いしちゃったのかな? なお、拠点は〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉の3分の1も無いほど小さいので、パメラが言うように台にしかならなかった模様。
だが俺はきっちり足をぶった切って転けさせた。
〈276組〉が驚愕していた姿が面白かったんだぜ。
観客席側からもとてつもないどよめきが起こってたからな。
どうやらこれまで学園祭ではジャンプした〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉を転けさせたことは無かったらしく、驚きと唖然が観客席を支配していた様子だ。唯一白衣を着た集団だけがものすごい速度でメモを取ってたね。
だが、ここでさらにまずいことに、なんと〈ヘカトンケイル〉まで来ちゃったのだからあれは驚愕だった。
〈276組〉の拠点の周り、どんだけ良い召喚盤落ちてるんだ? あとそれを全部召喚できるのがすごい。
学園祭の大戦レイドボス3種が全て揃っちゃったじゃん!
まさかの反撃がここから始まるのかと会場がもう大きく沸いていたんだ。
これだ……これだよ! こういう燃える展開が、熱い展開が欲しかったんだ!
すげぇぜ〈276組〉! 〈276組〉すげぇ!
さすがは準決勝戦まで勝ち進んできた〈200組台〉!!
そう簡単にはいかないぜ!
だが……「これは改めてラナたちも連れてきて再戦だな!」と撤退を決定しかけたところでハプニング発生……!
俺は単純に撤退のために〈睡眠〉の状態異常をばらまくようエリサに指示を出しただけだったのだが、エリサがうっかりレイドボスの術者4人を全員〈即死〉させてしまったのだ。
残りは〈金剛マッチョ〉が6体ばかりいるだけで、あれだけの大戦力が一瞬で消えてしまったのだから時がほんの少し止まったよ。
そういえば俺たちが戦っていたのって、〈276組〉だったね。
『即死無効』とか、全員が持ってなくて当たり前だったぜ……。
俺はちょっと申し訳なく思いつつ、いや、『即死無効』を持っていなかった〈276組〉が悪いことにして反転、一気に攻めに出た。
結果、〈276組〉は落ちてしまったんだ。
いや、落としたの俺たちだけどな!
「ゼフィルスさん、次はどうするのデース?」
「一度拠点に戻るぞ! 情報を得る!」
「教官に賛成です。〈276組〉という単体クラスでこれだけ手ごわかったのです。もしクラス同士が組んでいるところがあれば警戒しなくてはなりません」
「よし、駆け足で戻るぞ!」
ぶっちゃけ〈276組〉は速攻の電撃戦で落とす作戦だったので正面からぶつかってしまったが、フィナの言う通り、かなり手ごわく、危うく〈1組〉が初の撤退をするところだった。
あれでもし他のクラスと組んでいたら、非常にまずい展開になっていただろう。
というわけで、俺たちは召喚盤を急ぎ回収したのち一度拠点に戻り、情報共有した。
「ゼフィルスさん! お帰りなさいまし!」
「ただいまリーナ! 情報をくれ」
「はい! まず〈222組〉ですが、北側の〈8組〉と〈9組〉と手を組みましたわ」
「マジか!」
まあそうなるだろう。
〈276組〉も、歩兵が弱いという弱点があった。〈222組〉はそこを補い、〈8組〉と〈9組〉という1桁クラスの歩兵を手に入れることで万全に備える作戦に出たようだ。
「残り、南側の〈18組〉〈21組〉〈24組〉〈34組〉からは〈1組〉に打診がありましたわ。手を組まないかと」
「ほう。回答は?」
おそらく第二回戦で〈1組〉が手を組んだのを見て「〈1組〉と組めるんだ!?」と思ったクラスたちがこぞって打診をしてきたんだろうな。
だが、そう簡単に〈1組〉と手を組めると思ってもらっては困るぜ? 組むけどな!
「リーダーが外出中なので、戻り次第使者を出すということで帰っていただきましたわ。現在〈21組〉〈24組〉〈34組〉は手を組んでいますわね」
「手を組んでいないのは〈18組〉のみか。よし、〈18組〉の味方をするか」
「ゼフィルスさんならそう言うと思ってましたわ」
「はれ? そんな簡単に決めちゃっていいの?」
俺の言葉にさすがリーナは微笑でうなずくのみ、なお、アイシャはポカンとしていたな。
みんな勝ち残るために手を組むのはどこも同じだ。
そんな中、〈18組〉だけは〈1組〉一筋だというところが大変気に入った。
〈18組〉は第二回戦で一緒に勝ち抜いたところだし、向こうのリーダーはかなり好青年。心象的にも協力したくなってくるというもの。
さらに拠点の位置も悪くない。〈1組〉の最も近くにある拠点の1つだった。
「あ! 〈21組〉〈24組〉〈34組〉が〈18組〉に向かってるよ!」
アイシャの言葉に〈竜の箱庭〉を見れば、〈18組〉拠点へ向かう3クラスの姿が映し出されていた。それぞれレイドボスを連れているところを見るに、〈18組〉に最後通告のあと、協力を取り付けて〈1組〉へ攻撃を仕掛けてくる可能性が高い。
俺たち主力が北側の〈200組台〉の方に向かったものだから、今のうちに南側である自分たちは動いても大丈夫だと、大胆な攻めを敢行してきたな?
だが残念。俺たちはすでに戻ってきている。そして方針も決めていた。
「よし〈18組〉の奥、〈21組〉の拠点を攻めるぞ! 向こうの作戦を成功させてやる必要は無い! まずは西から大きく回り込んで〈21組〉の拠点へ向かう! 主力とレイドボスの留守中に拠点を落としてやるぞ!」
「「「「おおー!」」」」
相手が〈18組〉にちょっかいを出し、恭順を要求するなり拠点を攻め落とすなりするにも時間が掛かる。なら、索敵妨害を効かせた隠密部隊を回り込ませ、向こうのチームの一角を落としてしまおうという作戦だ。
俺は即で準備を整え、足の速いメンバーを連れて再び出発したんだ。
向こうは全くこっちに気が付かず、そのまま回り込んで〈21組〉の拠点を強襲。
相手が超びっくりしている間に陥落させることに成功したのだ。
「よっしゃーナイスー!」
「ゼフィルス、次はどうする! 上から確認したが、今〈24組〉と〈34組〉が慌てて自陣の拠点に引き返している」
「狙い通りだ! 撤退中の背中にぶっこむぞ!」
レグラムが目視で確認した情報に俺はニヤリと笑い、そのまま拠点へ急いで戻ろうとする相手部隊の後ろから突っ込むことにした。
相手はレイドボスがいるとはいえ、今は連携もできずばらけ、それぞれが拠点へと急いで戻っている最中だ。悪手だな。
だが、そうなってしまうのも分かる。それくらいの不意の一撃だったということだ。〈21組〉の予想外の退場は。
「『ゼフィルスさん!』」
「! リーナから通信!」
「『今〈18組〉にハクさんを出しました。ここで協力し、〈24組〉と〈34組〉をそれぞれ叩きましょう!』」
「ばっちりだ!」
そう、ここで〈18組〉も反撃に出た。追撃戦だ。
〈1組〉からの使者はハク。〈1組〉が共闘する旨を伝え、敵ではないことを周知する。
その連絡を受けた〈18組〉は、俺たちが横っ腹にドカンした撤退中の〈24組〉の拠点を、今度は2クラス合同で攻め込んだのだ。カウンターだな。
これには〈24組〉であろうとなすすべはなく陥落。
慌てたのは〈34組〉だな。なんとかしようと〈8組〉の拠点に助けを求めにいったのだが、時すでに遅し、〈8組〉たちが情報を共有し、助けに向かう前に続けざまに〈34組〉の拠点へと攻め込んだ〈1組〉〈18組〉の合同部隊により、〈34組〉もまた陥落してしまったのだった。