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第2086話 マリー先輩がギリギリ間に合った新装備完成!

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第2086話 マリー先輩がギリギリ間に合った新装備完成!

「それじゃあ〈エデン〉〈エースシャングリラ〉の戦闘課メンバーが3年生の部、2年生の部、1年生の部、全てにおいて決勝戦進出できたことをここに祝おうと思う! みんなおめでとうーーー! かんぱーーい!」

「「「「「かんぱーい!」」」」」

クラス対抗戦4日目夕方、俺たちはギルドハウスで決勝戦進出を祝って乾杯していた。

そう、3年生の部では〈1組〉と〈2組〉、2年生の部では〈1組〉と〈5組〉、1年生の部では〈1組〉〈2組〉〈3組〉と、――〈エデン〉〈エースシャングリラ〉メンバーがみんな決勝戦進出を決めたのだ。

これが祝わずにいられるだろうか? いやいられまい。故に祝うのだ!

「決勝に進んだはいいものの!?」

「3年生とやり合うとか、とんでもないことになっているですの! 今年の責任者を出すですの!」

なお、一部決勝戦で当たる相手を見て悲鳴を上げているメンバーもいるな。

ちなみに今年の責任者はカイエン先輩である。

「1年生とかもっととんでもないからね!?」

「ははは! 豪快豪快! 先輩に胸を借りるつもりで挑めばいい話ですぞ!」

「グラジオラは相変わらず真っ直ぐだね。状態異常が通じない私はどう胸を借りればいいのかわからないんだけど」

テルニアはあわわし、グラジオラが相変わらずな豪快さで笑い、エミメナが哀愁を帯びているな。

さすがに勝てないと遠い目をしている者も多い様子だ。

「安心しろって、大丈夫だ!」

「ゼフィルス先輩?」

「今日までの試合を踏まえ、大幅にコストの見直しが入るらしいからな。2年生、そして1年生には特大のハンディを入れるらしい。3年生との差はそこまで開かないよう調整されるらしいぜ?」

そう言って俺は〈学生手帳〉のインフォメーションを見せる。

そこには、たった今送られてきた、新たな学年対抗戦のコスト表が張ってあったのだ。

「「「「「おおおお!?」」」」」

学園の戦力分析は中々に正確な様子だ。

ちなみにコストはこうなっている。

〈3年1組〉=300 29人がLV100

〈3年2組〉=4500 5人がLV100、他ほぼLV60以上

〈2年1組〉=3000 14人がLV100、他LV60以上

〈2年5組〉=9000 13人がLV60以上、他LV60未満

〈1年1組〉=10000 12人がLV60以上、他LV30未満

〈1年2組〉=10500 2人がLV60以上、他LV30未満

〈1年3組〉=10550 1人がLV60以上、他LV30未満

「これは、ずいぶん思い切ったわね」

最初にそう感想を吐露したのはシエラだ。

なにせ準決勝戦まで〈3年2組〉でも1000コストだったからな。それが4500である。

見直しというか、もはや新企画レベルの大改造だった。

「なんか〈3年2組〉すっごい増えてるーー!!」

「レイドボスが召喚できるよー!」

「よかったね! ほんと、レイドボス居ないのにどうやって〈1組〉に勝てばいいんだろうって思ってたから」

うむうむ、サチ、エミ、ユウカが一気に立ち上がってお互いハイタッチしていた。

〈3年1組〉にとってはたとえ相手が最上級ボスを召喚しても、レイドボスじゃないならさほど脅威ではないからな。1対1ではさすがに勝てないメンバーもいるだろうが、3人くらいいれば勝てるんじゃなかろうか?

コスト1000ではそんなボスも2体も召喚できない。さすがに厳しかった〈3年2組〉だが、ここで大幅にコストの見直しが入った模様だ。

「ガガガガーーーン!? 私たちの〈2年1組〉が、たったの3000しかないよーー!?」

「レイドボス1体と14人のLV100で〈3年1組〉に張り合うとか無理ですのー!?」

おっと〈2年1組〉の方からは我に返ったカグヤとサーシャのツッコミが聞こえた!

「うちら〈3年1組〉に続いてコストが少ないじゃん!? ちょ、〈3年2組〉よりコスト少ないのかよ!?」

「〈3年1組〉はレイドボスを自前で召喚できるんでやがりますが? 数間違ってねぇでやがりませんか!?」

ゼルレカとモニカの声も聞こえる。ちょっと楽しい。

4人の言う通り、〈2年1組〉は〈3年1組〉に続いてコストの低い僅か3000。

これでは〈フェアリークイーン〉を2体か、その他のレイドボスをいずれか1体までしか召喚できない。

〈3年1組〉との差はレイドボス1体分なのだと突き付けられたに等しいのだ。そんなわけないだろうと憤る〈2年1組〉である。

「ねえミツル君、〈2年5組〉の9000を見てどう思う?」

「いや、うん。何て言えばいいのかな? 妥当だと思うと同時に〈2年1組〉との差にもグサッと来た感じ?」

「マシロが思っていたより遠かった……。ぴえん」

こちらソアに突きつけられた〈学生手帳〉を見せられてミツル、シオンが戦慄の表情を浮かべていた。同じ学年で4クラスしか離れていないはずの〈1組〉との差がとんでもなく大きかったのだ。

いや、2年生は上位4組までがほぼ全員六段階目ツリーの開放者で構成されているクラスなので、〈5組〉との差が偉いことになっているのである。

2年生は〈5組〉からガクッと戦力が開くのだ。

なお、そんな〈2年5組〉とほとんど差がない〈1年1組〉を見て、ミツルはさらなる戦慄の表情を浮かべていた。

「私たちのコストは10000……。正直、圧倒的な差ではありません。戦力は僅差ですね」

「つまり、頭脳が勝利の鍵ってことですね! 私は頭脳戦が苦手です!」

「マルティも苦手~。クラ~、あとはフェンラに任せてマルティを構うの~」

「それは得意とするところですよ!」

「もふ~!」

こちら〈1年1組〉はとっても和やかだった。

〈1年〉のクラス対抗戦は、〈1組〉が圧倒的勝利、〈2組〉と〈3組〉が組んで他を寄せ付けない勝利を飾っている。

だが、レイドボスはその差を完全に消し、戦力を僅差にまで近づけてしまう。

つまりは今までのように圧倒的なLVと実力で他を圧倒することはできず、アシストモンスターありきの作戦に頼らなければならない。

フェンラはリーダーとして頭をフル回転させて悩んでいる様子だ。

なお、クラとマルティはお互いにヒシっと抱き着いて大変尊い。温度差がすごいな。

「このコストであれば、〈1組〉どころか〈3組〉にも不意を突かれかねませんな!」

「うわわ、考えることいっぱいー!? というか、これあと1日で作戦決められるのかな!?」

〈1年2組〉所属にしてたった2名の六段階目ツリー開放者は、グラジオラとテルニアだ。2人は、自分たちよりも圧倒的に強い〈1組〉を警戒していたが、ここに至って〈3組〉も大変警戒しなくちゃいけなくなった。

「うう~、キャロルちゃんが欲しい」

「はいはい~私はここにいますよ~」

「そうじゃなくて学年対抗戦に欲しい。引き抜いちゃダメ?」

「ダメですよ~」

そして唯一〈1年3組〉所属が、【メドゥーサ】のエミメナだ。

なお、【ダンジョンシステムオペレーター】のキャロルは〈調査課〉なのでクラスが違うことが大きくネック。

たった1人で他のとんでもないクラスを相手にしなくちゃいけないとか眩暈のするエミメナだ。

せめて〈竜の箱庭〉を使えるキャロルが入ってくれればとエミメナは嘆くのだが、それは叶わないのである。

お祝いの席が、まさかの混沌の席になってしまった。

ここは、正さないといけない場面。

そう思っていたところで、タイミングよくあの方がギルドハウスにやってきた。

「兄さん、いるか~」

「居るぜマリー先輩!」

そう、我らがマリー先輩である。

「遅うなって悪かったなぁ! ついに例のものができたで!」

「マジか!」

ナイスタイミング!

メンバー全員がなんだなんだと振り返り、マリー先輩を見てハッとする。

「もしかして、装備!?」

「ゼフィルスの装備ができたのね?」

「ゼフィルス殿の装備ですか!」

―――ざわざわざわざわ。

エステルの叫びによってギルドハウス全体がざわめいた。

覚えているだろうか? 〈万界ダン〉の最奥レイドボス、〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉のドロップである〈魔王勇者シリーズ〉の全集装備レシピのことを……!

今までずっと開発してくれていたのが、ついに完成したらしい。

「かなりてこずったわ! せやけど、なんとかギリギリで間に 合 ( お ) うたな!」

「いやぁ、タイミングある意味ばっちりだったぜマリー先輩!」

決勝戦は明日だ。

ある意味、このタイミングはおいしい!

「早速着替えてお披露目してもらおうか! さあ兄さん、行くで!」

「おう! まずはここで新勇者装備をお披露目するぜ! ――みんな、少しだけ待っててくれよ!」

そう言ってマリー先輩と更衣室に引っ込むと、すぐに装備を着替える。

5分もしないうちに完成し、まだざわめくホールに戻った。

「さあみなさんご注目や! うちの力作、これに時間かけたせいで他の装備があんま手につかなかったが、代わりに最高のもんができたと自負してるで! では、兄さん、入ってきてや!」

マリー先輩の声と同時に控えていた俺が壇上へ歩き出すと、ギルドハウス内が大歓声に包まれる。俺はそれをキリリリッとした顔で堂々と突き進むのだ。

――――わあああああああ!

歓声が気持ちいい!

今の俺の装備は〈魔王勇者シリーズ〉。下級職【勇者】の専用装備だ。

なぜ名前に〈魔王〉とついているかは知らない。きっと開発陣がうっかり付け間違えたのだろう。なにせ、装備はこんなにも勇者っぽいのだから!

元は黒系の装備だったが、マリー先輩の手でいつもの俺のカラーである青系にデザインペイントが変えられたコーディネート。

左耳の片イヤリングに、青系のマントを羽織り、ばっちりとした青の衣装の至る所に装着されたうっすら青光りしている〈オリハルコンメタル〉で出来たアーマーがかっこいい。

体中がまさにかっこいいで埋め尽くされた、そんな勇者が着るにふさわしい装備だったんだ。

さすがはマリー先輩、完璧な仕事だ!

壇上でキリッとしながらかっこいいポーズを取ると、悲鳴にも似た歓声が轟く。

「ゼ、ゼフィルス先輩がこのタイミングでパワーアップしちゃったですのー!?」

「超かっこいいけど、とっても複雑なこの心境をどう表現すればいいのー!?」

「あのゼフィルス先輩と明日はやり合わねぇといけねぇでやがりますか……」

「味方で良かったよ~」

「クイナダ、やっぱあたいとクラス交換しねぇか?」

「もちろんしないよ!」

うん。みんなにも喜んでもらえて俺も嬉しいぞ!

こうして4日目は楽しく過ぎていったんだ。

◇

そして翌日。

ついに初となる学年対抗戦の日がやってきた。

ざわめくアリーナの前を、俺たちは肩で風を切って歩く。

「お、おいあれ」

「〈3年1組〉だ!」

「全員そろってるのか」

「す、すげぇ風格じゃねぇか……!」

「ごくり、これが学園最強のクラス。ほぼLVカンストを達成した学生たち」

「ほとんど女子のクラスとか、羨ましすぎて禿げそう!」

「禿げれば?」

「待って! なにあの勇者君の装備! 昨日と違うわよ!」

「え? え? え? オリハルコン色に輝いてる!?」

「なにあれ、超かっこいいんだけど!」

「え? 俺、これから決勝戦出場するんだけど? あれと戦うの?」

「なんか敗退しておいてよかったとマージ勘違いしそうになるぜ。頑張れよ 冒険者 ( オルク ) 」

「混沌!」

そんな声がたくさん聞こえてくる。

いやぁ、参っちゃうなぁ。(全然参ってない)

こうして俺たちは第一アリーナの選手控え室に到着した。

お、控室のモニターにここまで勝ち抜いてきたクラスが表示されてるな。

――学年対抗戦出場12クラス――〈3年1組〉〈3年2組〉〈3年18組〉〈3年50組〉〈2年1組〉〈2年2組〉〈2年5組〉〈2年10組〉〈1年1組〉〈1年2組〉〈1年3組〉〈1年15組〉。