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第2088話 〈1年1組〉視点。みんなドキドキの決勝戦!

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第2088話 〈1年1組〉視点。みんなドキドキの決勝戦!

こちらは〈1年1組〉の拠点。

「う~わ~、ユナ、ユナ、聞いて聞いて、なんかすっごいドキドキしてきました!」

「落ち着くのですミアハ。焦ってはいけません、特に私たちは冷静に。じゃないとクラスの防衛がほころびますよ」

「私たちもドキドキしてる。安心して」

「はい。ミアハが城を、ユナが〈竜の箱庭〉を使用することで〈1年1組〉はここまでストレート勝ちしてきました」

「ミアハにはいっぱい期待してるですよ!」

「ユナ、ユナ! 期待のプレッシャーに押しつぶされそうです私!」

「耐えなさい。せっかく〈エデン〉の先輩方から受け継いだ戦法を失敗し陥落したら、ミアハには特別指導を処します」

「ユナ、ユナ!? 今処すって言いましたか!?」

そう、この〈1年1組〉に集まるのは〈エースシャングリラ〉の精鋭たち。

職業 ( ジョブ ) こそ同じではないが、能力的には〈エデン〉に近いことができるメンバーが集められている。

その代表となるのが「伯爵」「姫」カテゴリー、【 御館姫 ( おやかたひめ ) 】に就くミアハと、「侯爵」「姫」カテゴリー、【後陣の姫大名】に就くユナである。

ミアハは城の防衛強化と要塞化を、ユナは防衛強化と〈竜の箱庭〉を使った状況把握能力を使い、ここまでストレート勝ちしてきたのだ。

フェンラとクラからプレッシャーを受けてミアハは目を丸くして若干震えてる。

ヴァンをからかっていた時のにしし顔は完全に身を潜めていた。

「ミトよ、こんなことで大丈夫なのだろうか。どうか?」

「サンダダは心配しすぎなんね。今までこのメンツで負けたことはないんね」

「それは、レベル差があったからだと思うぞ。どうか?」

「レベルもあるけど戦術もすごいんね。みんななんだかんだ言いつつ動けるんね。大丈夫なんね」

そんなミアハたちを見てドワーフ【金剛王】のサンダダが不安を吐露し、ヒーラー【ルミナスフローラ】のミトが一蹴する。

今回は初めて自分たちの格上と戦うのだ。みんなもなんだかんだ不安を抱えている模様だ。

「そういう時は俺の奏でる歌を聞け! そして見ろ、輝くこの俺を! 元気と力が湧いてくるぞ!」

「否定は、できませんね。ロイのポジティブ120%な姿は人から不安を拭い去ります。不安な時はロイを見るとよいでしょう」

目立つセリフとポーズでみんなを励ますのは【スターバトルアイドル】のロイ。

いやそんなことで元気と力が湧くか、と否定するのかと思いきや、相棒の【スピリットオーラアーチャー】に就くメーレイから出たのは、肯定の言葉だった。

ロイのポジティブオーラマックス声は不安を払うのだ。それを間近で見続けて来たメーレイはよく分かっていた。ちょっとキラキラエフェクトが鬱陶しいが、これもご愛敬である。

そこでパンパンと二度手を叩かれ、クラスメイトたちが音の方へ集中する。

そこに居たのは〈1年1組〉クラスリーダーを務める、フェンラだった。すでに拠点に飛ばされており、5分のカウントダウンが始まっている。

「はい。ではみなさん、配置につきましょう。予定通りです。私たちの拠点の位置は〈西南西〉。隣接するのは、2年生が〈1組〉、3年生が〈18組〉、1年生が〈3組〉です」

今回は場所を好きに決められるのではなく、学園側が決めたため最初からどこにどのクラスの拠点があるか分かっている。

〈学生手帳〉にも描かれているくらいだ。

故に最初にどのクラスがどこにいるのか、ということを調べなくていい。

だが、それは自分たちの拠点の位置もバレているという意味でもある。

そのため、これまで以上に気を引き締める必要があった。

また、〈1年1組〉の配置はフェンラの言うように〈西南西〉、西の壁付近にある南側の拠点だ。ここはかなり絶妙な位置だ。

12の拠点は中央に3年生の4拠点、それを囲うように東西南北の壁側に2拠点ずつが配置されている。

まずこの学園最強クラス、〈3年1組〉の拠点があるのは中央の〈北西〉だ。そこから〈北東〉に〈3年2組〉、〈南西〉に〈3年18組〉、〈南東〉に〈3年50組〉が配置されている。

〈3年1組〉と〈3年2組〉が北側に集中しているため、北半分の4拠点は2年生だ。

1年生は南半分という配置になっている。

その中でも、1年生の準決勝戦で1位通過クラスである〈1年1組〉と〈1年2組〉は、2年生とも隣接する場所に配置され、2位通過である〈1年3組〉と〈1年15組〉は3年生の2位通過である〈3年18組〉と〈3年50組〉の近くに配置されている。

こうしてバランスがとられているわけだ。

だが〈1年1組〉が配置されている場所は下手をすれば超激戦区。

何せ隣接している2年生は、〈2年1組〉なのだ。そして〈2年1組〉は〈3年1組〉の隣接に配置されている。

つまり、各学年1位通過の最強クラスが、西側に集中しているのだ。

下手をしなくても飲み込まれる可能性は高い。初動でどう動くのか、それが重要だ。

「そして私たちの方針ですが、どこかと手を組まなければ間違いなくやられます。どこと組むか、それが重要ですが」

「できれば〈3年1組〉と〈2年1組〉と手を組みたかったですよね。こう〈1組〉トリオ! みたいな感じで」

「ですが、それは無しだとゼフィルス先輩から直接言われてしまっていますからね」

クラのセリフにフェンラが補足するように言う。

そう、〈1組〉同士で組んだらマジ強いだろう。いや、本当にガチガチに強いに違いない。

だが、フェンラたちはゼフィルスから〈1組〉同士では組まないと明言されてしまっていた。

理由は――強すぎるから。

ワンサイドゲームになってしまうことは火を見るよりも明らかで、クラス対抗戦ではほぼどのクラスとも手を組まず、組んだとしても1クラスしか組まないことで有名な〈3年1組〉が、そんな大きな組織を作ることに同意するはずがなかった。

というわけで、組むとすれば〈2年1組〉、〈3年18組〉、〈1年3組〉のいずれかになるわけだ。

問題なのは〈3年18組〉。

〈3年18組〉は〈3年1組〉と組んでここまで勝ち上がってきたクラス。〈3年1組〉以外と手を組むということは、〈3年1組〉と敵対するということだ。

果たして〈3年18組〉がそれに同意するのかという懸念があった。故に、選択肢からは外す。

「方針を決めました。まずは拠点回りで召喚盤を集めつつ、〈1年3組〉と交渉しましょう。〈1年3組〉は〈1年2組〉とコンビを組んで勝ち進んできたクラスですから、もしかすれば〈1組〉から〈3組〉までの戦力を揃えられるかもしれません」

「異論はないです」

ユナの言葉が全員の意見を物語っていた。

同学年ならば、組まなければ上級生と相対することはできないと理解しているはず、さらに〈1年3組〉のリーダーは【メドゥーサ】のエミメナなので、交渉もしやすい。まず〈1年3組〉と組むのは決定事項だった。

防衛はいつも通り、【 御館姫 ( おやかたひめ ) 】のミアハ、【後陣の姫大名】のユナ、【金剛王】のサンダダなどが対応するため、攻勢の方針だけをその後も確認していき、カウントダウンが残り1分のところで確認事項も終える。

「では、問題が無ければ配置についてください。――ミアハさん、拠点は任せました」

「よ、よ~そろ~!」

【 雷速空戦雷狼 ( らいそくくうせんらいろう ) 】のフェンラの指示にみんなが行動する。

ちなみに〈1年1組〉でなぜユナではなく、フェンラがリーダーなのかというと、ゼフィルスとリーナのような関係だからだ。

フェンラはリーダー、ユナは軍師ポジションである。

カウントダウンが残り10秒を切り、 よーい ( レディ ) 。

0になり、試合開始のブザーがなると、 どん ( ゴー ) と言わんばかりにみんなが飛び出した。

「フェンラ北西、クラ東、ロイたちは南東へ」

ユナは召喚盤がどこにあるのかは見えないが、相手の位置ならばわかる。

まずはなるべく戦闘を避けることを目的に動いていた。

〈3年1組〉はなるべく戦闘して各個撃破を目標としているが、1年生はか弱いのだ。そんなことはできない。

「『お館建築』! 『防壁召喚』!」

ミアハがこれまでと同じように防御を固める担当。

拠点を改造し、防壁を呼び出し、防衛しやすいように固めていく。

これは〈エデン〉が使っている戦法と同じ作戦だ。ゼフィルス流のセオリー戦術である。まず拠点を固めないと攻めることはできないのだ。

だが、早速驚愕の光景が飛び込んでくる。

「〈3年1組〉から宝剣! 対象は――〈3年2組〉です!」

「しょっぱなから宝剣撃っちゃったです!?」

「ひえ~!?」

あと そっち ( 中央 ) にはしばらく近寄らない! これ絶対な!

「ユナ、ユナ、マルティたちが〈1年3組〉拠点に到着して、交渉開始したみたい」

「至る所で戦闘が発生しています。みんな、なるべく近づかないで。召喚盤を手に入れた人はすぐに戻ってきてください」

ミアハの報告とユナの指示で〈1年1組〉の出だしは問題無し。

戦闘もほぼ発生せず、召喚盤の確保もかなりスムーズに集まった。

さすがに64個もばらまかれていると、すぐに見つけられる。

「フェンラ、戻りました!」

「召喚盤は?」

「2枚手にできました。1枚は〈 猫 ( ニャウ ) ジング〉が反応する〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉です! もう1枚は途中落ちているのを拾いました――『解析』! 〈ネファイブ〉……残念ながらこっちはハズレのようです」

「よくやってくれました! 〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉を1枚手にできたのは大きいです!」

召喚盤を確保したフェンラが一番乗りを決める。

手に入れたのはなんと最強無敵のレイドボス、このフィールドにある64枚中、僅か4枚しかない召喚盤――〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉の召喚盤だった。

これにはクールなユナも思わず声を高くする。

もう1枚はコスト1550の〈ネファイブ〉。移動できない上に〈3年1組〉はこれを一回戦で倒しているので 不採用 ( ハズレ ) 。

フェンラは早速コンソールに向かって駆けだす。

「!! ユナ、ユナ、〈3年18組〉がこちらに攻め込もうとする動きを見せていますよ!」

「全体に通達します! 『大号令』! ――みなさん〈3年18組〉が動き出しました。狙いは〈1年1組〉拠点。防衛準備です!」

ついに〈1年1組〉最初の本格的なぶつかり合いが幕を開ける。

大きな声を響かせ仲間を集める『大号令』でもって周囲にいる味方を呼び寄せる。

これによって危機を伝えられたのは大きく、〈1年1組〉は〈3年18組〉を迎撃すべく、交渉中のマルティ以外が全て拠点を目指して帰ってきた。