第2090話 西側団結!〈3年50組〉はレイドボスを集めて!
第2090話 西側団結!〈3年50組〉はレイドボスを集めて!
こちらは〈2年1組〉。
〈エデン〉メンバーが在籍する2年生最強クラスは、試合開始からかなりピンチだった。
「これは、動けませんわ!」
「はい。ちょっとでも遠征すると〈3年1組〉からの攻撃によって拠点が落ちるのは間違いないですね」
ノーアが嘆き、クラリスが同意する。
〈2年1組〉は立地が非常にとんでもないところだったのだ。
〈2年1組〉の拠点位置は西北西、同じく西側にある〈1年1組〉のちょうど北側に拠点があり、〈2年1組〉拠点から東側を見ればそこには〈3年1組〉の拠点があるという、学年首位のクラスが集まっている激戦区。
北北西にあるのは〈2年5組〉で、この3クラスが隣接している拠点だった。
はっきり言おう。どうすればいいの?
ゼフィルスはあまり戦力が強くなりすぎるのを良しとしないため、〈エデン〉メンバーがほぼ勢ぞろいするような〈2年1組〉と組むことはあまりしたくない様子。
そうなると〈1年1組〉か〈2年5組〉、つまり〈エースシャングリラ〉が多く在籍するクラスとしか隣接していないわけだ。周りが強者しかいなくて泣ける。
攻めに出た場合〈3年1組〉が襲撃してくる可能性もあるのであまり戦力を遠くに行かせられないのも痛い。
そんなわけで、〈2年1組〉は最初から動くに動けない状態になっていた。
しかし、ここで吉報がもたらされる。
「〈2年5組〉、同盟に合意しましたよ!」
「アルテさん! よくやりましたわ!」
隣接しているクラスを攻めるに攻められないのなら、手を組むしかない。
まず最初に接触したのは〈2年5組〉。
ここは同じく〈3年1組〉と隣接しているクラスなので、〈2年1組〉との同盟は喉から手が出るほど欲しかったに違いない。
〈2年1組〉としても、コスト9000を誇る〈2年5組〉の手は借りたかったため、両者即合意したのだ。
だが南側、〈1年1組〉のところはハプニング。
〈3年18組〉が攻めに出たのだ。
〈2年1組〉は〈3年1組〉とのにらみ合いで戦力が思うように出せないので見守るしかない。おそらく〈2年1組〉の行動を封じるためになされた一手だろう。〈3年18組〉もなかなかやる。
だが結果は、〈1年1組〉が見事に〈3年18組〉を下すという快挙で勝利した。
1年生が、〈転職制度〉を受けた18歳から20歳の年上たちを打ち破ったのは間違いなく快挙だ。まあ、実態は〈エデン〉の英才教育が行き届きすぎて戦力的にみると〈1年1組〉の方が強かったのだがそれはともかくである。
〈3年18組〉、狙いや読みは良かったが、戦力が足りず無念の敗退。
こうして〈1年1組〉に接触できた〈2年1組〉は、両者合意の下に同盟を組むことに成功したのだった。
さらに〈1年1組〉の隣、〈1年3組〉も同盟に加わってきたことで、西側は一大戦力を築くことになる。
そう、西側の6クラスのうち、〈2年1組〉〈2年5組〉〈1年1組〉〈1年3組〉の4クラスが組んだのだ。
残りの2クラスの内〈3年18組〉は退場。
そして残りの1クラスは〈3年1組〉。
緩衝地帯でもあった〈3年18組〉が敗れたことで西側は全てが隣接となり、〈3年1組〉はかなりのピンチに陥っていた。少なくとも、見た目は。
そして台風の目となっている〈3年1組〉はというと、〈3年50組〉と遊んでいた。
◇
「ついにこの時が来た! 我らがゼフィルスを討つ時がな!」
「ふふ、〈1組〉が学年首位が集まる激戦区に入ってしまうとは、僕たちに運が向いてきたようです」
「激戦区の対応で疲れ果てたところを討つだけでいい!」
「俺様を忘れてもらっては、困るんだな!」
「「「「ふははははははははは!!」」」」
試合開始直前――ここは〈3年50組〉の拠点。
場所は中央の南東。
中央の北西に〈3年1組〉拠点があるため真逆の場所に位置する。
北側を見れば〈3年2組〉の拠点があり、西側を見れば〈3年18組〉の拠点がある。
南側を見れば〈1年15組〉、東側を見れば〈1年2組〉の拠点がある。
3年生の拠点がある場所としては、最も穏やかというか、比較的強くないクラスが集まっているエリアだ。
拠点の四方を囲まれているというのにサターンたちの目に映るのは〈3年1組〉のみ。ある意味、すがすがしいほどにまっすぐな男たちだった。
「あいつら、準決勝でやられたこともう忘れてんのか? まったく折れてないじゃん」
「それでこそサターンたちだぜぇ。あの伸び切った鼻はちょっとやそっとじゃ折れねぇのさ」
「やっかいな鼻してるなぁ。折っていい?」
「この決勝が終わったら、折れてるんじゃないか?」
こちらではニシムーとムカルが高笑いする4人を見つめていた。
マジで伸び切った鼻が幻視できる気がする。
囲まれた立地からスタートと聞いて俺はすでに心が折れそうなのに、とニシムーは心底サターンたちが羨ましくなった。
「試合が始まるぞ!」
「ふふ、まずはレイドボスの召喚盤集めですね」
「戦力が揃ったら防備を固めるんだよな!」
「俺様が忘れられないくらいの戦力を集めてやる!」
〈3年50組〉の思惑はこうだ。
最初にレイドボスの召喚盤を集めて防備を固め、〈3年1組〉が疲弊するのを待つ。
そして機が熟したら――ふはは! という作戦だ。
試合が開始され、サターンたちは周囲から召喚盤の確保に急いだ。
〈3年50組〉は6人の六段階目ツリー開放者を抱えているためコストは10300だ。
レイドボスなら4、5体呼べる。
さっさと集めて防備を強化しないと攻められたら吹き飛ぶ戦力しかないのでみんなで必死に集めた。〈1年15組〉とぶつかることもあったし、〈1年2組〉とぶつかることもあった。
だが、奇跡的にグラジオラとぶつかることは無く、〈3年50組〉は〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉を含む中々に強いレイドボスの召喚盤を5枚も手に入れることに成功したのだった。
なんて悪運の強い。
「「「「ふははははははははは!!」」」」
「勝てる、勝てるぞ! 我らはついに勝つのだ!」
「ふふ。運が向いてきました。今わかりましたよ、僕たちに今まで足りなかったのは、運であったと」
「まさかこれだけの戦力が揃うとはな!」
「俺様を忘れてもらっては困るぞ! ここに俺様が加われば、レイドボスを持たない〈3年1組〉に勝てる!」
すでになぜ〈3年50組〉がこんな高コストが配られているか忘れている4人。
しかしサターンたちは驕っていても作戦を衝動で変更したりはしない。
しっかり四方と拠点の5ヵ所にレイドボスを配置し、防備を固める。
ここら辺はゼフィルスとモニカに叩き込まれたためスムーズだ。
これにより、〈1年2組〉と〈1年15組〉は、〈3年50組〉に手出しができなくなってしまう。
そして〈3年18組〉は〈3年1組〉からの通達で〈3年50組〉に手を出す気は無く、〈3年2組〉もとある事情で手を出さないことに同意済みだった。
そう、ゼフィルスはすでに〈3年50組〉がやられる原因を取り除いていたのである。
あとは1年生クラスだけが懸念だったが、1年生にやられるのであればそれまでと思っていそうなゼフィルスである。だが、結果的に〈3年50組〉は生き残り、しっかりと戦力が整えられた。
狩り ( 収穫 ) 時である。
〈3年1組〉が動き出した。
目的は隣接する〈2年1組〉でも、〈2年5組〉でも、〈3年2組〉でも〈3年18組〉でもない。
すでに〈3年2組〉と〈3年18組〉には邪魔をしないよう通達してあった。
そう、〈3年1組〉の目的は――〈3年50組〉だ。
「ゼフィルスさん、〈3年50組〉に レイドボス ( ポイント ) が出そろいましたわ!」
「了解だ! さあみんな収穫の時だ! 今から〈3年50組〉に向かうぞ!」
「「「おおー!」」」
そう、レイドボスとは、ポイントなのだ。
〈3年1組〉は敢えて待っていたのである。ポイントが出そろうのを。
〈3年1組〉が〈3年50組〉に強襲を仕掛けた。
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