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第2093話 サターンが残した後遺症、弛緩する緊張感。

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第2093話 サターンが残した後遺症、弛緩する緊張感。

悲報。

サターンたち。自爆してお空に消える。

まさか〈マジカルタイムギャンブル〉なんて代物を持ち込んでくるとは思わなかったぜ。

あれって【ギャンブラー】の上級職、【ジョーカー】なんかが使って確率をアゲアゲしないと半分の確率で自爆してしまうネタアイテムだぞ?

いや、成功すれば確かにLV100という格上相手でも大ダメージと大量の状態異常を付与できるためレイドボスと組み合わせれば戦闘不能に持ち込める可能性はあったけどな。

だが、結果は自爆。

サターンたち、さすがすぎるぞ……。

しかもなぜかお空に吹っ飛んだサターンたちは〈混乱〉状態の〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉の前に吹っ飛んでしまい、〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉は 攻撃してきた ( ・・・・・・ ) サターンたちを敵認定。そのままお空の彼方まで『必殺・クマアッパー』で打ち上げてしまうという、流れるような一撃をぶっ放した。

こんなのゲームでも動画でも見たことないよ! 伝説になるんじゃないの?

ほら、なんか観客席から大歓声っぽいの聞こえるし。

最後はちょうど天辺くらいで〈敗者のお部屋〉に送られたために、俺には空のお星さまになったように見えたんだよ。まさに〈天下一大星〉という名が頭に浮かんだんだ。今は〈天下一パイレーツ〉だけど。

敵側も味方側もピタリと固まって停止状態。

そりゃ止まるわ。びっくりだわ!

ちなみに〈 悪魔王 ( ア・クマオウ ) 〉は爆発の影響で術者が〈麻痺〉して隙だらけだったのをメルトが討ったらしく、サターンの退場からほとんど間を置かずに光になって消えた。

これで10300ポイントが〈1組〉に入ったな。あ、今がチャンス!

「あ、あーっと、と、トドメだーーー!」

「『突貫』です!」

ズドン。

ようやく再起動した時にはセレスタンがいつの間にか〈50組〉拠点にドリルを突き刺していて、今までの猛攻で半分近くHPの減っていた〈50組〉拠点は一瞬でそのHPを全損させて陥落してしまったのだった。

「うそやん…………」

〈50組〉はそのまま退場した。

俺は緩んでしまった気を何とか引き締めなおしにかかる。

「あー、こほん! みんな気を引き締めなおせ! まだ試合は終わってないぞ!」

「は! ルルとしたことが、驚きすぎて止まっちゃってたのです!」

「いえ、あれは止まります。私たちは、いったい何を見せつけられたのでしょうか教官?」

「サターンが自爆してあがって消えた。きっといつものあれだ! その豪華版だ!」

「いつものあれ……」

フィナの問いになんとか答えを返したりしてできるだけ頑張ったが、一度緩んでしまった気は中々引き締まらない。

くっ! これがサターンの置き土産か! なんて厄介なものを置いていってくれたんだサターンたちは!

これは一度、メンバーを再編するしかない。

俺はこのまま1年生の拠点に飛び込まず、一度帰還の指示を出したのだった。

◇

こちらは実況席。

「ああああああ! 〈3年50組〉ここで敗退! 〈3年18組〉に続き、またもや3年生が連続で敗北ーーーー!! これは大変な事態だーーーー!!」

「「「「うおおおおおおおおおおおおお!」」」」

「サターン最高ーーーーー!!」

「サ、ターン! サ、ターン!!」

観客席は大きく盛り上がる。

中には口笛を吹いたり、応援旗を振っている人もいたほどだ。

その注目の的は、やはりサターンたち。

やってくれたよ。

一度は冒険者ことオルクにその人気をかっさらわれていたが、やはりサターンたちもやるときにはやる男だった。

冒険者人気を塗りつぶす勢いのど派手な高い高いは、観客席の笑いと人気を一気にかっさらっていったのだ。

実は冒険者の所属する〈2年10組〉は決勝戦に参加している。

冒険者とサターンたちが、なんと同じ試合に参加しているのだ!

正直冒険者VSサターンたちの対決が見てみたいという声も大きかったのだが、やはりサターンは勇者に当てた方が面白いとみんな思い直した。

サターンたちは、今とても輝いていた。

「いやぁ、すごい人気っぷりですね。敗退したのに〈3年50組〉を称える声が非常に大きいですよ」

「見どころありまくりだったわ。正直、途中から笑いをこらえるのが大変だったわよ」

「ユミキさん、珍しくお腹を抱えてプルプルしてたもんね!」

「あれは腹筋にきます。僕も鍛えていなかったら危なかったですね」

「こほん。観客席では次に〈3年1組〉VS〈2年10組〉を推す声が大きいわね。私もぶっちゃけ同意見よ。だけど」

「〈2年10組〉は〈3年2組〉と手を組んだ模様ーーーー! やはりオルク選手の橋渡しが効いたのか!?」

「〈3年2組〉にはベニテ選手が居ましたからね。オルク選手とは非常に仲がいいとか。そのおかげか話が纏まるのは早かった様子です」

「でも〈3年2組〉はこの後の展開が厳しくなるわよ。〈2年2組〉と〈1年2組〉も取り込むように動いているけれど、そうなると〈3年1組〉が黙ってないでしょうね」

東側も手を組み始め、順調に対〈3年1組〉戦線の力を付けていた。

◇

こちらは西側。

手を組むことに成功した〈2年1組〉〈2年5組〉〈1年1組〉〈1年3組〉は、〈3年1組〉を警戒しつつ集まって作戦を練っていた。

「〈3年50組〉がやられましたわ! もうあまり時間がないですわね!」

「お嬢様、喜ばないでください」

「マルティ、〈3年2組〉とのコンタクトはどうなってます?」

「今は~クラが~、頑張ってるところ~。まだお返事ない~」

そう、西側の一大勢力はさらに手を広めようとしていた。

そんなに手を広めてどうするのか? もちろん最終的手段は決まっている。

「さ、〈3年1組〉にアタックを仕掛けるとかマジ? マジもんのマジなの?」

「もう~ミツル君はサブマスなんだから覚悟決めなよ! 今までお世話になってきた〈3年1組〉に、しっかりお礼と今の私たちの実力を見せないとだよ!」

そう、〈3年1組〉への襲撃を計画しているのだ。

ソアとしては、〈エースシャングリラ〉をここまで立派に育て上げてくれた〈エデン〉のみなさんに、全力で戦うことがお礼になると考えている。当たりだ。

しかし、問題もある。手ごたえが全くないとお礼としては不十分だ。

〈エデン〉のギルドマスターゼフィルスが、強い相手の方が面白い、楽しいと考えていることはすでに周知の事実。

だが思い出してほしいのは、去年のクラス対抗戦決勝戦では、全7クラスが相手だったのにも関わらず、ほとんど戦闘不能者無しで勝っているところだ。

西側の4クラスでは話にならない可能性も高い。

レイドボスという戦力も、術者がやられてしまえば消えてしまう。

故に西側は、東側の大戦力である〈3年2組〉を仲間に、もしくは共闘を持ち掛けようとしていた。そして西と東から挟撃すれば、さすがの〈3年1組〉でも、と考えている。

〈3年1組〉が〈3年50組〉と対戦している間がカギだったが、すでに時間的余裕は無い。

そろそろ〈3年1組〉が動き出すことは確実だった。

「今連絡来ました! 〈3年1組〉が動きました!」

「狙いはどこですの! もしかして、〈2年1組〉に!」

「だからお嬢様、わくわくしないでください!」

「狙いは――〈2年10組〉です!」

フェンラの報告を聞き、ノーアは残念そうだった。

ノーアもゼフィルスに似ている。

◇

『ゼフィルスさん、聞こえますか?』

「いいタイミングだリーナ!」

〈3年50組〉を落として拠点に撤退中の俺たちに、リーナから通信が舞い込む。

『端的に言って、現在西側の生き残りは全てのクラスが手を組み、東側も〈3年2組〉が中心になって手を組む動きを見せておりますわ。このままですと、〈3年1組〉が孤立し、全クラスから攻撃を受けることが予想されますわ!』

「すぐにでも動かないといけないな! だが、今は、みんな緊張感が抜けちまってるんだ。今のこの部隊をそのまま動かすと思わぬ戦闘不能者が出かねない」

『どういうことですの?』

「簡潔に言うぞ? サターンが見事な上がり方を見せて全員ポカーン。緊張の糸が切れちまった。以上!」

『簡潔すぎますわ! でもイメージできちゃいましたわね。ではこっちの遊撃班と組んで再編成いたしましょう!』

「頼む! こっちで大丈夫そうなのはルル、ラウ、メルト、セレスタンのみだ」

『かしこまりましたわ。ではシエラさん、クイナダさん、エフィさん、シヅキさん、エリサさんでいかがです?』

「よし、それで行こう! 狙いは?」

『〈3年2組〉が〈2年10組〉と手を組みましたわ。まずはその連携を崩しに〈2年10組〉を撃破してくださいまし』

「了解だ!」

俺はすぐにリーナに言われたことを頭の中で情報をまとめ、進路を真北に変更する。

〈2年10組〉があるのは〈北北東〉だ。〈3年50組〉の拠点からは、〈3年2組〉の拠点を迂回して反対側にある。

俺は途中〈3年1組〉の拠点の近くを通る際、ルル、ラウ、メルト、セレスタン以外の全員を拠点に向かわせる。

まだほとんどのものがサターン現象の後遺症状態だ。マジ厄介。

「ご主人様ー!」

「ゼフィルス、いきましょう」

「ナイスタイミングだ!」

直後、拠点からシエラ、クイナダ、エフィ、シヅキ、エリサが出てきて合流する。

さすがはリーナ。完璧なタイミングだったな。

再編成に掛かった時間はほぼゼロ。

このまま進路を北東に変更して〈2年10組〉に挑む。

観客席がなんか超盛り上がっているなぁと、俺は走りながら思った。

◇

こちらは〈2年10組〉拠点近く。

ここで双眼鏡を覗きながら辺りを監視する者がいた。冒険者ことオルクである。

「ききき、来ちゃったーー!? や、や、や、やっべえええええええ!! 〈3年1組〉が来たぞーーーーー!!」

真っ青な顔で変顔を決めた冒険者が叫んだ。

〈2年10組〉がにわかに騒然となり、〈3年2組〉への伝令が放たれる。

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あとがき失礼いたします。

本日は〈ダン活〉小説16巻の発売日!

やったー!

ご購入お待ちしております!