第2094話 〈3年1組〉VS〈2年10組〉!勇者特効ホネデス
第2094話 〈3年1組〉VS〈2年10組〉!勇者特効ホネデス
「ゼフィルス、西と南、どちらから攻めるの?」
「もちろん西だ! 少し遠回りだが、〈3年2組〉に後ろをさらすわけにはいかない」
「了解よ」
シエラたちと合流後、素早く進む場所を決定する。
狙いは〈2年10組〉拠点への西側からの侵入。
南側は〈3年2組〉の拠点へ向いているため、西側からの侵入を目指すというわけだ。〈3年50組〉が陥落したため、すでに不可侵は解除されているからな。警戒は怠れないぜ。
西側は西側で〈2年5組〉に向いているため、〈2年5組〉からけしかけられれば中々に手痛い被害を受ける可能性はもちろんあるが、〈3年1組〉の隣接に〈2年5組〉があるため、防衛部隊でフォローが可能だ。
つまり〈2年5組〉が仕掛けてきたら、〈3年1組〉の拠点から攻撃を仕掛けてカウンターする。よって〈2年5組〉からの攻撃は無いと踏んだ。
故に西側から攻め込む決断をする。
いやぁ、マジこの決戦フィールドはヤバい。
拠点への出入り口となる通路の方角に別の拠点があるんだもん。
下手に今の俺たちのように突っ込むと挟撃されるため、非常に難しい立地になっていた。
だが、〈2年5組〉は西側で手を組んでいるため動かないだろう。
今が〈2年10組〉を切り崩すチャンスなのだ。
こっちの戦力は10人。
俺、シエラ、ルル、セレスタン、メルト、エリサ、ラウ、クイナダ、エフィ、シヅキ。
十分だ。すでに〈3年50組〉の戦闘で減ったHPとMPも回復しているし、イケるところまで攻め込みたい。
「〈2年10組〉はLV60以上が1人、コストは10550よ」
「おう! 今回の作戦は〈3年2組〉に横やりを入れられないうちに達成することだ! つまり、早さが求められる! 攻めきれない場合は撤退の可能性も視野にいれるから決して突出するなよ!」
「「「おおー!」」」
そう、目的と注意点を走りながら共有していると、目的地が見えてきた。
おうおう、慌ててる慌ててる。
見張りと思わしき人物たちが次々拠点の方に引き返して、レイドボスが出てきたな。
あれは――コスト2200〈智天使・ケルビム〉か!
「私が行くわ」
「おう、シエラ、任せた!」
「『 四聖 ( しせい ) 操盾 ( そうじゅん ) 』! 『 攻陣形 ( こうじんけい ) 四聖盾 ( しせいたて ) 』! ――『グロリアススマイト』!」
「カッ!」
相変わらずの神々しい見た目だが、レイドボスは1体。
というかこの通路の横幅だとレイドボスは1体しか満足に戦えないだろう。
俺たちを本気で倒したいのなら、サターンたちのようにある程度広い空間で戦った方が多くのレイドボスを展開できるため勝算が上がると思うんだが?
その答えは、すぐに判明する。
「カッ!」
「それは知ってるわ。でも、本物の〈ケルビム〉の方が何倍も強かったわね――『カウンター・レイ・ストリーム』!」
「カ!?」
「今だーー! 『 天光勇者聖剣 ( あまのひかりのゆうしゃせいけん ) 』!」
「とう! 『ヒーロー・セイバー・モーメント』! 『神世界インフィニティ』なのです!」
「『雷拳』!」
「『ジェネシス・ヘクサ・アポカリプス』!」
「私もやるわ! 『ダークマターエネルギー』!」
「『ゼルワン・カイザーバスター』!」
「『 神峰 ( しんほう ) の宝刀』!」
「いっくよー! クロちゃん、アターック!」
「『エル・セイバー』!」
「カ、カ……」
シエラのカウンターが直撃してノックバックした直後、示し合わせたかのように俺たちの一斉攻撃がヒットし、〈ケルビム〉は大ダメージを負ってダウンした。
「「「「「えええええええええええええええええ!?」」」」」
〈2年10組〉の拠点方向から盛大に動揺した叫び声が聞こえて来たな。
そのまま狩ると、なんと次が登場。
「〈バトルウルフ(最終形態)〉か!」
「ゼフィルス、これは」
「ああ、なるほど、そういう作戦か!」
ケルビムが光になったところ、まるで順番待ちをしていたように登場する〈バトルウルフ(最終形態)〉にシエラと俺は相手の目的を看破する。
そこにラウがやってきた。
「ゼフィルスさん、説明を頼めるか?」
「おう――相手はこの通路にレイドボスを数珠のように配置して、時間稼ぎをする心算だ!」
ドンじゃんけんかな?
勝つと次の相手が出てきて、それに勝つと次の相手が出てくる。
しかも負けた側は時間経過で復活するのだ。なんだか子どもの頃に遊んだとある遊戯が思い浮かんだよ。
だが、なかなか悪くない作戦だ。
時間稼ぎという意味でも、消耗戦という意味でも悪くない。
俺たちは〈3年2組〉が来る前に落とそうとしているわけだからな。時間との勝負なわけだ。
また、時間経過でレイドボスが復活するのだから時間稼ぎは有効。
〈3年2組〉が到着した時点で俺たちが消耗していたらなお有意義。
これ、キールとかが作戦考えたんじゃないの?
ありえそうだ。
チラッと見えた〈バトルウルフ(最終形態)〉の後ろには、まだ2体ほどモンスターが控えていたのが確認できた。
どうやら、間違いなさそうだ。
「こうなったら巻きで行くか! みんなマスの境界線付近まで下がるぞ! ひきつけろ!」
「「応!」」
「「「「「ウォーーーーーーーン!!」」」」」
俺たちが下がり始めると、〈バトルウルフ(最終形態)〉、そしてその後ろに控えていたレイドボスの1体まで前に出て詰めてくる。マジドンじゃんけん。
だが、それは悪手だ。
「シエラ!」
「『アブソープション・ワン・フォートレス』!」
「なに!? 壁!?」
シエラに作ってもらったのは巨大な防壁。
〈六ツリ〉の強固な防御スキル。〈バトルウルフ(最終形態)〉の攻撃は完璧に防がれ、俺たちに安全が確保されると、俺はエリサに指示を出す。
「エリサ、頼む!」
「あとでご褒美ねご主人様! 『ナイトメア・大睡吸』! 『エンドレスエンド』!」
「うっ!? Zzz……」
〈バトルウルフ(最終形態)〉の背中から聞こえて来た声が聞こえなくなり、転移陣が現れる。成功だな。
そう、俺たちの狙いはレイドボスを操る術者の方。
エリサの〈良い夢をごちそう様〉戦法は強すぎるのでピンチの時の切り札にしているくらいだが、ここが切るべきところだろうな。
見れば〈バトルウルフ(最終形態)〉の後ろにくっ付いてきたレイドボスの1体も光に消えていく。同じマスに入ってしまい、エリサのユニークスキルの範囲内に入ってしまったのだ。
これが俺たちが下がった理由。
なぜかは分からないが、術者が背に乗っていたので狙い撃ったのだ。
ここからだと〈2年10組〉拠点まで3マスあって術者は拠点から出なくてはいけないため、レイドボスに乗りこんだのかな? それ、悪手なんだが。
境界線ギリギリまで下がったことで相手の3番目レイドボスまで同じマスに入ってきてしまった。そこをこのマスに入ったものを眠らせ、即死させたわけだ。2枚抜きだな。
「進路クリアよ!」
「おっしゃ! ナイスエリサ! 行くぞ!」
シエラの城壁が消えたところでダッシュ。
そのまま一気に進むと、ざわめく拠点とその前に立つ1体のレイドボス、〈ドラゴレム〉が見えてきた。
また、その足元には上級ボスの1種、 上級上位 ( ジョウジョウ ) ランク9の61層ボスをしていた〈火竜〉が見える。
マジか。〈竜ダン〉の召喚盤!?
〈火竜〉の数は6体。これで全てのようだ。素晴らしい。
「シヅキ、〈ドラゴレム〉を任せた!」
「うん! いっけー! 『簡易召喚・大魔王の全身様』!」
「ス、スターーー!?」
上空から登場したマッスルな大魔王様が〈ドラゴレム〉の背中にフライングダイビングすると、〈ドラゴレム〉が絶叫する。まるで「ぎゃあああああああああ」と騒いでいるようだ。さすがである。
「ま、待て、どうした暴れるんじゃない!」
「あ、術者発見。『アルティメットノヴァ』!」
「あぎゃあああああああああああ!?」
「ああ!? 最後のレイドボスがああああああ!?」
4体目のレイドボス撃破。
すでにこの状況、狙いはボスではなく術者だ。
〈ドラゴレム〉が大暴れしたことで術者も慌ててしまったのだろう。そこにエフィがドーンしてワンキルしてた。〈ドラゴレム〉が消えて、阿鼻叫喚。
「頼む冒険者! あと頼れるのはお前だけなんだ!」
「冒険者! 冒険者!」
そんな中、見覚えのある男子を発見。
あれは、オルクか!
「う、うおおおおおお! やってやらぁーーー! 『上級召喚盤起動』! いっけー! 〈P・R・ホネデス〉さん!」
「「「――ホネデス!」」」
「ホネデスのダンナ来たーーーー!!」
「〈1組〉も一撃必殺でお願いします!」
大歓声が上がる。もはや頼れるのはオルクと〈ホネデス〉だけとでも言わん限りだ。
その〈P・R・ホネデス〉、俺が前にあげたやつ! ま・ず・いっ!
「ホネデス!」
「「ホネデス!!」」
「あ、自己紹介どうも」
「ゼフィルス、何をしてるの!」
「はっ!?」
しまった。つい挨拶に応えてしまった!
「「「ホネデス!」」」
「ぐっ! ホネデスの合唱は卑怯だぞ!」
〈万界ダン〉で手に入れた〈ホネデス〉のパワーアップバージョン、〈P・R・ホネデス〉は両腕の先が普通の〈ホネデス〉になっているボスだ。
両腕から「ホネデス」「ホネデス」言いながら本体も「ホネデス」と言ってくるのだから腹筋に効く!
「効いてる! 勇者に効いてるぞ!」
「いけるのか!?」
オルクを守るように俺の前に出てくる〈P・R・ホネデス〉の挨拶に、俺は早速腹筋がピンチ。どうやらサターンにやられた腹筋が思いのほかダメージが深刻だった模様……!
ここまで勢いよく来ていた足は止まり、指示出しは途切れる。
対峙した〈P・R・ホネデス〉は容赦せず「ホネデス」「ホネデス」言いまくる。
苦しい!
「やかましいぞ! 『コキュートス・ゼロ・ディザスター』!」
「ホネデス!?」
ここにメルトが割り込んだ。
猛吹雪の魔法で〈P・R・ホネデス〉を攻撃。
〈P・R・ホネデス〉も〈即死〉の弾丸を両手から放ちまくるが、俺に状態異常は効かないのでメルトに飛んでいこうとした分まで全部弾いた。
「え? 効いてない?」
「うそだろ!? あれで俺たちがどんだけ倒してきたと!?」
どうやらオルクに渡した〈P・R・ホネデス〉は、ちゃんと役立っていたようだ。
良かったぜ。
だが、ここでさらにトラブル発生。
「オルク先輩ーーー!」
「ベ、ベニテ!?」
「オルク先輩無事ですね! もう~ダメかと思ったじゃないですか~。良く生きてましたね~」
なんと〈3年2組〉のベニテが登場したのだ。ということはつまり。
「ん――『512・ヘル』!」
「ぐっ!? ぐおおおおおおおおおおおお!?!?!?」
「メルト! 逃げろ!」
シャキンと短剣を構えるカルアがそこに居て、メルトを後ろから斬ってた。
メルト斬られてんじゃん!